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短編小説【メイド、奴隷】
お嬢様を更生させるために
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「…という感じで、メイド長、お願いしてもよろしいですか?」
「分かりました。他のメイドたちと、ご両親にもお伝えしておきましょう。」
「ありがとうございます。」
日付をとっくに跨いだ深夜のある時間、私はメイド長と2人きりで密談をしていた。
私は貴族に仕えるメイド隊の1人で、日々お嬢様と呼んでいる貴族の娘の世話係をしている。
世話係とはつまり、お嬢様の身の回りの手伝いをすることで、日々忙しくしているお嬢様の補佐にあたる。
特に私の場合は、着任してからある程度の経験を積んでいるので、世話係のチーフも担っており、お嬢様の世話をしつつ、他の世話係として務めるメイドの体調やパフォーマンスも見ている。
今となってはもう慣れてしまっているが、控えめに忙しい。
けれど私は、このメイドという仕事が性に合っているらしく、充実感を感じている。
そんな私が、今回なぜメイド長とこんな夜遅くに2人きりで話しているのか。
そもそもとして、メイド隊は1ヶ月に1回ほどミーティングのようなものを行い、日々の労働環境で問題がないかをチェックする。
それとは別に、緊急で今回の2人きりの話し合いを設けたわけだが、これにはお嬢様が直接関係する話があるのが理由だ。
というのも、私たちのお嬢様ははっきり言ってとても陰険で、かつ自己中心的な性格であるため、日々の生活の中で、メイドたちが嫌がるようなことをさも当然かのようにやっている。
タチが悪いのが、お嬢様自身そのことに気づいていないことだ。
「メイドならやって当然」「これぐらいできるはず」そのような文言のもと、メイドたちにとっても重労働な仕事を押し付け、お礼の一言もない。
他人の気持ちを考えるということを全然考えていないようだ。
とはいえ、お嬢様の無理強いを答えてこそのメイドでもあるので、そのような無理強いをされたメイドたちは皆、誰も文句を言うことなく、少し過労なレベルで働いた。
当然、世話係以外のメイドたちが、当人から知らされずして、そういった状況を把握しているわけがないので、これは一定の期間表面化することはなかった。
表面化したきっかけは、お嬢様の両親からの直接の申し出でであり、最近娘の言動が非常識的だから、どうにかできないだろうかと、チーフの私に言ってきた。
そこで初めて他の世話係のメイドたちに聞き込みをし、お嬢様の実態が明らかになったのだ。
メイドに対してだけならまだいいが、お嬢様の態度は身内にとどまらず、公の場でもそのような態度が露出することがあるらしい。
そうなれば話は別だ。
お嬢様の言動は正さなければならない。
私は全くと言っていいほどそのような無理強いを受けたことがなかったので、この事実に驚愕しつつも、気づけなかった自分に情けなさを感じた。
さて、本題だが、メイド長と話していたのは、両親からの間接的な依頼に答えるべく、お嬢様に教育を行うと言ったものだった。
もちろんいきなり実力行使のようなことはせず、最初は丁寧に教えようとしたのだが、お嬢様は私たちが思う以上に自己中心的で、他人のことを全く考えずに、自分の利益を最優先に理論を展開するため、そのような考えを崩す余地がなかった。
私がやろうが他の世話係がやろうがお嬢様は変わることがなく、挙げ句の果てには教育係に任せても無理なほどに、お嬢様の性格は捻じ曲がっていたのだ。
なので今回、最終手段として、強硬手段に出るというわけだ。
とはいえ、お嬢様の生活や心身に支障が出ては行けないので、そのような条件を設けつつ、有効と思われる手段を考案した。
実行は3日後、基本私が1人で行うものだが、他のメイドたちや両親にも伝達が必要な内容であったため、タイミングはしっかりと合わせた。
3日後、ついにその日がきた。
「これは…どういうことよ…。」
全ての窓にカーテンがかかった大広間で、私とお嬢様は2人きりで見合っていた。
普通じゃないことといえば、お嬢様は衣服をほとんど纏っていない状態で拘束されていることだ。
「そこのメイド、今すぐこれを解きなさい。」
あられもない姿を隠すことができないよう、四肢を拘束されているにも関わらず、お嬢様はその気概だけはいつも通りで、自分が絶対とでも主張するかのように、険しい形相で私を睨みつけていた。
普段もこのような顔をしているのだが、今日はより一層険しい感じがする。
「おはようございます、お嬢様。本日のご予定ですが…。」
「聞こえなかったのかしら?解いてって言ってるでしょう?」
今日の私は、メイドではなく調教師であり、心を鬼にしなくてはならない。
今日の午前中だけは、お嬢様の命令に従うつもりはない。
お嬢様を更生させるまでは。
「午前中は、私の社会的な教育のご参加いただきます。これは、私の独断ではなく、メイド長及びお父様とお母様からの命です。」
「社会的な教育?お父様とお母様が?一体どういうこと…?」
私は何も間違ったことを言っていない。
だがそれ故に、お嬢様はとても困惑しているようだった。
そんなお嬢様を無視して、私は話しながらお嬢様の後ろに回る。
「さて、お嬢様、今から行うことは、お嬢様を思ってのことです。最終的に、その意味が分かってくだされば、私に悔いはありません。」
「な、何を…ひゃあ!?」
そして後ろに回った後、手袋をつけ、お嬢様に目隠しをつけ、お嬢様の真っ白で美しく手入れされた腋をくすぐり始める。
当然、そんなのを予想してなかったお嬢様は、可愛い反応をし始める。
「くひひ…!?これの…!どこが…!社会的な教育…!なのよ…!」
優しくくすぐっているため、喋れるぐらいの余裕はあるだろう。
むしろ、今はまだこれぐらい優しい方が、私もやりやすい。
「さて、早速始めさせていただきますが、まずお嬢様は、このようなことをされる思いあたりはありますか?」
「ひひ…!あるわけ…!ないでしょ…!」
予想通りの反応。
「そうですか。お嬢様くらいの賢さであれば、すぐにわかると思ったのですが。」
「くひひ…!こんの…!」
「思い出せないのなら、思い出すまで待ってあげます。」
「あひゃあ!?ははははははははははは!?」
急にくすぐる手を早め、話ながら探っていたお嬢様の弱点を執拗に責める。
「あはははははははははは!!ちょっと!やめ!!あははははははははははは!!」
「やめてほしいのであれば、早く思い出してみてはどうですか?お嬢様は人の言うことも聞けないのですか?」
「あははははははははははは…!」
これはいわゆるお仕置きであり、そして教育でもある。
だから、お嬢様には自分の行いを正してもらわなければならない。
けど、私が全て指摘するのでは、お嬢様は反発するだけ。
だからお嬢様には、自分で気づいてもらわなければならない。
「早く思い出してくださらないと、この後の予定に支障をきたしますよ?お嬢様。」
「あはははははははははは!!分かった!!分かったから!!一旦!!」
「思い出しましたか?」
「いいから!!とm…!」
「思い出しましたか?、と聞いています、お嬢様。」
「はひ…!思い出したからぁ!!」
「承知しました。」
私はその言葉を聞き、一度くすぐるのを止める。
すると、お嬢様は少し息を整える時間を取り、話し始めた。
「もしかして、今までメイドたちにしてきた態度の問題かしら?」
「その通りです。ちゃんと思い出したようで何より…。」
「あれが問題なら、世の中の全ての貴族が問題でしょう?」
「…。」
話が長くなるだろうと思い、私は傾聴する気持ちになる。
「メイドは、使える主人の言うことを聞いて当たり前。それがメイドの役割なのだから。できないメイドは出来損ない。主人の命令を満足にこなせないメイドは、他にも何ができるというの?私は、主人としてメイドに指示を出し、失態を犯したメイドを叱っているだけ。これのどこがおかしいのかしら。確かに、少しきついことは認めるけど、そんな態度だけでここまでするメイドなんていないわ。」
「…。」
「耳が痛いかしら?今やっていることこそ失態であり、あなたはメイドとしてやっては行けないことをやっているの。違うかしら?そう思うなら、さっさとこれを外してくれるかしら?今外せば、私の命令に従ったとみなし、処罰はなしにしてあげるわ。」
「…。」
お嬢様らしい態度、お嬢様らしい口調、お嬢様らしい理論。
お嬢様がいうことは、メイドを持つ主人としては何も間違っていない。
正直、私もそう思っているぐらい。
…けど…。
「…以上ですか?」
「…え?」
お嬢様の理論は、あくまで「主人とメイド」の理論だ。
「公」の理論ではない。
「もう一度言います。これは、社会的な教育です。そのことを理解した上で、もう一度お考えになってください。」
「ど、どういう…。ひゃあ!?あはははははははははは!!?」
再びくすぐりを再開する。
今度は、事前に後ろに控えさえていた2人のメイドにも動いてもらい、他の場所もくすぐってもらう。
これにより、お嬢様は話すことはままならなくなるだろう。
「話す必要はないので、少しだけお聞きください、お嬢様。」
そんなお嬢様に対して、私はくすぐる手を止めずに、今までのお嬢様の行いを列挙していく。
メイドに対しての嫌がらせだけでなく、公の場で見せた、お嬢様らしからぬ言動すべて。
その間、お嬢様は何度か話を遮ろうとしたが、くすぐったさの猛攻で、やはりまともに話すことができていなかった。
「はぁ…はぁ…はぁ…。」
しばらくくすぐった後、お嬢様の様子を確認するために一旦くすぐりを止める。
お嬢様は、息を整えるまではもちろん、息がある程度整った後でも、何も話そうとはせず黙り込んでいた。
「長いお話を傾聴いただき、感謝いたします、お嬢様。」
「…。」
反省の色は伺えるが…。
「…私は…悪くない…。失態を何回もおかす、あなたたちメイドが悪いのよ…。」
「…。」
お嬢様は、小さく呟くようにいうが、至近距離にいる私には、はっきり聞こえた。
そこで私は、用意していた最後の手段に出る。
「どこまでも傲慢で、自分勝手で、人のことを考えない…。私は、私たちは、そんなお嬢様が好きではありません。」
「…!?」
「どこまでも妖艶で、他人思いで、あらゆる視点を持っている…。そのような人格者になってほしいのです。」
「…。」
「反省の時間を設けます。その間に、もう一度自分の行いをお見直しください、お嬢様。」
「ひゃい…!?もう…!いやぁ!!」
そうして、またくすぐり始める。
先ほどよりも容赦無く、他のメイドたちの思いもぶつけるつもりで。
そうして正午ぴったりまで休みなしでくすぐり続けた。
くすぐりが終わった後のお嬢様の顔は見ていないが、しっかりと反省していることを願いつつ、私は他のメイドたちにお嬢様の世話を任せ、メイド長とご両親の元へ報告しに行った。
後日、お嬢様はまるで別人になったかのように、自分勝手な振る舞いをしなくなった。
メイド1人1人の能力を把握した上で、それぞれに適材適所の仕事を与え、その上で今までの学業やお嬢様としての気品を保ちつつ、公の場では一貴族の令嬢として、健気で美しく謙虚な姿を見せ続けた。
お嬢様は、変わってくださったのだ。
私としては、正直完全に調教師の心になりきれていなかった分の罪悪感を忘れることができ、やってよかったと感じた。
もちろんクビにはなっていないし、チーフから格下げされたなんてこともない。
それどころか、メイド長にもご両親にも感謝された。
とはいえ、メイドとして行うべき行動からはかけ離れているので、私はもしお嬢様がまた自分勝手な考えを持ったとしても、今度は別の方法で行おうと思った。
「分かりました。他のメイドたちと、ご両親にもお伝えしておきましょう。」
「ありがとうございます。」
日付をとっくに跨いだ深夜のある時間、私はメイド長と2人きりで密談をしていた。
私は貴族に仕えるメイド隊の1人で、日々お嬢様と呼んでいる貴族の娘の世話係をしている。
世話係とはつまり、お嬢様の身の回りの手伝いをすることで、日々忙しくしているお嬢様の補佐にあたる。
特に私の場合は、着任してからある程度の経験を積んでいるので、世話係のチーフも担っており、お嬢様の世話をしつつ、他の世話係として務めるメイドの体調やパフォーマンスも見ている。
今となってはもう慣れてしまっているが、控えめに忙しい。
けれど私は、このメイドという仕事が性に合っているらしく、充実感を感じている。
そんな私が、今回なぜメイド長とこんな夜遅くに2人きりで話しているのか。
そもそもとして、メイド隊は1ヶ月に1回ほどミーティングのようなものを行い、日々の労働環境で問題がないかをチェックする。
それとは別に、緊急で今回の2人きりの話し合いを設けたわけだが、これにはお嬢様が直接関係する話があるのが理由だ。
というのも、私たちのお嬢様ははっきり言ってとても陰険で、かつ自己中心的な性格であるため、日々の生活の中で、メイドたちが嫌がるようなことをさも当然かのようにやっている。
タチが悪いのが、お嬢様自身そのことに気づいていないことだ。
「メイドならやって当然」「これぐらいできるはず」そのような文言のもと、メイドたちにとっても重労働な仕事を押し付け、お礼の一言もない。
他人の気持ちを考えるということを全然考えていないようだ。
とはいえ、お嬢様の無理強いを答えてこそのメイドでもあるので、そのような無理強いをされたメイドたちは皆、誰も文句を言うことなく、少し過労なレベルで働いた。
当然、世話係以外のメイドたちが、当人から知らされずして、そういった状況を把握しているわけがないので、これは一定の期間表面化することはなかった。
表面化したきっかけは、お嬢様の両親からの直接の申し出でであり、最近娘の言動が非常識的だから、どうにかできないだろうかと、チーフの私に言ってきた。
そこで初めて他の世話係のメイドたちに聞き込みをし、お嬢様の実態が明らかになったのだ。
メイドに対してだけならまだいいが、お嬢様の態度は身内にとどまらず、公の場でもそのような態度が露出することがあるらしい。
そうなれば話は別だ。
お嬢様の言動は正さなければならない。
私は全くと言っていいほどそのような無理強いを受けたことがなかったので、この事実に驚愕しつつも、気づけなかった自分に情けなさを感じた。
さて、本題だが、メイド長と話していたのは、両親からの間接的な依頼に答えるべく、お嬢様に教育を行うと言ったものだった。
もちろんいきなり実力行使のようなことはせず、最初は丁寧に教えようとしたのだが、お嬢様は私たちが思う以上に自己中心的で、他人のことを全く考えずに、自分の利益を最優先に理論を展開するため、そのような考えを崩す余地がなかった。
私がやろうが他の世話係がやろうがお嬢様は変わることがなく、挙げ句の果てには教育係に任せても無理なほどに、お嬢様の性格は捻じ曲がっていたのだ。
なので今回、最終手段として、強硬手段に出るというわけだ。
とはいえ、お嬢様の生活や心身に支障が出ては行けないので、そのような条件を設けつつ、有効と思われる手段を考案した。
実行は3日後、基本私が1人で行うものだが、他のメイドたちや両親にも伝達が必要な内容であったため、タイミングはしっかりと合わせた。
3日後、ついにその日がきた。
「これは…どういうことよ…。」
全ての窓にカーテンがかかった大広間で、私とお嬢様は2人きりで見合っていた。
普通じゃないことといえば、お嬢様は衣服をほとんど纏っていない状態で拘束されていることだ。
「そこのメイド、今すぐこれを解きなさい。」
あられもない姿を隠すことができないよう、四肢を拘束されているにも関わらず、お嬢様はその気概だけはいつも通りで、自分が絶対とでも主張するかのように、険しい形相で私を睨みつけていた。
普段もこのような顔をしているのだが、今日はより一層険しい感じがする。
「おはようございます、お嬢様。本日のご予定ですが…。」
「聞こえなかったのかしら?解いてって言ってるでしょう?」
今日の私は、メイドではなく調教師であり、心を鬼にしなくてはならない。
今日の午前中だけは、お嬢様の命令に従うつもりはない。
お嬢様を更生させるまでは。
「午前中は、私の社会的な教育のご参加いただきます。これは、私の独断ではなく、メイド長及びお父様とお母様からの命です。」
「社会的な教育?お父様とお母様が?一体どういうこと…?」
私は何も間違ったことを言っていない。
だがそれ故に、お嬢様はとても困惑しているようだった。
そんなお嬢様を無視して、私は話しながらお嬢様の後ろに回る。
「さて、お嬢様、今から行うことは、お嬢様を思ってのことです。最終的に、その意味が分かってくだされば、私に悔いはありません。」
「な、何を…ひゃあ!?」
そして後ろに回った後、手袋をつけ、お嬢様に目隠しをつけ、お嬢様の真っ白で美しく手入れされた腋をくすぐり始める。
当然、そんなのを予想してなかったお嬢様は、可愛い反応をし始める。
「くひひ…!?これの…!どこが…!社会的な教育…!なのよ…!」
優しくくすぐっているため、喋れるぐらいの余裕はあるだろう。
むしろ、今はまだこれぐらい優しい方が、私もやりやすい。
「さて、早速始めさせていただきますが、まずお嬢様は、このようなことをされる思いあたりはありますか?」
「ひひ…!あるわけ…!ないでしょ…!」
予想通りの反応。
「そうですか。お嬢様くらいの賢さであれば、すぐにわかると思ったのですが。」
「くひひ…!こんの…!」
「思い出せないのなら、思い出すまで待ってあげます。」
「あひゃあ!?ははははははははははは!?」
急にくすぐる手を早め、話ながら探っていたお嬢様の弱点を執拗に責める。
「あはははははははははは!!ちょっと!やめ!!あははははははははははは!!」
「やめてほしいのであれば、早く思い出してみてはどうですか?お嬢様は人の言うことも聞けないのですか?」
「あははははははははははは…!」
これはいわゆるお仕置きであり、そして教育でもある。
だから、お嬢様には自分の行いを正してもらわなければならない。
けど、私が全て指摘するのでは、お嬢様は反発するだけ。
だからお嬢様には、自分で気づいてもらわなければならない。
「早く思い出してくださらないと、この後の予定に支障をきたしますよ?お嬢様。」
「あはははははははははは!!分かった!!分かったから!!一旦!!」
「思い出しましたか?」
「いいから!!とm…!」
「思い出しましたか?、と聞いています、お嬢様。」
「はひ…!思い出したからぁ!!」
「承知しました。」
私はその言葉を聞き、一度くすぐるのを止める。
すると、お嬢様は少し息を整える時間を取り、話し始めた。
「もしかして、今までメイドたちにしてきた態度の問題かしら?」
「その通りです。ちゃんと思い出したようで何より…。」
「あれが問題なら、世の中の全ての貴族が問題でしょう?」
「…。」
話が長くなるだろうと思い、私は傾聴する気持ちになる。
「メイドは、使える主人の言うことを聞いて当たり前。それがメイドの役割なのだから。できないメイドは出来損ない。主人の命令を満足にこなせないメイドは、他にも何ができるというの?私は、主人としてメイドに指示を出し、失態を犯したメイドを叱っているだけ。これのどこがおかしいのかしら。確かに、少しきついことは認めるけど、そんな態度だけでここまでするメイドなんていないわ。」
「…。」
「耳が痛いかしら?今やっていることこそ失態であり、あなたはメイドとしてやっては行けないことをやっているの。違うかしら?そう思うなら、さっさとこれを外してくれるかしら?今外せば、私の命令に従ったとみなし、処罰はなしにしてあげるわ。」
「…。」
お嬢様らしい態度、お嬢様らしい口調、お嬢様らしい理論。
お嬢様がいうことは、メイドを持つ主人としては何も間違っていない。
正直、私もそう思っているぐらい。
…けど…。
「…以上ですか?」
「…え?」
お嬢様の理論は、あくまで「主人とメイド」の理論だ。
「公」の理論ではない。
「もう一度言います。これは、社会的な教育です。そのことを理解した上で、もう一度お考えになってください。」
「ど、どういう…。ひゃあ!?あはははははははははは!!?」
再びくすぐりを再開する。
今度は、事前に後ろに控えさえていた2人のメイドにも動いてもらい、他の場所もくすぐってもらう。
これにより、お嬢様は話すことはままならなくなるだろう。
「話す必要はないので、少しだけお聞きください、お嬢様。」
そんなお嬢様に対して、私はくすぐる手を止めずに、今までのお嬢様の行いを列挙していく。
メイドに対しての嫌がらせだけでなく、公の場で見せた、お嬢様らしからぬ言動すべて。
その間、お嬢様は何度か話を遮ろうとしたが、くすぐったさの猛攻で、やはりまともに話すことができていなかった。
「はぁ…はぁ…はぁ…。」
しばらくくすぐった後、お嬢様の様子を確認するために一旦くすぐりを止める。
お嬢様は、息を整えるまではもちろん、息がある程度整った後でも、何も話そうとはせず黙り込んでいた。
「長いお話を傾聴いただき、感謝いたします、お嬢様。」
「…。」
反省の色は伺えるが…。
「…私は…悪くない…。失態を何回もおかす、あなたたちメイドが悪いのよ…。」
「…。」
お嬢様は、小さく呟くようにいうが、至近距離にいる私には、はっきり聞こえた。
そこで私は、用意していた最後の手段に出る。
「どこまでも傲慢で、自分勝手で、人のことを考えない…。私は、私たちは、そんなお嬢様が好きではありません。」
「…!?」
「どこまでも妖艶で、他人思いで、あらゆる視点を持っている…。そのような人格者になってほしいのです。」
「…。」
「反省の時間を設けます。その間に、もう一度自分の行いをお見直しください、お嬢様。」
「ひゃい…!?もう…!いやぁ!!」
そうして、またくすぐり始める。
先ほどよりも容赦無く、他のメイドたちの思いもぶつけるつもりで。
そうして正午ぴったりまで休みなしでくすぐり続けた。
くすぐりが終わった後のお嬢様の顔は見ていないが、しっかりと反省していることを願いつつ、私は他のメイドたちにお嬢様の世話を任せ、メイド長とご両親の元へ報告しに行った。
後日、お嬢様はまるで別人になったかのように、自分勝手な振る舞いをしなくなった。
メイド1人1人の能力を把握した上で、それぞれに適材適所の仕事を与え、その上で今までの学業やお嬢様としての気品を保ちつつ、公の場では一貴族の令嬢として、健気で美しく謙虚な姿を見せ続けた。
お嬢様は、変わってくださったのだ。
私としては、正直完全に調教師の心になりきれていなかった分の罪悪感を忘れることができ、やってよかったと感じた。
もちろんクビにはなっていないし、チーフから格下げされたなんてこともない。
それどころか、メイド長にもご両親にも感謝された。
とはいえ、メイドとして行うべき行動からはかけ離れているので、私はもしお嬢様がまた自分勝手な考えを持ったとしても、今度は別の方法で行おうと思った。
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