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第1章
第17話【ダンジョン攻略-2】
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俺は今、ひとり寒空の下にいる。
つまり俺は……二つ目の未攻略ダンジョンへ来ていた。
ん? あの後どうなったかだって?
色々大変だったとだけ言っておく。
今はダンジョンだ。そうだ。俺はダンジョンを攻略するんだ。
それが俺の目的だからな。目の前にぶらさがった甘い果実をかじりに来た訳では決してない!
別に現実の俺が彼女いない歴イコール年齢とか、恋愛経験ゼロとか、そもそも金がないとかは関係ない。
いいな?
さて、ダンジョンだ。今回のダンジョンは人工物のような作りだ。
レンガか何かが積み重なってできた、規則正しい壁で覆われている。
出てくるモンスターは不死系や悪魔系、あとは物質系と呼ばれるものが多い。
どれも比較的HPが高いモンスターが多い種族だが、不死系に関してはダメージ上昇がかなりあるから逆に楽だな。
「ここは他のパーティもちらほら見かけるな。前のダンジョンよりモンスターのレベル高いけど、こっちの方がやりやすい理由があるのかな」
と独り言を言っていたら、さっそく目の前にパーティがいた。
メンバーは六人。パーティとしては最大人数だ。
知識のおかげで見ることの出来る情報によれば、みんなレベルは今の上限値の60。
なるほど、まさに上位パーティってことだな。
「ねぇ。その罠外すの難しそう? 別のルートを探してもいいよ?」
「いや。ちょっと待ってくれ。今、パズル解いてるから。くっそ、俺のスキルレベルでこの難しさかよ。難易度高ぇな」
どうやらパーティの先に罠があって、それの解除を行っているようだ。
俺には全く何も見えないが、あの職業「盗賊」の先頭のやつのスキルか何かで発見できるんだろう。
「解けた! 解除できたぞ。先に進もう」
「よし。作戦は最初に決めた通りだからね。チェイスは罠にだけ気を配って。残りのメンバーで戦闘をお願い」
どうやら「盗賊」のチェイスがこのダンジョンではかなり重要な役目を持っているらしい。
そういえば他のパーティも他のメンバーは色々だったが、必ず「盗賊」がいたな。
ひとまず気付かれないように後をついて行ってみるか。
そうすればあいつらが罠を先に解除してくれるからな。
しばらくついて行くと盗賊以外のメンバーはモンスターとの戦闘で疲弊していき、盗賊は罠の感知と解除で疲弊していった。
「そろそろ回復薬が切れそうだ。今回はここまでにするか。一旦戻ろう」
「分かった。ここまでの罠の位置と傾向は記録したから、次来る時はもう少し行けると思う……おい、待て!」
リーダーらしき男が撤退を伝え、それに応じてパーティは来た道を戻ろうと振り向いた。
このままでは俺と鉢合わせすると思った瞬間、チェイスが叫んだ。
しかし、その声はもう遅かったようだ。
来た道を戻ろうと足を踏み出した最後尾の女の地面の複雑な魔法陣が現れる。
パーティが通った道だし、チェイスっていう「盗賊」は通る前は何も見つけていなかった。
しかし、チェイスが叫んだってことは今は見えてたってことだ。
たまたま通り抜けた後に再設置されたか、もしくは一度通り抜けるか戻る際に現れる罠なのかもしれない。
後の方だったとしたら、このゲームの設計者はかなり性格が悪いな。
「まずい! 召喚の罠だ! 大量のモンスターが来るぞ!!」
地面の魔法陣を中心に突然周囲の壁が崩れ去り、大きな空間ができた。
その周囲の地面に同じような魔法陣が無数に描かれていて、モンスターたちがその上に現れ始めた。
「くそっ! 今の状況でこの数はまずい! 通路に走れ!!」
確かにこの数のモンスターに包囲されたらめんどくさいだろうな。
なかなか、判断が早くて的確なリーダーだ。
っと、そんなこと悠長に考えてる場合じゃないな。
結局こっちに向かってきてる。
俺がいる場所はちょうど崩れた壁できた部屋と、元からある通路のつなぎ目の辺り。
向こうも俺に気付いたようだが、モンスターに追い付かれないように必死なため、気にするつもりもないようだ。
そんなことを思っていたら、殿を務めていたリーダーの男に声をかけられた。
「おい! 君、まさか一人かい!? すまないが、仲間が罠を踏んでしまって、この先はモンスターだらけだ! 悪いことは言わないから君も逃げた方がいいよ!!」
そう言いながら俺とすれ違う。
逃げてる最中に見知らぬ俺の身を案じた言葉をかけるなんて、なんて人間のできたやつだ。
「大丈夫だ。倒してしまってもいいんだろ?」
「え……? も、もちろんさ! ごめん。僕は行くね!」
俺は構わず広場へと進んでいく。
目の前には無数のモンスター群れが、俺に狙いを定めて近寄ってくる。
「まさか壁が崩れるなんてこと起こらないよな……?」
少し不安になりながらも、少し間をおいてから俺はスキルの名前を叫んだ。
念の為振り向いて確認したが、十分に距離はあるだろう。
「ヘルフレイム!!」
俺を中心に炎が沸き上がる。
不死系は炎属性に弱く、悪魔系はモンスター毎に耐性はまちまち、物質系は全般的に属性攻撃に耐性が高い。
そんなことはお構い無しに炎に包まれたモンスターは一匹残らずポリゴンになり霧散していった。
スキルの説明に魔法と書いてあるから、きっと魔攻依存なんだろうな。
知識の高さのおかげで、一桁の物攻に比べ魔攻は文字通り桁外れに高い。
武器は未だに「初心者のそろばん」なんだけどな。
モンスターを蹴散らし、俺はそのまま先へと進んでいく。
この先は罠を見つけることも解除することもできないが、しょうがないな。
その後何度も罠にかかった。
見えない罠が突然発動し姿を現すから、心臓に悪い。
しかし、罠自体はそこまで大したことがなかった。
針が飛んでくるもの、様々な色の煙が発生するもの、爆発や電撃が発生するものなんてのもあった。
針は刺さってもさほど痛くなかったし、煙については何も起こらなかった。
もしかしたら状態異常を引き起こす罠だったのかもしれないが、装備と知識の効率上昇のおかげで俺には効かないからな。
爆発や電撃もびっくりはしたが、ダメージ自体はほとんど受けなかった。
少し減ったHPは「初級ポーション」で十分な程だ。
「お、いかにもっていう扉だな。これで逆にボスがいなかったらツッコミ入るだろ」
目の前には俺の身長の二倍の高さもある巨大な扉。
様々な模様が描かれている。
「これ、現実にあったら、絶対開けられないだろ」
なんてことを言いながら、試しに扉に触れて押してみる。
すると、そんなに力も入れていないのに、軽々と扉が奥へと開いていった。
中には祭壇があり、その中央に巨大な、剣を握りしめた鎧が鎮座している。
俺が近寄ると、その鎧が音を立てながら動き出した。
「まさに不死系や物質系の親玉、って感じだな。名前的には悪魔系も入ってるのか」
このボスモンスターの名前は「サタンズアーマー」、HPは250万もある。
幸いに、モンスターの種族は不死系、スキルによってダメージの大幅上昇が期待できる。
「この前のボスは相手の攻撃も何も見ずに倒しちゃったからな。試しにどんな攻撃してくるのか見てみるか。まぁ、死んだら死んだでまた挑戦すればいいだろ」
のんきにそんなことを思っていると、サタンズアーマーは持っている剣を振り上げ、そして振り下ろした。
俺とサタンズアーマーの間には大きな距離があり、いくら巨大とは言っても剣が届く距離ではない。
「うぉ!? 剣撃が飛んでくるのか! そういえば、さっきのパーティの一人がこんなスキル使ってたな」
使っていたのは確か職業が「剣士」だった女だったはずだ。
見た目通り、「剣士」のスキルを使ってくるのかな。
飛んできた剣撃は巨大だったこともあって、避けられず食らってしまった。
しかし、さっき食らった爆発の罠よりも更にダメージは小さい。
その後も色々な攻撃を放ってきたが、どれも「剣士」などの剣を主体で扱う職業が覚えるスキルのようだ。
変則的な攻撃やスキルを使うことも無く、次第に俺は飽きてしまった。
「HPが高いだけで、大したことないな。よし。もういいかな。ほいっと!」
俺は「銭投げ」を使い、目の前の鎧にコインの雨をお見舞する。
空間を金属を打ち付ける高い音が埋めつくし、サタンズアーマーは崩れて地面に散らばり、やがて塵となって消えた。
祭壇の上に宝箱が出現する。
今度も良いアイテムが入っていることを願って開けたが、中身は持ち家の中に飾ることのできるオブジェだった。
残念だが、俺は家を持ってないし、こんな鎧飾る趣味もないしな。
あ、そうだ。せっかくだからヒミコにあげよう。
俺は祭壇の奥に現れた魔法陣に乗る。
この前と同じように景色が変わり、ダンジョンの入口へと移動していた。
そして通知音と共にワールド全体に通知が流れた。
『【ブロムスの迷宮】攻略を【ショーニン】が初めに成し遂げました!!』
つまり俺は……二つ目の未攻略ダンジョンへ来ていた。
ん? あの後どうなったかだって?
色々大変だったとだけ言っておく。
今はダンジョンだ。そうだ。俺はダンジョンを攻略するんだ。
それが俺の目的だからな。目の前にぶらさがった甘い果実をかじりに来た訳では決してない!
別に現実の俺が彼女いない歴イコール年齢とか、恋愛経験ゼロとか、そもそも金がないとかは関係ない。
いいな?
さて、ダンジョンだ。今回のダンジョンは人工物のような作りだ。
レンガか何かが積み重なってできた、規則正しい壁で覆われている。
出てくるモンスターは不死系や悪魔系、あとは物質系と呼ばれるものが多い。
どれも比較的HPが高いモンスターが多い種族だが、不死系に関してはダメージ上昇がかなりあるから逆に楽だな。
「ここは他のパーティもちらほら見かけるな。前のダンジョンよりモンスターのレベル高いけど、こっちの方がやりやすい理由があるのかな」
と独り言を言っていたら、さっそく目の前にパーティがいた。
メンバーは六人。パーティとしては最大人数だ。
知識のおかげで見ることの出来る情報によれば、みんなレベルは今の上限値の60。
なるほど、まさに上位パーティってことだな。
「ねぇ。その罠外すの難しそう? 別のルートを探してもいいよ?」
「いや。ちょっと待ってくれ。今、パズル解いてるから。くっそ、俺のスキルレベルでこの難しさかよ。難易度高ぇな」
どうやらパーティの先に罠があって、それの解除を行っているようだ。
俺には全く何も見えないが、あの職業「盗賊」の先頭のやつのスキルか何かで発見できるんだろう。
「解けた! 解除できたぞ。先に進もう」
「よし。作戦は最初に決めた通りだからね。チェイスは罠にだけ気を配って。残りのメンバーで戦闘をお願い」
どうやら「盗賊」のチェイスがこのダンジョンではかなり重要な役目を持っているらしい。
そういえば他のパーティも他のメンバーは色々だったが、必ず「盗賊」がいたな。
ひとまず気付かれないように後をついて行ってみるか。
そうすればあいつらが罠を先に解除してくれるからな。
しばらくついて行くと盗賊以外のメンバーはモンスターとの戦闘で疲弊していき、盗賊は罠の感知と解除で疲弊していった。
「そろそろ回復薬が切れそうだ。今回はここまでにするか。一旦戻ろう」
「分かった。ここまでの罠の位置と傾向は記録したから、次来る時はもう少し行けると思う……おい、待て!」
リーダーらしき男が撤退を伝え、それに応じてパーティは来た道を戻ろうと振り向いた。
このままでは俺と鉢合わせすると思った瞬間、チェイスが叫んだ。
しかし、その声はもう遅かったようだ。
来た道を戻ろうと足を踏み出した最後尾の女の地面の複雑な魔法陣が現れる。
パーティが通った道だし、チェイスっていう「盗賊」は通る前は何も見つけていなかった。
しかし、チェイスが叫んだってことは今は見えてたってことだ。
たまたま通り抜けた後に再設置されたか、もしくは一度通り抜けるか戻る際に現れる罠なのかもしれない。
後の方だったとしたら、このゲームの設計者はかなり性格が悪いな。
「まずい! 召喚の罠だ! 大量のモンスターが来るぞ!!」
地面の魔法陣を中心に突然周囲の壁が崩れ去り、大きな空間ができた。
その周囲の地面に同じような魔法陣が無数に描かれていて、モンスターたちがその上に現れ始めた。
「くそっ! 今の状況でこの数はまずい! 通路に走れ!!」
確かにこの数のモンスターに包囲されたらめんどくさいだろうな。
なかなか、判断が早くて的確なリーダーだ。
っと、そんなこと悠長に考えてる場合じゃないな。
結局こっちに向かってきてる。
俺がいる場所はちょうど崩れた壁できた部屋と、元からある通路のつなぎ目の辺り。
向こうも俺に気付いたようだが、モンスターに追い付かれないように必死なため、気にするつもりもないようだ。
そんなことを思っていたら、殿を務めていたリーダーの男に声をかけられた。
「おい! 君、まさか一人かい!? すまないが、仲間が罠を踏んでしまって、この先はモンスターだらけだ! 悪いことは言わないから君も逃げた方がいいよ!!」
そう言いながら俺とすれ違う。
逃げてる最中に見知らぬ俺の身を案じた言葉をかけるなんて、なんて人間のできたやつだ。
「大丈夫だ。倒してしまってもいいんだろ?」
「え……? も、もちろんさ! ごめん。僕は行くね!」
俺は構わず広場へと進んでいく。
目の前には無数のモンスター群れが、俺に狙いを定めて近寄ってくる。
「まさか壁が崩れるなんてこと起こらないよな……?」
少し不安になりながらも、少し間をおいてから俺はスキルの名前を叫んだ。
念の為振り向いて確認したが、十分に距離はあるだろう。
「ヘルフレイム!!」
俺を中心に炎が沸き上がる。
不死系は炎属性に弱く、悪魔系はモンスター毎に耐性はまちまち、物質系は全般的に属性攻撃に耐性が高い。
そんなことはお構い無しに炎に包まれたモンスターは一匹残らずポリゴンになり霧散していった。
スキルの説明に魔法と書いてあるから、きっと魔攻依存なんだろうな。
知識の高さのおかげで、一桁の物攻に比べ魔攻は文字通り桁外れに高い。
武器は未だに「初心者のそろばん」なんだけどな。
モンスターを蹴散らし、俺はそのまま先へと進んでいく。
この先は罠を見つけることも解除することもできないが、しょうがないな。
その後何度も罠にかかった。
見えない罠が突然発動し姿を現すから、心臓に悪い。
しかし、罠自体はそこまで大したことがなかった。
針が飛んでくるもの、様々な色の煙が発生するもの、爆発や電撃が発生するものなんてのもあった。
針は刺さってもさほど痛くなかったし、煙については何も起こらなかった。
もしかしたら状態異常を引き起こす罠だったのかもしれないが、装備と知識の効率上昇のおかげで俺には効かないからな。
爆発や電撃もびっくりはしたが、ダメージ自体はほとんど受けなかった。
少し減ったHPは「初級ポーション」で十分な程だ。
「お、いかにもっていう扉だな。これで逆にボスがいなかったらツッコミ入るだろ」
目の前には俺の身長の二倍の高さもある巨大な扉。
様々な模様が描かれている。
「これ、現実にあったら、絶対開けられないだろ」
なんてことを言いながら、試しに扉に触れて押してみる。
すると、そんなに力も入れていないのに、軽々と扉が奥へと開いていった。
中には祭壇があり、その中央に巨大な、剣を握りしめた鎧が鎮座している。
俺が近寄ると、その鎧が音を立てながら動き出した。
「まさに不死系や物質系の親玉、って感じだな。名前的には悪魔系も入ってるのか」
このボスモンスターの名前は「サタンズアーマー」、HPは250万もある。
幸いに、モンスターの種族は不死系、スキルによってダメージの大幅上昇が期待できる。
「この前のボスは相手の攻撃も何も見ずに倒しちゃったからな。試しにどんな攻撃してくるのか見てみるか。まぁ、死んだら死んだでまた挑戦すればいいだろ」
のんきにそんなことを思っていると、サタンズアーマーは持っている剣を振り上げ、そして振り下ろした。
俺とサタンズアーマーの間には大きな距離があり、いくら巨大とは言っても剣が届く距離ではない。
「うぉ!? 剣撃が飛んでくるのか! そういえば、さっきのパーティの一人がこんなスキル使ってたな」
使っていたのは確か職業が「剣士」だった女だったはずだ。
見た目通り、「剣士」のスキルを使ってくるのかな。
飛んできた剣撃は巨大だったこともあって、避けられず食らってしまった。
しかし、さっき食らった爆発の罠よりも更にダメージは小さい。
その後も色々な攻撃を放ってきたが、どれも「剣士」などの剣を主体で扱う職業が覚えるスキルのようだ。
変則的な攻撃やスキルを使うことも無く、次第に俺は飽きてしまった。
「HPが高いだけで、大したことないな。よし。もういいかな。ほいっと!」
俺は「銭投げ」を使い、目の前の鎧にコインの雨をお見舞する。
空間を金属を打ち付ける高い音が埋めつくし、サタンズアーマーは崩れて地面に散らばり、やがて塵となって消えた。
祭壇の上に宝箱が出現する。
今度も良いアイテムが入っていることを願って開けたが、中身は持ち家の中に飾ることのできるオブジェだった。
残念だが、俺は家を持ってないし、こんな鎧飾る趣味もないしな。
あ、そうだ。せっかくだからヒミコにあげよう。
俺は祭壇の奥に現れた魔法陣に乗る。
この前と同じように景色が変わり、ダンジョンの入口へと移動していた。
そして通知音と共にワールド全体に通知が流れた。
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悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
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