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第5章 いじめの代償~席替え~
3(15)不登校Aの友達
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先日、席替えがあった。5年生になってから初めての席替えだ。席替えに良い思い出がないぼくは、あまり楽しみではなかった。席替えのせいで、ぼくのともだちは、学校に来れなくなってしまったから。
ぼくのともだちは、明るい方ではなかったけれど、暗い性格でもなかった。アニメやマンガが他の人より好きというだけで、それ以外はふつうの人間だった。だから、ぼくは気づくことができなかった。ふつうの人間を彼女は狙うことはあまりないからだ。彼女が標的に定めるのは、クラスの中でも弱い存在、いってみれば、スクールカースト底辺の奴らからつぶしていくのだ。
ぼくのともだちは、クラス内での地位はそこまで低くはなかった。勉強も運動もそこそこできるし、顔も不細工ではなかった。ただ、人より少しだけくらい性格なだけだ。いじめられる理由がわからない。それでも、実際にぼくのともだちは、彼女につぶされた。だからこそ、今、彼は学校に来ていない。
いじめのきっかけとなったのは、おそらく、席替えだと思う。その時も、席替えはくじ引きで行われた。たまたま、運悪く、紫苑すみれの隣の席になったのが、ぼくのともだちだった。ぼくのともだちも紫苑すみれのうわさは耳にしていた。だからこそ、細心の注意を払っていたはずだった。紫苑すみれの視界を遮らないよう、怒らせないよう、隣の席であるにも関わらず、まるで隣に誰もいないように存在を消して過ごしていた。
それなのに、彼は、彼女の標的にされてしまった。彼には、何の落ち度がなかったのに。
「どうして、ぼくのともだちをここまで追いつめたんだ。何もしていないだろう。あんたに迷惑もかけていないし、クラスにも迷惑をかけていない。クラスの隅でおとなしく過ごしていただけだ。」
「だって、アニメやマンガにはまる人なんて、クズしかいないじゃない。だから、当然のことをしたまで。それとも、あなたも、お友達と一緒に家に引きこもりたいの。」
ぼくのともだちがクラス中から無視をされ、物を隠され、机に落書きをされ、とうとう精神的に追い詰められて、学校に来れなくなって、ぼくはようやく行動を起こした。震える足をたたき、紫苑すみれに直接怒鳴り込みに行った。そこまで何もしなかったことには理由があった。
彼女、紫苑すみれのうわさを耳にしていたからだ。彼女に逆らうと、ひどい目にあう。最悪の場合、自分だけでなく、自分の大切な人、家族や親せきなどにも被害が及ぶ。そんなことを耳にしていたので、実際にともだちがいじめられているのを見ても、動けなかった。ただ、見ているだけしかできなかった。
「ともだちを見捨てることができるほど、お前は薄情なのか。」
ぼくの心の中のともだちを思う心は、いくども、ともだちを救えと訴えていた。しかし、同時にこうも思っていた。
「自分を守るためなら、やむを得ない。人間、自分が一番大切だ。」
最終的にぼくは、紫苑すみれに食って掛かることにした。しかし、僕の決死の覚悟も、彼女はどこ吹く風だった。おどろいたことに、ぼくの反抗に目をつむるとまで言い出した。
「彼は、クズだったけど、その友達もクズと言い切るのにはまだ早い。それに、同じような系統をいじめ続けるのも飽きてしまうし。」
『あなたのことはいじめるのをやめておく。ありがたくおもうことね。』
ぼくの耳もとでささやく彼女の声は、ひどく甘く気持ちの悪い声だった。あまりの気持ち悪さに、ぼくは、その場にしゃがみ込み、吐き気を押さえるのが精いっぱいだった。そんなぼくを彼女は見ることもしないで、その場を去っていく。
それ以降、ぼくは、席替えが苦手となった。最悪なことに、今年も紫苑すみれと同じクラスになってしまった。
願わくば、紫苑すみれと席がなるべく離れていますように。そして、今の標的である転校生ができる限り、標的で居続けてくれますようにと願わずにはいられない、醜い心を持ったぼくだった。
ぼくのともだちは、明るい方ではなかったけれど、暗い性格でもなかった。アニメやマンガが他の人より好きというだけで、それ以外はふつうの人間だった。だから、ぼくは気づくことができなかった。ふつうの人間を彼女は狙うことはあまりないからだ。彼女が標的に定めるのは、クラスの中でも弱い存在、いってみれば、スクールカースト底辺の奴らからつぶしていくのだ。
ぼくのともだちは、クラス内での地位はそこまで低くはなかった。勉強も運動もそこそこできるし、顔も不細工ではなかった。ただ、人より少しだけくらい性格なだけだ。いじめられる理由がわからない。それでも、実際にぼくのともだちは、彼女につぶされた。だからこそ、今、彼は学校に来ていない。
いじめのきっかけとなったのは、おそらく、席替えだと思う。その時も、席替えはくじ引きで行われた。たまたま、運悪く、紫苑すみれの隣の席になったのが、ぼくのともだちだった。ぼくのともだちも紫苑すみれのうわさは耳にしていた。だからこそ、細心の注意を払っていたはずだった。紫苑すみれの視界を遮らないよう、怒らせないよう、隣の席であるにも関わらず、まるで隣に誰もいないように存在を消して過ごしていた。
それなのに、彼は、彼女の標的にされてしまった。彼には、何の落ち度がなかったのに。
「どうして、ぼくのともだちをここまで追いつめたんだ。何もしていないだろう。あんたに迷惑もかけていないし、クラスにも迷惑をかけていない。クラスの隅でおとなしく過ごしていただけだ。」
「だって、アニメやマンガにはまる人なんて、クズしかいないじゃない。だから、当然のことをしたまで。それとも、あなたも、お友達と一緒に家に引きこもりたいの。」
ぼくのともだちがクラス中から無視をされ、物を隠され、机に落書きをされ、とうとう精神的に追い詰められて、学校に来れなくなって、ぼくはようやく行動を起こした。震える足をたたき、紫苑すみれに直接怒鳴り込みに行った。そこまで何もしなかったことには理由があった。
彼女、紫苑すみれのうわさを耳にしていたからだ。彼女に逆らうと、ひどい目にあう。最悪の場合、自分だけでなく、自分の大切な人、家族や親せきなどにも被害が及ぶ。そんなことを耳にしていたので、実際にともだちがいじめられているのを見ても、動けなかった。ただ、見ているだけしかできなかった。
「ともだちを見捨てることができるほど、お前は薄情なのか。」
ぼくの心の中のともだちを思う心は、いくども、ともだちを救えと訴えていた。しかし、同時にこうも思っていた。
「自分を守るためなら、やむを得ない。人間、自分が一番大切だ。」
最終的にぼくは、紫苑すみれに食って掛かることにした。しかし、僕の決死の覚悟も、彼女はどこ吹く風だった。おどろいたことに、ぼくの反抗に目をつむるとまで言い出した。
「彼は、クズだったけど、その友達もクズと言い切るのにはまだ早い。それに、同じような系統をいじめ続けるのも飽きてしまうし。」
『あなたのことはいじめるのをやめておく。ありがたくおもうことね。』
ぼくの耳もとでささやく彼女の声は、ひどく甘く気持ちの悪い声だった。あまりの気持ち悪さに、ぼくは、その場にしゃがみ込み、吐き気を押さえるのが精いっぱいだった。そんなぼくを彼女は見ることもしないで、その場を去っていく。
それ以降、ぼくは、席替えが苦手となった。最悪なことに、今年も紫苑すみれと同じクラスになってしまった。
願わくば、紫苑すみれと席がなるべく離れていますように。そして、今の標的である転校生ができる限り、標的で居続けてくれますようにと願わずにはいられない、醜い心を持ったぼくだった。
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