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3小山内詩衣(おさないしい)~三谷裕次郎(みたにゆうじろう)①~
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秘密を話してくれるかもしれないという期待に胸躍らせながら、私はその後も澪の観察を続けていた。そこで、一つ奇妙なことに気が付いた。
「もしかして、澪は次郎のことが嫌いなのか?」
私のクラスに、三谷裕次郎(みたにゆうじろう)という男子がいる。クラスメイトからは「次郎」と呼ばれている。澪は、次郎と話しているとき、顔がこわばっているように見えた。次郎は、明るい性格から、クラスのムードメーカー的存在で、クラスの人気者であり、彼を嫌いな人はほとんどいないだろう。それなのに、なぜ彼と話すときに顔がこわばり、緊張しているように見えるのか。
どういう感じかといえば、こんな感じだ。例えば、朝の挨拶。普通に玄関や教室内での簡単な挨拶一つとってみても、澪は、なんだか次郎にだけぎこちない感じで挨拶する気がするのだ。そして、極めつけは、毎日の帰りの挨拶。
「じゃあな」
普通のクラスメイトや友達同士で交わされる何気ない挨拶だが、澪が次郎にする「じゃなね」は、毎日が今生の別れのような雰囲気なのだ。
しかし、それだと、嫌いというわけでもないかもしれない。じゃあ、いったい澪は次郎のことをどう思っているのだろうか。
とはいえ、本人に確認することはできなかった。なんとなく、触れてはいけない話題のような気がした。もしかしたら、私に話してくれるという秘密と関係があるかもしれない。もし聞いてしまったら、澪と私の今までの親しい関係がなくなってしまう可能性がある。それは避けたいところだ。好きな人と、距離を置くくらいなら、あいまいなまま、ぬるま湯のような気持ちよさに浸っていたい。
本人には直接聞きづらいのなら、その本人から、人とは違う態度をとられている人に聞いてみればいい。そう思って、私は次郎に澪のことを聞いてみることにした。
「もしかして、澪は次郎のことが嫌いなのか?」
私のクラスに、三谷裕次郎(みたにゆうじろう)という男子がいる。クラスメイトからは「次郎」と呼ばれている。澪は、次郎と話しているとき、顔がこわばっているように見えた。次郎は、明るい性格から、クラスのムードメーカー的存在で、クラスの人気者であり、彼を嫌いな人はほとんどいないだろう。それなのに、なぜ彼と話すときに顔がこわばり、緊張しているように見えるのか。
どういう感じかといえば、こんな感じだ。例えば、朝の挨拶。普通に玄関や教室内での簡単な挨拶一つとってみても、澪は、なんだか次郎にだけぎこちない感じで挨拶する気がするのだ。そして、極めつけは、毎日の帰りの挨拶。
「じゃあな」
普通のクラスメイトや友達同士で交わされる何気ない挨拶だが、澪が次郎にする「じゃなね」は、毎日が今生の別れのような雰囲気なのだ。
しかし、それだと、嫌いというわけでもないかもしれない。じゃあ、いったい澪は次郎のことをどう思っているのだろうか。
とはいえ、本人に確認することはできなかった。なんとなく、触れてはいけない話題のような気がした。もしかしたら、私に話してくれるという秘密と関係があるかもしれない。もし聞いてしまったら、澪と私の今までの親しい関係がなくなってしまう可能性がある。それは避けたいところだ。好きな人と、距離を置くくらいなら、あいまいなまま、ぬるま湯のような気持ちよさに浸っていたい。
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