【R18】だれがフィクションだと言った 〜圧倒的モブ田中A子のセフレ生活〜

サバ無欲

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1.モブの心得

☆その10、モブたるもの存在感を無くせ②

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え、こんなにすんなり? あの指を? あんなにきれいで長い指を、まったく痛みもなく?


「うそ、うそ」
「ん?」
「いたくない……」
「……そりゃそーだ。エンボちゃん、ドロッドロだもん。ほらクリも」
「ひぃっ! や、やめて!」
「すっげぇ気持ちそさそうに膨らんでる。よかったね、エンボちゃん。このままこすってあげるから一回イキな?」
「うぅっ、ん、んくぅ……!」
「いやいやしないで」


ぎゅうぎゅう、彼の指を締めつけてるのが自分でも分かる。これってなに。なんて拷問? 見上げるまでもなくすぐ近くには彼の笑う顔。滲んでしまう。せっかく、私なんかを見て嬉しそうにしてくれているのに、にじんでしまう。

リズムよくぐりぐりされて、にじんでいた視界が急に真っ黒に、真っ白になる。強い電流。しびれるような充足感。口がだらしなく開いて閉じられなかった。


「はぁあ……ッ」
「あー、かぁい。エンボちゃん、泣きながらイッちゃった?」
「い……イッちゃった、の、かな……」
「イッちゃったんだよ、気持ちよかったでしょ」
「んー……うん」
「素直でよろしい」
「あの、変態さん」
「ん?」
「上手なんですね、変態さんって」
「そうかなぁ? 普通じゃない、これくらい」
「 ふ つ う で は な い 」
「ぶふっ、知らねーよ。てかさ」
「?」
「誰と比べてんの?」
「っ、あ……」
「まぁいいけど、忘れな? そんなヘタクソ。俺のほうが気持ちいんでしょ?」
「……うん」
「失恋でもした?」
「ナイショです」
「ふふっ、……かぁいい」
「かわいくは、……」


キスが、気持ちいい。舌が気持ちいい。
おたがい真っ裸の身体をくっつけて、腕を絡ませて。不思議。全部すっごくきもちいい。

それに何より、目の前の人のアレが大きくなってるのが嬉しい。太ももをすりつければ、押し付けられて応えてくれるのが嬉しい。この人の名前も知らないけれど、私を欲しがってくれていることは、わかるから。


「あの」
「んー?」
「そろそろ、挿れたほうが……?」
「なに、挿れて欲しい?」
「う、え、アノ」
「ぶくくっ……、あー、エンボちゃん」
「アッハイ」
「かわいいね」
「っ、からかわないでください」
「はいはい。うーん、挿れたいのは山々なんだけどさ」
「……けど?」
「もうちょっと、開発したいというか」
「も、もう結構です」
「そう言わずに」
「あっン!」
「あと一回イッたら挿れさせてもらおうかな」
「もぉお、へんたい、さんッ……」
「うわー……ヤバい、これ。クセになりそう……」


きれいな顔がニヤと歪んで、でもそんな顔もきれいだなあと感心してる間にイかされて。一度ならず二度三度の暴挙に耐えかね、大声で懇願するころには記憶が飛び飛びになっているという有様でしたとさ、まる。



***



1、2……え、ゴム何個落ちてんの。

ほんとに至れり尽くせりすぎて、性風俗ならチップ多めに払うところ。なんだけど、今回はお互い様ってことでいいのかな。変態さんもちゃんとチピーコ勃って、出すもん出せたみたいだし。でもこのホテル高そうだからなぁ……。

結局考えあぐねて、財布を見たら残金5千円だったのでやめた。俺のセックスが5千円だったのか、なんて誤解されたら大変だ。彼のエッチは10万くらいの価値があるのだから、なおさら。それに昨日、お金はいらないみたいなことも言ってくれてたし。ここは甘えさせてもらおう。備え付けのメモとペンを取る。


『一晩お邪魔しました。またどこかで会えたら』
……会えたら?


いやどうするつもりよ。駄目だ、この状況に酔ってるな私。書きかけたメモはビリっと破いてゴミ箱の中へ。パンパンと頬を叩いて目を覚ます。

調子に乗ってるぞーA子。これはひと夜の過ち、間違いなんだから。次に白昼堂々会うなんて、万が一でもあってはならない。『うわぁ、俺、こんなダサモブとやっちまったのか』なんて思われたくないでしょ。いやすでに思われてるかもだけど言われたくない。だったら後腐れなく終わって、二度と会わないのが一番。そうでしょ?

もう一度ペンを取る。でもやっぱり、気持ちがふわふわしててどうしようもない。まぁ良いや。ちょっとくらいウザくても、もう会わない人だし。旅の恥はかき捨て。かき捨てる恥って、実は楽しい恥なんだなあ。新体験。


『ごちそうさまでした。』


イイ女風にそれだけ書いて部屋を出る。途中でルームキーがないとエレベーターが動かせないことに気づいたけど、運良くほかの宿泊客(外国人!)と一緒になってことなきを得た。危ない危ない。セーフ。

早朝の電車は人が少なくて、車両のすみっこに座ると途端に眠気が襲ってきた。あるべき日常、あるべき姿へ戻っていく。雑踏を聞き、吊り広告に目を向けて、エキストラとして世界へ溶け込んでゆく安堵と寂寥ーー


『あの朝ドラ女優にウワサの影!』
『初夏は裏京都へいこう』
『EmptyBOX新曲発売』
『眼精疲労にベリーの力』


そこで記憶は、ぷっつり途切れた。

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