19 / 25
3小山内詩衣(おさないしい)~三谷裕次郎(みたにゆうじろう)②~
しおりを挟む
話を聞ける機会はすぐにやってきた。たまたま、次郎と日直が一緒になった日があり、二人きりになれる時間があった。日直の仕事である学級日誌を書くために、教室で二人居残りをしている最中、ふと思いついたことのように尋ねてみた。
「次郎ってさ、好きな人はいるの?」
いきなり核心についた質問をするのはどうかと思い、世間話という形の質問から始めることにした。それでも、突然の質問に次郎は戸惑っていた。
「珍しいな。小山内がそんな女子みたいなことを聞いてくるのは」
「私って、そんなに女子として見られていないのね……」
「やっぱりおれ以外もそう思っている奴がいるんだ」
「いやいや、そんなわけないこともないけど、まあ、次郎が三人目だよ。それは別の機会にじっくりと話したいところだけど、それで、好きな人はいるの?」
このまま、私自身の女子についての話をしてもかまわないが、それは二人きりの時でなくてもできる話だ。強引に話を戻そうとしたら、次郎にバカにしたような笑い方をされた。
「ハハっ、本当に興味があるんだ。そりゃあ、俺だって男だから、好きな人くらいいるけど、それを小山内に教える筋合いはないな。教えて欲しいなら、小山内も教えてくれないと。こんな質問するってことは、こういう話に興味があるって以外にも、理由があるんだろう?もしかして、好きな人って俺のことだったりして」
いつもはおちゃらけキャラのはずの次郎が、やけに突っ込んだことを言ってくるが気にしないことにした。よって、私自身が次郎の質問に答える義理はない。
「残念だけど、私の好きな人は次郎ではないから。教えてくれないなら、それでもいいけど。ただ、単純にモテル男にも、好きな人で苦労していることがあるのかなと思っただけ。それで、話は変わるけど、モテると言えば、次郎と同じくらい澪ってモテるよね。澪のことは同じ男として、どう思う?やっぱり、ライバルみたいな存在?」
強引すぎるが、話題を転換しようと試みる。
「なんでここで澪の話が出るんだよ。今の感じだと、小山内が俺のことが好きで、好きな人が誰のことを好きか確認する流れみたいな感じだよな。それで、そのままお互いの好きな人を教えあう、みたいな。まあ、俺も小山内のことは嫌いじゃないけど、恋愛感情としての好きはないから、この流れになったら、気まずいだけだけど」
「そんなことはどうでもいいから、答えてよ。澪のことはどう思う?」
私たちは今、机に向かい合って、学級日誌を見つめている。私が学級日誌に文字を書き、その内容を次郎が確認していく。今日の分の日誌の中身は少しずつ埋まっていく。そろそろ、学級日誌の記入事項がすべて埋まる頃だ。すべて埋まって、一緒に職員室に提出し終わるまでが、澪のことを聞けるタイムリミットだ。
「次郎ってさ、好きな人はいるの?」
いきなり核心についた質問をするのはどうかと思い、世間話という形の質問から始めることにした。それでも、突然の質問に次郎は戸惑っていた。
「珍しいな。小山内がそんな女子みたいなことを聞いてくるのは」
「私って、そんなに女子として見られていないのね……」
「やっぱりおれ以外もそう思っている奴がいるんだ」
「いやいや、そんなわけないこともないけど、まあ、次郎が三人目だよ。それは別の機会にじっくりと話したいところだけど、それで、好きな人はいるの?」
このまま、私自身の女子についての話をしてもかまわないが、それは二人きりの時でなくてもできる話だ。強引に話を戻そうとしたら、次郎にバカにしたような笑い方をされた。
「ハハっ、本当に興味があるんだ。そりゃあ、俺だって男だから、好きな人くらいいるけど、それを小山内に教える筋合いはないな。教えて欲しいなら、小山内も教えてくれないと。こんな質問するってことは、こういう話に興味があるって以外にも、理由があるんだろう?もしかして、好きな人って俺のことだったりして」
いつもはおちゃらけキャラのはずの次郎が、やけに突っ込んだことを言ってくるが気にしないことにした。よって、私自身が次郎の質問に答える義理はない。
「残念だけど、私の好きな人は次郎ではないから。教えてくれないなら、それでもいいけど。ただ、単純にモテル男にも、好きな人で苦労していることがあるのかなと思っただけ。それで、話は変わるけど、モテると言えば、次郎と同じくらい澪ってモテるよね。澪のことは同じ男として、どう思う?やっぱり、ライバルみたいな存在?」
強引すぎるが、話題を転換しようと試みる。
「なんでここで澪の話が出るんだよ。今の感じだと、小山内が俺のことが好きで、好きな人が誰のことを好きか確認する流れみたいな感じだよな。それで、そのままお互いの好きな人を教えあう、みたいな。まあ、俺も小山内のことは嫌いじゃないけど、恋愛感情としての好きはないから、この流れになったら、気まずいだけだけど」
「そんなことはどうでもいいから、答えてよ。澪のことはどう思う?」
私たちは今、机に向かい合って、学級日誌を見つめている。私が学級日誌に文字を書き、その内容を次郎が確認していく。今日の分の日誌の中身は少しずつ埋まっていく。そろそろ、学級日誌の記入事項がすべて埋まる頃だ。すべて埋まって、一緒に職員室に提出し終わるまでが、澪のことを聞けるタイムリミットだ。
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる