結婚したくない腐女子が結婚しました

折原さゆみ

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番外編【年齢について考える】18年の差カップルの現実(小説)②

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 ジムに通うと決意して1週間が経過したが、私はまだ行動に移せていなかった。実際にジムに通うならば、それなりにお金もかかるし、時間の捻出も必要になる。お金と時間。この2つが私の行動に歯止めをかけていた。

「ここなら、仕事帰りにも寄れるし、値段もまあ、妥当なところでしょう」

 しかし、迷っていても仕方ない。老化は時間とともに進んでいく。老化は止めることはできないが、進行を遅らせることはできる。今すぐ運動しなくてはならない。

 悩みに悩みを重ねた結果、ネットで比較的口コミが良かった、職場と家の中間地点くらいにあるジムに無料体験を申し込むことにした。

「今週の土曜日の午前中はちょっと用事があるので出かけます」
「了解です」

 無料体験の申し込みが終わり、恋人に予定を伝える。ジムに通おうと思っていることは恋人には話していない。通うことは秘密で、私の見た目が若返っていったときの恋人の反応が見たかったからだ。それと、こんな50歳を迎えたおじさんがジムに通いたいなどといって恋人に引かれたくなかった。

 ジムの無料体験を【用事】の一言で済ませてしまったが、恋人はその【用事】に対して追求してこなかった。ただ事務的に了承する様子が少し気になった。


 土曜日当日。家を先に出たのは恋人だった。

「お昼も外で食べてくるね。君は?」
「私も外で食べてこようかな」

「いってきます」
「いってらっしゃい。私ももう少ししたら家を出るよ」

 朝の何気ない光景だが、私は昔と変わったなと寂しさを感じてしまう。10年前の付き合いたての頃は、いってきますのキスは当たり前で、離れるのが寂しくて、しっかりとハグもしてお互いの体温と匂いをしっかり記憶しておこうと必死だった。

 それが10年経った今では、ただの挨拶のみで別れの余韻に浸ることはなくなった。それは熱が冷めてしまったからなのか、気持ちが離れつつあるのか。考えても仕方ない。

 若返った私を見たら、きっと昔のような情熱的な気持ちが戻ってくるかもしれない。そのためにも、今日の無料体験は気合を入れて臨もう。改めてジムへ通おうという気持ちが強まった。


「今日はよろしくお願いします」
「こちらこそ、ヨロシクオネガイシマス」

 ジムに着くと、すぐに若いトレーナーが私の元にやってきた。年は恋人と同じくらいだろうか。もしかしたらそれよりも若い20代後半か30歳くらいかもしれない。とにかく、私にはない、若々しいエネルギーで満ち溢れていた。

「無料体験なので、今日はこれくらいにしてきましょう。一度に負荷をかけすぎると怪我の原因にもなりますから」
「あ、アリガトウゴザイマス」

 ジムにある機械の説明を受けて、一通りの機械を使って運動をしてみたが、今までの運動不足によって、少し身体を動かしただけで、身体中の筋肉が悲鳴を上げていた。今日から1週間ほど筋肉痛に見舞われることが確定した。こればかりは徐々に慣れていくしかないだろう。

「身体を動かしたおかげか、ジムに来た時より、かなり顔色が良くなりましたね。今日はどうでした?」

「久しぶりにしっかりと汗をかいた気がします。そのせいか、身体がポカポカして筋肉痛が痛いですが、すっきりした気分です」

「それはよかったです。入会はどうですか?今申込みしていただけたら、入会金が90%オフになりますけど」

「今日、入会を決めると、ですか?」

「そうですね。どうされますか?」

「ワカリマシタ。手続きお願いします」

 せっかくここまで来たのだ。入会金の割引もあるので、私は少し迷ったがジムの入会を決めた。その後は事務手続きをして、次回の予約を決めてその日のジムの予定は終わった。

「ああそうだ。次回ですけど、ちょうどこのジムの運営会社の社長がうちの店舗に視察に来るんです。いつもは海外にいるんですけどね。会ってみると驚くと思いますよ」

 あまりのイケオジぶりに。

 嬉しそうに社長について話すトレーナーに、そこまで言うイケオジとはどんなものか気になった。しかも、どうやら年齢は私と同じ50歳らしい。イケオジということなので、きっと年齢より若い見た目なのだろう。これは私の若作り計画の参考になるに違いない。

 次回のジムが楽しみである。
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