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1章
第二十四話:彼女の嗜好
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「ぁ――っ……はぁ~」
一ノ瀬綾乃は目を覚まして、枕元のスマホを見ると既に九時を過ぎていた。
彼女は休日でも毎朝目覚ましを掛けているのだが、一時間以上も寝過ごしている。
だというのに余り睡眠をとった気はしなかった。
怠い、眠い、身体はそう訴えている癖に、
「どうしよう、会いたい……」
寝起き一番で思うのは、彼氏の事だった。
数日前に恋人になってから常に顔を合わせ、昨日はデートまでした筈なのだが……まだ足りないらしい。
スマホの画面を操作して彼に『今日、暇?』とメッセージを送ろうとして、はたと思う。
昨日一日中デートしたのに今日も、となると迷惑かもしれない。
彼にも友人との付き合いもあるし、趣味もあるだろう。
自分の為に休日を全て潰させるには流石に気が引けた。
「まぁ、どうせ話すタイミング位あるだろうし……」
あまり構って貰うのを要求して煙たがられるのも避けたい所。
無性に、そして今すぐ顔を見たいし声を聞きたい気分なのだが少し位は自重しよう、とスマホの電源キーを押した直後、その彼――上条悠斗から通話の着信。
「ひゃっ!?」
慌てて電話に出た。
「な――何!?」
『おっ、びっくりした!』
悠斗がスマホを耳から離したのが分かった。
「あ、ごめん」
『いや、大丈夫。――それより、そっちは大丈夫か?』
「え、何が?」
『いや、綾乃がこの時間までカーテン閉めっぱなしなのは珍しいからさ。体調でも悪いのかなって』
言われて、カーテンを開けると窓の向こうで悠斗が小さく手を上げた。
通話を切って窓を開ける。
「ちゃんと寝れてないのか?」
「あー、うん。でも平気。ただアンタの事、考えてたらドキドキして寝れなかっただけだから」
自然と口をついた言葉に、
「……え」
「あ……」
数秒の沈黙後、悠斗は笑いを溢した。
「何だ、綾乃もか」
「“もか”って……何よ」
顔を赤くさせる綾乃に、悠斗は照れくさそうに、
「俺も中々、寝れなかったよ。昨日はおじさんと話せたからか、昔の事を思い出しちゃってさ」
「あ、あぁ――そう……」
また少しだけ間が空いて、
「風邪とかじゃないなら安心した。寝不足なら今日はゆっくりしていると良いよ……出来れば今日も一緒に居たかったけど、それじゃ綾乃も窮屈だもんな」
言われて綾乃は、はっとした。そして、嬉しい様な恥ずかしい様な気分になる。
……彼も同じことを思っていた様だ。
「それじゃ、今日はのんびりって事で」
「あ、ちょっと待って」
窓から離れようとした彼に綾乃は声を掛けた。
「私もさ、今日も特に予定無いから……お昼食べたら、そっち行って良い?」
「良いけど、休んでないで大丈夫か? なんか顔赤いぞ?」
誰のせいでこうなったと思ってる。あとガチで心配すんな、とムスッと睨んだ。
「大丈夫よ。傍に居るだけで良いし――アンタと、大好きな人と居た方が元気になるから」
綾乃よりも赤面した悠斗が何か言う前に、
「じゃ、着替えるから!」
彼女は勢いよくカーテンを閉めた。
◇
「……なるほど、こういう事ね」
昼を少し過ぎた頃、映画のブルーレイディスクとお菓子各種を持参した一ノ瀬綾乃は上条悠斗の部屋に数年振りに招かれて、フムと小さく唸った。
「名探偵みたいな事言い出してどうしたの?」
彼女からディスクを受け取った悠斗が怪訝そうに眉を顰めると、綾乃は真剣な顔で、
「アンタがこの間、私の部屋に来た時の気持ちが分かったわ。なんかその……あれね」
「緊張する?」
「うん。だって、男の子の部屋に連れ込まれちゃったし」
「人聞き悪い言い方、やめてくんないかなぁー? 来るって言ったのそちらよ」
悠斗がテレビをつけて、レコーダーにディスクを入れている間に綾乃は安っぽい小さめのカーペットの上に並べた二人掛けの座椅子に腰を下ろした。
彼の背を眺めながら、
「でも……ホント、自分以外の部屋の匂いって、結構気になるのね」
どこか落ち着き無く言う綾乃に悠斗は顔を引き攣らせた。
「え? 嘘、臭う? 消臭スプレーしたんだけど……」
「まぁーちょっとね。でも、自分の部屋の匂いなんて分かんないもんよ。私もそうだし、気にしないで。しばらく居れば慣れるだろうし」
「いや……ごめん。もっかいするから一旦、退室して貰っても良い?」
どこからか取り出した消臭スプレーを両手に構えた彼に、綾乃は目を丸くしてから、堪える様に笑い出す。
「二刀流? どんだけ気にしてたのよ。――って、待って撒かないで!? 多い多い! 使用上の注意を守んなさいよ!!」
「だって……綾乃が……臭いって……」
「あ、涙目になってる? 違うわよ、別に臭いって訳じゃ……だから、やたらめったら撒くんじゃないっての! 寧ろ、スプレーの『クリアブルーの香り』が臭い! そしてベタつく!」
「やっぱ……臭いって……うぅっ」
「本気で泣き出した!?」
シュッ、シュッと交互に撒き散らす悠斗から、綾乃はスプレーを奪い取り、
「だから、違うってば!? この部屋、アンタの匂いがしてドキドキするってだけよ!」
濁した言葉の意味を口にした。割と大声で。
そして、沈黙。
……――たっぷりの間の後。
「……よし、映画見ようぜー。楽しみだなー、マジタノシミダワー」
「ねぇ、ユート? ごめん、引かないで? さっきのはちょっと、アレだったけど別にそういう癖とかじゃないからね」
「あ……うん。分かってる、ヨ……?」
「お願いだから素で引かないで!? そんな気まずそうな優しい笑みしないで!」
「――綾乃」
何とも言えない表情から、悠斗は真剣な顔をした。
「告白の時にも言ったけど、俺は綾乃が好きだ。高校を卒業した後も、綾乃とは真剣に付き合いたいと思ってる」
「……うん。私も、そう――だけど」
「本気で愛し合うってのは、お互いの良い所も悪い所も、知って受け入れる事だと思う。これから一緒に居るとさ、多分俺の嫌な所が気になると思うけど、それでも傍に居て欲しいんだ。俺も綾乃の色んな所をひっくるめて――愛していきたい」
「ぇ、あの、ちょっ……何? そんな、急に――」
顔を赤くし胸を抑える綾乃に、
「だから……俺は気にしないから。綾乃の要望には極力、応えるつもりだ。人には人の趣味趣向ってのがあるし、お互いに尊重出来る所は……していこう」
「ねぇ、だから待って? 私、そこまでガチな匂いフェチじゃないからね? やっぱ、引いているよね? なんで、目逸らすの? 『大丈夫、大丈夫』じゃなくてさ……。いや、ホントに違うから!?」
「俺も恥ずかしいけどさ、綾乃の為なら……どうぞ」
「両手を広げないで!? 別に嗅ぎたい訳じゃないから!」
「……やっぱ、臭いんだ……」
「私の彼氏、めんどくせっ!」
一ノ瀬綾乃は目を覚まして、枕元のスマホを見ると既に九時を過ぎていた。
彼女は休日でも毎朝目覚ましを掛けているのだが、一時間以上も寝過ごしている。
だというのに余り睡眠をとった気はしなかった。
怠い、眠い、身体はそう訴えている癖に、
「どうしよう、会いたい……」
寝起き一番で思うのは、彼氏の事だった。
数日前に恋人になってから常に顔を合わせ、昨日はデートまでした筈なのだが……まだ足りないらしい。
スマホの画面を操作して彼に『今日、暇?』とメッセージを送ろうとして、はたと思う。
昨日一日中デートしたのに今日も、となると迷惑かもしれない。
彼にも友人との付き合いもあるし、趣味もあるだろう。
自分の為に休日を全て潰させるには流石に気が引けた。
「まぁ、どうせ話すタイミング位あるだろうし……」
あまり構って貰うのを要求して煙たがられるのも避けたい所。
無性に、そして今すぐ顔を見たいし声を聞きたい気分なのだが少し位は自重しよう、とスマホの電源キーを押した直後、その彼――上条悠斗から通話の着信。
「ひゃっ!?」
慌てて電話に出た。
「な――何!?」
『おっ、びっくりした!』
悠斗がスマホを耳から離したのが分かった。
「あ、ごめん」
『いや、大丈夫。――それより、そっちは大丈夫か?』
「え、何が?」
『いや、綾乃がこの時間までカーテン閉めっぱなしなのは珍しいからさ。体調でも悪いのかなって』
言われて、カーテンを開けると窓の向こうで悠斗が小さく手を上げた。
通話を切って窓を開ける。
「ちゃんと寝れてないのか?」
「あー、うん。でも平気。ただアンタの事、考えてたらドキドキして寝れなかっただけだから」
自然と口をついた言葉に、
「……え」
「あ……」
数秒の沈黙後、悠斗は笑いを溢した。
「何だ、綾乃もか」
「“もか”って……何よ」
顔を赤くさせる綾乃に、悠斗は照れくさそうに、
「俺も中々、寝れなかったよ。昨日はおじさんと話せたからか、昔の事を思い出しちゃってさ」
「あ、あぁ――そう……」
また少しだけ間が空いて、
「風邪とかじゃないなら安心した。寝不足なら今日はゆっくりしていると良いよ……出来れば今日も一緒に居たかったけど、それじゃ綾乃も窮屈だもんな」
言われて綾乃は、はっとした。そして、嬉しい様な恥ずかしい様な気分になる。
……彼も同じことを思っていた様だ。
「それじゃ、今日はのんびりって事で」
「あ、ちょっと待って」
窓から離れようとした彼に綾乃は声を掛けた。
「私もさ、今日も特に予定無いから……お昼食べたら、そっち行って良い?」
「良いけど、休んでないで大丈夫か? なんか顔赤いぞ?」
誰のせいでこうなったと思ってる。あとガチで心配すんな、とムスッと睨んだ。
「大丈夫よ。傍に居るだけで良いし――アンタと、大好きな人と居た方が元気になるから」
綾乃よりも赤面した悠斗が何か言う前に、
「じゃ、着替えるから!」
彼女は勢いよくカーテンを閉めた。
◇
「……なるほど、こういう事ね」
昼を少し過ぎた頃、映画のブルーレイディスクとお菓子各種を持参した一ノ瀬綾乃は上条悠斗の部屋に数年振りに招かれて、フムと小さく唸った。
「名探偵みたいな事言い出してどうしたの?」
彼女からディスクを受け取った悠斗が怪訝そうに眉を顰めると、綾乃は真剣な顔で、
「アンタがこの間、私の部屋に来た時の気持ちが分かったわ。なんかその……あれね」
「緊張する?」
「うん。だって、男の子の部屋に連れ込まれちゃったし」
「人聞き悪い言い方、やめてくんないかなぁー? 来るって言ったのそちらよ」
悠斗がテレビをつけて、レコーダーにディスクを入れている間に綾乃は安っぽい小さめのカーペットの上に並べた二人掛けの座椅子に腰を下ろした。
彼の背を眺めながら、
「でも……ホント、自分以外の部屋の匂いって、結構気になるのね」
どこか落ち着き無く言う綾乃に悠斗は顔を引き攣らせた。
「え? 嘘、臭う? 消臭スプレーしたんだけど……」
「まぁーちょっとね。でも、自分の部屋の匂いなんて分かんないもんよ。私もそうだし、気にしないで。しばらく居れば慣れるだろうし」
「いや……ごめん。もっかいするから一旦、退室して貰っても良い?」
どこからか取り出した消臭スプレーを両手に構えた彼に、綾乃は目を丸くしてから、堪える様に笑い出す。
「二刀流? どんだけ気にしてたのよ。――って、待って撒かないで!? 多い多い! 使用上の注意を守んなさいよ!!」
「だって……綾乃が……臭いって……」
「あ、涙目になってる? 違うわよ、別に臭いって訳じゃ……だから、やたらめったら撒くんじゃないっての! 寧ろ、スプレーの『クリアブルーの香り』が臭い! そしてベタつく!」
「やっぱ……臭いって……うぅっ」
「本気で泣き出した!?」
シュッ、シュッと交互に撒き散らす悠斗から、綾乃はスプレーを奪い取り、
「だから、違うってば!? この部屋、アンタの匂いがしてドキドキするってだけよ!」
濁した言葉の意味を口にした。割と大声で。
そして、沈黙。
……――たっぷりの間の後。
「……よし、映画見ようぜー。楽しみだなー、マジタノシミダワー」
「ねぇ、ユート? ごめん、引かないで? さっきのはちょっと、アレだったけど別にそういう癖とかじゃないからね」
「あ……うん。分かってる、ヨ……?」
「お願いだから素で引かないで!? そんな気まずそうな優しい笑みしないで!」
「――綾乃」
何とも言えない表情から、悠斗は真剣な顔をした。
「告白の時にも言ったけど、俺は綾乃が好きだ。高校を卒業した後も、綾乃とは真剣に付き合いたいと思ってる」
「……うん。私も、そう――だけど」
「本気で愛し合うってのは、お互いの良い所も悪い所も、知って受け入れる事だと思う。これから一緒に居るとさ、多分俺の嫌な所が気になると思うけど、それでも傍に居て欲しいんだ。俺も綾乃の色んな所をひっくるめて――愛していきたい」
「ぇ、あの、ちょっ……何? そんな、急に――」
顔を赤くし胸を抑える綾乃に、
「だから……俺は気にしないから。綾乃の要望には極力、応えるつもりだ。人には人の趣味趣向ってのがあるし、お互いに尊重出来る所は……していこう」
「ねぇ、だから待って? 私、そこまでガチな匂いフェチじゃないからね? やっぱ、引いているよね? なんで、目逸らすの? 『大丈夫、大丈夫』じゃなくてさ……。いや、ホントに違うから!?」
「俺も恥ずかしいけどさ、綾乃の為なら……どうぞ」
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