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机の下の秘密
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「お、今日は多崎と一緒なんだ」
「仲直りしたのか」
空とふたりで一番後ろの席に座っていると、この前と同じように友達ふたりがやってきて俺達の前に座った。
「そうだよ」
「どうせ神田が拗ねたとかだろ?」
「多崎が怒るなんて想像つかないもんなー」
「え?いや、睦月じゃなくて俺のせいだったんだけど……」
別にそのままにさせとけばいいのに、空は律儀に否定する。
けれど友達ふたりは空の言葉を信じていないようだった。
「で、多崎、ミスコンの先輩とどうなった?」
「やった?」
「何言ってんの!そんなんじゃないよ」
ちらっと俺に視線を向けた空は焦りながらふたりに言葉を返す。
恋人を横にしながら他の人との性行為の話をされる空に、同情と、少しの可笑しさも感じながら俺はその様子を眺める。
「あんな美人と付き合わないとかもったいねぇ」
「もしかして既に付き合ってる相手がいるとか?」
俺の事をちらちらと窺う空に、そろそろ助けてやるかと息を吸った。
「空の恋人は、なかなかいないくらい性格良くて、気配りもできて、すげえ良い奴だよ」
「えぇ、多崎恋人できたのか」
「神田は知ってんの?」
「あぁ、お似合いってやつだよ」
「そっか、おめでとー」
今までモテても恋人を作らなかった空についに恋人ができたと知り、ふたりとも強い興味を示したが、チャイム音と共に教授が教室に入ってきたためふたりは大人しく前を向いた。
教授が持ってきたプリントを配っていく様子を眺める俺の手に指先が触れる。
はっとして顔を横に向けると、照れを浮かべた空が俺に甘い視線を向けていた。
「ありがと」
触れていた指先が手の甲をなぞり、そして俺の手全体を包んでいく。すぐに指と指が絡み合った。
授業の始まった静寂と少しの緩さのなか、他の人には内緒にするみたいに、俺と空だけが恋人の時間を過ごしていた。
いつものように空の部屋のドアノブを回すと、鍵のかかっていないドアは簡単に開く。
不用心ではあるが、俺と空はしょっちゅうお互いの部屋を行き来しているため、外出中でなければほとんど鍵をかけていない。
授業後に一度自分の部屋に帰り、空に借りていた漫画を持ってきた俺は、慣れた足取りで空の部屋に上がり込む。
当然空はそこに居るだろうと思っていたのに、姿がなかった。居ないのだろうかと思ったところで、トイレから物音が聞こえることに気づく。
なんだトイレかと、俺は声もかけずに取り敢えず持ってきた漫画をテーブルに置いた。
「……っ」
声というよりも、吐息のような音が聞こえる。
空が咳でもしたのだろうかと思ったが、すぐに違うものだと気づいた。
「っはぁ」
初めて聞く空の熱っぽい声に、体が固まる。
まさか、と自然と澄ませてしまう俺の耳に、他にも何かを擦るような音が届く。
「っく……」
ここにいたらまずい。そう思っても体を動かせないでいると、空の息はどんどん乱れていく。
無意識に俺は頭で、もうすぐだな、なんて思っていた。
「はぁっ、睦月っ」
甘く切ない、俺の知らない声で呼ばれた名前に、腹の奥がきゅっと疼く。そして顔が、かあっと一気に熱くなった。
空が俺で抜いている。恋人になったんだし、俺の事をずっと好きでいてくれたんだから当然と言えば当然だけど、その事実に心臓が煩く音をたてる。
どうしよう、音を立てないようにここから居なくなるか、なにも聞こえていないフリをするか。
どうしたらいいのか決められないまま、布ズレと手を洗った音がして、トイレの扉が開いた。
「仲直りしたのか」
空とふたりで一番後ろの席に座っていると、この前と同じように友達ふたりがやってきて俺達の前に座った。
「そうだよ」
「どうせ神田が拗ねたとかだろ?」
「多崎が怒るなんて想像つかないもんなー」
「え?いや、睦月じゃなくて俺のせいだったんだけど……」
別にそのままにさせとけばいいのに、空は律儀に否定する。
けれど友達ふたりは空の言葉を信じていないようだった。
「で、多崎、ミスコンの先輩とどうなった?」
「やった?」
「何言ってんの!そんなんじゃないよ」
ちらっと俺に視線を向けた空は焦りながらふたりに言葉を返す。
恋人を横にしながら他の人との性行為の話をされる空に、同情と、少しの可笑しさも感じながら俺はその様子を眺める。
「あんな美人と付き合わないとかもったいねぇ」
「もしかして既に付き合ってる相手がいるとか?」
俺の事をちらちらと窺う空に、そろそろ助けてやるかと息を吸った。
「空の恋人は、なかなかいないくらい性格良くて、気配りもできて、すげえ良い奴だよ」
「えぇ、多崎恋人できたのか」
「神田は知ってんの?」
「あぁ、お似合いってやつだよ」
「そっか、おめでとー」
今までモテても恋人を作らなかった空についに恋人ができたと知り、ふたりとも強い興味を示したが、チャイム音と共に教授が教室に入ってきたためふたりは大人しく前を向いた。
教授が持ってきたプリントを配っていく様子を眺める俺の手に指先が触れる。
はっとして顔を横に向けると、照れを浮かべた空が俺に甘い視線を向けていた。
「ありがと」
触れていた指先が手の甲をなぞり、そして俺の手全体を包んでいく。すぐに指と指が絡み合った。
授業の始まった静寂と少しの緩さのなか、他の人には内緒にするみたいに、俺と空だけが恋人の時間を過ごしていた。
いつものように空の部屋のドアノブを回すと、鍵のかかっていないドアは簡単に開く。
不用心ではあるが、俺と空はしょっちゅうお互いの部屋を行き来しているため、外出中でなければほとんど鍵をかけていない。
授業後に一度自分の部屋に帰り、空に借りていた漫画を持ってきた俺は、慣れた足取りで空の部屋に上がり込む。
当然空はそこに居るだろうと思っていたのに、姿がなかった。居ないのだろうかと思ったところで、トイレから物音が聞こえることに気づく。
なんだトイレかと、俺は声もかけずに取り敢えず持ってきた漫画をテーブルに置いた。
「……っ」
声というよりも、吐息のような音が聞こえる。
空が咳でもしたのだろうかと思ったが、すぐに違うものだと気づいた。
「っはぁ」
初めて聞く空の熱っぽい声に、体が固まる。
まさか、と自然と澄ませてしまう俺の耳に、他にも何かを擦るような音が届く。
「っく……」
ここにいたらまずい。そう思っても体を動かせないでいると、空の息はどんどん乱れていく。
無意識に俺は頭で、もうすぐだな、なんて思っていた。
「はぁっ、睦月っ」
甘く切ない、俺の知らない声で呼ばれた名前に、腹の奥がきゅっと疼く。そして顔が、かあっと一気に熱くなった。
空が俺で抜いている。恋人になったんだし、俺の事をずっと好きでいてくれたんだから当然と言えば当然だけど、その事実に心臓が煩く音をたてる。
どうしよう、音を立てないようにここから居なくなるか、なにも聞こえていないフリをするか。
どうしたらいいのか決められないまま、布ズレと手を洗った音がして、トイレの扉が開いた。
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