孤高のミグラトリー 〜正体不明の謎スキル《リーディング》で高レベルスキルを手に入れた狩人の少年は、意思を持つ変形武器と共に世界を巡る〜

びゃくし

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第二十七話 母と妹

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 当主の間の扉の先、窓から入る陽の光が照らす深い藍色の長髪。
 身を包むんだ上品な黒いドレスを着こなし、左手には緑の宝石のついた指輪。
 近づくように促す声は耳に残る落ち着いた響きがある。

 だが、瞳は不安に満たされ、伸ばされた腕は細くか弱く見える。
 どこか……懐かしさを感じる女性。

 この人こそ俺の母さん、そう確信しても……一歩が前に出ない。

「信じられないか? そうだな今迄会えなかった。いきなり距離は詰められない……か」

 ただ、その寂しそうな顔を見るとなんとも言えない気持ちになる。

「ミストレア」

 左手の黒い二重刻印から現れる無数の白い光の欠片。
 宙を舞い、集まり、形作られたのは一つの白銀の弓。
 その姿は王都へ辿り着く前とは変化していた。 

 一回り大型化された形状は、華奢な印象を受けた以前の形とは異なり、力強さを感じさせる。
 弓を握る柄の外面には新たに手の甲を守る分厚い装甲のようなパーツが追加された。

 それが、ミストレアの錬成を経て変化した新しい姿。

「ミストレア、俺の家族です。生成の儀式からずっと一緒に過ごしてきました」

 例え姿形が変わったとしてもミストレアが俺の家族なのは変わりない。

「そうか、その子が……」

「ずっとミストレアに助けられてきました。ここに来るまででなく、父さんと二人で狩人の生活を続ける中で何度も……」

 狩人の生活に不満はなかった。
 ただ……。

「……母さんは死んだ、と……そう父さんには聞かされていました」

「っ!」

 苦しそうでそれでいて沈痛な表情に胸が痛む。
 それでも、言わなければいけない言葉、聞かなければならないことがある。

「でも、王都に辿り着いて、貴方に対面して……俺にも母さんがいるって実感できた。……どうして生きていることを教えてくれなかったんですか?」

「それは……」

「……」

「長い話になる。座ってくれるか?」

「はい」

「ハイネル、紅茶を淹れてくれ、この子の分も」

「はい、畏まりました」

 母さんに恭しく頭を下げた後部屋を後にするハイネルさん。
 しばらく無言の時が流れると紅茶の心を落ち着かせる優しい香りが辺りを漂う。
 それは、ハイネルさんの押す移動式の台車の上のティーポットから発せられているようだった。
 澄んだ紅色の紅茶を淀みない手付きで淹れてくれる。

「さて、何から話そうか? そうだな……私とアッシュは同じ冒険者パーティーの一員だった。当時私達は三人でパーティーを組んでいたんだ」

 父さんだけでなく母さんも冒険者だったのか!?
 
「それぞれ得意なことも考え方も違う三人。暗殺者のアッシュ、撃墜者のゼア、そして魔装騎士の私。楽しかった……大陸を股にかけた冒険は。魔物や瘴気獣と昼夜を問わず戦い、ダンジョンに潜る日々。人類未踏域を探索し、当てのない旅に出て教国の雪山で遭難しかけたこともあった」

 懐かしそうに目を細めて語る母さんの横顔は在りし日の思い出に浸っていた。

「そうして、旅の中いつしかアッシュに惹かれるようになっていった。……少し恥ずかしいな」

 怜悧な表情を赤く染める母さんになぜかこっちまで恥ずかしくなる。

「冒険者として平穏な日々が続く中子供を身籠った。パーティーを解散して、共に生活することにした。……ゼアは解散に最後まで反対していたな。子供ができたとしても皆で育てればいい、まだ冒険は終わっていない、と。だが、私達の都合で迷惑をかける訳にはいかなかった。それでも、あくまで私達と共に冒険することにこだわっていたゼアとは喧嘩別れのようになってしまった。冒険者ギルド経由でも連絡がつかず音信不通に。いまでは何処で何をしているやら。私達の都合で申し訳ないことをしたと思う。……話が逸れたな、そんな時手紙が届いた。勘当当然に飛び出した実家からの手紙だ」

 パーティーの解散はゼアさんにとってはどうしても許容できないことだったのかもしれない。

「私には兄がいた。当主となるべき人物で誰にでも優しく、それでいて人を使うのが上手かった。私が家出するのにも協力的だった兄。……その訃報だ」
 
 しんと静まり返る室内。
 よほど信頼していたのだろう、母さんの深い悲しみが伝わってくる。

「手紙には当主になってくれと両親からの嘆願があった。仲違いして私を嫌っていたと思っていた両親の謝罪と懇願の手紙。領地を持たない貴族は国王陛下に認められれば後継者に爵位を継承することができる。とはいえ、最初は一蹴したよ。兄の代わりに当主などできない」

 ハイネルさんが紅茶のお替りを淹れてくれる。
 軽く礼を言うと母さんは続けた。

「爵位を継がないとはいえ、兄の葬儀に参加することとなった。兄の突然の死に悲しみに暮れる多くの参列者。誰もが涙し別れを惜しんだ。私は知った。兄は多くの人に認められていたのだと。そして、私はその後、信じ難いことを知らされることになる。兄は……殺害されたのだと」

「っ!?」

「殺人は極めて重い罪だ。それでも実行されることはある。審理の神は正確に罪人を見つけるエクストラスキルを授けてくれる。『審理の瞳』は確かに罪を見抜き悪意ある犯罪者を見逃さない。……だが、犯罪の抑止力になれても起きてしまった悲劇を巻き戻せない」

 審理の神も万能ではない。
 旅立つ前のレトさんの忠告が思い起こされる。
 人を傷つけることをなんとも思わない者……か。

「迷ったよ。アッシュと二人生まれてくる子供と慎ましく暮らすか、ペンテシア伯爵家の当主として兄の仕事を受け継ぐか。悩んで悩んで悩み抜いて……不意に気づいた。それは、私が冒険者になった理由」

「……」

「ただ……認めて貰いたかった。私という一人の人を。貴族には多大な権限に対する義務がある。その武力と知力で民を守る滅私の人物であることが求められる。兄の葬儀の時まで貴族とは感謝されることのない存在だと思っていた。だが違った。貴族であろうとその人格と行動力で参列者に認められていた兄は、私の求めていたものを持っていたんだ」

 母さんの声に籠められていた羨望の叫びが胸に響く。

「両親に対する印象も変わった。兄の従者たちは教えてくれたよ。なんてことはない、私の出奔が許されたのは私自身を家から遠ざけるためだった。他国と係ることの多い外交官という仕事は重要な分危険もあった。当主を兄にすることを決めていた両親は、わざと私の意見と対立するようなことを言い遠ざけた」

 後悔とそれを上回る覚悟を秘めた瞳と視線が合う。

「私は決断した。当主となり兄の仕事を受け継ぎ、民を守る義務を負うことを。そして、危険から遠ざけるためにクライ、お前が一人前になるまで私のことを偽ることを」

「それで……死んだことに?」

「……済まない。お前が私とアッシュの息子だということは殆ど誰にも知られていなかった。私とアッシュが離れて暮せば危険は少ないと考えたんだ」

「……」

 言葉が出なかった。
 自分でも知らされていなかったことにショックを受けているのかもしれない。

 でも、それ以上に……俺は……。

「ここに来て……」

「クライ?」

 始めて出会ったときの不安な眼差し。

「ここに来て俺は良かったと思います。母さんは俺を嫌っていた訳ではなかった。父さんも俺を騙していた訳ではなかった」

「そうだ、私も本当なら――――」

「だから、いまなら、いまからならやり直せる。俺は知りたかったことを教えて貰えた、だから、いいんです」

「済まない、済まないクライ」

 顔を伏せひたすらに謝る母さんに……泣かないで欲しいと素直に思った。





「それにしても、ハイネル、お前随分クライを案内するのが遅いじゃないか。いつ来るのかとそわそわしていたのに」

 不満気な顔の母さんは紅茶を口に運びながらハイネルさんを非難する。
 その口調は普段は厳格な人物が見せた隙をからかうような空気感だった。
 二人の信頼が感じられる。

「フフ、仕方ありません、坊ちゃまがこの屋敷を訪ねてきてくださる時が来るとは思っても見なかったことですから。私とて少し長話をしてしまいます」

「ぼ、坊ちゃま!?」

(ははっ、坊ちゃま! これは面白い呼び方をする。良かったなクライ、“小さな英雄”に続きぴったりな呼び名だ)

 ハイネルさんの口から飛び出た予想外な単語にショックを受けて思考が止まる。

「つい、話し込んでしまいました。老人の悪い癖ですね」

「そう言って自分を老人扱いして煙に巻くのはやめろ。父上の代から執事として仕えているとはいえ今だ現役だろう。全く、悪戯が過ぎるぞ」

「フフ、それにしても素晴らしいですね、坊ちゃまは。この歳にして王都まで危険を省みず旅をする。瘴気獣の出現は鎮静化していても魔物は変わらず人類に仇なす敵。それに、臆することなく立ち向かう選択肢を取れる人物はそうはいません」

「ふっ、私とアッシュの息子だ。当然とは言わないが……立派に成長してくれた」

 硬直した俺に構わず会話は続く。
 だ、誰も気にしてない!?
 もしかして今後はそんな風に呼ばれるのか?
 マズい、後でハイネルさんに抗議して訂正しないと!

「所で。お嬢様、そろそろ……」

「そのお嬢様呼びもやめろ。私はもうこの屋敷の当主だぞ。クライの前で変な趣味を持っていると思われたくない。まったく……分かってる。クライ、お前に紹介したい者がいる」

 真剣な表情で母さんになにかを告げたハイネルさん。
 母さんの紹介したい人物はやはり……。

「はい」

「エクレア、入って来なさい」

 当主の間の扉が再び開く。
 両開きの扉を片方ずつ女性の使用人が開いている。

 その中心に。

 彼女はいた。

 母さんよりやや薄い藍色の髪は短く肩口で切り揃えられている。
 透明なレンズが取り付けられた黒縁の眼鏡。
 小柄な体型に細い右腕の手の甲には天成器の二重刻印が刻まれている。

「挨拶を」

「はい、お初にお目にかかります。エクレア・ペンテシアと申します」

 初めて対面した妹は華麗にスカートの端を摘み上げそっと頭を下げ挨拶してくれる。
 それはまさしく貴族の所作というもので……住んでいた世界の違いを感じさせた。

「始めまして、俺は……クライ・ペンテシア。会えて嬉しいよ」

「……っ!」

 え!?
 睨まれてる?
 
「エクレアには兄の存在を知らせてある。それと、この娘は生まれた時、病弱で王都の高度な医療技術が必要だった。存在を隠すことができなかったんだ。だから、私と王都で暮らすこととなった」

「エクレアお嬢様は今でこそお元気ですが、お生まれになった時は大変小さく私どもも大変心配いたしました」

「……っ!」

 ハ、ハイネルさんにも睨んでる?

「……兄さん、お会いできて嬉しく思います」

 どうしよう。
 も、もしかして会う前から嫌われていたんだろうか。
 考えれば辺境から突然顔も知らない兄が訪れたら不安にもなるかもしれない。

「……俺も、その……こんなに可愛い妹がいると思っても見なかったからびっくりしたよ」

「……」

 今度は無表情になってしまった。
 容姿を褒めるなんて慣れないことをしたからだろうか。
 内心慌てふためいている所に声が掛かる。

「これから共にこの屋敷で暮らすことになる。今迄会えていなかった分兄妹仲良くするんだぞ」

 一緒に暮らす?
 いや、嫌なわけではないけど……急すぎるような……。
 でも、ニコニコと俺たち二人を見る母さんを悲しませることは言えない。

「そうだ、クライ。普段エクレアは学園に通っている。近々編入試験が行われる筈だ。お前さえ良ければ学園に通って見ないか?」

 母さんの話では学園には王国中から志願者が集まり共に勉学に励んでいるそうだ。
 大陸の歴史、礼儀作法、戦闘技術、魔法、果ては農業、商業、工作技術まで、選択式の授業は多岐に渡る。
 学園には冒険者ギルドも出資しているそうで、講師として高ランク冒険者が授業をすることもあるらしい。

 学園には寮も存在し食事もでる。
 学生は、例え辺境から王都まで来たとしても最低限の生活の保証はしてくれるそうだ。
 また、そんな移動に時間の掛かる志願者のためにも入学時期をズラした編入試験が行われる。

「返事は後でもいい。編入試験までまだ時間があった筈だ。そうだ、エクレア。王都を案内してあげなさい。クライも入り用の物があればこの機会に揃えるといい」

「…………はい」

 ものすごい小声の返事だった。
 ……学園になかなか感情の読めない妹……果たしてこれから先上手くやっていけるのだろうか。
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