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第6章
第125話
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カインが付与魔法を唱えた瞬間、目の前の瀕死の羊たちの様子が落ち着いたように見えた。
起き上がることは難しそうだが、明らかに先ほどよりも呼吸が安定している。
「おお! さすがカインさんだ。もう大丈夫なんだね?」
ロロは嬉しそうな顔でカインにそう言う。
しかし、カインはそれに首を横に振って答えた。顔は少し苦しそうで額には汗がたまっている。
「一時しのぎだよ。ロロ。これじゃあ解決にならない。このままじゃあいずれダメになる。原因を見つけて無くさないと」
カインはロロにも理解できるように詳細は省き、重要な部分だけ説明した。
それによると、原因は分からないが生き物から生きる力、生命力を奪っていく事態が発生している。
今はカインの魔法でその影響を遮断しているが、範囲が広くかつ継続してかけないといけないためカインはこの村を出ることが出来ない。
そしてこの事態は、村だけでなく周囲でも発生しているはずだということだった。
「ん? 誰か来たようだ……なんだ? 領主代行だぞ」
カインが作った見えない壁のせいで、村へ入ることが出来ずに立ち往生しているようだ。
突然の来訪に戸惑いを感じたが、無碍にできる相手でもないため、カインは急いで壁の一部を解除し領主代行を村の中へと入れた。
「さっきのは一体何なのです? まるで見えない壁でもあるかのように、私たちが入ろうとしても進めませんでしたよ?」
カイン一行、そしてロロが急いで呼びに行った村長のウィルが村の入口から進んだ所にある広場で領主代行を迎えた。
領主代行の質問になんと答えていいのか分からずカインの方を向くウィルだが、カインは詳細を教える気はなさそうだ。
「それはそうと、領主代行様がこのような村にどの様なご要件でしょうか? 村の祭りも終わったばかり。年貢についてはまだ先の話だと思いましたが……」
状況が飲み込めていないウィルに変わり、カインが話を切り出す。
どの様な要件か知らないが、今は領主代行に長く構っていられる状況ではなかった。
「ここに居るはずの以下の者たちを早急に集めてなさい。サラ、ソフィ、そしてカインです」
その言葉にその場にいた者全員が驚きの表情を見せる。
ウィルはカインに何をやったのか、と目配せをするが、カインは首を横に振るだけだった。
「ちょっとぉ。領主代行だか知らないけれどね。いきなりやってきて、カンちゃんになんの用があるって言うのよ!?」
「ば、ばか。ララ。お前は黙ってろ」
いつもの調子でララは領主代行に食ってかかる。
普段なら苦笑いで静観するカインだったが、自分の村を管轄する領主代行となれば話は別だ。
ララを隠すように一歩前に出ると、カインは領主代行に答える。
「カインは私です。サラは私の娘。そしてソフィはその戦友です。私共にどの様な用でしょうか?」
「おお! 貴方たちがS級冒険者の方々なのですね!? 私は運がいい。領内で緊急のクエストを発行し、募集をかけたらギルドからちょうどこの村に三人ものS級冒険者が滞在していると」
それを聞きカインはルークたちの方を向く。
確かにS級冒険者になると自分の居場所をギルドに都度報告する義務があった。
緊急性の高いクエストが発行された時に、出来るだけ早く連絡を取れるようにだが、それは同じS級冒険者であるルークたちも変わらない。
領主代行はルークたちの存在を知らない様子で、つまりルークたちは義務を果たしていないことを意味していた。
光のない目で見つめるカインに、ルークでは無くララが舌を出して答えた。
「実はこの領内で怪奇現象が続いていまして。動物たちが突然大量に死んだり、辺り一面の植物が枯れたり。流行病を疑いましたが、動物にも植物にもと言うのは聞いたことがありません」
その言葉にみな各々の反応を示した。
「調査はさせていたのですが、それまでは大したことは分かりませんでした。所が最近になって人にもその症状が出始めたのです」
その後の領主代行の話は驚くべき内容だった。
領境の近くにある北の山脈。そこに封印されていたはずの魔物が蘇ったと言うのだ。
領内に伝わる伝承で、魔物も封印自体もおとぎ話だと思われていたが、偵察に向かいたまたま魔物を発見した部下の話では、その魔物に間違いないと言う。
その部下の所属する隊は、報告をした者一人を除きその場で全滅し、なんとか切り抜け内容を告げた後は、その者も死んでしまった。
不思議なことにどこにも外傷はなく、毒にやられた様子もないのに、まるで生きる力を失ったかのように事切れたと、領主代行は話した。
「つまり、その魔物を討伐するってのがクエストの内容ってことですか?」
「そうです。既にギルドから三人に緊急クエストの発行に伴う強制参加の承認は受けています。場所を今から伝えますので、急ぎ向かい、対象を討伐してください」
「申し訳ないが、そのクエストはお受けできません。私は今この村を離れるわけにはいかないのです」
「なんですって!?」
カインの返答に領主代行だけでなく、その場にいる全ての者が驚愕し、一斉にカインの方を向いた。
しかしその視線を跳ね返すように、カインは視力の無い目に強い信念を宿し、領主代行の目を一点に見つめていた。
起き上がることは難しそうだが、明らかに先ほどよりも呼吸が安定している。
「おお! さすがカインさんだ。もう大丈夫なんだね?」
ロロは嬉しそうな顔でカインにそう言う。
しかし、カインはそれに首を横に振って答えた。顔は少し苦しそうで額には汗がたまっている。
「一時しのぎだよ。ロロ。これじゃあ解決にならない。このままじゃあいずれダメになる。原因を見つけて無くさないと」
カインはロロにも理解できるように詳細は省き、重要な部分だけ説明した。
それによると、原因は分からないが生き物から生きる力、生命力を奪っていく事態が発生している。
今はカインの魔法でその影響を遮断しているが、範囲が広くかつ継続してかけないといけないためカインはこの村を出ることが出来ない。
そしてこの事態は、村だけでなく周囲でも発生しているはずだということだった。
「ん? 誰か来たようだ……なんだ? 領主代行だぞ」
カインが作った見えない壁のせいで、村へ入ることが出来ずに立ち往生しているようだ。
突然の来訪に戸惑いを感じたが、無碍にできる相手でもないため、カインは急いで壁の一部を解除し領主代行を村の中へと入れた。
「さっきのは一体何なのです? まるで見えない壁でもあるかのように、私たちが入ろうとしても進めませんでしたよ?」
カイン一行、そしてロロが急いで呼びに行った村長のウィルが村の入口から進んだ所にある広場で領主代行を迎えた。
領主代行の質問になんと答えていいのか分からずカインの方を向くウィルだが、カインは詳細を教える気はなさそうだ。
「それはそうと、領主代行様がこのような村にどの様なご要件でしょうか? 村の祭りも終わったばかり。年貢についてはまだ先の話だと思いましたが……」
状況が飲み込めていないウィルに変わり、カインが話を切り出す。
どの様な要件か知らないが、今は領主代行に長く構っていられる状況ではなかった。
「ここに居るはずの以下の者たちを早急に集めてなさい。サラ、ソフィ、そしてカインです」
その言葉にその場にいた者全員が驚きの表情を見せる。
ウィルはカインに何をやったのか、と目配せをするが、カインは首を横に振るだけだった。
「ちょっとぉ。領主代行だか知らないけれどね。いきなりやってきて、カンちゃんになんの用があるって言うのよ!?」
「ば、ばか。ララ。お前は黙ってろ」
いつもの調子でララは領主代行に食ってかかる。
普段なら苦笑いで静観するカインだったが、自分の村を管轄する領主代行となれば話は別だ。
ララを隠すように一歩前に出ると、カインは領主代行に答える。
「カインは私です。サラは私の娘。そしてソフィはその戦友です。私共にどの様な用でしょうか?」
「おお! 貴方たちがS級冒険者の方々なのですね!? 私は運がいい。領内で緊急のクエストを発行し、募集をかけたらギルドからちょうどこの村に三人ものS級冒険者が滞在していると」
それを聞きカインはルークたちの方を向く。
確かにS級冒険者になると自分の居場所をギルドに都度報告する義務があった。
緊急性の高いクエストが発行された時に、出来るだけ早く連絡を取れるようにだが、それは同じS級冒険者であるルークたちも変わらない。
領主代行はルークたちの存在を知らない様子で、つまりルークたちは義務を果たしていないことを意味していた。
光のない目で見つめるカインに、ルークでは無くララが舌を出して答えた。
「実はこの領内で怪奇現象が続いていまして。動物たちが突然大量に死んだり、辺り一面の植物が枯れたり。流行病を疑いましたが、動物にも植物にもと言うのは聞いたことがありません」
その言葉にみな各々の反応を示した。
「調査はさせていたのですが、それまでは大したことは分かりませんでした。所が最近になって人にもその症状が出始めたのです」
その後の領主代行の話は驚くべき内容だった。
領境の近くにある北の山脈。そこに封印されていたはずの魔物が蘇ったと言うのだ。
領内に伝わる伝承で、魔物も封印自体もおとぎ話だと思われていたが、偵察に向かいたまたま魔物を発見した部下の話では、その魔物に間違いないと言う。
その部下の所属する隊は、報告をした者一人を除きその場で全滅し、なんとか切り抜け内容を告げた後は、その者も死んでしまった。
不思議なことにどこにも外傷はなく、毒にやられた様子もないのに、まるで生きる力を失ったかのように事切れたと、領主代行は話した。
「つまり、その魔物を討伐するってのがクエストの内容ってことですか?」
「そうです。既にギルドから三人に緊急クエストの発行に伴う強制参加の承認は受けています。場所を今から伝えますので、急ぎ向かい、対象を討伐してください」
「申し訳ないが、そのクエストはお受けできません。私は今この村を離れるわけにはいかないのです」
「なんですって!?」
カインの返答に領主代行だけでなく、その場にいる全ての者が驚愕し、一斉にカインの方を向いた。
しかしその視線を跳ね返すように、カインは視力の無い目に強い信念を宿し、領主代行の目を一点に見つめていた。
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