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9出会い
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「橘花亜梨栖(きっかありす)。私と同じ中学二年生。親しくなったのは、去年の秋、くらいかな。去年に引き続き、今年も同じクラスになりました!」
【き、橘花亜梨栖(きっかありす)です。夜奏楽ちゃんにはお世話になっています。夜奏楽ちゃんは私の人生を変えてくれた大事な人です】
「そんな大げさなこと言わないでよ。私がアリスの魅力に気付かなくても、他の人がきっとアリスの魅力に気付いていたから。私が早かっただけだし」
【私は夜奏楽ちゃんが気付いてくれてよかった、とてもうれしかったんだよ】
光詩が中学三年生の夏休みに入る前くらいだっただろうか。ある日の休日、夜奏楽が親友だという少女を光詩たちの家に招待した。ちょうど部活の大会が終わり、引退していたため、光詩は家で宿題をしていた。
そんなときに突然、部屋をノックされ、妹とアリスが入ってきた。ノックしてくれたのは良かったが、その後の行動がいただけない。ノックの意味を分かっているのだろうか。ノックと同時に部屋に入ってくるのはやめてほしい。たまたま、宿題をしていたから良かったものの、他の他人に隠したいことをしていたらどうするつもりだったのか。
『よ゛そら゛。部屋にはい゛ってくる゛ときは、ノックを゛』
光詩は途中で言葉を止めてしまった。妹が彼女と同年代の少女を連れてきたことが分かったからだ。妹だけなら、しっかりと注意しようと思ったが、他人がいるのに注意するのは気が引けた。それに、言葉を止めたのにはもう一つ、大きな理由があった。
『いま゛、声を出したのは……。きみ゛か?」
部屋に入ると同時に妹が誰かを紹介した声は聞こえていた。しかし、その後に続いた声はとても小さかったものの、とても印象に残るものだった。
【ええと……】
「アリス!卑屈になっちゃだめ。アリスの声は魅力的だから、お兄ちゃんが気になったんだよ。自信を持ちなさい!」
どうやら、光詩の聞き間違いではないようだ。先ほど聞いた印象的な声が、妹の隣の少女の口から発せられた。黒髪ショートの猫目の、長身でスラリとした体形の彼女からは想像もできない、小学生低学年のような、とても可愛らしい高い声だった。
「いきなり部屋に押し掛けてごめんね、お兄ちゃん。どうしても、お兄ちゃんにアリスを紹介したかったんだ」
【突然、夜奏楽ちゃんがお兄さんの家に行くって言い出した時は驚いたよ。ごめんなさい。勉強の邪魔でしたよね?】
二人を部屋に向かい入れた光詩は部屋の隅に置かれていた簡易机を広げて、クッションを床に置いた。妹とアリスはおとなしくクッションの上に座り、光詩はベッドに腰かける。互いに少し落ち着いたところで、夜奏楽が先ほどまでの威勢の良さを隠して光詩に謝罪する。それにつられてアリスという少女もペコリと頭を下げた。
【き、橘花亜梨栖(きっかありす)です。夜奏楽ちゃんにはお世話になっています。夜奏楽ちゃんは私の人生を変えてくれた大事な人です】
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【私は夜奏楽ちゃんが気付いてくれてよかった、とてもうれしかったんだよ】
光詩が中学三年生の夏休みに入る前くらいだっただろうか。ある日の休日、夜奏楽が親友だという少女を光詩たちの家に招待した。ちょうど部活の大会が終わり、引退していたため、光詩は家で宿題をしていた。
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『よ゛そら゛。部屋にはい゛ってくる゛ときは、ノックを゛』
光詩は途中で言葉を止めてしまった。妹が彼女と同年代の少女を連れてきたことが分かったからだ。妹だけなら、しっかりと注意しようと思ったが、他人がいるのに注意するのは気が引けた。それに、言葉を止めたのにはもう一つ、大きな理由があった。
『いま゛、声を出したのは……。きみ゛か?」
部屋に入ると同時に妹が誰かを紹介した声は聞こえていた。しかし、その後に続いた声はとても小さかったものの、とても印象に残るものだった。
【ええと……】
「アリス!卑屈になっちゃだめ。アリスの声は魅力的だから、お兄ちゃんが気になったんだよ。自信を持ちなさい!」
どうやら、光詩の聞き間違いではないようだ。先ほど聞いた印象的な声が、妹の隣の少女の口から発せられた。黒髪ショートの猫目の、長身でスラリとした体形の彼女からは想像もできない、小学生低学年のような、とても可愛らしい高い声だった。
「いきなり部屋に押し掛けてごめんね、お兄ちゃん。どうしても、お兄ちゃんにアリスを紹介したかったんだ」
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