【R18】だれがフィクションだと言った 〜圧倒的モブ田中A子のセフレ生活〜

サバ無欲

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1.モブの心得

その11、モブたるものモブであれ!①

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『ずいぶん急だね。』

『ごめん…』

『謝らないでよ』

『でも、ごめん』

『いいよーとは…言えないかな』
『ねえ』
『ほんとに、もう駄目?』

『うん』

『そっかあ』
『あ』
『旅行どうする?箱根』

『俺はどっちでもいいよー』


「……はッ……」


『どっちでもいいって言われても…』

『そっか』
『じゃあキャンセル料かかるし、いく?』


「……なにそれ」


『そっちはそれでいいの?』
『じゃあ行こうか』
『予定、こないだ送ったとおりでいい?』
『変更ある?』

『大丈夫』

『りょ』
『んー』
『まだ実感湧かないんだけど、別れるんだよね』

『うん、ごめん』


「だから、謝んないでって……」


『仕方ないよ』
『良かったね』
『好きな人が出来たんならいいことだよ』
『うまくいくといいね』

『ごめん』
『ありがとう』


「……ぅ、っ……」


『おめでとー』
『じゃ、また箱根でね』


「あーあ……ラーメン、さめちゃった……」



***



夢見が! 悪い!! くそっ!!!


どうも、うれしはずかし朝帰り、そのあと二度寝した田中A子です。さっさと起きときゃ良かった! 最悪!!

なんで夢って悪夢の方が覚えてるんだろう。しかもリアルだし。どうせ見るならイケメンが良かった。イケメンを出せ。せっかくの有給消化なのにマジ許さん。


自分の脳みそに文句を言いながら午後2時ごろにのっそり起きて、冷凍食パンをチンして食べた。かけるチーズだけあれば食べた気になるから不健康極まりない。でもフルーツ入りグラノーラなんてキラキラ女子しか食べないよあんなもん。高いし。

携帯を見ると早織ちゃんからいくつか連絡が。確認すると緊急性はなく、むしろ返信しづらい内容だったので放置する。昨日はどうだったか、なんて、ラインで言えることじゃない。

さて。

一息ついて部屋を見渡すと結構荒れてた。そりゃそうか。ここ数日なにもする気になれなくて、外食しては帰って寝るだけの生活だったし。よどんだ空気を一掃するため窓を開ける! よし!

ゴミ袋、マスク、ゴム手袋もあった。やるぞ!

はじめに手に取ったのはミニアルバム。それから写真立て、もらったアクセサリーにゲーセンで取ったぬいぐるみ、キーホルダー、プリクラ、映画の半券。どんどん出てくる! 無心になってポイポイポイだ!

もののついでに、タンスからはみ出ている洋服も捨てる。誰だったかが『ときめくものだけ残す』って言ってた! 今回はその通りにしてみよう、なんて思ったらタンスの半分以上が消えた。すご。

結局、師走ばりの大掃除になった。

台所の油汚れをつけ置き洗いして、棚の上からぜーんぶ雑巾がけして。げっ、某ネズミテーマパークのペアマグカップ出てきた。ゴミゴミ。ネットで売れば二束三文のお金になるかもしれないけど、そんな悠長になんてしてられなかった。時間は有限、情けはかけない!

太陽が沈み、夜がふけ、終わったのが夜10時。
50Lのゴミ袋が7つ。


「5年の集大成がこれか~」


声に出すとあっけない。ゴミ収集場を往復して、戻った部屋はぴかぴかだった。気分いい! 途端にぐうう、とお腹の鳴る音。

何かあったかな。
冷蔵庫を探るとしなびたキャベツ、卵。戸棚にはしお味の袋麺。上出来だ。

ケトルでお湯を沸かして小鍋へ。厚めの千切りにしたキャベツを先に入れ、煮立ったら麺。ほぐれてきたら最後に卵をいれて蓋をする。噴きこぼれないよう注意して。時間は適当。

コンロの火を止める。いつもなら小鍋のまま食べるところだけど……少し考えて、久しぶりにラーメン皿を出した。粉をスープで溶かして、別添えの煎りごまを入れる。残り少ないバターは……ええい、全部入れてしまえ!

テーブルについて手を合わせる。麺をすくうと眼鏡が一斉に曇るけど、気にせず食べる。あのとき冷めちゃった醤油味。あのとき食べられなかったみそ味。

あったかい、しおバター味。


「はー……おいし」


やっとラーメンの味がわかる。

スープも残さず飲みきってから、早織ちゃんに短く返信した。即座に『明日まで待ちきれません!』なんて返ってきたけど、無視無視。おやすみなさい。


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