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第6章
第126話
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「な、何を言っているんです。自分の言っていることの意味を分かっているんですか?」
驚きのあまり固まっていた領主代行がようやく口を開く。
手に持つギルドが発行したであろう書類を握りしめカインに向かい突き出している。
領主代行が驚いたのも無理はない。何故ならば断られるなど、露にも思っていなかったからだ。
それはS級冒険者に課せられた義務に基づいている。
有事の際に適切な人材が適切な場所へ迅速に迎えるよう、S級冒険者には二つの義務がある。
その一つは居場所の報告だが、もう一つはクエストの強制受領だ。
以前サラたちが受けたオスローでのクエストもそうだが、S級冒険者はこの緊急クエストを自己の判断で拒むことが出来ない。
怪我などで受けられない場合ですら、最寄りのギルドに出頭して説明し、不適合の判断を受けなければならない。
これを断ることはすなわちS級冒険者をやめることであり、そんなことをするS級冒険者は今までいなかったのだ。
「言った通りです。私はこの村を離れるわけにはいかないのです。その要請、正式にお断りします」
「なっ! S級冒険者を捨てるほどの価値がこの村に残ることにあるというにですかっ?」
カインは黙って首を一度だけゆっくりと縦に振った。
その様子を見た領主代行は苛立った様子で声を荒らげる。
「分かりました! 貴方の返答はしっかりとギルドに報告させてもらいます! 然るべき報いを受けるでしょう!」
「構いません。私には何ものにも変え難い守るべきものがあるのです」
「もういいです! それで。サラとソフィ! まさか貴方たちまで断ると言うのではないでしょうね!?」
「私は……」
返答に困りサラとソフィはカインの方を向く。
二人にはカインが断った理由がうっすらと理解出来ていたものの、確信が持てていなかった。
その二人に、再びカインはゆっくりと頷く。
それを見たサラは、領主代行の方へ身体ごと真正面に向けると、大きく返事をした。
「大丈夫です。私たちだけで向かいます。だから、父の、カインのことは見過ごしてあげてください!」
「それはなりません。そもそも。今回の依頼はS級冒険者複数人ですら達成が可能かどうかも分かりません。貴重な戦力が欠けるのです。大目に見るなどと」
「ちょっと。あんた。カンちゃんが無理だって言ってるんだから、黙って言うこと聞きなさいよね。S級冒険者がいればいいんでしょ? 私が代わりに行ってあげるわよ」
「失礼ですが貴方は?」
前の遮るカインの身体を避けるように身を前へ乗り出しながら、ララは先ほどと変わらぬ口調で言う。
それに対して領主代行は訝しげな顔を見せた。
「私のことを知らないなんてモグリね? 稀代の大魔道士ララ様とは私のことよ……痛いっ!」
無い胸を仰け反らしながら大仰に言うララの頭をルークの拳が叩く。
どうやら手加減をしなかったらしく、ララは相当痛そうな顔をしながらその場にうずくまっている。
「仲間がすまんな。俺はルーク。こっちはミュー。そしてこのちんちくりんがララ。カインの変わりにS級の俺らが行ってやる。それでチャラにしろ」
「S級ですか? おかしいですねぇ。ギルドに聞いたのは全部で三人だけのはずなのですが……」
「そ、それはだなぁ。ああ。アレだ! アレ。分かれよ!」
「申し訳ありません。領主代行殿。わたくしのパーティは力はS急の中でも群を抜いていると自負しているのですが、少々慌ただしい所がありまして」
見かねてミューが前に出て、ルークを押しのけ領主代行に話しかける。
ルークは文句を言いたそうだが、ミューの大きな手がルーク口を塞いでいるためモゴモゴとしか聞こえない。
「それで。貴方たちがS級冒険者だとして。その証と、何故ギルドに居場所の報告がないのか説明ししてもらいましょうか。話はそれからです」
「はい。まずはこれを。冒険者カードです。これでひとまず信用していただけたでしょうか?」
「確かに。それで貴方たちが居場所を偽った理由は?」
「それが……言えないのですよ」
ミューの言葉に領主代行片眉を上げる。
「言えないとはどういう事ですか? S級冒険者はみな居場所をギルドに報告する義務があると聞いていますが?」
「はい。それは間違いありません。しかし、領主代行殿。貴方にも、ギルドに報告することなく私たちがこの村にいる理由を教えることはできません」
「領主代行である、私にも、ですか?」
「はい。貴方にも、です」
ミューはその厳つい顔をめいっぱい柔和にして、領主代行に笑顔を見せる。
領主代行少し考える素振りを見せたが、すぐにミューの言いたいことを理解したのか、ため息を付きながら肩の力を抜いた。
「分かりました。そういうことにしておきましょう。いずれにしろ私ごときに確かめるすべはないのですから。そんなことよりも事は急を要します。移動しながら詳細を説明するので、出来るだけ早く出発する準備をしてください」
「その必要はねぇぞ」
ミューからようやく口を開放されたルークが領主代行の言葉を遮るように言い放つ。
その言葉に落ち着きを見せ始めていた領主代行の顔に再び険が宿る。
「俺らは冒険者だ。常時出発準備は出来ている。出発するぞ。今すぐにだ」
ルークはそう言うと、周りのみなに合図をする。
その合図に従い、カインとウィルを除いた全員が返事をした。
カインはルークにすまない、と目配せをする。
それを見たルークは気にするな、とカインの肩を一度だけ強く叩いた。
驚きのあまり固まっていた領主代行がようやく口を開く。
手に持つギルドが発行したであろう書類を握りしめカインに向かい突き出している。
領主代行が驚いたのも無理はない。何故ならば断られるなど、露にも思っていなかったからだ。
それはS級冒険者に課せられた義務に基づいている。
有事の際に適切な人材が適切な場所へ迅速に迎えるよう、S級冒険者には二つの義務がある。
その一つは居場所の報告だが、もう一つはクエストの強制受領だ。
以前サラたちが受けたオスローでのクエストもそうだが、S級冒険者はこの緊急クエストを自己の判断で拒むことが出来ない。
怪我などで受けられない場合ですら、最寄りのギルドに出頭して説明し、不適合の判断を受けなければならない。
これを断ることはすなわちS級冒険者をやめることであり、そんなことをするS級冒険者は今までいなかったのだ。
「言った通りです。私はこの村を離れるわけにはいかないのです。その要請、正式にお断りします」
「なっ! S級冒険者を捨てるほどの価値がこの村に残ることにあるというにですかっ?」
カインは黙って首を一度だけゆっくりと縦に振った。
その様子を見た領主代行は苛立った様子で声を荒らげる。
「分かりました! 貴方の返答はしっかりとギルドに報告させてもらいます! 然るべき報いを受けるでしょう!」
「構いません。私には何ものにも変え難い守るべきものがあるのです」
「もういいです! それで。サラとソフィ! まさか貴方たちまで断ると言うのではないでしょうね!?」
「私は……」
返答に困りサラとソフィはカインの方を向く。
二人にはカインが断った理由がうっすらと理解出来ていたものの、確信が持てていなかった。
その二人に、再びカインはゆっくりと頷く。
それを見たサラは、領主代行の方へ身体ごと真正面に向けると、大きく返事をした。
「大丈夫です。私たちだけで向かいます。だから、父の、カインのことは見過ごしてあげてください!」
「それはなりません。そもそも。今回の依頼はS級冒険者複数人ですら達成が可能かどうかも分かりません。貴重な戦力が欠けるのです。大目に見るなどと」
「ちょっと。あんた。カンちゃんが無理だって言ってるんだから、黙って言うこと聞きなさいよね。S級冒険者がいればいいんでしょ? 私が代わりに行ってあげるわよ」
「失礼ですが貴方は?」
前の遮るカインの身体を避けるように身を前へ乗り出しながら、ララは先ほどと変わらぬ口調で言う。
それに対して領主代行は訝しげな顔を見せた。
「私のことを知らないなんてモグリね? 稀代の大魔道士ララ様とは私のことよ……痛いっ!」
無い胸を仰け反らしながら大仰に言うララの頭をルークの拳が叩く。
どうやら手加減をしなかったらしく、ララは相当痛そうな顔をしながらその場にうずくまっている。
「仲間がすまんな。俺はルーク。こっちはミュー。そしてこのちんちくりんがララ。カインの変わりにS級の俺らが行ってやる。それでチャラにしろ」
「S級ですか? おかしいですねぇ。ギルドに聞いたのは全部で三人だけのはずなのですが……」
「そ、それはだなぁ。ああ。アレだ! アレ。分かれよ!」
「申し訳ありません。領主代行殿。わたくしのパーティは力はS急の中でも群を抜いていると自負しているのですが、少々慌ただしい所がありまして」
見かねてミューが前に出て、ルークを押しのけ領主代行に話しかける。
ルークは文句を言いたそうだが、ミューの大きな手がルーク口を塞いでいるためモゴモゴとしか聞こえない。
「それで。貴方たちがS級冒険者だとして。その証と、何故ギルドに居場所の報告がないのか説明ししてもらいましょうか。話はそれからです」
「はい。まずはこれを。冒険者カードです。これでひとまず信用していただけたでしょうか?」
「確かに。それで貴方たちが居場所を偽った理由は?」
「それが……言えないのですよ」
ミューの言葉に領主代行片眉を上げる。
「言えないとはどういう事ですか? S級冒険者はみな居場所をギルドに報告する義務があると聞いていますが?」
「はい。それは間違いありません。しかし、領主代行殿。貴方にも、ギルドに報告することなく私たちがこの村にいる理由を教えることはできません」
「領主代行である、私にも、ですか?」
「はい。貴方にも、です」
ミューはその厳つい顔をめいっぱい柔和にして、領主代行に笑顔を見せる。
領主代行少し考える素振りを見せたが、すぐにミューの言いたいことを理解したのか、ため息を付きながら肩の力を抜いた。
「分かりました。そういうことにしておきましょう。いずれにしろ私ごときに確かめるすべはないのですから。そんなことよりも事は急を要します。移動しながら詳細を説明するので、出来るだけ早く出発する準備をしてください」
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ミューからようやく口を開放されたルークが領主代行の言葉を遮るように言い放つ。
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その合図に従い、カインとウィルを除いた全員が返事をした。
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