恋にもがく中学生

折原さゆみ

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3小山内詩衣(おさないしい)③

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 医者に部活に行く許可を得られたことから、次の日からも私は部活に行った。もちろん、重たいものを運んだり、走ったりすることは厳禁だったので、タイムを計ったり、タイムを記録するなどの仕事を主にしていた。最近の夏は猛暑なので、こまめに休憩を取りながらの練習となる。

「なあ、詩衣、話があるんだが、部活の終わりに時間あるか?」

 本日二回目の休憩で、日陰で休んでいると、澪に話しかけられた。たまたま、部員に飲み物を渡し終えて、一人で涼んでいたところを見計らっていたようだ。

「別に暇だけど、なんの話?ここでは、まあ、休憩時間も短いし無理だね」

 澪は、緊張と不安が入り混じった微妙な顔をしていた。何を話してくれるのかわからないが、あまり良い話ではなさそうだ。もしかして、好きな人に振られた話を私に相談してくれるのか。そうだとしたら、私は傷ついた心に塩を塗りこめられるということになる。

 私の言葉を了承ととらえたのだろう。そうかと軽く答えただけで、その場を去ってしまった。

「休憩終わりだぞ。さっさと練習に戻れ」

 部活の顧問も、外の気温三十度越えの炎天下の中で、だるそうでやる気がなさそうだった。しかし、とりあえず部活をやめるという気はないらしい。仕方なく、他の部員と同様に私も自分の持ち場に急いだ。



「よし、これで本日の部活は終わりだ。熱中症にならないよう、気を付けて帰るように」

 練習が終わり、皆、ちりぢりに帰宅する。私も帰りたかったが、あいにく予定が待っていた。

「詩衣は帰らないの?」

「いや、帰りたいのはやまやまだけど、ちょっとこれから用事が……」

「そう、じゃあ、また明日」

 智樹は、私に何の用事があるのか興味がなかったのか、挨拶してすぐに校門から見えなくなった。

「さてっと」

 ぼやぼやしていても、時間は待っていてくれない。私は澪との待ち合わせ場所に急ぐことにした。とはいっても、落ち合う場所は、私たちの教室だった。

「なんでまた、教室で待ち合わせなのか、気になるところではなるが」

 今は夏休みで、陸上部の部活は午前中で終わりだ。基本的に陸上部は午前のみが部活のことが多く、お昼前には家に帰ることができる。他の運動部や吹奏楽部に比べて楽だとは思う。

「ぐううう」

 早く家に帰りたいと、私の心の声は、身体の声となって現れていた。お腹の音が教室に響き渡るが、あいにく今は誰もいないので、恥ずかしい音は私だけしか知ることがないのが幸いだった。

「なんで、小山内がこんなところにいるんだ?」

 前言撤回。私以外にも聞かれてしまった。

「ゲッ。次郎かよ。そっちこそ、夏休みなのに、なんでこんなところに出没しているの?おかしいでしょ」

「俺は純粋に忘れ物。ほらこれ」

 純粋に忘れ物のようだった。手には、机の中から取り出した参考書が握られている。それにしても、次郎も間抜けだが、その前にも、澪が忘れ物を取りに来たことがあるのを思い出す。そんなに教室に忘れ物をするほど間抜けな二人だっただろうか。そんなことを考えながら、次郎のことを見つめていたら、次郎は忘れ物をもってすぐに教室を出ることなく、私に近づいてきた。
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