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「……てっ聞いたんだけど本当?」
フィオナは、屋敷に帰って来た後、ヴィレームに抱えられ部屋まで運ばれて、シビルに応急処置をして貰った。
ヴィレームはオリフェオに話があると言って、退室して暫く戻らず……二時間程経った先程ようやく部屋にやって来た。
先ずはフィオナの足の心配をしてくれた後、治癒魔法と呼ばれるものであっという間に治してくれた。フィオナが目を丸くする中、ヴィレームは今日何があったかを訊ねて来たのだ。
「あ、はい……そう、ですね」
オリフェオ等から聞いた話を、ヴィレームから聞かされたフィオナは眉根を寄せる。間違っては、いない。だが、かなり歪曲されている。
昼休みに裏庭で一人昼食を食べていたフィオナの所に、たまたまオリフェオが通りかかって、ダンスパーティーの件を謝罪しようと思い、話し掛けた。すると意外にも意気投合し、話に夢中になってしまい気付けば午後の授業の始業時間を過ぎていて、慌てて教室に戻る途中に、シャルロット達に出会した、と話したそうだ。
一体いつ自分とオリフェオが意気投合したと言うのか……しかも、謝罪なんてされていない。そんな言葉が出るという事は、少しは悪いという気持ちがあるのだろうか……謎だ。
だが、ニクラスの件は他言無用と言っていた故話さなかったのは分かる。必然的にハンスの話も繋がるので出来はしない。その辺りを話から抜いてしまうと、やはり不自然にならない様にするならこんな感じになるかも知れない……でも。
物凄く複雑だ。これでは、フィオナとオリフェオが仲が良いみたいになってしまう。実際にはそんな事はあり得ないし、向こうも願い下げだろう。もっと他に言い方はなかったのだろうか……。
「ヴィレーム様?」
「……」
フィオナが彼の目を見ると、返事もなく逸らされてしまった……。もしかして、オリフェオの話を聞いて、嫌われてしまった⁉︎フィオナは愕然とする。
「ヴィレーム様」
「……」
「ヴィレーム様……」
「……」
何時もなら、笑顔で『どうしたの』と応えてくれるのに、何度呼びかけてても彼は黙り込んだままだった。
こんな時、どうすればいいのか分からない。フィオナは途方に暮れた。いっその事、全て話してしまおうか……。いや、ダメだ。流石にそれは出来ない。ヴィレームが話を洩らすとは思えないが、やはり約束は破れない。
ぎゅっ。
「フィ、フィオナ⁉︎」
どうする事も出来なくて、ヴィレームに抱きついた。彼は隣にいるのに、急に遠く感じて寂しくて仕方がなかった。彼がいなくなってしまうという、恐怖心が湧き起こり気づけばそうしていた。
「ヴィレーム、様っ……」
彼の手が、フィオナの腕に触れる。拒絶され引き剥がされてしまったらと思うと、身体が無意識に震えた。
「フィオナ」
だがそれも杞憂に終わる。ヴィレームは、フィオナの腕を掴むとより身体が密着する様にして引き寄せてくれた。
「ごめん、フィオナ。つまらない嫉妬をして、少し意地悪しちゃったんだ」
「ヴィレーム、さま……私の事、嫌いになったんじゃないですか……」
「なる訳ないよ。こんなにも君を想っているのに、そんな事あり得ない。寧ろ、僕こそフィオナに捨てられたらどうしようって思ってたくらいだよ」
そう言いながら苦笑する彼は、優しい手つきで仮面に触れ、それを外す。コツンとフィオナのおでこに彼のおでこが合わさった。
「仲直り、してくれる?」
「はい」
嫌われてなかった……。
目の奥が熱くなるのを感じる。そのまま二人の唇が重なった。
フィオナは、屋敷に帰って来た後、ヴィレームに抱えられ部屋まで運ばれて、シビルに応急処置をして貰った。
ヴィレームはオリフェオに話があると言って、退室して暫く戻らず……二時間程経った先程ようやく部屋にやって来た。
先ずはフィオナの足の心配をしてくれた後、治癒魔法と呼ばれるものであっという間に治してくれた。フィオナが目を丸くする中、ヴィレームは今日何があったかを訊ねて来たのだ。
「あ、はい……そう、ですね」
オリフェオ等から聞いた話を、ヴィレームから聞かされたフィオナは眉根を寄せる。間違っては、いない。だが、かなり歪曲されている。
昼休みに裏庭で一人昼食を食べていたフィオナの所に、たまたまオリフェオが通りかかって、ダンスパーティーの件を謝罪しようと思い、話し掛けた。すると意外にも意気投合し、話に夢中になってしまい気付けば午後の授業の始業時間を過ぎていて、慌てて教室に戻る途中に、シャルロット達に出会した、と話したそうだ。
一体いつ自分とオリフェオが意気投合したと言うのか……しかも、謝罪なんてされていない。そんな言葉が出るという事は、少しは悪いという気持ちがあるのだろうか……謎だ。
だが、ニクラスの件は他言無用と言っていた故話さなかったのは分かる。必然的にハンスの話も繋がるので出来はしない。その辺りを話から抜いてしまうと、やはり不自然にならない様にするならこんな感じになるかも知れない……でも。
物凄く複雑だ。これでは、フィオナとオリフェオが仲が良いみたいになってしまう。実際にはそんな事はあり得ないし、向こうも願い下げだろう。もっと他に言い方はなかったのだろうか……。
「ヴィレーム様?」
「……」
フィオナが彼の目を見ると、返事もなく逸らされてしまった……。もしかして、オリフェオの話を聞いて、嫌われてしまった⁉︎フィオナは愕然とする。
「ヴィレーム様」
「……」
「ヴィレーム様……」
「……」
何時もなら、笑顔で『どうしたの』と応えてくれるのに、何度呼びかけてても彼は黙り込んだままだった。
こんな時、どうすればいいのか分からない。フィオナは途方に暮れた。いっその事、全て話してしまおうか……。いや、ダメだ。流石にそれは出来ない。ヴィレームが話を洩らすとは思えないが、やはり約束は破れない。
ぎゅっ。
「フィ、フィオナ⁉︎」
どうする事も出来なくて、ヴィレームに抱きついた。彼は隣にいるのに、急に遠く感じて寂しくて仕方がなかった。彼がいなくなってしまうという、恐怖心が湧き起こり気づけばそうしていた。
「ヴィレーム、様っ……」
彼の手が、フィオナの腕に触れる。拒絶され引き剥がされてしまったらと思うと、身体が無意識に震えた。
「フィオナ」
だがそれも杞憂に終わる。ヴィレームは、フィオナの腕を掴むとより身体が密着する様にして引き寄せてくれた。
「ごめん、フィオナ。つまらない嫉妬をして、少し意地悪しちゃったんだ」
「ヴィレーム、さま……私の事、嫌いになったんじゃないですか……」
「なる訳ないよ。こんなにも君を想っているのに、そんな事あり得ない。寧ろ、僕こそフィオナに捨てられたらどうしようって思ってたくらいだよ」
そう言いながら苦笑する彼は、優しい手つきで仮面に触れ、それを外す。コツンとフィオナのおでこに彼のおでこが合わさった。
「仲直り、してくれる?」
「はい」
嫌われてなかった……。
目の奥が熱くなるのを感じる。そのまま二人の唇が重なった。
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