結婚したくない腐女子が結婚しました

折原さゆみ

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番外編【年齢について考える】1寝違えました

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「アイタタタタタタタ」

 2025年もあっという間に終わってしまい、新たな年、2026年が始まってしまった。そしてその2026年も1か月が経過しようとしていた。年末年始の長期休みのボケが抜けてようやく仕事に慣れ始めた矢先の事だった。

「どうしたんですか?」

 1月下旬のある日、私は起床してすぐに左肩に違和感を覚えた。いや、違和感ではなく、明らかな痛みを肩が訴えていた。起床後すぐは、痛いと感じるだけで、ただ寝違えただけだし、今日明日くらいは痛いだろうくらいの軽い気持ちでいた。

 しかし、朝食を大鷹さんと取っていたが、どうにもいつもの寝違えた時と様子が違う。首を後ろに少し動かしただけで激痛が走る。つい、朝食中だというのに大声で悲鳴を上げてしまった。慌ててごまかすように肩に手を置くが、痛そうな様子に大鷹さんに心配そうな目で見つめられる。

「いや、なんだか寝違えたみたいで、左肩がものすごく痛くて……」

「それは心配ですね。一度寝違えると数日治らないこともありますから、あまり無理しない方がいいです。もし傷みが続きそうなら、整体に行った方がいいかもしれないですね」

「ソウデスネ。ケントウシマス」

 痛みの為に首を後ろに傾けることができなくなってしまった。とりあえず、今日は木曜日。残り二日頑張れば休日である。片言の返事をするが、私の身体は整体へ行った方がいいと訴えていた。しかし、仕事を休んでまでいくのは気が引けた。これでも社会人なので、痛さに顔をしかめながら、仕方なく仕事の準備をして家を出た。

 外は真冬の寒さで仕事に行く気力がさらに失われる。さらには車のフロントガラスも凍っていて、最悪な一日の始まりだった。


「紗々先輩、おはようございます」

「倉敷先輩、おはようございます」

「オハヨウゴザイマス」

 寝違えることは今までにもあったが、今回の傷みはけた違いに強かった。大抵は鈍い痛みだけで、首や肩を回してもそこまで激痛が走ることはない。年のせいかもしれないが、私はまだアラサーであり、おばさんほどおばさんの年でもない、と思いたい。

 会社に着いて、更衣室で着替えをしていると、河合さんと梨々花さんがやってきた。最近は梨々花さんも私を見かけると挨拶をしてくれるようになった。社会人として先輩に挨拶をすることは当然なのだが、それがなんだかうれしいと感じるのは、私に対する梨々花さんの態度を知っている人ならわかってくれるだろう。

 私が力ない片言の挨拶を返すと、二人は顔を見合わせて首をかしげる。どうやら、私の異変に瞬時に気付いたようだ。大鷹さんと言い、この二人と言い、私の変化に気付く速さは異常なくらいだ。まあ、今朝は私の悲鳴で気づかれてしまったが。

「先輩、左肩を痛めたんですか?なんだか辛そうですけど」

「心配する必要はないですよ。江子先輩。どうせ、寝違えたとかでしょうし」

「寝違え、かあ。でも、私は寝違えて肩や首があそこまで痛めたことないけどなあ」

「私もありませんよ。きっと、年のせいです。ほら、先輩って私たちより、せ、ん、ぱ、い、ですから」

 二人は心配するそぶりを見せたかと思ったら、無意識に私を口撃してきた。私だって、ここまで寝違えて肩を痛めたのは初めての経験だ。

「そもそも、どうして寝違えたことがすぐにわかったんですか?私、まだどこがどう痛いとか言ってな」

 話している途中ではっと気が付く。無意識に左肩に手を置いていた。現在、私の右手は左肩に置かれていた。

「とりあえず、今日は書類整理とかの仕事はしない方がいいですね。接客に専念してください」

「年寄りの先輩を持つと苦労しますねえ」

「スミマセンガ、ヨロシクオネガイシマス」

 挨拶をしてくれるようになったと喜んでいたが、相変わらず梨々花さんの毒舌は健在だ。ちなみに更衣室には私たち3人しかいなかった。もし、ここに私たち以外の人がいたら梨々花さんの発言はかなりやばかった。

 私より年齢が上の人は当然いるので、彼らに聞かれたらまずいだろう。私がきょろきょろとあたりを見わたしていたら、梨々花さんに鼻で笑われてしまう。

「私がそんなへマをするはずないでしょう。さっさと仕事に行きますよ」

 そんなわけで、私は肩の傷みを抱えながら仕事をするのだった。

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