孤高のミグラトリー 〜正体不明の謎スキル《リーディング》で高レベルスキルを手に入れた狩人の少年は、意思を持つ変形武器と共に世界を巡る〜

びゃくし

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第六十六話 致命的問題ととある絵画

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「致命的問題? それ、さっきも言ってたわよね」

 クランベリーさんがグレゴールさんの発言に疑問を呈する。
 それはこの場の全員の疑問だった。

 視線を受けてグレゴールさんが口籠る。
 苦い表情はこれ以上は話したくないと如実に物語っていた。

 しかし、その様子をみていたニクラさんが意を決して重い口を開く。

「あっしら、三人は……魔物恐怖症なんでやす」

「魔物……」

「……恐怖症?」

 ピンとこない言葉だった。

 魔物は人の魔石や身体を狙って襲ってくる。
 当然戦う力があったとしても、自分の命を狙ってくる相手には恐怖心を抱くものだ。

 ……恐怖症、か。

 もしかして過剰に魔物を恐れてしまう?

 グレゴールさんがニクラさん、タズさん、ロットさんを順に見渡し話し出す。
 その様子から三人の口からこの話をさせたくないと考えているのは俺にもわかった。

「コイツらは長い間、障壁のない外で暮らしてきた。それは恐怖の連続だ。ニクラの天成器の生命探知も完璧じゃない。常に警戒していなければ魔物の蔓延る外界では生きていけない。その上で、食料も水も自分たちで調達する必要があった」

 そうだ、三人ともまだ子供、しかも俺よりも年下ともなれば、戦う力はほとんどなかっただろう。
 生きる糧を得るだけでも命がけのはずだ。

「全員五体満足で生き残れたのは奇跡だろうよ。実際俺が見つけた時も痩せ細ってガリガリの状態で、他の生物は皆敵だと認識していたからな」

 周りすべてが敵ならばそんな考えになってもおかしくはない、か。

「……あの時お頭に襲いかかったのは一生の不覚だ」

「タズ、お前は他の二人を守ろうとしたんだろうが。痩せ細って動けない二人を逃がそうとして一人踏ん張っていた。誰にでも出来ることじゃねぇ。誇るべきことだ」

「お頭……」

「ロットは元々線が細かったからな。一番危険だった。お前は当時から身体が頑丈だったから動けた。だが、二人を見捨てることはしなかった。普段は寡黙だが仲間想いの奴だ。俺はわかってる」

「うぅ……」

(コイツらは本当に涙もろいな。……わからなくもないけど)

「う~~」「ぐすっ」

 アーリアとミリアもタズさんの静かに涙を流す様子に感じ入って瞳に涙を浮かべている。
 暗い雰囲気に包まれる中、クランベリーさんがグレゴールさんに尋ねた。

「……そんな危険な所に長時間いた事で魔物を恐怖することになったってこと?」

「それもある。ただ……コイツらは両親を魔物に襲われた場面を見ていたんだ」

「!?」

「そんな!?」

「それは……」 

 そうだ、魔物に商隊ごと襲われたならその可能性は十分にあった。

「まだ小さい子供には酷なことだ。忘れようとしても頭にこびりついてる。オレはコイツらを冒険者にしたが、すぐにはこの魔物恐怖症と言うべき症状に気付かなかった。冒険者なら当然立ち向かうことになる恐怖心と変わらないものだと認識していた」

 グレゴールさんは日々の訓練では普段通りに動けていたことや人相手なら動きに問題ないことから、恐怖心についての対処を後回しにしてしまったところもあるという。
 安全な場所で暮らすうちに、いずれ恐怖心も薄れていくだろうと安易に考えてしまったと語る。

 だだ、それでも何年たっても、時折夜中にうなされている三人を見て、だんだんと違和感を感じていたらしい。

「オレはコイツらを鍛えはしたが……心の傷までは癒やしてやれなかった」

「違いやす! お頭が悪いんじゃありやせん。俺たちが、俺たちの心が弱かったからでやす!」

「私たちはすでにお頭に救われている。それなのにこんなことでまで迷惑をかけて……申し訳ない」

 ニクラさんとロットさんが落ち込むグレゴールさんに必死の思いを伝える。
 それでもグレゴールさんは自分のせいだと感じているようだった。

「今でもコイツらは魔物の前に立つと恐怖に襲われる。一瞬だが硬直しちまうんだ。人相手なら普段通り動けても、魔物の殺気に反応しちまうらしい。極端に動きが鈍くなっちまう。……これでも随分マシになったんだがな」

「……それで、どうやって第三階梯まで到達したんだ? おっさんも他の奴らも全員が第三階梯だろ」

「貴族や商人がよく自分の子供にやる方法と同じだ。魔石を天成器に錬成することで天成器は階梯を上昇させるが、錬成できる魔石は自分が倒した魔物に限定される。だだし、少しでもダメージを負わせればその魔物の魔石は錬成できる対象になる」

「王都の国民でも行われる行為ですね。それにその方法なら止めを指した本人よりは上昇率は少ないですが、レベルアップも見込めるので、戦闘能力がなくとも多少の能力上昇が期待できます。稀に冒険者ギルドに依頼する方もいますね」

「ああ、そんな方法もあったな」

「レベルの高い冒険者が、低い冒険者の実力を引き上げる時にも使われますね。最も、多少レベルだけを上げても実力が伴わなかったり、かえって動きに振り回されるため殆ど行われませんが」

 なるほど。
 少しでもレベルアップすれば、能力上昇の恩恵にあずかれるのか。

「幸いにもこの三人にはそれぞれ遠距離攻撃の手段があった。それで傷つけた魔物を俺が倒してレベルと階梯をあげたんだ」

 ニクラさんは投げナイフ。
 タズさんとロットさんはそれぞれ魔法を使える。
 対魔物用に鍛えた側面もあったのかもしれないな。
 
「盗みをやったのは冒険者で稼ぐのが難しいからでもある。強力で討伐報酬の高い魔物を倒すにはリスクが高すぎた」

 事情を話し終えたグレゴールさんは投げやりに続けた。

「そんな俺たちを騎士団に入れるつもりか? 罪人なうえに足手まといだ。そんな奴らは役に立たないだろ」

「……まあ、それだって一度騎士団に入ってから決めればいいことだし――――」

「いや? うちにはそういう奴らがいっぱいいるし、別に入ってもいいんじゃないか?」

 クランベリーさんの発言を遮って、イーリアスさんはあっさりとした口調で話す。
 その態度は魔物恐怖症なんてどこ吹く風といった様子だった。
 あっけにとられるグレゴールさんたちにイーリアスさんは続ける。

「――――は?」

「うちは第ニ騎士団だぞ。魔物にコテンパンにやられて恐怖心のなくならない奴らもいる。だが、そいつらはそれを克服してきた。だから問題ないだろ」

「そんな簡単には……」

「同じ境遇の奴らが同じ敵に向かっていく。それもこの王国の、国民の敵だ。なにを怖がる必要がある」

「だが……コイツらは何年も苦しんできたんだ、そんな急激には変われない」

「何いってんだ。お前等は変わったじゃねぇか」

「え」

「目を見ればわかる。もう盗みをやるつもりもないんだろ。ならオレの騎士団にこいよ! そんでもって魔物共をぶち殺そう! うちは楽しいぞ。なんたって何も考えないで目の前の敵を倒せばいいんだ。なあに、駄目だったときはそのときだ。気楽に行けばいい。まあ、うちの騎士団は厳しいからな。立ち止まってたら叩いてでも前に進ませてやる!!」

「は、はは」

「お頭、世の中には凄いお人がたくさんいるもんでやすね」

 イーリアスさんの豪快な励ましの言葉で、グレゴールさんたちの悩みまで吹き飛ばされたように感じる。
 陰鬱だった彼らの顔には、これからの未来を進む希望が見えはじめていた。

「あんた、私の前でそんなこという? あんたん所の騎士団を援護してやってるのは私の騎士団でしょ。サラッと勧誘までしてるし」

「ハハハッ、いいじゃねぇか。最近また瘴気獣の出現も増えてきたらしいしな。戦力はいつでも補充しとかねぇと」

 クランベリーさんとイーリアスさんの言い争いというかじゃれ合いはその後もしばらく続いた。
 そんなとき、グレゴールさんが神妙な面持ちで俺とウルフリック、フリントさんをなにかいいたげな瞳で見る。

「ウ、ウルフリック」

「なんだよ、おっさん」

「ク、クライ。フ、フリント」

「……おっさん……恥ずかしがってるのか? 気持ち悪りぃぞ」

「う、うるせぇ!」

(ここはウルフリックに同意せざる得ないな。髭面のおっさんの上目遣いと恥ずかしがってる姿は……ちょっと見るに耐えない)

「と、ともかくだな。礼を言わせてくれ。お前たちに出会わなければ、俺たちは心の何処かに後悔を抱えたまま、変わらず人様に迷惑をかけ続けていただろう。……お前たちは俺たちを救ってくれた。ありがとう」

「あっしからも礼を言わせてくだせい。……ありがとうございやした」

「……ありがとう」

「ありがとうございます」

 四人はそれぞれ感謝の言葉を述べてくれた。
 その顔にはすでに出会ったときの印象はない。

「俺たちの罪をどれくらいの期間で償えるのかはわからねぇ。だが、お前たちのくれた贖罪の時間をしっかりと過ごすつもりだ。騎士団は……正直突然すぎてどうしたらいいかわからなくなってる所もある」

「おっさんが騎士? ハッ、似合わねぇな」

「うるせぇ。ただ、俺としてはチャンスが貰えるなら挑戦したいとも思う。もしかしたらコイツらの魔物への恐怖も和らぐかもしれねぇ。俺はそれに賭けたいと思う」

「ダオルドの調査は私に任せろ。それと孤児院のことも……また、レシル先輩に怒られるな」

「ああ、頼む。院長先生は悪い人じゃねぇんだ。これは俺たちが勝手にやったことなんだ」

「それもしっかり調べるさ。勿論、例の商人のこともな」

 フリントさんの目つきは鋭かった。
 真実を見通そうとする正義感に満ちていた。

「弓使いの坊主とその天成器の――――」

「ミストレアだ」

「ミ、ミストレア。お前らはこれからもっと強くなるだろう。だが……俺たちも負けねぇぞ」

「罪を償ったら、あっしたちももう一度この心の内と戦ってみたいと思いやす」

 四人の行く末に希望が待っていることを俺は願ってやまなかった。
 そして、願わくば彼らが騎士として活躍する姿を見てみたいと純粋に思っていた。





 カルマの判定も無事に終わり騎士団総本部の廊下を歩く。
 帰り道にはレシルさんとフリントさんが同行してくれた。
 道すがらフリントさんがレシルさんに恐る恐る尋ねる。

「なぜ、クランベリー団長は新人の私のことを気にかけてくださるのでしょうか? 報告も信じてくださり、調査まで任せてもらえるなんて……」

「ふふ、不思議かしら?」

「……はい、なぜでしょうか」

「貴方が……期待の新人だからかしら。それに、第三騎士団は仲間を家族を大切にする。そして、仲間を貶める相手を許さない。そういう騎士団だから……」

 レシルさんの瞳はなぜだか少し悲しそうに見えた。
 
 総本部はとにかく広い。

 廊下をひたすら進み、ようやく出口に差しかかったとき、巨大な階段が目の前に現れた。
 この建物の破格さを表すように二階、三階へと続いている。
 天窓からの光が差し込み踊り場を照らす。
 
 そう、そこにあった。

「え?」 

「…………兄さん、どうしたんですか?」

「まさか……こんなところにあったなんて……」

 振り返ったエクレアの心配する声に答える余裕は微塵もない。
 ただただ、驚愕と疑問だけがあった。

「そんな、なぜここに……」

 王都にきてから、ずっと探していた。
 いや、探したい気持ちと見つけてはいけない気持ちの両方があった。

 だが、いま俺の目の前に王都へくる目的の一つだったものが飾られている。

「やはりあれは過去の記憶だった。あの光景は間違いじゃなかった。実際にあった出来事だったんだ」

 気づけば視界が歪んでいた。

 嬉しさと悲しさの感情がないまぜになっていた。

 胸をつく苦しさから無性に叫びだしたかった。

 その絵画にはとある人物たちが描かれていた。
 騎士甲冑に身を包み円盾を携えた大柄な女性騎士。
 胸元には黄金の鷹の意匠が描かれている。

 アレクシアさんとクィルさんの肖像画がそこにあった。
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