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番外編【年齢について考える】19ようやく話せました
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ジムの無料体験に行って入会を決めた私だが、困ったことがひとつあった。
「先輩、今日の夜って空いています?久しぶりにふたりで一緒に夕食でもどうですか?おおたかっちの最近の様子とか聞きたいですし」
「江子先輩、それ、私も同席してもいいですか?そもそも、倉敷先輩に予定を聞く意味あります?年中、予定なんてないでしょう?常に直帰だと思いますけど」
週に2~3日程度通うことが推奨されているため、仕事終わりにジムに行く必要がある。残業がある日は仕方ないとして、それ以外の日はなるべく退勤後はすぐにジムに向かいたい。いまだにふたりにはジムに通っていることを話せていないので、ジムに行く日は無言でさっさと会社を出ることにしていた。
しかし、今回はふたりに更衣室で捕まってしまった。
「あの、私にだって退勤後に予定を入れているときもありますよ。病院だって行きますし。それに、今日だって予定が」
「予定があるんですか?紗々先輩に!そういえば、最近、私たちを無視して直帰すること多いですよね?」
「確かに江子先輩の言う通りかも。とりあえず、今日の江子先輩との夕食はキャンセルですね。江子先輩、今日はわたしとふたりで夕食を」
「いったい、何の予定があるんですか?私との約束よりもそちらの予定の方が大事ですか?可愛い後輩よりも、もしかして今までの直帰にも意味が……」
どうして、このふたりは退勤後まで私に絡もうとしてくるのか。こんな無駄話をしている間にも時間は刻々と過ぎていく。これはもう、正直にジムに通い始めたことをふたりに話したほうが賢明かもしれない。
「おふたりには話していませんでしたが、私、1月の終わりからジムに通い始めまして。なので、週2日くらいは退勤後にジムに行くことになりました。なので、今日の予定というのはジムのことです」
ようやく話すことができた。思い切って話してみたが、ふたりの反応はというと。
「あの……?固まっていないで、何か言ってください」
驚きすぎて目を見開いてその場で動かなくなってしまった。驚きのリアクションは予想していたが、この反応は予想外だ。固まってしまったふたりを再起動させるために、恐る恐る声をかけてみる。
「ああ、すみません。紗々先輩がジム……、ですか。もしかして、おおたかっち以外に好きな人ができました?それは世間では不倫というものに当たりますよ。おおたかっちにバレたら殺されるかもしれないけど、覚悟の上ですよね?」
「いえ、私がジムに通うことは大鷹さんも了承しています」
「まさか、あの陰キャ根暗引きこもりオタクの倉敷先輩が、ジムという、陽キャの場に身を置くことになるとは。これはいよいよ、江子先輩の隣の座を私から取り上げようとしているに違いありません。これは由々しき事態です……」
なんだか、ふたりとも思わぬ方向に思考が傾いている。河合さんの私を見つめる目は怖いし、梨々花さんは私たちを見ずに下を向いて、ぶつぶつとひとりでしゃべっている。
「で、では、そういうことですので、私はお先に失礼しますね。オツカレサマデシタ」
これはもう、何を言っても無駄なので、さっさとこの場を離れるしかない。急いで着替えを終えて荷物を持った私は、足早に更衣室を出た。
「お疲れ様。倉敷さん」
「お疲れ様です、安藤さん。あの、中にいるふたりの様子がおかしいかもしれないですが、気にしない下さいね」
こうして私の日常にジムに通うことが追加された。
「紗々さん、こんにちは。今日もジムに来れてすごいです!」
ジムに到着すると、受付でスタッフの女性に声をかけられる。私を見つけたとたん、名前で呼んでくれるので感心してしまう。しかし、苗字ではなく名前で呼ばれると少し気恥ずかしい。
「こんにちは。今日もよろしくお願いします」
私も挨拶を返して、靴を脱いで更衣室に向かう。着替えを済ませて今日の運動スタートだ。
ジム中央にある運動器具を使って運動していくのだが、やはりまだ初めて間もないので、なかなかうまく器具を動かせない。そして、運動不足がたたり、ある悩みに直面していた。
「今日の体調はいかがですか?」
スタッフにはジムに行くたびに体調を確認される。ジムの会員は高齢女性が多いので、気を遣っているのだろう。ここで【元気です】【問題ないです】などの体調万全アピールが出来ればよいのだが、私の回答は。
「すみません。まだちょっと、腰が痛いです」
なんと、肩の寝違えの次は腰をやられてしまった。肩の方は整体とジム、そして時の流れによってすっかり傷みが取れて万全に動かせるようになったが、今度は腰が痛み始めた。寝違え後も整体に通っていたが、整体の先生曰く【今まで気にしていなかった箇所が気になり始めたのでしょう】とのこと。それは果たして良いことなのだろうか。
「では、腰の傷みに注意して頑張っていきましょう」
「ハイ。ガンバリマス」
一難去ってまた一難。年を取ると、身体の至る所に不調が生じる。いつまでも健康でいるためにはやはり、運動が必要だと改めて感じた。
「先輩、今日の夜って空いています?久しぶりにふたりで一緒に夕食でもどうですか?おおたかっちの最近の様子とか聞きたいですし」
「江子先輩、それ、私も同席してもいいですか?そもそも、倉敷先輩に予定を聞く意味あります?年中、予定なんてないでしょう?常に直帰だと思いますけど」
週に2~3日程度通うことが推奨されているため、仕事終わりにジムに行く必要がある。残業がある日は仕方ないとして、それ以外の日はなるべく退勤後はすぐにジムに向かいたい。いまだにふたりにはジムに通っていることを話せていないので、ジムに行く日は無言でさっさと会社を出ることにしていた。
しかし、今回はふたりに更衣室で捕まってしまった。
「あの、私にだって退勤後に予定を入れているときもありますよ。病院だって行きますし。それに、今日だって予定が」
「予定があるんですか?紗々先輩に!そういえば、最近、私たちを無視して直帰すること多いですよね?」
「確かに江子先輩の言う通りかも。とりあえず、今日の江子先輩との夕食はキャンセルですね。江子先輩、今日はわたしとふたりで夕食を」
「いったい、何の予定があるんですか?私との約束よりもそちらの予定の方が大事ですか?可愛い後輩よりも、もしかして今までの直帰にも意味が……」
どうして、このふたりは退勤後まで私に絡もうとしてくるのか。こんな無駄話をしている間にも時間は刻々と過ぎていく。これはもう、正直にジムに通い始めたことをふたりに話したほうが賢明かもしれない。
「おふたりには話していませんでしたが、私、1月の終わりからジムに通い始めまして。なので、週2日くらいは退勤後にジムに行くことになりました。なので、今日の予定というのはジムのことです」
ようやく話すことができた。思い切って話してみたが、ふたりの反応はというと。
「あの……?固まっていないで、何か言ってください」
驚きすぎて目を見開いてその場で動かなくなってしまった。驚きのリアクションは予想していたが、この反応は予想外だ。固まってしまったふたりを再起動させるために、恐る恐る声をかけてみる。
「ああ、すみません。紗々先輩がジム……、ですか。もしかして、おおたかっち以外に好きな人ができました?それは世間では不倫というものに当たりますよ。おおたかっちにバレたら殺されるかもしれないけど、覚悟の上ですよね?」
「いえ、私がジムに通うことは大鷹さんも了承しています」
「まさか、あの陰キャ根暗引きこもりオタクの倉敷先輩が、ジムという、陽キャの場に身を置くことになるとは。これはいよいよ、江子先輩の隣の座を私から取り上げようとしているに違いありません。これは由々しき事態です……」
なんだか、ふたりとも思わぬ方向に思考が傾いている。河合さんの私を見つめる目は怖いし、梨々花さんは私たちを見ずに下を向いて、ぶつぶつとひとりでしゃべっている。
「で、では、そういうことですので、私はお先に失礼しますね。オツカレサマデシタ」
これはもう、何を言っても無駄なので、さっさとこの場を離れるしかない。急いで着替えを終えて荷物を持った私は、足早に更衣室を出た。
「お疲れ様。倉敷さん」
「お疲れ様です、安藤さん。あの、中にいるふたりの様子がおかしいかもしれないですが、気にしない下さいね」
こうして私の日常にジムに通うことが追加された。
「紗々さん、こんにちは。今日もジムに来れてすごいです!」
ジムに到着すると、受付でスタッフの女性に声をかけられる。私を見つけたとたん、名前で呼んでくれるので感心してしまう。しかし、苗字ではなく名前で呼ばれると少し気恥ずかしい。
「こんにちは。今日もよろしくお願いします」
私も挨拶を返して、靴を脱いで更衣室に向かう。着替えを済ませて今日の運動スタートだ。
ジム中央にある運動器具を使って運動していくのだが、やはりまだ初めて間もないので、なかなかうまく器具を動かせない。そして、運動不足がたたり、ある悩みに直面していた。
「今日の体調はいかがですか?」
スタッフにはジムに行くたびに体調を確認される。ジムの会員は高齢女性が多いので、気を遣っているのだろう。ここで【元気です】【問題ないです】などの体調万全アピールが出来ればよいのだが、私の回答は。
「すみません。まだちょっと、腰が痛いです」
なんと、肩の寝違えの次は腰をやられてしまった。肩の方は整体とジム、そして時の流れによってすっかり傷みが取れて万全に動かせるようになったが、今度は腰が痛み始めた。寝違え後も整体に通っていたが、整体の先生曰く【今まで気にしていなかった箇所が気になり始めたのでしょう】とのこと。それは果たして良いことなのだろうか。
「では、腰の傷みに注意して頑張っていきましょう」
「ハイ。ガンバリマス」
一難去ってまた一難。年を取ると、身体の至る所に不調が生じる。いつまでも健康でいるためにはやはり、運動が必要だと改めて感じた。
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退会済ユーザのコメントです
退会済ユーザのコメントです
とても面白くて最初から全部読んでます。これからも色々な番外編を楽しみにしてます。いつか本当に二人が結ばれるといいな!ってか結ばれて二人の子育てとかの話が読みたいです(笑)
感想ありがとうございます。
本当の意味で、二人が結ばれる日が来るといいのですが……。主人公がああなので、わかりません(笑)
番外編は、思いついたときに突然投稿を始めるかもしれないです。