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追放聖女のもふもふスローライフ
第16話 土いじりといつもの日常
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チュンチュン
窓から差し込む朝の光と、小鳥たちのさえずりに、私はゆっくりと目を覚ます。
ここでの生活にももうだいぶ慣れたなぁ……
そう思いながらベッドの上で身をよじり、もふぞーダイブを回避する。
もふぞーは、今まで私が寝ていた場所にぼすんと着地した。
「モキュ……」
ふふふ、そうはいかないのだよ。もふぞー君。
ベッドから身体を起こして伸びをひとつ。
さてと……朝ごはんの用意をしますかね。
台所に立ち、鍋で野菜を煮込んでいると、背後から声がかかる。
「おはよう」
「おはようございます!」
振り向けば、ロゼとミミィが揃って眠たげな顔をのぞかせていた。
ミミィも、最初のころの夜型が嘘のように、すっかり朝型の生活に慣れてきていた。
三人と一匹で食卓を囲み、和やかに朝ごはんを済ませる。
窓辺では小鳥たちがチュンチュンと小皿の上のパン屑をついばんでいる。
それから私は、ポーションの補充を兼ねて、いつものように雑貨屋へ足を運んだ。
雑貨屋ではケイトさんやアリサちゃんと他愛もない世間話をして、帰り道は村の通りをのんびり散策する。
いつもの、穏やかでのんびりとした、何気ない一日だ。
──あ、そうだ。豆を育ててみようと思ってたんだっけ。
思い出した私は踵を返し、農家さんの家へと向かった。
* * *
農家さんが言うには、豆を育て始めるには少し遅めの時期だけど、まだ間に合うらしい。
そのまま、育て方を教えてもらい、種を分けてもらってきた。
……まずは畑を用意しないとね。
私は庭で日当たりの良さそうな場所を畑に決めると、ロゼとミミィと三人で土を耕しはじめる。鍬を振るたびに土の香りがふわりと立ち上り、汗がじんわりと額を濡らした。
気をつけるべきは害虫と水。特に水は多すぎると芽が出ないから、できるだけ水はけを良くしておかないといけない。
だから、側溝も掘って、水がたまらないように工夫する。
確か前に『畑には砕いた貝殻を混ぜると良い』って見た気がするけど、この辺りには海はないので諦めた。
まあ、大した知識もないのに教わったこと以外をするのは失敗の元だしね。
畑ができあがったら、等間隔に種を撒いていく。これで数日もすれば芽が顔を出すはず。
うまく育てば、二ヶ月ほどで生食用の豆、四ヶ月もすれば保存が効く乾燥豆ができる予定だ。
……うん、今から収穫が楽しみになってきた。
「収穫、楽しみ」
「楽しみですね!」
「キュキュゥ!」
みんなも楽しみみたいだ。
太陽の下での作業は大変だけれど、不思議と心地良さを感じていた。
「だいぶ土で汚れちゃったね」
畑づくりと種植えを終えた私たちの服と身体は、すっかり泥だらけだった。腕や頬には土がついているし、手のひらは真っ黒。ロゼの金の髪にも土埃が混じって、ミミィは服の裾をつまんで「うぅ……」と小さく呻いている。
だけど、まだ水浴びには時間が早いし、この後ポーションづくりもしなきゃならない。だから今は濡らしたタオルでざっと身体を拭い、汚れた服を着替えるだけにした。
明るい場所でみんなの裸を見るのは久しぶりだ。
相変わらず、ロゼの肌は透き通るように綺麗だし、ミミィは……大人だ。……羨ましい。まあ、私もすぐに成長するよね。
「キュキュゥ!」
「ほら、もふぞーも身体きれいにして」
タオルを押し付けると、もふぞーはジタバタともがいて、その様子にみんなが笑顔になる。
着替え終えたら、汚れた服を洗濯して、日の高いうちに庭先へ干しておく。この天気ならすぐに乾くかな。
その後は、いつものポーションづくり。ミミィは器用にハーブを混ぜ、ロゼは完成品を丁寧に箱へ詰めていく。みんなでもくもくと手を動かしていると、不思議と心が落ち着いた。
「さてと、いったん休憩にしますか」
私は特製のハーブティーを淹れる。湯気と一緒に広がる爽やかな香りが、疲れを優しくほぐしてくれた。
「いい香り」
ロゼはうっとりと目を細め、カップを両手で包む。椅子に座ってハーブティーを口にする姿は、まるでどこかのお嬢様のようだった。
「ローゼーちゃーん、ミミィちゃーん、あそぼー!」
外から子どもたちの声が響く。すっかり村の子どもたちとも仲良くなったみたいだ。
「せーじょ様も、もふぞーも、あそぼー!」
……おっと、私たちも呼ばれちゃったか。
「それじゃ、遊びに行こうか」
こうして広場で村の子どもたちと日が暮れるまで遊んだ。
* * *
夜になり、私たちは森の泉へと水浴びに出かける。
泉はいつものように澄んだ水を湛え、月明かりを反射してきらめいていた。
私はゆっくりと冷たい水に身を沈め、子どもたちと走り回ってかいた汗を洗い流す。今日は本当に疲れた……。のんびり身体を休めようと水に浸かっていると、不意に顔に水が飛んできた。
顔をぬぐうと、ロゼとミミィが楽しそうに笑っている。
「……やったなー!」
私もすぐさまやり返した。どうやら、のんびりするのはまだ先らしい。
水しぶきが飛び交い、笑い声が泉に響く。やがて疲れて肩で息をついていると、ふと気づいた。
――淡い光の玉がいくつも浮かび上がり、静かな泉を幻想的に照らしていた。
月明かりと混ざり合い、夜の森がまるで夢の中のように見える。
ひとしきり水遊びを楽しんだあと、私はようやく落ち着いて泉に身を預ける。
――明日もまた、楽しく過ごせるといいね、もふぞー。
そう小さくつぶやき、もふぞーの背をそっと撫でた。
窓から差し込む朝の光と、小鳥たちのさえずりに、私はゆっくりと目を覚ます。
ここでの生活にももうだいぶ慣れたなぁ……
そう思いながらベッドの上で身をよじり、もふぞーダイブを回避する。
もふぞーは、今まで私が寝ていた場所にぼすんと着地した。
「モキュ……」
ふふふ、そうはいかないのだよ。もふぞー君。
ベッドから身体を起こして伸びをひとつ。
さてと……朝ごはんの用意をしますかね。
台所に立ち、鍋で野菜を煮込んでいると、背後から声がかかる。
「おはよう」
「おはようございます!」
振り向けば、ロゼとミミィが揃って眠たげな顔をのぞかせていた。
ミミィも、最初のころの夜型が嘘のように、すっかり朝型の生活に慣れてきていた。
三人と一匹で食卓を囲み、和やかに朝ごはんを済ませる。
窓辺では小鳥たちがチュンチュンと小皿の上のパン屑をついばんでいる。
それから私は、ポーションの補充を兼ねて、いつものように雑貨屋へ足を運んだ。
雑貨屋ではケイトさんやアリサちゃんと他愛もない世間話をして、帰り道は村の通りをのんびり散策する。
いつもの、穏やかでのんびりとした、何気ない一日だ。
──あ、そうだ。豆を育ててみようと思ってたんだっけ。
思い出した私は踵を返し、農家さんの家へと向かった。
* * *
農家さんが言うには、豆を育て始めるには少し遅めの時期だけど、まだ間に合うらしい。
そのまま、育て方を教えてもらい、種を分けてもらってきた。
……まずは畑を用意しないとね。
私は庭で日当たりの良さそうな場所を畑に決めると、ロゼとミミィと三人で土を耕しはじめる。鍬を振るたびに土の香りがふわりと立ち上り、汗がじんわりと額を濡らした。
気をつけるべきは害虫と水。特に水は多すぎると芽が出ないから、できるだけ水はけを良くしておかないといけない。
だから、側溝も掘って、水がたまらないように工夫する。
確か前に『畑には砕いた貝殻を混ぜると良い』って見た気がするけど、この辺りには海はないので諦めた。
まあ、大した知識もないのに教わったこと以外をするのは失敗の元だしね。
畑ができあがったら、等間隔に種を撒いていく。これで数日もすれば芽が顔を出すはず。
うまく育てば、二ヶ月ほどで生食用の豆、四ヶ月もすれば保存が効く乾燥豆ができる予定だ。
……うん、今から収穫が楽しみになってきた。
「収穫、楽しみ」
「楽しみですね!」
「キュキュゥ!」
みんなも楽しみみたいだ。
太陽の下での作業は大変だけれど、不思議と心地良さを感じていた。
「だいぶ土で汚れちゃったね」
畑づくりと種植えを終えた私たちの服と身体は、すっかり泥だらけだった。腕や頬には土がついているし、手のひらは真っ黒。ロゼの金の髪にも土埃が混じって、ミミィは服の裾をつまんで「うぅ……」と小さく呻いている。
だけど、まだ水浴びには時間が早いし、この後ポーションづくりもしなきゃならない。だから今は濡らしたタオルでざっと身体を拭い、汚れた服を着替えるだけにした。
明るい場所でみんなの裸を見るのは久しぶりだ。
相変わらず、ロゼの肌は透き通るように綺麗だし、ミミィは……大人だ。……羨ましい。まあ、私もすぐに成長するよね。
「キュキュゥ!」
「ほら、もふぞーも身体きれいにして」
タオルを押し付けると、もふぞーはジタバタともがいて、その様子にみんなが笑顔になる。
着替え終えたら、汚れた服を洗濯して、日の高いうちに庭先へ干しておく。この天気ならすぐに乾くかな。
その後は、いつものポーションづくり。ミミィは器用にハーブを混ぜ、ロゼは完成品を丁寧に箱へ詰めていく。みんなでもくもくと手を動かしていると、不思議と心が落ち着いた。
「さてと、いったん休憩にしますか」
私は特製のハーブティーを淹れる。湯気と一緒に広がる爽やかな香りが、疲れを優しくほぐしてくれた。
「いい香り」
ロゼはうっとりと目を細め、カップを両手で包む。椅子に座ってハーブティーを口にする姿は、まるでどこかのお嬢様のようだった。
「ローゼーちゃーん、ミミィちゃーん、あそぼー!」
外から子どもたちの声が響く。すっかり村の子どもたちとも仲良くなったみたいだ。
「せーじょ様も、もふぞーも、あそぼー!」
……おっと、私たちも呼ばれちゃったか。
「それじゃ、遊びに行こうか」
こうして広場で村の子どもたちと日が暮れるまで遊んだ。
* * *
夜になり、私たちは森の泉へと水浴びに出かける。
泉はいつものように澄んだ水を湛え、月明かりを反射してきらめいていた。
私はゆっくりと冷たい水に身を沈め、子どもたちと走り回ってかいた汗を洗い流す。今日は本当に疲れた……。のんびり身体を休めようと水に浸かっていると、不意に顔に水が飛んできた。
顔をぬぐうと、ロゼとミミィが楽しそうに笑っている。
「……やったなー!」
私もすぐさまやり返した。どうやら、のんびりするのはまだ先らしい。
水しぶきが飛び交い、笑い声が泉に響く。やがて疲れて肩で息をついていると、ふと気づいた。
――淡い光の玉がいくつも浮かび上がり、静かな泉を幻想的に照らしていた。
月明かりと混ざり合い、夜の森がまるで夢の中のように見える。
ひとしきり水遊びを楽しんだあと、私はようやく落ち着いて泉に身を預ける。
――明日もまた、楽しく過ごせるといいね、もふぞー。
そう小さくつぶやき、もふぞーの背をそっと撫でた。
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