【完結】まつりくんはオメガの自覚が無い

りちょ

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1話 第二性と俺の話

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生まれつき判別できる性別の他に、二次成長期の検査によって確定するもう一つの性別がある。
アルファ、ベータ、オメガの三つで、12歳から14歳の間に検査を受けることが義務付けられている。
また、アルファ性とオメガ性には特性がそれぞれみられるため、追加の講習の履修が義務教育中に必要。
性差によって能力差があると考えられていた過去もありましたが、個人の能力に性は関係ないことが明らかになりました。誤った知識や偏見による差別を無くしていくことが、現代を生きる私たちの世代の役目です。


ここまでが、俺たちが学校で習う内容だ。
だから高校に上がる頃には全員、いわゆる第二性もわかった状態になる。



朝、いつも通りスマホのアラームを切ると、追加のアラームがもう一つなった。

薄い黄緑のアイコンはオメガ性のヒート周期を予測するもので、もう以前から数カ月も経つんだなあと、まだぼんやりする頭で考える。確かになんとなく、いつもより身体が気だるい気がした。

ベッド横のサイドテーブルの引き出しを開けて、市販の抑制剤を飲んでから朝の支度を始める。

俺はヒートも生理もどちらもかなり軽い方なので、安い市販薬で十分に生活できるからラッキーだと思う。トローチタイプの抑制剤を舌の下で溶かしながら、服を着替えて顔を洗った。


薬が溶け切った頃、しゃこしゃこ音を立てて歯を磨きながらアラームのスムーズを解除するのと一緒に予測アプリの通知も消した。
髪のセットが終わる頃には気だるさも熱っぽさもかなり緩和されていて、またいつも通り、通学用のリュックを背負って家を出る。



生まれた時から分かる性別とは違う、ある程度身体が育ってから発現するのがアルファ性とベータ性とオメガ性。

学校ではそれぞれの特徴についてはっきり区別して習った。
はるか祖先、狩猟国家の時代にはこの第二性によって人間も役割分担が行われていて、少数のアルファ性がリーダーを取り、多数のベータ性で群れを成し行動していた。オメガ性は生殖に優れており、アルファと番関係を結ぶことで安定した集落を形成し繁栄したとか、そんな。


だけどそんなのは昔のことだ。
俺たちにとってはどうでも良いことだし、小難しい授業だったからほとんど覚えてない。

みんなおそらく自分の性に関することしか知らないし、興味もない。
見た目で違いも分からないから、他人に公表することもない。
分かりやすい第一性とは違って完全におまけ。オプションみたいなもん。

それが現代人の、第二性への向き合い方だった。



俺、速水茉理はオメガ性だ。


服を着てしまえば分からないが、男性器も女性器も両方持っている。射精も月経もどっちもあるし、一応ヒートだってある。

とは言っても俺の場合メインで使えるのはちんこだけで、女性器はおまけのようなものだ。
性的興奮でまず反応するのはちんこだし、サイズも一般的な方なのでセックスでもこっちを使う。 

月経も二月に一度くらいの頻度で軽いものしか来ないし、ヒートもかなり軽くて抑制剤を飲み忘れてもギリギリ何とかなるレベルだ。
だから、体に穴が一つ多いくらいにしか思っていない。

男性オメガと女性アルファだけ、俺みたいに両性具有になるパターンがあるそうで、割とレアケースみたいだった。
こういう人たちはホルモン量とかなんとかが影響して、どっちをメインで使うかが決まってくるらしい。

ちなみに、歴代の彼女にはどっちもついてると打ち明けていた。みんな割と興味津々になって、触って良い?と楽しそうだった。
ただ、触られても指を入れられても別にどうってこともなく、うーんまあ、身体の中に異物を突っ込まれれば違和感はあるよなあ、くらいにしか思えなくて、どの彼女も大体俺の反応のなさにすぐに飽きて触れなくなった。



ちなみにオメガ性は、歴史的観点から見ると差別を受けていた性になる。
力が弱いとか身体が弱いとか言われていたそうで、偏見は時々まだ見かける。

けど俺は普通に今まで運動部でそこそこ良い成績も残してきたし、勉強だって別に普通にやった分は頭に入るし、どちらも不得意と思ったことはない。

身体が弱いとかも感じたことがない。
ヒートのピーク期間は確かに風邪っぽい体調にはなるけれど、抑制剤で十分抑えられるし。

とにかくオメガに生まれて、不自由したことは一度も無かった。

せっかく両刀なのに女性器の感覚が薄いことを、むしろちょっと勿体無いなと思ってるくらいだった。

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