映した鏡

はんぺん

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世界の中心①

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 私は誰にも古城さんの事を話さなかった。理由は簡単、それを色恋に取り沙汰される事が嫌だったからだ。
 古城さんの事が嫌いか。そうじゃない、好意的な感情を持っているのは確かだと思う。嫌なのはあの出会いをファストフードの様に消化されてしまう事だ。

「あ、あれ……」

 五限の体育の為運動場へ向かう途中、友人達が実習棟の陰に何かを見つけた。みんな一瞬立ち止まって、私が気付く頃にはそっぽを向いて歩き始めた。

「あれ男テニの先輩なんだけど‥‥苦手なんだよね」

 あれ、とはきっとガラの悪そうな生徒達の内の誰か一人だろう。

「そういえば自慢げに言ってたー。ミュージシャンになるんだってキモいボッチがいるからーーーー」

 友達の声が耳に入らなくなった。そのミュージシャン志望のボッチとはきっと囲まれている彼だろう。そして目が合う。フィラメントの切れた虚な目だ。

 私はなんて幻想を押し付けていたんだろう。何されたって折れない強さなんてこの世界に存在する訳無いのに。

 目を逸らして私は逃げた。そして視界の隅で彼が彼らに殴り掛かった。きっと私がそうさせた。
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