踏み出した一歩の行方

たがわリウ

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堪能し、満たされる

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「睦月……?」

俺の姿を見た空は、絶望的な顔をした。
もうこれは、何も聞こていないフリなんてできないな、と覚悟を決める。

「悪い、声かければ良かったな」
「いや、俺も、鍵開けてたし……」

空は顔を手で隠すと、大きく息を吐き出した。

「引いたよね……」
「いや、べつに引いたとかじゃ……」

引いたわけではない。俺だって性欲処理をするのは同じだ。
けれどそれに自分が使われていたのは驚きだった。
驚きは大きいが、空が俺で抜けるのは、なんというか少し嬉しいとも感じる。

「お前にその気があるなら、してもいい、けど」

付き合っているのだし、両想いなわけだし。
空はきっと俺の事を気遣って切り出してはこないだろうから、いつか伝えようと思っていたことを言ってみる。
少し緊張を感じている俺に、空は不満げに眉を寄せた。

「……俺、睦月のこと好きすぎて余裕ないんだから、そんなこと軽く言わないでよ」

その言葉で、あぁ、空は俺が思ってた以上に、俺の事が好きで、俺の事を大切にしてくれているんだなぁと伝わってきた。

「軽くなんて言ってない。本気で思ってるから言ったんだ」

空と同じように俺だって空のことが好きだ。
いつかは関係をまたひとつ進められたらと思っている。
この気持ちが伝わるようにと真っ直ぐに空を見つめると、俺が本気であることをわかってくれたようだった。

「ほんとに、いいの?」

躊躇いながらも本当にいいのか訊ねてくる空に、頷きを返した。



「っ、空、もういいって」
「ん、もうすこし。俺が満足するまで待って」
「あっ」

それっていつだよ、と思っても声に出す余裕はない。
空のベッドの上、仰向けに寝ている俺に、空が覆いかぶさっていた。
下着と服を取り払われた俺のものを、空が繰り返し擦る。それと同時に、ぴちゃぴちゃと音をたてながら胸の先端を舐められていた。

「ん、あっ」
「睦月、かわいい。声もっと聞かせて?」
「となり、聞こえるだろ……ふ、っぁ」
「隣は会社員の人だから、今はいないよ」
「あぁっ」

いちいち堪能するかのように俺の反応を確認して、空は刺激を繰り返す。
特に反応を見せた触り方や箇所を執拗に責め立てるため、俺は限界に手が届きそうなほどになっていた。

「じゃあ指いれるね」
「ん……」

下に差し込まれた枕で持ち上がった腰、その奥に手が移動する。
いつの間にか手に取っていたローションが塗りたくられ、行き来していた指が少しずつ入ってきた。
空の指がそこにある事に、恥ずかしさが込み上げる。

「どう、痛い?気持ちいい?」
「よく、わかんねぇ」

異物感はあるが気持ち悪いとも気持ち良いとも言えない。
俺が痛がらないのを確認しながら、空は指を抜き差ししだした。

「どうしよう、興奮する」

こちらが恥ずかしくなるほど空は俺の顔と体から視線を外さない。その熱っぽい視線、興奮を隠さない瞳に、ぞわっとした物が駆け抜けた。

「んっ……空、入れてみて」
「いいの?大丈夫?」
「あぁ」
「……痛かったらすぐ言ってね」

急いで乱雑に服を脱ぎ捨てた空は、急く手つきで用意していたコンドームを付ける。
俺の様子を見ていただけの空のものも大きくなっていて、恥ずかしさと嬉しさが広がる。

「いくよ」

先端が押し付けられる。そしてゆっくり、徐々に俺の中に空が入ってきた。

「睦月の中に入れてるなんて、夢みたい」
「さっきも、想像、してた?」
「うん、してたよ。今まで何度もした。こうやって睦月を抱くことを」

体を屈めてきた空が俺の唇に吸い付いてくる。激しいキスを繰り返しながら、少しずつ腰の動きが始まった。

「ん、んっ」
「睦月っ、睦月っ」

呼吸も絡めとるような深いキス、そして動く腰の刺激にどんどん快感が積もっていく。
空は俺を求め、俺も空を求めた。

「はぁっ、そら、はげしっ」
「睦月、かわいい」
「あ、あっ、ん」
「好きだよ、睦月。一緒にいこう?」
「ん、ん、……っ!」

自分の声が恥ずかしいと思う余裕をなくした俺は、はしたない声を何度も上げてしまう。
引かれた腰が一気に奥に進められたと同時に、俺の頭は真っ白になった。

「はぁっ、睦月、いってる」
「はぁっ、はぁっ、」
「俺も、いっちゃった」

耐えきれず熱を出す俺をうっとりと見つめる空も、腰の動きをやめて大きく息を吐き出した。
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