この声が君に届くなら
『お゛お゛れのこえ゛……』
川越光詩(かわごえひかる)は、中学生になり声変りの時期を迎えていた。しかし、他の男性生徒たちが声変りを終えて大人に近い、低い声になっていく中、彼の声は一向にしゃがれがなくならない。
昔は天使のように可愛らしいと周りから褒められて、ソプラノの澄んだきれいな声が特徴だった。色素の薄い茶髪に二重の形の良いアーモンド形の茶色の瞳。すっとした鼻筋に色白の肌とすらっとした細長い手足に高身長。そんな美少年に育った光詩の『声』だけが残念としか言えなかった。
【橘花亜梨栖(きっかありす)と言います。よろしくお願いします】
妹の友達だという彼女は、高身長で真っ黒な髪をショートカットにした、猫目のきつめな印象なのに、光詩への挨拶の声は見た目に反して、とても可愛らしいものだった。まるで小学生低学年のような高い声に光詩は驚いた。外見と声が一致しておらず、思わず彼女に自分と同じだと親近感がわいてしまう。
彼女との出会いが光詩にどんな影響を与えるのだろうか。
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