婚約破棄で捨てられ聖女の私の虐げられ実態が知らないところで新聞投稿されてたんだけど~聖女投稿~

真義あさひ

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第二章 お師匠様がやってきた

レモンタルトとチョコレートパフェ

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「ルシウスさん。何かわかったの?」
「わかったとも言えるし、わからなかったとも言える」

 少し見解を聞いてみたいからと、アイシャはルシウスをカフェに誘った。
 先日、トオンと来たばかりのカフェだ。
 ルシウスは頷いてくれたのだが、店の前に来ると少しからかうような顔になった。

「こういう店は、トオンと来たらどうだ?」
「もうとっくにデートで使いました!」

 いいから、とルシウスの大きな手を掴んで入店した。

 入店して奥のほうのテーブル席に座り、少し経つといつものように周囲からの注目の視線は落ち着いてくる。
 認識阻害の術自体はアイシャ本人が自分にかけているが、同行者にも作用するよう融通を効かせた設定にしてある。

(ルシウスさんは素で目立つもの)

 この麗しの男前はそこにいるだけで目立つ。
 それに、聖女として知られている自分が、いつも連れている世話役以外の男性といる場所を他人に見られるといろいろ面倒かもしれない。

 宰相の邸宅のある貴族街から南地区まで歩いて戻ってきて、喉が乾いている。
 ふたりともアイスコーヒーと、アイシャはレモンタルトを、ルシウスはチョコレートパフェを注文した。

「ぱ、パフェ食べるの? ルシウスさん」
「店のお勧めならば挑戦せねばなるまい」

 口調は厳かだったが、言ってる内容は何だかミーハーな若い女子のようだった。
 そして案の定、アイスコーヒーとともに運ばれてきたスイーツは、レモンタルトがルシウスに、チョコレートパフェがアイシャの前に置かれた。逆だ。
 そっと、無言でふたりして交換し合った。



「聖女エイリーは頭が悪い。そしてその息子トオンは頭がいい」
「え?」

 パフェ用の細長いスプーンで、小ぶりなパフェを真剣な瞳で攻略しながらルシウスが言った。

「実の母親だから評価が辛くなるのは仕方がない。だが、……頭が良いから、何でもっと適切な行動ができなかったんだと、見えてしまうのだろうな……」

 溶けやすいチョコレートのアイスクリームから攻めていくことに決めたらしい。
 嬉しそうにパフェを食べ進めながらルシウスが続けた。

 元は姉と弟のように仲が良かったという、聖女エイリーと初代国王トオン。
 国王と王妃として婚姻すると決めた時点で、二人は既にカーナ王国の地下にあった邪悪な古代生物の魔力の処理をエイリーが請け負う契約をしている。

 しかし、いざ蓋を開けてみれば王妃として足りないことだらけだったエイリー。
 初代国王は彼女を王統譜には載せなかった。
 それでも、現在の国民たちが『聖女エイリーは初代王妃』と認知しているから、彼の独断で隠れて行っただろうことがわかる。
 肝腎なところで自分の役に立ってくれなかったエイリーの始末に頭を悩ませていた新米国王の姿が、事実から透けて見えてくる。

「……確かに、言動を見れば愚かなことの多い聖女ではある、が……」

 そこに悍ましい賎民呪法の影響も加わって、もう何が何やらだ。



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