妖刀使いがチートスキルをもって異世界放浪 ~生まれ持ったチートは最強!!~

創伽夢勾

文字の大きさ
119 / 133
5章:エルフの国と軍師の策略

110:天使族

しおりを挟む
 状況の整理は終わった。問題は、人員不足だ。
 ここにいるだけじゃ、人数が足りない。まぁ、SSランクの冒険者に来たいかな。

「ラース。SSランクの冒険者はどうなってる?」
「今、人集めながらこっちに向かってるらしい。人数はそこまで期待できないぞ」
「了解した」

 相手の規模はこちらを大きく上回っている。どうするか。

“初手で、エルと一緒に大規模魔法撃ったら?”
(ナイスだ。ヨリヒメ)
“ほんと? じゃあ後で撫でてね”
(あーはいはい。終わったらな)

 今この場にいるのは俺のことを少なくとも知っている奴等だ。なら問題はないだろう?

(ってことでエル頼む)
《了解しました。ますたー》

 俺はみんなに視線を飛ばす。そこで、ふと人化しているヒサメと目が合う。
 ヒサメはそのまま自分の手を頭の上に持っていくと、髪の毛を擦り、俺を指さす。
 つまり、ラースを連れて来たんだから私も撫でろと。

(この戦いでいい働きをしたら考えてやる)

 俺は意思疎通でそう飛ばしておいた。むくれた表情が返ってくるが無視だ。

「ちょっと、お前たちに紹介したい奴がいる。エル出て来てくれ」
「はい、ますたーの声を聞き、はせ参じました」

 俺の横にポンと現れた、エルに驚きのあまり3人は口をぽかんと開けていた。
 ラースは口をパクパクしながら、指先をエルに向けている。

「なんですか、ずっとこちらに指を向けて、失礼ですね」

 エルがそう言うと、レジーナがすぐにラースの手を無理やり下げる。
 すると、そのままの勢いで、レジーナが膝をつく。そして、またレジーナによってラースも膝をつかされる。よく見ると、誰よりも早くアイリスが膝をついていた。
 なんなんだこの状況。

「お前ら一体……」
「ユウ殿、なぜここに天使族がここにいる」
「ユウさん。天使族は最も神に近いと言われ、ここ数百年目撃された者はいません。人種からはあがめられる存在なのですよ?」

 と、アイリスからのご説明が入りようやく納得できた。俺が横眼で、エルを見るとにっこりとした笑顔をこちらに向ける。そして俺に意識させるように、小さくなっている翼をパタパタされる。

(どういうことだよ)
《そんなこと言われましても。ここの世界のことを私は知りませんし》
(とりあえず、お前から何か言ってやってくれ、このままじゃおちおち説明も出来やしない)

 俺がそう言うと、エルはコクリと頷き、わざとらしくせき込む。

「こほん。そんなに堅苦しい態度は無用です。私はここにいる。ユウ・ツキカゲに従う下僕ですから」
「おいーーー! ちょっとその説明は違うだろ? エルさんや」

 俺はすぐ横にいたエルの肩を両手で持ち、大きく揺する。

「何をますたー。間違ってはないでしょう?」
「大間違いだ。今すぐ訂正しろ。俺が変態だと思われるだろうが!」

 すると、そんな様子をみてアイリスが少し笑った。

「わかりました。そんなにもユウさんと親しげに話していると、もうどうでもよく見えます。エルさんでしたか、よろしくお願いします」
「はい、よろしくお願いします。アイリスさん。レジーナさんもラースさんも。あなた達がますたーとfであった頃にはすでに私はますたーの下僕をやっていましたので」

 俺は素早くエルの頭にチョップを入れる。「いたいですますたー」という声が聞こえるが無視だ。

「てことは、私とユウ殿が戦った時には既にエル殿もいたと」

 レジーナからジト目が飛んでくる。どうやら実力を隠していたことがばれかかっているようだ。あとで、また対戦だ。とか言い出しそう。

「まぁ、とりあえずだ。お前たちも、この前の魔物の襲撃の時に白い波動? みたいなもの見ただろ。あれはエルが撃ったものだ。それでだ。この戦い俺とエルが先行して、数減らしますね」

 ってことで、詳しく作戦会議だ。と言っても説明することと言えば俺とエルの大規模魔法についてぐらいだが……。

「ますたー」
「あぁ、わかってる。そんな悠長な時間はないようだ」

 もう魔物が待直まで迫っている。ということだ。

「アイリスは王城の高いところからできるだけ、戦況を見渡してくれ、そーだな。ラース
とレジーナ俺の手を握れ」
「「は?」」
「いいから早く」

 すると、左手をレジーナが右手をラースが掴む。アイリスはなんとなく予想がついているらしい。エルはもうすでに作業を始めていた。

「ますたー-完了しました」
「おーけ。詳しい話はアイリスから聞いてくれ。他の奴らの突撃は白い波動が通った後だ。ってことでよろしく頼む」

(アイリスは、戦況を俺たち3人に回してくれ)
(了解しました)

 俺は竜紋を使い、ノワールを呼ぶと、エルと一緒に飛び立つ。魔物の群れに向かって。

「さぁ、ちょっくら頑張りますかね」



「ふふ、いよいよだよ。ユウ君。やっと会えるんだよ? 楽しみだよね。ふふふ」

 魔物群れと、王国が見えるその崖に奇妙な笑いが聞こえ、その声の主は再び黒い穴へと消えていった。
しおりを挟む
感想 118

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

処理中です...