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第1章
第10話【初めてのボス狩り】
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「なぁ……いい加減、退けてくれないか?」
「あら! 私ったらついついやってしまいましたわ。ごめんなさいね。でも、とってもお似合いだと思いますわ!」
「うんうん。ワンコが執事服って素敵だねぇ」
いつまで経っても離してくれないから、さすがに俺も口を開き、退けてもらった。
やっぱり黙ってても気持ちは伝わらないな!
「それで、この装備なんだけど、良かったら……」
「ええ! 気が済むまで使ってもらって結構ですわよ。その代わりたまにまたもふもふさせてくださいね!」
「あ! ヒミコちゃん。ずるい!」
「いや。この性能ならひとまず40になるまでずっと使えそうだし。買い取ろうと思うんだ。いくらかな? ちょっと今所持金が少ないけど」
「え? 無理をしなくても結構ですよ? それに、こう言ってはなんですが、それを買い取るとなるとかなり難しいかと……」
「あ。値段交渉するならちょっと離れておこうか」
そう言うと、俺とヒミコが答える前にロキはどこかへ行ってしまった。
ここら辺の情報も他人のを勝手に知るのはマナー違反なのかな。覚えておこう。
「ロキは本当に真面目ですわね。私の作品の価格なんて知られても特に困りませんのに。バトラー系は効果は癖があるものの、その見た目から人気なんですの」
「二人の反応を見たら何となく分かったよ。それで、いくらなのかな?」
「とてもレベル20では無理な額だと思いますが……そうですね。ショーニンなら、負けて一つ100万ジル。全部で300万ジルでいいですわ」
「え? ちなみに、負けなかったら?」
「やっぱり300万ジルですわね」
俺の問いに笑顔で平然とヒミコは答える。
自分の作品と技術は安売りしないか。
その割に無償で貸してくれようとしてたけど……。
「それなら。今持ち合わせがある。すぐに払うよ」
「え!? そんな金額持っているんですの? 驚いたわ。「商人」なんて本当にネタ職だと思っていましたが、これは認識を改めないといけませんわね」
驚いているヒミコに代金の300万ジルを渡す。
これで俺の所持金は100万ジルを切ってしまった。
まぁいい。これだけ装備で増強できたんだ。
またいくらでも狩れば金も増える。
「確かに……それにしても凄いですわね。300万ジルなんて、ポンと払えるような額じゃありませんよ? うふふ。私もしかしたら上客を手に入れてしまったかもしれませんね」
「どうかな? ひとまず約束のレベル40を目指して、それからまた相談するよ」
「ええ。期待していますわ。その時には今より素敵な服を腕によりをかけてご提供しますから、楽しみにしててくださいね。あ! そういえばフレンドまだでしたわね」
「ああ。なんか、そんな項目あったな」
俺は自分の画面のタブを選ぶ。
当然ながら表示される画面には誰もいない。
「まぁ! 私がショーニンのフレンド第1号ですの!? 素敵ですわ! よろしくお願いしますね」
「ああ。こちらこそ。ありがとう。それじゃあ、なるべく早くレベルを上げて連絡するよ」
「ええ。フレンドは互いにどこに居てもメッセージが送れますからね。送り方は分かります? ……ええ。じゃあ、お待ちしてますわ」
そう言うとヒミコは嬉しそうに手を振りながら、元来た道を戻って行った。
それをしばらく眺めていると、突如現れたロキが不機嫌そうな顔を見せる。
「うっかり忘れてたよ。ずるいなぁ。ヒミコちゃん。俺が最初にショーニン見つけたのに。でもナンバー2でもいいや。俺ともフレンドなろうよ」
「ん? あ、ああ。いいぜ。色々とありがとな。おかげでいい買い物ができたよ」
「え!? マジで買ったの? その装備一式? 凄いね。ショーニン。あんたマジで凄いよ」
「まぁ。たまたま、だな。何とか所持金が足りたんだ」
俺は今は外している「隼のグローブ」のことは黙っておいた。
装備を一新して強くなったが、それでもまだ上位のプレイヤーに敵わないだろうからな。
ロキが言いふらすとは思えないが、念には念をだ。
「それじゃあ、俺は言われた通りレベル上げしてくるよ。ロキはどうするんだ? と言うか、いっつも街にいないか?」
「ん? 俺? ああ。俺は色々とやることがあるからさ。ところで、レベル上げるって、もうボスは倒したのか?」
「ボス? なんのことだ?」
「あらら。相変わらずというか、なんというか。レベルキャップを外すのにさ、ボスを倒すイベントをクリアしないといけないんだよ。えーと、20はバレルドラゴンだったかな?」
うぉ。知らなかったぞ。危ない、危ない。
ロキに教えて貰えなかったら、このままずっと無駄にモンスター狩り続けてたぞ。
まぁ金は増えるから無駄じゃないけど。
「あいつはなぁ……まぁ。俺が教えちゃうと面白み半減だろうからさ。色々試してみなよ。そういうのがゲームに醍醐味だからさ」
「おう。分かった。さっさとそいつを倒してレベル上げを始めるぞ」
「そうそう。その意気だよ。最難関ダンジョンを攻略するんでしょ? 早くこっち側に来なよ。待ってるから」
「あー。フレンドになったから見れたけど、ロキはレベル49か。ヒミコは……おいおい。53じゃん。高ぇな」
「まだまだ上には上がいるからね。立ち止まってる場合じゃないよ? ショーニンがレベル上げてる時も、他のプレイヤーはもっと先に進んでるからね」
「おう! 見てろよ? すぐに追いついて、追い越してやるぜ」
その言葉にロキは嬉しそうな笑顔を見せる。
ロキとも別れ、俺は早速ボス狩りの準備を始めた。
まずは所持金稼ぎ。何はなくとも金がないと俺は戦えないからな。
レベルが上がらないと分かっているから、適当なモンスターを選んで倒しまくる。
その後は店売り。所持金が少なく、相場操作は難しそうだったから、まずはそのまま売る。
それでも2回攻撃や他のスキルのおかげでそれなりに儲けが出た。もちろんそういうモンスターを選んだからだ。
何度か繰り返し、所持金は再び1000万ジルまで戻った。
その間の経験値は全て無駄になったわけだ。次金を使う時はもうちょっと気をつけよう。
準備が出来たので、俺はレベル上限を上げるためのクエストを受領する。
クエスト受けられるNPCの周りにはパーティを募集しているプレイヤーが叫んでいる。
「前衛あと一人募集! 早い者勝ちー!!」
「回復職さんいませんかー? 支援、火力いますー!」
案の定、俺が入れるような募集は無いようだ。
とりあえず、様子見で一人で行ってみるか。
目的のボスが出るダンジョンの入口へと進んだ。
なんでもフィールドは全プレイヤーが同じ場所で狩りをするけど、ダンジョンはパーティ毎に別のところに飛ばされるらしい。
おそらくボスモンスターの取り合いにならないようの配慮だろう。
このダンジョンはゴツゴツした岩肌に覆われた広い洞窟のような場所だった。
フィールドではこっちか攻撃しないと襲ってこないモンスターが多いが、ダンジョンのモンスターはプレイヤーを見つけたら問答無用で襲ってくるようだ。
俺はひとまず攻撃をわざと食らってみる。
トカゲのでっかいのが飛びかかり噛み付いてきたが、痛みはなく、ダメージ表示は0だった。
なるほど。ここら辺の敵じゃあ俺にダメージを与えることはできないのかな。
ダンジョン内では相場の確認もできないらしい。
金を無駄に使ってボスを倒せないと困るから、俺は雑魚モンスターを全部無視することに決めた。
出会って噛みつかれたり殴られたりするが、ダメージ0だから気にせずボスがいるだろう奥へと進む。
無駄だと分かっても攻撃を続けるために俺につきまとうモンスターの数はどんどん増えていく。
最奥まで着く頃にはまるでモンスターの軍団を引き連れたモンスターの長みたいになっていた。
「さて……ここかな?」
俺はそれっぽい扉を見つける。
扉を押し開いて中に入ると、バレルドラゴンと思われる一匹のモンスターがいた。
でっかい樽のような寸胴の身体に、ドラゴン特有の牙の生え揃えた長い口、鋭利な爪が生えた4本の足、背中にはコウモリのような羽が生えている。
レベルは30。俺の10も上だ。
「うわぁ。見るからにHP高そうな相手だな。さて……金、間に合うかな?」
ひとまず様子見のつもりで、俺は15万ジルを使ってみた。
無数の数えきれないコインが現れ、バレルドラゴンへと飛んでいく。
この前のムカつくPK挑んできたやつらと同じ額にしてみた。
まさかあいつらより弱いってことは無いだろ。
5桁のダメージが2回表示される。
その瞬間、ボスがいた部屋の地面が激しく揺れ、揺れとともにバレルドラゴンはポリゴンになって霧散した。
「え? 嘘でしょ? もう終わり?」
あっけない結末に、俺はフィールドに強制的に戻されるまで呆然としていた。
「あら! 私ったらついついやってしまいましたわ。ごめんなさいね。でも、とってもお似合いだと思いますわ!」
「うんうん。ワンコが執事服って素敵だねぇ」
いつまで経っても離してくれないから、さすがに俺も口を開き、退けてもらった。
やっぱり黙ってても気持ちは伝わらないな!
「それで、この装備なんだけど、良かったら……」
「ええ! 気が済むまで使ってもらって結構ですわよ。その代わりたまにまたもふもふさせてくださいね!」
「あ! ヒミコちゃん。ずるい!」
「いや。この性能ならひとまず40になるまでずっと使えそうだし。買い取ろうと思うんだ。いくらかな? ちょっと今所持金が少ないけど」
「え? 無理をしなくても結構ですよ? それに、こう言ってはなんですが、それを買い取るとなるとかなり難しいかと……」
「あ。値段交渉するならちょっと離れておこうか」
そう言うと、俺とヒミコが答える前にロキはどこかへ行ってしまった。
ここら辺の情報も他人のを勝手に知るのはマナー違反なのかな。覚えておこう。
「ロキは本当に真面目ですわね。私の作品の価格なんて知られても特に困りませんのに。バトラー系は効果は癖があるものの、その見た目から人気なんですの」
「二人の反応を見たら何となく分かったよ。それで、いくらなのかな?」
「とてもレベル20では無理な額だと思いますが……そうですね。ショーニンなら、負けて一つ100万ジル。全部で300万ジルでいいですわ」
「え? ちなみに、負けなかったら?」
「やっぱり300万ジルですわね」
俺の問いに笑顔で平然とヒミコは答える。
自分の作品と技術は安売りしないか。
その割に無償で貸してくれようとしてたけど……。
「それなら。今持ち合わせがある。すぐに払うよ」
「え!? そんな金額持っているんですの? 驚いたわ。「商人」なんて本当にネタ職だと思っていましたが、これは認識を改めないといけませんわね」
驚いているヒミコに代金の300万ジルを渡す。
これで俺の所持金は100万ジルを切ってしまった。
まぁいい。これだけ装備で増強できたんだ。
またいくらでも狩れば金も増える。
「確かに……それにしても凄いですわね。300万ジルなんて、ポンと払えるような額じゃありませんよ? うふふ。私もしかしたら上客を手に入れてしまったかもしれませんね」
「どうかな? ひとまず約束のレベル40を目指して、それからまた相談するよ」
「ええ。期待していますわ。その時には今より素敵な服を腕によりをかけてご提供しますから、楽しみにしててくださいね。あ! そういえばフレンドまだでしたわね」
「ああ。なんか、そんな項目あったな」
俺は自分の画面のタブを選ぶ。
当然ながら表示される画面には誰もいない。
「まぁ! 私がショーニンのフレンド第1号ですの!? 素敵ですわ! よろしくお願いしますね」
「ああ。こちらこそ。ありがとう。それじゃあ、なるべく早くレベルを上げて連絡するよ」
「ええ。フレンドは互いにどこに居てもメッセージが送れますからね。送り方は分かります? ……ええ。じゃあ、お待ちしてますわ」
そう言うとヒミコは嬉しそうに手を振りながら、元来た道を戻って行った。
それをしばらく眺めていると、突如現れたロキが不機嫌そうな顔を見せる。
「うっかり忘れてたよ。ずるいなぁ。ヒミコちゃん。俺が最初にショーニン見つけたのに。でもナンバー2でもいいや。俺ともフレンドなろうよ」
「ん? あ、ああ。いいぜ。色々とありがとな。おかげでいい買い物ができたよ」
「え!? マジで買ったの? その装備一式? 凄いね。ショーニン。あんたマジで凄いよ」
「まぁ。たまたま、だな。何とか所持金が足りたんだ」
俺は今は外している「隼のグローブ」のことは黙っておいた。
装備を一新して強くなったが、それでもまだ上位のプレイヤーに敵わないだろうからな。
ロキが言いふらすとは思えないが、念には念をだ。
「それじゃあ、俺は言われた通りレベル上げしてくるよ。ロキはどうするんだ? と言うか、いっつも街にいないか?」
「ん? 俺? ああ。俺は色々とやることがあるからさ。ところで、レベル上げるって、もうボスは倒したのか?」
「ボス? なんのことだ?」
「あらら。相変わらずというか、なんというか。レベルキャップを外すのにさ、ボスを倒すイベントをクリアしないといけないんだよ。えーと、20はバレルドラゴンだったかな?」
うぉ。知らなかったぞ。危ない、危ない。
ロキに教えて貰えなかったら、このままずっと無駄にモンスター狩り続けてたぞ。
まぁ金は増えるから無駄じゃないけど。
「あいつはなぁ……まぁ。俺が教えちゃうと面白み半減だろうからさ。色々試してみなよ。そういうのがゲームに醍醐味だからさ」
「おう。分かった。さっさとそいつを倒してレベル上げを始めるぞ」
「そうそう。その意気だよ。最難関ダンジョンを攻略するんでしょ? 早くこっち側に来なよ。待ってるから」
「あー。フレンドになったから見れたけど、ロキはレベル49か。ヒミコは……おいおい。53じゃん。高ぇな」
「まだまだ上には上がいるからね。立ち止まってる場合じゃないよ? ショーニンがレベル上げてる時も、他のプレイヤーはもっと先に進んでるからね」
「おう! 見てろよ? すぐに追いついて、追い越してやるぜ」
その言葉にロキは嬉しそうな笑顔を見せる。
ロキとも別れ、俺は早速ボス狩りの準備を始めた。
まずは所持金稼ぎ。何はなくとも金がないと俺は戦えないからな。
レベルが上がらないと分かっているから、適当なモンスターを選んで倒しまくる。
その後は店売り。所持金が少なく、相場操作は難しそうだったから、まずはそのまま売る。
それでも2回攻撃や他のスキルのおかげでそれなりに儲けが出た。もちろんそういうモンスターを選んだからだ。
何度か繰り返し、所持金は再び1000万ジルまで戻った。
その間の経験値は全て無駄になったわけだ。次金を使う時はもうちょっと気をつけよう。
準備が出来たので、俺はレベル上限を上げるためのクエストを受領する。
クエスト受けられるNPCの周りにはパーティを募集しているプレイヤーが叫んでいる。
「前衛あと一人募集! 早い者勝ちー!!」
「回復職さんいませんかー? 支援、火力いますー!」
案の定、俺が入れるような募集は無いようだ。
とりあえず、様子見で一人で行ってみるか。
目的のボスが出るダンジョンの入口へと進んだ。
なんでもフィールドは全プレイヤーが同じ場所で狩りをするけど、ダンジョンはパーティ毎に別のところに飛ばされるらしい。
おそらくボスモンスターの取り合いにならないようの配慮だろう。
このダンジョンはゴツゴツした岩肌に覆われた広い洞窟のような場所だった。
フィールドではこっちか攻撃しないと襲ってこないモンスターが多いが、ダンジョンのモンスターはプレイヤーを見つけたら問答無用で襲ってくるようだ。
俺はひとまず攻撃をわざと食らってみる。
トカゲのでっかいのが飛びかかり噛み付いてきたが、痛みはなく、ダメージ表示は0だった。
なるほど。ここら辺の敵じゃあ俺にダメージを与えることはできないのかな。
ダンジョン内では相場の確認もできないらしい。
金を無駄に使ってボスを倒せないと困るから、俺は雑魚モンスターを全部無視することに決めた。
出会って噛みつかれたり殴られたりするが、ダメージ0だから気にせずボスがいるだろう奥へと進む。
無駄だと分かっても攻撃を続けるために俺につきまとうモンスターの数はどんどん増えていく。
最奥まで着く頃にはまるでモンスターの軍団を引き連れたモンスターの長みたいになっていた。
「さて……ここかな?」
俺はそれっぽい扉を見つける。
扉を押し開いて中に入ると、バレルドラゴンと思われる一匹のモンスターがいた。
でっかい樽のような寸胴の身体に、ドラゴン特有の牙の生え揃えた長い口、鋭利な爪が生えた4本の足、背中にはコウモリのような羽が生えている。
レベルは30。俺の10も上だ。
「うわぁ。見るからにHP高そうな相手だな。さて……金、間に合うかな?」
ひとまず様子見のつもりで、俺は15万ジルを使ってみた。
無数の数えきれないコインが現れ、バレルドラゴンへと飛んでいく。
この前のムカつくPK挑んできたやつらと同じ額にしてみた。
まさかあいつらより弱いってことは無いだろ。
5桁のダメージが2回表示される。
その瞬間、ボスがいた部屋の地面が激しく揺れ、揺れとともにバレルドラゴンはポリゴンになって霧散した。
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(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
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