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賢者の人生編
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私はケンタを育てることにした。
グランは彼にとっての良い敵役になってもらう。
全ての黒幕は私で、それに気付いたケンタが私を倒してくれるはず。
パーティメンバーにとっては初めての魔王討伐だったが、私にとっては3度目だった。
魔王の居城があるコールドマウンテンまで道のりは二つある。
平坦で怪物がほとんど現れないルート。(そのため道中に街が多い)
険しく怪物が沢山現れるルート。(そのため道中に街が少ない)
前者は一回目に旅したルートで、怪物がほとんど現れなかったためメンバーが育たなかった。
必然的にメンバーは低レベルなまま旅は進む。
そのため、途中で現れる中ボス(ボスキャラはどちらのルートを選んでも必ず現れた)に私以外のメンバーは殺されてしまった。
私が望む人間関係が構築される前に、メンバーが死んでしまっては面白くない。
後者は二回目に旅したルートで、怪物が次々と現れる。
その多さについていけないメンバーは死んだり脱落したりした。
これらの経験を踏まえ、私はあえて後者のルートを選択した。
途中にある村や街を拠点にしつつ、メンバーをじっくり育てながら、ゆっくり時間を掛けて進むことにした。
グランを中心に戦闘を重ねさせた。
後衛で私は治癒魔法と補助魔法(防御力の強化や、素早さの向上など)を使い、メンバーの援護に勤めた。
最初は大して強くもないメンバーだったが、私の指導と援護のお陰でみるみる成長して行った。
ただ一人、ケンタを除いては。
彼は戦闘に参加させず雑用ばかりさせた。
メンバーからの理不尽な要求を彼に与え続けた。
ケンタのフラストレーション、つまりメンバーへの復讐心を育てるのが狙いだった。
ステータスが上昇し、どんなに強い魔法や武器を使えこなせたとしても、私を倒せないだろう。
相手を憎み倒してやろうという気持ち、それこそが、彼の存在証明となり、人智を超えた限界突破に繋がるだろう。
だが、ケンタは
「はい」
と、文句も言わずメンバーからの無理難題をこなしていった。
たった一人でゴブリンの群れに飛び込ませた。
彼が倒した怪物がドロップした素材を、全て奪った。
大量の荷物をその小さな背中に背負わせた。
だが、
「はい」
彼は、笑顔でこなしていた。
それが、マリナのためと言わんばかりに。
遂に魔王ハーデンを討伐した。
グランは王となった。
私は彼にケンタを平民にすることを奨めた。
「さすがにそれは可哀想だろ」
グランは難色を示した。
「ケンタは、今までこき使ってきた私達に恨みがあるはず。きっと反乱を起こすだろう。権力を与えないほうがいい」
私の提案は受け入れられた。
ケンタには栄誉も報酬も与えられなかった。
さすがに、怒りに燃えるだろう。
私はそう思った。
だが、彼は教会に戻りマリナと一緒に孤児院の仕事をしていた。
遠くから見る彼の顔は幸せそうだった。
こうなったら、ケンタの一番大切な者を奪うしかない。
突然、ジェス姫の顔が思い浮かんだ。
愛する者を失う辛さを思い出し、心がズキンとした。
だが、私は心を鬼にした。
私の人生のために。
闇の先に光が見えて来た。
そろそろセーブポイントだ。
賢者の人生編 おわり
グランは彼にとっての良い敵役になってもらう。
全ての黒幕は私で、それに気付いたケンタが私を倒してくれるはず。
パーティメンバーにとっては初めての魔王討伐だったが、私にとっては3度目だった。
魔王の居城があるコールドマウンテンまで道のりは二つある。
平坦で怪物がほとんど現れないルート。(そのため道中に街が多い)
険しく怪物が沢山現れるルート。(そのため道中に街が少ない)
前者は一回目に旅したルートで、怪物がほとんど現れなかったためメンバーが育たなかった。
必然的にメンバーは低レベルなまま旅は進む。
そのため、途中で現れる中ボス(ボスキャラはどちらのルートを選んでも必ず現れた)に私以外のメンバーは殺されてしまった。
私が望む人間関係が構築される前に、メンバーが死んでしまっては面白くない。
後者は二回目に旅したルートで、怪物が次々と現れる。
その多さについていけないメンバーは死んだり脱落したりした。
これらの経験を踏まえ、私はあえて後者のルートを選択した。
途中にある村や街を拠点にしつつ、メンバーをじっくり育てながら、ゆっくり時間を掛けて進むことにした。
グランを中心に戦闘を重ねさせた。
後衛で私は治癒魔法と補助魔法(防御力の強化や、素早さの向上など)を使い、メンバーの援護に勤めた。
最初は大して強くもないメンバーだったが、私の指導と援護のお陰でみるみる成長して行った。
ただ一人、ケンタを除いては。
彼は戦闘に参加させず雑用ばかりさせた。
メンバーからの理不尽な要求を彼に与え続けた。
ケンタのフラストレーション、つまりメンバーへの復讐心を育てるのが狙いだった。
ステータスが上昇し、どんなに強い魔法や武器を使えこなせたとしても、私を倒せないだろう。
相手を憎み倒してやろうという気持ち、それこそが、彼の存在証明となり、人智を超えた限界突破に繋がるだろう。
だが、ケンタは
「はい」
と、文句も言わずメンバーからの無理難題をこなしていった。
たった一人でゴブリンの群れに飛び込ませた。
彼が倒した怪物がドロップした素材を、全て奪った。
大量の荷物をその小さな背中に背負わせた。
だが、
「はい」
彼は、笑顔でこなしていた。
それが、マリナのためと言わんばかりに。
遂に魔王ハーデンを討伐した。
グランは王となった。
私は彼にケンタを平民にすることを奨めた。
「さすがにそれは可哀想だろ」
グランは難色を示した。
「ケンタは、今までこき使ってきた私達に恨みがあるはず。きっと反乱を起こすだろう。権力を与えないほうがいい」
私の提案は受け入れられた。
ケンタには栄誉も報酬も与えられなかった。
さすがに、怒りに燃えるだろう。
私はそう思った。
だが、彼は教会に戻りマリナと一緒に孤児院の仕事をしていた。
遠くから見る彼の顔は幸せそうだった。
こうなったら、ケンタの一番大切な者を奪うしかない。
突然、ジェス姫の顔が思い浮かんだ。
愛する者を失う辛さを思い出し、心がズキンとした。
だが、私は心を鬼にした。
私の人生のために。
闇の先に光が見えて来た。
そろそろセーブポイントだ。
賢者の人生編 おわり
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