顔色を窺って生きてきたら、顔色が見えるようになった私は、化粧品売り場で悩み相談員として過ごしてます

黄舞

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第2話【変な生き物】

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「う、わぁ!! あれ? なんだ。夢か」
「夢じゃないぞ」
「わぁぁ!?」

 飛び起きて辺りを見渡すと、見慣れたベッドの上だったので、私は夢だと思い込んだ。
 問題はと言えば、会社に着ていったスーツ姿のままだと言うこと。
 
 いつ帰ってきて、いつベッドに入ったんだろうと思った。
 その矢先。

 夢で聞いた声が、耳に入ってきたため、私は驚きのあまり大声を再度出してしまった。

「ワシは童、お主のことが気に入った。と言うことで、これからも頼むぞ」

 私の足元に立っていたのは、夢に出てきた狐のぬいぐるみだった。
 昨日は暗闇でよく分からなかったが、どこからどう見てもぬいぐるみだ。

 黄色の身体に、白の三角形をした耳とふっくらとしたしっぽが着いている。
 黒の瞳が愛らしい。

 店で見つけたらついつい抱きしめたくなるような見た目だけど、残念ながら少し薄汚れている。

「これこれ。夢でないと言うに。それに、狐のぬいぐるみなどではない。神だと言っておろう」
「考えを読んだ!? か、神様だったら、なんかすごいことできるんでしょう!? しょ、証拠見せてよ!!」

「ふむ。もうすでにお主の顔色を窺いたくないという願いは叶えておるしのう。それが証拠じゃダメかの?」
「願い叶えたって! 何をどうしたって言うんの!!」
「ちょっと育美いくみ。さっきから何叫んでるの!? 朝からうるさいわよ!!」

 突然部屋の扉が開き、お母さんが入ってきた。
 そのお母さんの顔を見て、私は目を丸くする。

 何故なら、お母さんの色が赤く染まっていたからだ。

「ご、ごめん。変な夢を見ちゃったんだ。今起きたから、大丈夫だよ。そんなに怒らないで?」
「あら。まぁ、怒ってなんかいないわよ。とにかく。そろそろ支度しなさいね。仕事に遅れるわよ」

 みるみるうちにお母さんの赤かった顔が、普通の色に戻っていった。
 部屋から出て扉を閉めるまで、お母さんを見送ると、私は慌てて狐のぬいぐるみ……ああ、もう! 神様の方に目をやった。

「何あれ? 今の!」
「じゃから。顔色を窺わなくて済むようになったじゃろ?」

 その後、狐のぬいぐるみ改め神様の説明を聞くと、喜怒哀楽が顔の色で分かるようになったという。
 つまり、顔色が見えるようになったというわけだ。

「よく分からないけど、これって私の思ってたのと違う……」
「何を言っておる! きちんと願いを叶えたじゃろうが。お礼に昨日の供えをもう一度馳走してくれてもいいんじゃぞ?」

 そんな神様は、図々しくも、お供え物を要求してきたのだった。
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