恋にもがく中学生

折原さゆみ

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3小山内詩衣(おさないしい)②

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「じゃあな、部活でまた、ということにならないんだな。早く治せよ。お前がいないと結構寂しいからな。ああ、オレだけじゃないからな、それに、先輩に迷惑かけないためにということもある」

 夏休み前最後の登校日、帰りの会が終わり、教室から出ようとしていたところで、澪に話しかけられた。澪にそんなことを言われるとは思ってもいなかったので、つい澪に聞いてしまった。

「澪も私が居なくて寂しいと思っているってことだよね?」

「当たり前だろう。お前は、女子の中でも話しやすいからな」

 女子の中でも、とはどう意味に解釈するべきだろうか。

「べちゃ」

 澪と別れ、クラスメイトとも別れ、一人で帰宅途中、夏休みの計画を頭の中で練っていたら、嫌な音が足元から聞こえた。あわてて靴底を見ると、そこには誰かが道路にポイ捨てしたガムがべっとりと張り付いていた。

「最悪だ」

 どうにも、幸先がよろしくないと思わせる出来事が相次いでいる。このまま何事もなく夏休みが始まって、そのまますぎて欲しいという私の願いは、見事に玉砕することに気付くのは、私が部活に行き始めた一週間後のことだった。



 病院から、一週間したら部活に参加していいと言われたので、きっちり一週間後、部活のために学校へ行くと、陸上部の雰囲気が何だかおかしかった。何がおかしいと言われても説明しにくい。ただ、いつも通りの部活はこんな感じだ、と無理に明るく楽しそうにふるまっているような感じがした。

「おはよう」

 とりあえず、クラスメイトで同じ陸上部の智樹に声をかけると、違和感の正体を説明してくれた。

「おはよう。ああ、今、部活内の雰囲気が悪い気がするけど、気にしないで。なんせ、あの澪が、好きな人に告白して、振られたらしいからね。いま、部活内はその話題で微妙な雰囲気というわけだ。ちなみに告白を実行したのは、昨日らしい」

 澪に好きな人がいるのは知っていたが、告白していたとは衝撃だった。なんと答えていいかわからず、あいまいに話を聞いていたら、笑って慰めてくれた。

「ああ、詩衣もあいつのこと好きだったっけ?」

「私もということは……」

「知らなかったの?澪って結構女子にモテるでしょう。でも、本人にその気がないから、誰のものにならないという意味で、女子からのバランスが取れていたみたい。でも、澪が好きな人に告白したことで、そのバランスが崩れた。今は、澪がだれに告白したのか、みんなで推測している最中だよ」

「でも、なんで澪が告白したのをみんなが知っているの?澪がみんなに言いふらすとは思えないけど……。」

「それがさあ、意外にも本人の口から出たんだよ。本人が軽いノリで、好きな人に告白したけど、振られたってさ。軽いノリで言ったにしては、ずいぶんと暗い表情だったのが気になったから、みんな気になるし、心配で雰囲気が悪くなっていったわけ。」

 その日は、澪が誰に告白したのか気になって気になって、部活に集中できず、部員の役に立つことができていなかった。マネージャー失格である。話題の中心である澪は、すでに告白から立ち直ったのだろうか。黙々と練習メニューをこなす様子は、いつもと変わらないように見えた。

 そんな中、ふと校庭を見渡すと、隣では野球部が練習をしていた。たまたま私が視線を向けた先に次郎がいた。次郎と目が遭ったが、なぜか向こうから視線をそらされてしまった。さて、次郎に嫌われることをした記憶がない。
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