若様の性長日記!・3

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マッサージ師・由香里 再会

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20階に到着すると休憩用のフロアがあり、その奥に白い扉があった。

扉にはプレートがあり、【マッサージ部門】とあった。

「結構分かりやすいよな、ウチのビル」

フロアごとに部門が分かれていて、案内マップはないものの、一度教えられれば迷わずに来れるのは良い。

…別に方向音痴というわけではないが、流石に会社の社長の息子が、自社ビルで迷っている姿をさらすのはどうかと思う。

まあ幹部達はオレの顔を知っていて、毎日誰かとは顔を合わせる。

そしたら向こうから話かけてくれるので、困ったことがあれば彼等がすぐに対処してくれる。

…と言うのも、ダメだよな。

完璧に自立するまで、少し甘え癖を直した方が良いのかもしれない。

そもそも梢さんの影響もある。

彼女は親父の秘書ではあるものの、オレが高校を卒業するまでは彼女がずっと傍にいてくれた。

忙しい親父の代わりを務めてくれていたんだろう。

なのでオレは彼女を恋愛対象には見られない。

下手な男より、よっぽど男らしいからだ。

「まっ、頼りにはなるけどな」

けれど流石にこの歳で学生の時と同じことを繰り返しているようでは、進歩がないと言える。

「もうちょっとしっかりしよう」

オレは気を引き締め直し、扉をノックした。

「失礼します。桔梗さんからこちらに伺うように言われたんですが…」

扉を開けると、そこはマッサージの専門学校の教室のようだった。

前にテレビで見たことがある。

広く清潔な白い部屋に、細長いベッドがいくつも並んでいる。

そしてベッドの傍らには、椅子が一つずつセットで置いてあった。

やっぱり『性』のことに関しているとは言え、その知識や技術は一流のプロと引けを取らないと言われるだけはある。

引き締まった空気が、背筋を自然と正してくれる。

「はぁーい、伺っています」

右手の扉から現れた女性を見て、オレは眼を丸くした。

「ゆ…かり、さん?」

「あらぁ、若様ぁ。お久しぶりねぇ」

この甘ったるくも柔らかな声。

その声に相応しく、彼女はとても柔らかな雰囲気を持つ女性だ。

「何で…えっ? あっ、梢さんの親友ってそういう意味か…」

「凄いわねぇ、若様。瞬時に悟ってしまうなんて」

由香里さんは両手を胸の上で組み、嬉しそうに微笑む。

…が、オレは頭から足元まで、血が急激に下がっていった。

ふらつく体を壁に預け、オレは思い出した。

―彼女とはじめて会った時のことを。 



アレはまだ、オレが高校二年の時だった。

家の玄関の前で、梢さんと知らない女性がいるのを、学校帰りのオレは発見した。

「梢さん、こんにちは。親父に用ですか?」

「あら、若様。お帰りなさいませ。ええ、社長が会社に書類をお忘れになったので、お届けに参りました」

「そうだったんだ。ところでそちらの方は…」

「ああ、ご紹介しますね。あたしの同僚で、由香里と言います。彼女も社長の元で働いているんですよ」

「こんにちは~」

紹介された由香里さんは、梢さんとは対照的な女性だった。

艶やかな長い黒髪は腰まで伸びていて、前髪は真ん中で分けているので、小さな顔がはっきりと見れた。

見た目は二十代半ばという感じだが、愛嬌があり、柔らやかな雰囲気からちょっと幼く感じられた。

けれどその…体つきは梢さんとタメがはれるほどだ。

大きな胸に大きなお尻、細身ではないけれど、それでも抱き心地のよさそうな肉体だ。

近くにいると、彼女から漂う甘い匂いにちょっと目が眩む。

「はじめまして、若様。由香里、と申します」

「あっ、はじめまして」

大きな黒い瞳で見つめられ、ドキドキしてしまった。

…思えば由香里さんに、ほのかな恋心を抱いていたのだろう。
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