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第2章
第38話【イベント開催予告】
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ボス部屋の中には大きな木が一本立っていた。
どう考えてもこいつがここのボスだろう。
トレントってやつがモンスターにいるからそれの親玉みたいな感じか?
とにかくバカでかい。
「木なら俺の火属性のスキルが抜群に効くな。がっはっは」
トンヌラはそう言いながらダメージを上げるスキルの【砥石】を使う。
勝手に突っ込まないところに好感が持てる。
「ひとまず攻撃を見てみるか。臭いより音かな?」
いつも通り【金にものを言わせる】を使うが反応がない。
【金の匂い】も同様、つまり熱源探知か。
「しょうがない。今から攻撃するぞ。気をつけろよ」
「はーい。ショーニン。やっちゃってー」
ミーシャの軽口を聞きながら、俺は【銭投げ】を使う。
そう言えば複利計算に変わった割にステータスやダメージが思ったほど高くないことに今更気が付く。
と言っても記憶の中の【複利計算】を使う前の数値に比べたら遥かに大きい。
HPは確か70万くらいだったはずなのに、今は300万を超えているし、ダメージもトンヌラやヒミコのスキルの恩恵はあるものの、一撃で100万を超える。
「なんだろうなぁ……あ! 装備のステが下がってやがる!! あ、そう言えばロキがそんなこと言ってたか」
「ちょっと、ショーニン。何一人でブツブツ言ってんの? ボス戦中なんだけど?」
ヒミコの言葉で意識を目の前のボス【ユグドラシル】に向ける。
アップデートで色々インフレを起こしたおかげか、HPは3000万もある。
ヒミコの【馬鹿には見えない服】の効果は一回しかないから、ここぞと言う時以外のダメージは35万を少し切る。
【隼のグローブ】のおかげで実質二倍だから70万に届かないくらいだ。
それでも何度も【銭投げ】を繰り返せば倒せるくらいのHPだが……。
うん? そう言えば火属性に弱いって言ってたな。
表れている情報を見ると確かにそのようだ。
しかもこのモンスター、枝を生き物のように動かして攻撃するんだが、それぞれにHPがあり別モンスター扱いになってるらしい。
もちろん本体に比べればHPも少ない。
これは使えるかもしれないな。
「ヒミコ! ボスに【馬鹿には見えない服】を使ってくれ! 今から大技使うぞ!」
「分かりましたわ! ショーニン、期待してますわよ!!」
ヒミコが俺の言った通りにスキルを使ったのを確認した後、俺は新しく手に入れたスキル【連帯保証】を使う。
さらに装飾品の【隼のグローブ】と【魔神の指環】を付け替える。
これで準備はできた。
俺は装備によって習得するEXスキル【ヘルフレイム】を唱えた!
「この前の忌々しい技か!」
「でも味方が使うならこれほど頼りになるスキルはないですわ」
トンヌラは【アキンドー】にやられたことを未だに根に持ってるらしい。
まぁしょうがないな。それほどまでにこの技は凄まじい。
無数の炎が【ユグドラシル】と枝たちを襲う。
だがこの一撃だけで倒すのは不可能だ。
今の俺の知識は3000越え、それでもヘルフレイムで与えられるダメージは【馬鹿には見えない服】の効果で1500万くらい。
これでも十分馬鹿みたいな値だが、これでは倒せない。
それを補ってくれるのが、枝に与えたダメージだ。
枝に与えるのが500万くらいだから、枝自身のHPを考えても四本当てればお釣りが来る。
今目の前にいる枝は全部で十本。
俺の一撃で【ユグドラシル】はポリゴン化して霧散した。
「おいおい。なんだ今の。馬鹿みたいなダメージだったぞ?」
「前の偽ショーニンが使ったのよりもさらにダメージでかいじゃん。どー言うこと?」
「あー、あれだ。まずはトンヌラとヒミコのスキルのおかげ。後はこいつが火が弱点だったってことだな。いずれにしろ、パーティだったからできたって訳だ」
「うふふふ。ショーニンにそう言ってもらえると嬉しいですわ。正直、私お荷物になっていないか心配で……」
ヒミコが本当に嬉しそうな顔をする。
そんなこと思ってたのか、言われるまで全然気が付かなかったな。
少なくとも俺のダメージを底上げする意味ではパーティは非常に助かっている。
俺一人でも倒せないことはなかっただろうが、楽さが全然違うからな。
「いや。きちんと言うべきだったな。みんなのおかげですごく助かってるよ。これからもよろしく頼む」
「もちろんですわ!!」
そういうとヒミコは俺に抱きついてきた。
トンヌラとミーシャの目線が痛いから自重してくれ……。
「ひ、ひとまず宝箱を開けて外に出ようぜ。次が待ってるかもしれないし」
「そうですわね!」
俺の言葉に反応して離れてくれたヒミコに内心ほっとする。
さて、どんなアイテムが手に入るのかな?
「なんだこれ? 素材だな」
【ユグドラシルの若木】
世界樹から取れた枝。様々なアイテムの素材に適する。
「まぁ、そんなこともあるか。じゃあ出ようか」
他のメンバーも同じものが手に入ったらしい。
みんなは生産職だから素材でも嬉しいのかな?
俺らは現れた魔法陣に乗り、ダンジョンを後にした。
☆
リーブルの街に戻った途端、突然空が明るくなった。
他のプレイヤーたちも何事かと空を仰ぐ。
「なんだなんだ? 何が起こった?」
「あ、ショーニン! あれを見てください!!」
ヒミコが指さす方向に小さな猫の顔をした亜人が浮かんでいた。
手には何故かマイクを持っている。
『レディース、アンド、ジェントルメーン!! 皆様! 初めまして。今回のイベント告知担当を努めさせていただきます、GMのサキです!! 以後よろしくお願いします!』
マイクに向かって話す言葉はゲーム中に放送されているようだ。
おそらくどこにいてもサキとかいうキャラが見えるような設定になってるんだろう。
「GMってなんだ?」
「ゲームマスター、つまり運営チームの操作するプレイヤーキャラね。なんかイベントやるって言ってるから、作ったのかな?」
『いつもインフィニティ・オンラインをお楽しみいただきありがとうございます! さて! 早速イベントの内容告知をさせていただきます!! なんと! 一週間後に、パーティ対抗バトルロワイヤルを開催致します!! はい拍手ー!!」
パーティ対抗バトルロワイヤルだと?
面白い。葵とさっさと決着をつけるのに持ってこいじゃないか。
どう考えてもこいつがここのボスだろう。
トレントってやつがモンスターにいるからそれの親玉みたいな感じか?
とにかくバカでかい。
「木なら俺の火属性のスキルが抜群に効くな。がっはっは」
トンヌラはそう言いながらダメージを上げるスキルの【砥石】を使う。
勝手に突っ込まないところに好感が持てる。
「ひとまず攻撃を見てみるか。臭いより音かな?」
いつも通り【金にものを言わせる】を使うが反応がない。
【金の匂い】も同様、つまり熱源探知か。
「しょうがない。今から攻撃するぞ。気をつけろよ」
「はーい。ショーニン。やっちゃってー」
ミーシャの軽口を聞きながら、俺は【銭投げ】を使う。
そう言えば複利計算に変わった割にステータスやダメージが思ったほど高くないことに今更気が付く。
と言っても記憶の中の【複利計算】を使う前の数値に比べたら遥かに大きい。
HPは確か70万くらいだったはずなのに、今は300万を超えているし、ダメージもトンヌラやヒミコのスキルの恩恵はあるものの、一撃で100万を超える。
「なんだろうなぁ……あ! 装備のステが下がってやがる!! あ、そう言えばロキがそんなこと言ってたか」
「ちょっと、ショーニン。何一人でブツブツ言ってんの? ボス戦中なんだけど?」
ヒミコの言葉で意識を目の前のボス【ユグドラシル】に向ける。
アップデートで色々インフレを起こしたおかげか、HPは3000万もある。
ヒミコの【馬鹿には見えない服】の効果は一回しかないから、ここぞと言う時以外のダメージは35万を少し切る。
【隼のグローブ】のおかげで実質二倍だから70万に届かないくらいだ。
それでも何度も【銭投げ】を繰り返せば倒せるくらいのHPだが……。
うん? そう言えば火属性に弱いって言ってたな。
表れている情報を見ると確かにそのようだ。
しかもこのモンスター、枝を生き物のように動かして攻撃するんだが、それぞれにHPがあり別モンスター扱いになってるらしい。
もちろん本体に比べればHPも少ない。
これは使えるかもしれないな。
「ヒミコ! ボスに【馬鹿には見えない服】を使ってくれ! 今から大技使うぞ!」
「分かりましたわ! ショーニン、期待してますわよ!!」
ヒミコが俺の言った通りにスキルを使ったのを確認した後、俺は新しく手に入れたスキル【連帯保証】を使う。
さらに装飾品の【隼のグローブ】と【魔神の指環】を付け替える。
これで準備はできた。
俺は装備によって習得するEXスキル【ヘルフレイム】を唱えた!
「この前の忌々しい技か!」
「でも味方が使うならこれほど頼りになるスキルはないですわ」
トンヌラは【アキンドー】にやられたことを未だに根に持ってるらしい。
まぁしょうがないな。それほどまでにこの技は凄まじい。
無数の炎が【ユグドラシル】と枝たちを襲う。
だがこの一撃だけで倒すのは不可能だ。
今の俺の知識は3000越え、それでもヘルフレイムで与えられるダメージは【馬鹿には見えない服】の効果で1500万くらい。
これでも十分馬鹿みたいな値だが、これでは倒せない。
それを補ってくれるのが、枝に与えたダメージだ。
枝に与えるのが500万くらいだから、枝自身のHPを考えても四本当てればお釣りが来る。
今目の前にいる枝は全部で十本。
俺の一撃で【ユグドラシル】はポリゴン化して霧散した。
「おいおい。なんだ今の。馬鹿みたいなダメージだったぞ?」
「前の偽ショーニンが使ったのよりもさらにダメージでかいじゃん。どー言うこと?」
「あー、あれだ。まずはトンヌラとヒミコのスキルのおかげ。後はこいつが火が弱点だったってことだな。いずれにしろ、パーティだったからできたって訳だ」
「うふふふ。ショーニンにそう言ってもらえると嬉しいですわ。正直、私お荷物になっていないか心配で……」
ヒミコが本当に嬉しそうな顔をする。
そんなこと思ってたのか、言われるまで全然気が付かなかったな。
少なくとも俺のダメージを底上げする意味ではパーティは非常に助かっている。
俺一人でも倒せないことはなかっただろうが、楽さが全然違うからな。
「いや。きちんと言うべきだったな。みんなのおかげですごく助かってるよ。これからもよろしく頼む」
「もちろんですわ!!」
そういうとヒミコは俺に抱きついてきた。
トンヌラとミーシャの目線が痛いから自重してくれ……。
「ひ、ひとまず宝箱を開けて外に出ようぜ。次が待ってるかもしれないし」
「そうですわね!」
俺の言葉に反応して離れてくれたヒミコに内心ほっとする。
さて、どんなアイテムが手に入るのかな?
「なんだこれ? 素材だな」
【ユグドラシルの若木】
世界樹から取れた枝。様々なアイテムの素材に適する。
「まぁ、そんなこともあるか。じゃあ出ようか」
他のメンバーも同じものが手に入ったらしい。
みんなは生産職だから素材でも嬉しいのかな?
俺らは現れた魔法陣に乗り、ダンジョンを後にした。
☆
リーブルの街に戻った途端、突然空が明るくなった。
他のプレイヤーたちも何事かと空を仰ぐ。
「なんだなんだ? 何が起こった?」
「あ、ショーニン! あれを見てください!!」
ヒミコが指さす方向に小さな猫の顔をした亜人が浮かんでいた。
手には何故かマイクを持っている。
『レディース、アンド、ジェントルメーン!! 皆様! 初めまして。今回のイベント告知担当を努めさせていただきます、GMのサキです!! 以後よろしくお願いします!』
マイクに向かって話す言葉はゲーム中に放送されているようだ。
おそらくどこにいてもサキとかいうキャラが見えるような設定になってるんだろう。
「GMってなんだ?」
「ゲームマスター、つまり運営チームの操作するプレイヤーキャラね。なんかイベントやるって言ってるから、作ったのかな?」
『いつもインフィニティ・オンラインをお楽しみいただきありがとうございます! さて! 早速イベントの内容告知をさせていただきます!! なんと! 一週間後に、パーティ対抗バトルロワイヤルを開催致します!! はい拍手ー!!」
パーティ対抗バトルロワイヤルだと?
面白い。葵とさっさと決着をつけるのに持ってこいじゃないか。
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