252 / 253
番外編【年齢について考える】18年の差カップルの現実(小説)②
しおりを挟む
ジムに通うと決意して1週間が経過したが、私はまだ行動に移せていなかった。実際にジムに通うならば、それなりにお金もかかるし、時間の捻出も必要になる。お金と時間。この2つが私の行動に歯止めをかけていた。
「ここなら、仕事帰りにも寄れるし、値段もまあ、妥当なところでしょう」
しかし、迷っていても仕方ない。老化は時間とともに進んでいく。老化は止めることはできないが、進行を遅らせることはできる。今すぐ運動しなくてはならない。
悩みに悩みを重ねた結果、ネットで比較的口コミが良かった、職場と家の中間地点くらいにあるジムに無料体験を申し込むことにした。
「今週の土曜日の午前中はちょっと用事があるので出かけます」
「了解です」
無料体験の申し込みが終わり、恋人に予定を伝える。ジムに通おうと思っていることは恋人には話していない。通うことは秘密で、私の見た目が若返っていったときの恋人の反応が見たかったからだ。それと、こんな50歳を迎えたおじさんがジムに通いたいなどといって恋人に引かれたくなかった。
ジムの無料体験を【用事】の一言で済ませてしまったが、恋人はその【用事】に対して追求してこなかった。ただ事務的に了承する様子が少し気になった。
土曜日当日。家を先に出たのは恋人だった。
「お昼も外で食べてくるね。君は?」
「私も外で食べてこようかな」
「いってきます」
「いってらっしゃい。私ももう少ししたら家を出るよ」
朝の何気ない光景だが、私は昔と変わったなと寂しさを感じてしまう。10年前の付き合いたての頃は、いってきますのキスは当たり前で、離れるのが寂しくて、しっかりとハグもしてお互いの体温と匂いをしっかり記憶しておこうと必死だった。
それが10年経った今では、ただの挨拶のみで別れの余韻に浸ることはなくなった。それは熱が冷めてしまったからなのか、気持ちが離れつつあるのか。考えても仕方ない。
若返った私を見たら、きっと昔のような情熱的な気持ちが戻ってくるかもしれない。そのためにも、今日の無料体験は気合を入れて臨もう。改めてジムへ通おうという気持ちが強まった。
「今日はよろしくお願いします」
「こちらこそ、ヨロシクオネガイシマス」
ジムに着くと、すぐに若いトレーナーが私の元にやってきた。年は恋人と同じくらいだろうか。もしかしたらそれよりも若い20代後半か30歳くらいかもしれない。とにかく、私にはない、若々しいエネルギーで満ち溢れていた。
「無料体験なので、今日はこれくらいにしてきましょう。一度に負荷をかけすぎると怪我の原因にもなりますから」
「あ、アリガトウゴザイマス」
ジムにある機械の説明を受けて、一通りの機械を使って運動をしてみたが、今までの運動不足によって、少し身体を動かしただけで、身体中の筋肉が悲鳴を上げていた。今日から1週間ほど筋肉痛に見舞われることが確定した。こればかりは徐々に慣れていくしかないだろう。
「身体を動かしたおかげか、ジムに来た時より、かなり顔色が良くなりましたね。今日はどうでした?」
「久しぶりにしっかりと汗をかいた気がします。そのせいか、身体がポカポカして筋肉痛が痛いですが、すっきりした気分です」
「それはよかったです。入会はどうですか?今申込みしていただけたら、入会金が90%オフになりますけど」
「今日、入会を決めると、ですか?」
「そうですね。どうされますか?」
「ワカリマシタ。手続きお願いします」
せっかくここまで来たのだ。入会金の割引もあるので、私は少し迷ったがジムの入会を決めた。その後は事務手続きをして、次回の予約を決めてその日のジムの予定は終わった。
「ああそうだ。次回ですけど、ちょうどこのジムの運営会社の社長がうちの店舗に視察に来るんです。いつもは海外にいるんですけどね。会ってみると驚くと思いますよ」
あまりのイケオジぶりに。
嬉しそうに社長について話すトレーナーに、そこまで言うイケオジとはどんなものか気になった。しかも、どうやら年齢は私と同じ50歳らしい。イケオジということなので、きっと年齢より若い見た目なのだろう。これは私の若作り計画の参考になるに違いない。
次回のジムが楽しみである。
「ここなら、仕事帰りにも寄れるし、値段もまあ、妥当なところでしょう」
しかし、迷っていても仕方ない。老化は時間とともに進んでいく。老化は止めることはできないが、進行を遅らせることはできる。今すぐ運動しなくてはならない。
悩みに悩みを重ねた結果、ネットで比較的口コミが良かった、職場と家の中間地点くらいにあるジムに無料体験を申し込むことにした。
「今週の土曜日の午前中はちょっと用事があるので出かけます」
「了解です」
無料体験の申し込みが終わり、恋人に予定を伝える。ジムに通おうと思っていることは恋人には話していない。通うことは秘密で、私の見た目が若返っていったときの恋人の反応が見たかったからだ。それと、こんな50歳を迎えたおじさんがジムに通いたいなどといって恋人に引かれたくなかった。
ジムの無料体験を【用事】の一言で済ませてしまったが、恋人はその【用事】に対して追求してこなかった。ただ事務的に了承する様子が少し気になった。
土曜日当日。家を先に出たのは恋人だった。
「お昼も外で食べてくるね。君は?」
「私も外で食べてこようかな」
「いってきます」
「いってらっしゃい。私ももう少ししたら家を出るよ」
朝の何気ない光景だが、私は昔と変わったなと寂しさを感じてしまう。10年前の付き合いたての頃は、いってきますのキスは当たり前で、離れるのが寂しくて、しっかりとハグもしてお互いの体温と匂いをしっかり記憶しておこうと必死だった。
それが10年経った今では、ただの挨拶のみで別れの余韻に浸ることはなくなった。それは熱が冷めてしまったからなのか、気持ちが離れつつあるのか。考えても仕方ない。
若返った私を見たら、きっと昔のような情熱的な気持ちが戻ってくるかもしれない。そのためにも、今日の無料体験は気合を入れて臨もう。改めてジムへ通おうという気持ちが強まった。
「今日はよろしくお願いします」
「こちらこそ、ヨロシクオネガイシマス」
ジムに着くと、すぐに若いトレーナーが私の元にやってきた。年は恋人と同じくらいだろうか。もしかしたらそれよりも若い20代後半か30歳くらいかもしれない。とにかく、私にはない、若々しいエネルギーで満ち溢れていた。
「無料体験なので、今日はこれくらいにしてきましょう。一度に負荷をかけすぎると怪我の原因にもなりますから」
「あ、アリガトウゴザイマス」
ジムにある機械の説明を受けて、一通りの機械を使って運動をしてみたが、今までの運動不足によって、少し身体を動かしただけで、身体中の筋肉が悲鳴を上げていた。今日から1週間ほど筋肉痛に見舞われることが確定した。こればかりは徐々に慣れていくしかないだろう。
「身体を動かしたおかげか、ジムに来た時より、かなり顔色が良くなりましたね。今日はどうでした?」
「久しぶりにしっかりと汗をかいた気がします。そのせいか、身体がポカポカして筋肉痛が痛いですが、すっきりした気分です」
「それはよかったです。入会はどうですか?今申込みしていただけたら、入会金が90%オフになりますけど」
「今日、入会を決めると、ですか?」
「そうですね。どうされますか?」
「ワカリマシタ。手続きお願いします」
せっかくここまで来たのだ。入会金の割引もあるので、私は少し迷ったがジムの入会を決めた。その後は事務手続きをして、次回の予約を決めてその日のジムの予定は終わった。
「ああそうだ。次回ですけど、ちょうどこのジムの運営会社の社長がうちの店舗に視察に来るんです。いつもは海外にいるんですけどね。会ってみると驚くと思いますよ」
あまりのイケオジぶりに。
嬉しそうに社長について話すトレーナーに、そこまで言うイケオジとはどんなものか気になった。しかも、どうやら年齢は私と同じ50歳らしい。イケオジということなので、きっと年齢より若い見た目なのだろう。これは私の若作り計画の参考になるに違いない。
次回のジムが楽しみである。
0
あなたにおすすめの小説
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
【完結】人前で話せない陰キャな僕がVtuberを始めた結果、クラスにいる国民的美少女のアイドルにガチ恋されてた件
中島健一
恋愛
織原朔真16歳は人前で話せない。息が詰まり、頭が真っ白になる。そんな悩みを抱えていたある日、妹の織原萌にVチューバーになって喋る練習をしたらどうかと持ち掛けられた。
織原朔真の扮するキャラクター、エドヴァルド・ブレインは次第に人気を博していく。そんな中、チャンネル登録者数が1桁の時から応援してくれていた視聴者が、織原朔真と同じ高校に通う国民的アイドル、椎名町45に属する音咲華多莉だったことに気が付く。
彼女に自分がエドヴァルドだとバレたら落胆させてしまうかもしれない。彼女には勿論、学校の生徒達や視聴者達に自分の正体がバレないよう、Vチューバー活動をするのだが、織原朔真は自分の中に異変を感じる。
ネットの中だけの人格であるエドヴァルドが現実世界にも顔を覗かせ始めたのだ。
学校とアルバイトだけの生活から一変、視聴者や同じVチューバー達との交流、eスポーツを経て変わっていく自分の心情や価値観。
これは織原朔真や彼に関わる者達が成長していく物語である。
カクヨム、小説家になろうにも掲載しております。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
学園の美人三姉妹に告白して断られたけど、わたしが義妹になったら溺愛してくるようになった
白藍まこと
恋愛
主人公の花野明莉は、学園のアイドル 月森三姉妹を崇拝していた。
クールな長女の月森千夜、おっとり系な二女の月森日和、ポジティブ三女の月森華凛。
明莉は遠くからその姿を見守ることが出来れば満足だった。
しかし、その情熱を恋愛感情と捉えられたクラスメイトによって、明莉は月森三姉妹に告白を強いられてしまう。結果フラれて、クラスの居場所すらも失うことに。
そんな絶望に拍車をかけるように、親の再婚により明莉は月森三姉妹と一つ屋根の下で暮らす事になってしまう。義妹としてスタートした新生活は最悪な展開になると思われたが、徐々に明莉は三姉妹との距離を縮めていく。
三姉妹に溺愛されていく共同生活が始まろうとしていた。
※他サイトでも掲載中です。
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる