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3小山内詩衣(おさないしい)①
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あっという間に季節は進み、夏休みが目前に迫っていた。夏休みになれば、クラスメイトとは、同じ部活や友達でもない限り、一カ月ほど顔を合わせない期間に突入する。運のいいことに、私も澪も同じ陸上部なので、夏休み中も顔を合わせることができる。そう思っていたら、思いがけないアクシデントが私に襲い掛かった。
「い、いいいいいたい!」
何と、部活中に足を派手に転んで足を痛めてしまった。陸上部であるならば、走っていて足をひねったり、くじいたりするなど、足を痛めることは、充分あり得ることだ。しかし、あいにく私は陸上部のマネージャー。部員にスポーツドリンクが入った水筒を配ろうとして、一度にたくさん抱えていたら、足下が見えなくて、石に躓いて転んでしまった。派手に転んでしまい、足を痛めてしまったようだ。
ドサッと、派手に転んでしまい、陸上部はもちろん、外で活動していた野球部やその他の部活の注目の的となってしまった。恥ずかしすぎて、穴があったら入りたかったが、すでに転んだあとでどうしようもない。私は痛い足を引きずって、保健室まで急いだ。
「はれていますねえ。一度、病院で見てもらった方がいいでしょう」
夏休みまであと一週間だというのに、何という不運。仕方ないので、両親に迎えに来てもらい、その日は保健の先生の指示通りに、病院に行くことにした。
「骨にひびが入っていますね」
まさか、ただ陸上部の部員に水筒を渡すために小走りして、素っ転んだだけなのに、骨にひびが入るほどの大ごとになるとは思わなかった。捻挫か打撲だけで済むと思っていたのに、かなりの大怪我となってしまった。右足の足首をひねったさいに、打ちどころが悪かったようで、ひびが入ってしまったらしい。
「全治三週間ほどかかりますね。激しい運動はもちろん、重いものをもったり、負荷をかけたりすることは避けるようにしてください」
私は陸上部に所属しているが、部員ではなく、マネージャーである。激しい運動をすることはないが、部員のために器具を用意したり、水分補給のために重いものを持ったりすることはある。ということは……。
「マネージャーですか。まあ、一週間は休んだ方がいいですが、それ以降は無理をしない程度であれば大丈夫でしょう。ただ、治りかけは危険ですから、特に注意してください」
病院の先生にくぎを刺されてしまった。とりあえず、一週間は部活を休まざるを得なくなった。
「すいません。夏休みで練習がたくさんできる期間に、こんな大怪我をしてしまって……」
「全くだよ。でもまあ、仕方ない。医者に言われたら従うしかないからな」
部活の顧問は、医者に言われたら仕方ないと、あっさりと部活を休むことを許してくれた。現在、陸上部は、男子が六人、女子が五人とそこまで多くない。マネージャーは私ともう一人、二年生の先輩がいるだけだ。私がいないとなると、先輩一人に負荷がかかってしまう。
「詩衣って案外間抜けだよね。いいって、今までも先輩が抜けて私一人でやってた時期もあったし、無理して治るのが遅れたら大変でしょう!」
部活を休むことはあっさりと認められてほっとしたが、一週間も部活を休むと、澪にそれだけ会えない。それが私にとって気がかりだった。
不安が残ったまま、夏休みに突入してしまった。
「い、いいいいいたい!」
何と、部活中に足を派手に転んで足を痛めてしまった。陸上部であるならば、走っていて足をひねったり、くじいたりするなど、足を痛めることは、充分あり得ることだ。しかし、あいにく私は陸上部のマネージャー。部員にスポーツドリンクが入った水筒を配ろうとして、一度にたくさん抱えていたら、足下が見えなくて、石に躓いて転んでしまった。派手に転んでしまい、足を痛めてしまったようだ。
ドサッと、派手に転んでしまい、陸上部はもちろん、外で活動していた野球部やその他の部活の注目の的となってしまった。恥ずかしすぎて、穴があったら入りたかったが、すでに転んだあとでどうしようもない。私は痛い足を引きずって、保健室まで急いだ。
「はれていますねえ。一度、病院で見てもらった方がいいでしょう」
夏休みまであと一週間だというのに、何という不運。仕方ないので、両親に迎えに来てもらい、その日は保健の先生の指示通りに、病院に行くことにした。
「骨にひびが入っていますね」
まさか、ただ陸上部の部員に水筒を渡すために小走りして、素っ転んだだけなのに、骨にひびが入るほどの大ごとになるとは思わなかった。捻挫か打撲だけで済むと思っていたのに、かなりの大怪我となってしまった。右足の足首をひねったさいに、打ちどころが悪かったようで、ひびが入ってしまったらしい。
「全治三週間ほどかかりますね。激しい運動はもちろん、重いものをもったり、負荷をかけたりすることは避けるようにしてください」
私は陸上部に所属しているが、部員ではなく、マネージャーである。激しい運動をすることはないが、部員のために器具を用意したり、水分補給のために重いものを持ったりすることはある。ということは……。
「マネージャーですか。まあ、一週間は休んだ方がいいですが、それ以降は無理をしない程度であれば大丈夫でしょう。ただ、治りかけは危険ですから、特に注意してください」
病院の先生にくぎを刺されてしまった。とりあえず、一週間は部活を休まざるを得なくなった。
「すいません。夏休みで練習がたくさんできる期間に、こんな大怪我をしてしまって……」
「全くだよ。でもまあ、仕方ない。医者に言われたら従うしかないからな」
部活の顧問は、医者に言われたら仕方ないと、あっさりと部活を休むことを許してくれた。現在、陸上部は、男子が六人、女子が五人とそこまで多くない。マネージャーは私ともう一人、二年生の先輩がいるだけだ。私がいないとなると、先輩一人に負荷がかかってしまう。
「詩衣って案外間抜けだよね。いいって、今までも先輩が抜けて私一人でやってた時期もあったし、無理して治るのが遅れたら大変でしょう!」
部活を休むことはあっさりと認められてほっとしたが、一週間も部活を休むと、澪にそれだけ会えない。それが私にとって気がかりだった。
不安が残ったまま、夏休みに突入してしまった。
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