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第2章
第39話【葵の実力】
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「もちろんロキたちも今度のイベント出るんだろ?」
「もちろん! 楽しみだなぁ。葵ちゃんなんて優勝するって意気込んでたよ」
「当たり前だ!! プレイヤーなら! イベントで一位を目指すのが当たり前だろうがっ! それにショーニン、お前を倒すのはこの私だ!!」
「いや、なんでお前がここに来て和んでんだよ……」
イベント開催の告知が終わった後、俺たちはヒミコのアトリエに集まった。
ついでだと、ロキを誘ったらなぜだか呼んでない葵もひょっこり着いてきた。
金魚のフンかな?
「何を言う!! リーダーのロキさんが呼ばれて、一人で敵陣に送る訳にはいくまい! だから私が護衛がてら付いてきたという訳だ。分かったか!」
「うふふ。はい、葵さん。今回はバラの匂いがするハーブティなのですよ。ご賞味あれ」
「あ、ありがとう」
「だから、なんで護衛がちゃっかり座って、しかも茶を飲んでるんだよ……」
ヒミコが出した新作のハーブティセットを嬉しそうに飲む葵。
こいつ絶対これが目当てだったろ。
この前もすごく嬉しそうに飲んでたし。
まぁ、家主がいいって言うならいいか。
「まあいい。それで、そっちは全部こっちの手の内知ってるんだろ? そっちも少しは教えろよ」
「馬鹿め! 誰が敵に塩を送るヤツがいるか! 知りたかったら自分で調べろ!」
「うん。僕のはだいたい知っているでしょ? 【暗黒剣士】。攻撃特化の近接職。装甲は紙だけど【受け流し】があるからね。それと葵ちゃんはね……」
「り、リーダー!?」
こいつ、普段はロキのことリーダーって呼んでるのか。
そもそもさん付けだし、俺のことは呼び捨てなのにな。
「知っての通りの敏捷特化の【武闘家】。いやぁ、かなり尖った性能だよ。とにかく強い」
「ふ、ふん! どうだ! リーダーは私のことを買ってくれてるんだ! ショーニンじゃなくて私をな!」
うん? なんか言い方が気になるな。
ロキが買ってくれていることにやけにこだわるじゃないか。
これはもしかして、ちょっとするとちょっとするか?
よし、試しにかまをかけてみるか。
「おー、そうだな。じゃあ、ロキにいい所見せないといけないな。もし俺に勝ったらロキが惚れちゃうかもしれないなぁ」
「ほ、本当か!? ショーニン!! 今すぐ勝負だ!! ……あ、いや。大丈夫だ。イベントできちんとお前らに勝つから……」
あっはっは。
こいつ、馬鹿みたいに分かりやすいな。
ほほぅ。これは是が非でも負けてやれないな。
恋の障壁は高ければ高いほど燃えるのだ!
って、なんかこれだと、俺がロキを奪いにいってるみたいに感じるな……。
う……悪寒が……。
☆
そんなこんなで一週間がたち、イベント当日。
俺たちはひとまずレベル上げておこうってことでレベル上げをしていた。
前みたいに一日中やる訳にもいかなかったから、結局一週間で62までしか上がらなかった。
それでもレベルアップの効果は凄まじく、十分に強さの底上げができた。
「さて……そろそろ時間だな。ヒミコ、ミーシャ、トンヌラ、頼むぞ!」
「任せてください! とは言ったものの、そのステータスに勝てるプレイヤーがいるのでしょうか……」
「もう既にショーニンがボスで、レイド戦みたいなもんだよなー」
「なんだったら俺らもショーニンを倒す側に回ってもいいな。がっはっは」
なんて言ってたら、GMのサキがまた上空に現れた。
『皆様! 長らくお待たせしました! まもなく、パーティ対抗バトルロワイヤルを開催致します!! 参加者は事前にパーティを組んでいただき、パーティリーダーの方は、表示された選択肢で【参加する】を選択してください!!』
サキは説明を続けた。
『それではもう一度今回のイベントの説明を繰り返します!! まず――』
今回のイベントのルールはこんな感じだ。
パーティ毎に他のプレイヤーを倒していく。
倒すとレベルに応じたポイントがもらえる。
キル判定はラストアタック、つまり最後の一撃を与えた者に与えられる。
あとはプレイヤースキル以外のアイテム使用禁止。
ミーシャは薬のみ使えるってことだな。
『なお、勝手ではございますが、【金を食う】は今回禁止スキルとさせていただきます! ご理解いただけるようお願いします!!』
「は……?」
「どういうことですの!?」
「おいおい。ピンポイント過ぎんだろ……」
「これ絶対ショーニン狙い撃ちよね」
あからさまだが、確かにHP完全回復なんて使われたら俺だったらやる気が失せる。
そこら辺を考えたんだろうが、やるならもうちょっと上手くやれよ。
『それでは! 時間になりましたので始めさせていただきます! フィールドはリーブルの街になります!! ただし、地形が一緒なだけで、完全に別フィールドになります。ご武運を!!』
一瞬目の前が暗くなり、明るくなった時には言われた通りリーブルの街の中にいた。
そんなにくわしくないが、確か西の外れの方だった気がする。
「おいおい……パーティ対抗なのに最初はバラバラかよ……」
てっきりパーティ同じ場所に移動すると思っていたが、みんな離れたところに移動したらしい。
幸いパーティチャットは使えるみたいなので、それぞれ落ち合うように伝えた。
俺がいちばん近いのはヒミコだな。
ということで中間地点を目指して移動を始める。
『おーっと、葵選手。凄まじい速さでプレイヤーを倒しています!! 現在2位を大幅に突き放しての堂々の1位です!!』
「なんだと……?」
どうやらサキが中継をするらしい。
そのセリフで俺は方針を変えた。
「すまん。まずは三人で集まってくれ。俺は今からすぐに狩りを始める!!」
やってくれるじゃないか、葵。
すぐに追いついてやるぜ!
「もちろん! 楽しみだなぁ。葵ちゃんなんて優勝するって意気込んでたよ」
「当たり前だ!! プレイヤーなら! イベントで一位を目指すのが当たり前だろうがっ! それにショーニン、お前を倒すのはこの私だ!!」
「いや、なんでお前がここに来て和んでんだよ……」
イベント開催の告知が終わった後、俺たちはヒミコのアトリエに集まった。
ついでだと、ロキを誘ったらなぜだか呼んでない葵もひょっこり着いてきた。
金魚のフンかな?
「何を言う!! リーダーのロキさんが呼ばれて、一人で敵陣に送る訳にはいくまい! だから私が護衛がてら付いてきたという訳だ。分かったか!」
「うふふ。はい、葵さん。今回はバラの匂いがするハーブティなのですよ。ご賞味あれ」
「あ、ありがとう」
「だから、なんで護衛がちゃっかり座って、しかも茶を飲んでるんだよ……」
ヒミコが出した新作のハーブティセットを嬉しそうに飲む葵。
こいつ絶対これが目当てだったろ。
この前もすごく嬉しそうに飲んでたし。
まぁ、家主がいいって言うならいいか。
「まあいい。それで、そっちは全部こっちの手の内知ってるんだろ? そっちも少しは教えろよ」
「馬鹿め! 誰が敵に塩を送るヤツがいるか! 知りたかったら自分で調べろ!」
「うん。僕のはだいたい知っているでしょ? 【暗黒剣士】。攻撃特化の近接職。装甲は紙だけど【受け流し】があるからね。それと葵ちゃんはね……」
「り、リーダー!?」
こいつ、普段はロキのことリーダーって呼んでるのか。
そもそもさん付けだし、俺のことは呼び捨てなのにな。
「知っての通りの敏捷特化の【武闘家】。いやぁ、かなり尖った性能だよ。とにかく強い」
「ふ、ふん! どうだ! リーダーは私のことを買ってくれてるんだ! ショーニンじゃなくて私をな!」
うん? なんか言い方が気になるな。
ロキが買ってくれていることにやけにこだわるじゃないか。
これはもしかして、ちょっとするとちょっとするか?
よし、試しにかまをかけてみるか。
「おー、そうだな。じゃあ、ロキにいい所見せないといけないな。もし俺に勝ったらロキが惚れちゃうかもしれないなぁ」
「ほ、本当か!? ショーニン!! 今すぐ勝負だ!! ……あ、いや。大丈夫だ。イベントできちんとお前らに勝つから……」
あっはっは。
こいつ、馬鹿みたいに分かりやすいな。
ほほぅ。これは是が非でも負けてやれないな。
恋の障壁は高ければ高いほど燃えるのだ!
って、なんかこれだと、俺がロキを奪いにいってるみたいに感じるな……。
う……悪寒が……。
☆
そんなこんなで一週間がたち、イベント当日。
俺たちはひとまずレベル上げておこうってことでレベル上げをしていた。
前みたいに一日中やる訳にもいかなかったから、結局一週間で62までしか上がらなかった。
それでもレベルアップの効果は凄まじく、十分に強さの底上げができた。
「さて……そろそろ時間だな。ヒミコ、ミーシャ、トンヌラ、頼むぞ!」
「任せてください! とは言ったものの、そのステータスに勝てるプレイヤーがいるのでしょうか……」
「もう既にショーニンがボスで、レイド戦みたいなもんだよなー」
「なんだったら俺らもショーニンを倒す側に回ってもいいな。がっはっは」
なんて言ってたら、GMのサキがまた上空に現れた。
『皆様! 長らくお待たせしました! まもなく、パーティ対抗バトルロワイヤルを開催致します!! 参加者は事前にパーティを組んでいただき、パーティリーダーの方は、表示された選択肢で【参加する】を選択してください!!』
サキは説明を続けた。
『それではもう一度今回のイベントの説明を繰り返します!! まず――』
今回のイベントのルールはこんな感じだ。
パーティ毎に他のプレイヤーを倒していく。
倒すとレベルに応じたポイントがもらえる。
キル判定はラストアタック、つまり最後の一撃を与えた者に与えられる。
あとはプレイヤースキル以外のアイテム使用禁止。
ミーシャは薬のみ使えるってことだな。
『なお、勝手ではございますが、【金を食う】は今回禁止スキルとさせていただきます! ご理解いただけるようお願いします!!』
「は……?」
「どういうことですの!?」
「おいおい。ピンポイント過ぎんだろ……」
「これ絶対ショーニン狙い撃ちよね」
あからさまだが、確かにHP完全回復なんて使われたら俺だったらやる気が失せる。
そこら辺を考えたんだろうが、やるならもうちょっと上手くやれよ。
『それでは! 時間になりましたので始めさせていただきます! フィールドはリーブルの街になります!! ただし、地形が一緒なだけで、完全に別フィールドになります。ご武運を!!』
一瞬目の前が暗くなり、明るくなった時には言われた通りリーブルの街の中にいた。
そんなにくわしくないが、確か西の外れの方だった気がする。
「おいおい……パーティ対抗なのに最初はバラバラかよ……」
てっきりパーティ同じ場所に移動すると思っていたが、みんな離れたところに移動したらしい。
幸いパーティチャットは使えるみたいなので、それぞれ落ち合うように伝えた。
俺がいちばん近いのはヒミコだな。
ということで中間地点を目指して移動を始める。
『おーっと、葵選手。凄まじい速さでプレイヤーを倒しています!! 現在2位を大幅に突き放しての堂々の1位です!!』
「なんだと……?」
どうやらサキが中継をするらしい。
そのセリフで俺は方針を変えた。
「すまん。まずは三人で集まってくれ。俺は今からすぐに狩りを始める!!」
やってくれるじゃないか、葵。
すぐに追いついてやるぜ!
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