13 / 59
2異変
5
しおりを挟む
次の日も、テレビでは話題のほとんどが「スマホが手から離れない」というニュースで持ち切りだった。
「いってきます」
「行ってらっしゃい」
スマホを持っていない自分には関係ない。妹のすみれは友達のことが心配で、様子を見に行くと言って家を早めに出たが、紫陽はいつも通りの時間に家を出て学校に向かった。
今日も、電車内ではスマホをいじる人が大半だった。しかし、いつもと様子が違い、彼らのスマホの画面を見る視線は、やけに厳しいものが多かった。スマホをいじる乗客の一部は、スマホを親の仇だとでもいうような目で画面を見つめている。
そんな乗客を見ているうちに、不意に紫陽は隣の家のあやののことを思い出す。紫陽はあやのと一緒に登校しないように、電車の時間を少し早めにしている。そのために、一緒に登校することはない。
「あやのも、スマホの話題に夢中だろうな。あいつも、結構なスマホ依存症だからな」
学校で会ったら、すぐにスマホの話題を持ち掛けてくるだろう。なるべくなら、学校で声をかけないで欲しいが、彼女にそんな思いやりは通用しない。はあとため息をこぼすが、紫陽のため息をとがめる者はいなかった。みな、目の前の自分のスマホに夢中で、他人のことを気にする余裕はないらしい。
紫陽はいつも通りの時間に登校し、教室に入る。紫陽が登校する時間は始業20分くらい前で、大抵の場合、クラスの半分くらいがすでに教室に居た。
しかし、こちらもいつもとは様子が違っていた。紫陽が教室に入ると、クラスメイト数人がいるだけだった。どうやらまだ、大半が登校していないらしい。昨日は教室がやけに騒がしかったのに、今日は逆に静かで気味が悪い。
「おかしい」
すでに紫陽が教室の自分の席に着いてから、すでに10分が経過していた。始業開始10分前だというのに、いまだにクラスメイトの大半が来ていない。いったい、クラスに何が起きたのだろうか。
インフルエンザの集団感染、電車事故での遅延などの学校に来られない状況が発生したとでも言うのか。しかし、紫陽は普通に登校することができており、人身事故等の電車による遅延の可能性は低い。紫陽が使っている鉄道を使用する生徒は多いが、その鉄道で事故が起きてはいないだろう。同じ電車を利用している生徒がいたので、その可能性はなくなった。
そうなると、インフルエンザなどの集団感染が考えられるが、昨日までは皆元気そうで風邪をひいている生徒は一人もいなかったはずだ。いきなりクラスメイトの大半がかかるとは考えにくい。
「おはよう。鷹崎君。今日はなんだかクラスメイトの人数が少ないようだね。まあ、それも仕方ないことなのかもしれない」
「おはよう、隼瀬さん。いったいどういうこと?」
紫陽がクラスメイトの大半が来ていない理由を考えていると、隼瀬あきらが話しかけてきた。彼女はクラスの大半が登校していない理由を知っているようだ。
「知らないの?ニュースでも持ち切りだったと思うけど。スマホが手から離れなくなったというニュース」
「知っているけど、それとこれが関係あるというのか?」
ニュースでも話題になっていたし、クラス内でも同じ症状の生徒がいた。さらには妹の友達の話も聞いている。しかし、それが何だというのだろうか。
「はあ。鷹崎君、スマホを持たないのは個人の自由だから、勝手にすればいいと思うけど、世間で騒がれていることについては、もっと貪欲に情報を集めた方がいい」
なぜか、紫陽の言葉に隼瀬あきらは呆れたような声で非難する。その反応にイラっと来たが、それよりも彼女の言葉の意味を考え、それを口にする。
「世間で騒がれているって、まさか、そのスマホのやつのせいで、学校に来ない……」
「ようやく気付いたようね。ご名答。おそらく、今学校に来ていない生徒のほとんどがスマホにやられているということよ」
なんてことだろう。そんなことが現実に起こっていることが紫陽には信じられなかった。スマホというのは、人々の生活を便利にしてくれるただの電子機器だったはずだ。それがどうして、手から離れなくなっているのだろうか。
「キーンコーン、カーンコーン」
隼瀬あきらと話しているうちに、始業時間のチャイムが鳴り始める。改めて教室内を見渡すが、紫陽が登校してから、教室内のクラスメイトの人数に変動はなかった。あやのの姿を探すが、彼女も学校に来ていないようだった。
予鈴のチャイムが鳴ったので、登校していた数少ない生徒は自分の席に着く。隼瀬あきらも自分の席に戻る。昨日クラスの話題の中心にいた高橋の姿もなかった。
「いってきます」
「行ってらっしゃい」
スマホを持っていない自分には関係ない。妹のすみれは友達のことが心配で、様子を見に行くと言って家を早めに出たが、紫陽はいつも通りの時間に家を出て学校に向かった。
今日も、電車内ではスマホをいじる人が大半だった。しかし、いつもと様子が違い、彼らのスマホの画面を見る視線は、やけに厳しいものが多かった。スマホをいじる乗客の一部は、スマホを親の仇だとでもいうような目で画面を見つめている。
そんな乗客を見ているうちに、不意に紫陽は隣の家のあやののことを思い出す。紫陽はあやのと一緒に登校しないように、電車の時間を少し早めにしている。そのために、一緒に登校することはない。
「あやのも、スマホの話題に夢中だろうな。あいつも、結構なスマホ依存症だからな」
学校で会ったら、すぐにスマホの話題を持ち掛けてくるだろう。なるべくなら、学校で声をかけないで欲しいが、彼女にそんな思いやりは通用しない。はあとため息をこぼすが、紫陽のため息をとがめる者はいなかった。みな、目の前の自分のスマホに夢中で、他人のことを気にする余裕はないらしい。
紫陽はいつも通りの時間に登校し、教室に入る。紫陽が登校する時間は始業20分くらい前で、大抵の場合、クラスの半分くらいがすでに教室に居た。
しかし、こちらもいつもとは様子が違っていた。紫陽が教室に入ると、クラスメイト数人がいるだけだった。どうやらまだ、大半が登校していないらしい。昨日は教室がやけに騒がしかったのに、今日は逆に静かで気味が悪い。
「おかしい」
すでに紫陽が教室の自分の席に着いてから、すでに10分が経過していた。始業開始10分前だというのに、いまだにクラスメイトの大半が来ていない。いったい、クラスに何が起きたのだろうか。
インフルエンザの集団感染、電車事故での遅延などの学校に来られない状況が発生したとでも言うのか。しかし、紫陽は普通に登校することができており、人身事故等の電車による遅延の可能性は低い。紫陽が使っている鉄道を使用する生徒は多いが、その鉄道で事故が起きてはいないだろう。同じ電車を利用している生徒がいたので、その可能性はなくなった。
そうなると、インフルエンザなどの集団感染が考えられるが、昨日までは皆元気そうで風邪をひいている生徒は一人もいなかったはずだ。いきなりクラスメイトの大半がかかるとは考えにくい。
「おはよう。鷹崎君。今日はなんだかクラスメイトの人数が少ないようだね。まあ、それも仕方ないことなのかもしれない」
「おはよう、隼瀬さん。いったいどういうこと?」
紫陽がクラスメイトの大半が来ていない理由を考えていると、隼瀬あきらが話しかけてきた。彼女はクラスの大半が登校していない理由を知っているようだ。
「知らないの?ニュースでも持ち切りだったと思うけど。スマホが手から離れなくなったというニュース」
「知っているけど、それとこれが関係あるというのか?」
ニュースでも話題になっていたし、クラス内でも同じ症状の生徒がいた。さらには妹の友達の話も聞いている。しかし、それが何だというのだろうか。
「はあ。鷹崎君、スマホを持たないのは個人の自由だから、勝手にすればいいと思うけど、世間で騒がれていることについては、もっと貪欲に情報を集めた方がいい」
なぜか、紫陽の言葉に隼瀬あきらは呆れたような声で非難する。その反応にイラっと来たが、それよりも彼女の言葉の意味を考え、それを口にする。
「世間で騒がれているって、まさか、そのスマホのやつのせいで、学校に来ない……」
「ようやく気付いたようね。ご名答。おそらく、今学校に来ていない生徒のほとんどがスマホにやられているということよ」
なんてことだろう。そんなことが現実に起こっていることが紫陽には信じられなかった。スマホというのは、人々の生活を便利にしてくれるただの電子機器だったはずだ。それがどうして、手から離れなくなっているのだろうか。
「キーンコーン、カーンコーン」
隼瀬あきらと話しているうちに、始業時間のチャイムが鳴り始める。改めて教室内を見渡すが、紫陽が登校してから、教室内のクラスメイトの人数に変動はなかった。あやのの姿を探すが、彼女も学校に来ていないようだった。
予鈴のチャイムが鳴ったので、登校していた数少ない生徒は自分の席に着く。隼瀬あきらも自分の席に戻る。昨日クラスの話題の中心にいた高橋の姿もなかった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる