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第三章 カーナ王国の混迷
カーナ王国の宝物と神人の加護
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「さて、残るはこいつか」
教会内の宝物庫へやってきた。ここにはカーナ王国歴代の聖女や聖者たちに由来する宝物が収められているはずだった。
本来なら数は九つ。
錫杖、真珠冠、指輪、ピアス、ブローチ、腕輪、聖衣、盾。
そしてかつては神剣だったものが聖剣になり、更に近代になるにつれ、ただの宝剣まで劣化した剣が一振り。
このうち、ブローチは今もアイシャが持っている四つ葉だ。
これら宝物のうち、国の守護と魔物退治にアイシャが使っていたものは錫杖と、場合によっては盾を用いた。
「いち、に、……六つしかないぞ?」
「指輪とピアス、腕輪はクーツが売り払ってしまったのよ。足元を見られて買い叩かれたみたいだけど、それでも国宝級の宝物だもの。ひと財産築けるぐらいの金貨の山になったそうよ」
「あいつのクズエピソード、ほんとどこまでも出てくるよなあ」
その金貨は大半がクーツ王太子と恋人の公爵令嬢ドロテア、取り巻きたちとの豪遊で使い果たされている。
異母兄のトオンはもはや無の境地だった。母親が違うとはいえあれが自分の弟とは思いたくもない。
「持ち出しやすい小さな宝物から売り払ったのだな」
「歴代の聖女聖者たちが聖なる魔力を込め続けてきた宝物だ。それぞれ相応しい持ち主のところに辿り着くだろ」
ルシウスとビクトリノはそう言うが、カーナ王国の純正聖女のアイシャとしては取り戻したいとずっと願っている。
「宝物はすべて特殊な魔導具だから、帯びてた魔力の性質を覚えてるわ。国が落ち着いたら探す旅に出ようと思ってて」
共和制に移行するのに当初の予定では一年で旧体制を新体制に転換するはずだった。
ところがレイ王子たち母子の殺害事件で火消しに追われて更に伸びる見通しだ。
「宝物以外の魔導具もまだ奪われて戻ってきてないものが多いわ。大半はエイリー様が作ったアクセサリーなんだけど」
「……クーツの野郎、元の持ち主がわかんないように刻印を削り取ったり、地金と宝石や魔石をバラして売り捌いたんだよな」
「ええ。そこまでされると、さすがにもう回収は無理だと思う」
アイシャにとっては歴代聖女や聖者たちから受け継いだ財産だし、トオンにとっては実の母エイリーの形見だったのだが。
クーツ元王太子がアイシャから奪ったアクセサリーや魔導具は、宝物以外にもカーナ王家から下賜されたものが他にもあった。
重要なものは魔女でもあった当時の王妃ベルセルカが回収してくれていたが、他のものに関してはアイシャももう諦めている。
「残った宝物はアイシャ、お前が持っておけ。環内のアイテムボックスに入れておくんだ」
「わかりました、ビクトリノ様」
神殿が設置された後なら神殿内の宝物庫に預けられるが、今のカーナ王国では力のある魔導具の宝物を保管できる場所は少なかった。
「アイシャ、その真珠の冠、被って見せてよ」
「これを?」
クーツ王太子に扮して国王に即位したとき、傍らに王妃として立ったアイシャの王妃冠を戴冠した姿はとても神々しかった。
形は違うけれどあのときと同じ感動を再現したいなとふと考えたのだ。
トオンがさっとケースの中から取り出して真珠冠をアイシャの黒髪の上にのせた。
しかし、プラチナの地金に多数の真珠が嵌め込まれた冠は五百年の年月を経て、さすがに真珠の光沢が色褪せてくすんでしまっている。
「何も起こらないね」
「本当なら魔石レベルの真珠を数代ごとに交換する必要があるのよ。でもカーナ王国近海の海では魔物が出没するせいで真珠が取れないから建国期からそのまんま」
「剣も……鞘は見事だけど中の刃は錆があるね」
宝剣をトオンが手に取ったが、錆で剣が引き抜けなかった。
一通り教会を片付けてから結果報告の手紙を騎士に託して宰相に送り届けてもらい、アイシャたち四人はルシウスの屋敷に戻った。
広い庭に、以前はなかった木造のログハウス風の別宅が建っている。
神人ジューアが自分用の工房を建てさせたのだそうで。
屋敷に到着するなり執事が工房に向かうよう伝えてきたので神人ジューアを訪ねた。
「よく来たわね。カーナの財を見せてごらん」
神人ジューアがまるで見てきたかのように、カーナ王国の宝物を求めた。
アイシャは頷いて、工房内の雑多な作業場、一枚板の木のテーブルの上に環から宝物を取り出した。
「やはり傷んでるわね。こっちがカーナの嫁入り道具」
テーブルの上で神人ジューアが選り分けたのは、宝剣と盾、錫杖の武具三種だ。即ち今は滅んだ竜人族由来の宝物である。
「こっちはカーナが嫁ぎ先の魚人族から贈られたもの。どれも魔導具ね。古のハイヒューマンの恐ろしいこと」
真珠冠、指輪、ピアス、ブローチ、腕輪、聖衣の六種だ。
このうち、真珠冠と、特に聖衣は見た目でわかるほど傷みが激しい。
「聖女アイシャ。私はカーナから、お前が欲しい物は好きに与えて良いと言われてきている。……そうね、人の身で全部は多すぎる。三つまで。さあ選びなさい」
「……私個人に授けてくれる、ということですか?」
「如何にも。お前はそれだけの偉業を成し遂げた。さあ遠慮なく」
「………………」
アイシャはテーブル上の宝物を、飴の茶の瞳で眺めた。
カーナ姫由来の宝物は九種類。
錫杖、真珠冠、指輪、ピアス、ブローチ、腕輪、聖衣、盾、宝剣。
「この四つ葉のブローチと、錫杖。それに盾。この三つを貰い受けます」
「なぜそれを選んだ? 理由は?」
ルシウスの実姉だという神人ジューアは、僅かに垂れた大きな湖面の水色の瞳で、アイシャをじーっと探るように見つめてくる。
ジューアは弟ルシウスと瞳の色は同じだが、虹彩の中に銀色の花が咲いたような模様がある。
「ブローチは初代の聖女からずっとこの国の継承者たちが情報と魔力を保存してきているんです。私も自分の後継者に伝えていきたいと思いました」
「錫杖はなぜ?」
「主にこの国を守護する結界を張るために使ってきたものです。私も結界術が得意なので、自分の長所を補強するために」
「盾は?」
「宝剣と悩みましたが、女の私の手に余ります。それに、盾なら今後この国が他国に脅威を与えないと示すのに良いかと思いました。盾は戦いの道具ではなく守りの武具ですから」
一通りアイシャの回答を聞き終えた神人ジューアは、テーブル脇のソファに背を預けて深い溜め息を吐いた。
「弟よ、そんなとこで突っ立ってないで茶でも持ってきなさい」
「それなら侍女がそろそろ持ってきます、姉様」
それからすぐ、ルシウスの言う通り年配の侍女がティーセットを持ってきて、雑多だった工房内の荷物類を避けてテーブルにお茶の用意と、人数分の椅子をセッティングして戻っていった。
あとは座りながらお茶を飲んで神人ジューアの話を聞くことにした。
「お前が選んだものはどれもこの国のためのものじゃない。お前が欲しいものを選びなさいよ」
「カーナ姫に由来する宝物なんて大層なもの、私個人が受け取れるわけありません」
「……随分きっちり線引きするじゃない。そういう弁えたところ、嫌いじゃないわ」
よし、とカップをソーサーに戻して神人ジューアが頷いた。
「決めた。私がお前の後見人になってやろう。文句はないわね?」
「ジューア様がですか? ルシウスさんじゃなくて?」
今のところアイシャとトオンの後ろ盾は、その出自から旧王家の宰相ベルトラン侯爵が請け負っている。
魔力使いの師匠はルシウスだが、彼は他国に籍のある貴族のため、後見を強く主張すると内政干渉を疑われかねない。
「ですが今の私に、ジューア様に報いるだけのものは差し出せないと思うのですが……」
「私は魔導具師だから、素材や魔石に込める魔力を提供してもらえればそれで良い。急ぐ話ではないから、今は守護だけ与えておくわ」
神人ジューアの嫋やかな手に、虹色を帯びた夜空色の魔力がぼわっと出現した。
どうするのかと皆の視線が集まる中、彼女の魔力に反応してアイシャの腰回りに環が出た。
環の中に直接魔力をまとわせた手を突っ込んで、内部を操作するような動作をしばらく続けた後で手を引き抜いた。
「あ。ステータスに新規項目が増えています。『神人ジューアの加護』」
『無欠のルシウスの弟子』の後にだ。
「遠慮なく頼ってくれて構わないわよ。その環とやらを通じて私に念を飛ばすことも許すわ」
今度はアイシャの環の表面を、ちょん、と指先で軽く突っついた。
すぐさまアイシャのステータスのスキル欄に『念話』スキルが刻まれる。
(いくらルシウスさんのお姉さんでも、こんな過分な施しを受けるわけには)
咄嗟に思ったが、遠慮しようとする建前的な理性を抑制するような感覚があった。即ち聖女の本能的な直観だ。
「ありがたく頂戴します」
今、現存する神人たちの中に人間を積極的に害するタイプはいないはずだ。ましてや彼女はルシウスの姉。
少しだけ緊張しながらも、アイシャは神人ジューアの加護を受け入れることにした。
教会内の宝物庫へやってきた。ここにはカーナ王国歴代の聖女や聖者たちに由来する宝物が収められているはずだった。
本来なら数は九つ。
錫杖、真珠冠、指輪、ピアス、ブローチ、腕輪、聖衣、盾。
そしてかつては神剣だったものが聖剣になり、更に近代になるにつれ、ただの宝剣まで劣化した剣が一振り。
このうち、ブローチは今もアイシャが持っている四つ葉だ。
これら宝物のうち、国の守護と魔物退治にアイシャが使っていたものは錫杖と、場合によっては盾を用いた。
「いち、に、……六つしかないぞ?」
「指輪とピアス、腕輪はクーツが売り払ってしまったのよ。足元を見られて買い叩かれたみたいだけど、それでも国宝級の宝物だもの。ひと財産築けるぐらいの金貨の山になったそうよ」
「あいつのクズエピソード、ほんとどこまでも出てくるよなあ」
その金貨は大半がクーツ王太子と恋人の公爵令嬢ドロテア、取り巻きたちとの豪遊で使い果たされている。
異母兄のトオンはもはや無の境地だった。母親が違うとはいえあれが自分の弟とは思いたくもない。
「持ち出しやすい小さな宝物から売り払ったのだな」
「歴代の聖女聖者たちが聖なる魔力を込め続けてきた宝物だ。それぞれ相応しい持ち主のところに辿り着くだろ」
ルシウスとビクトリノはそう言うが、カーナ王国の純正聖女のアイシャとしては取り戻したいとずっと願っている。
「宝物はすべて特殊な魔導具だから、帯びてた魔力の性質を覚えてるわ。国が落ち着いたら探す旅に出ようと思ってて」
共和制に移行するのに当初の予定では一年で旧体制を新体制に転換するはずだった。
ところがレイ王子たち母子の殺害事件で火消しに追われて更に伸びる見通しだ。
「宝物以外の魔導具もまだ奪われて戻ってきてないものが多いわ。大半はエイリー様が作ったアクセサリーなんだけど」
「……クーツの野郎、元の持ち主がわかんないように刻印を削り取ったり、地金と宝石や魔石をバラして売り捌いたんだよな」
「ええ。そこまでされると、さすがにもう回収は無理だと思う」
アイシャにとっては歴代聖女や聖者たちから受け継いだ財産だし、トオンにとっては実の母エイリーの形見だったのだが。
クーツ元王太子がアイシャから奪ったアクセサリーや魔導具は、宝物以外にもカーナ王家から下賜されたものが他にもあった。
重要なものは魔女でもあった当時の王妃ベルセルカが回収してくれていたが、他のものに関してはアイシャももう諦めている。
「残った宝物はアイシャ、お前が持っておけ。環内のアイテムボックスに入れておくんだ」
「わかりました、ビクトリノ様」
神殿が設置された後なら神殿内の宝物庫に預けられるが、今のカーナ王国では力のある魔導具の宝物を保管できる場所は少なかった。
「アイシャ、その真珠の冠、被って見せてよ」
「これを?」
クーツ王太子に扮して国王に即位したとき、傍らに王妃として立ったアイシャの王妃冠を戴冠した姿はとても神々しかった。
形は違うけれどあのときと同じ感動を再現したいなとふと考えたのだ。
トオンがさっとケースの中から取り出して真珠冠をアイシャの黒髪の上にのせた。
しかし、プラチナの地金に多数の真珠が嵌め込まれた冠は五百年の年月を経て、さすがに真珠の光沢が色褪せてくすんでしまっている。
「何も起こらないね」
「本当なら魔石レベルの真珠を数代ごとに交換する必要があるのよ。でもカーナ王国近海の海では魔物が出没するせいで真珠が取れないから建国期からそのまんま」
「剣も……鞘は見事だけど中の刃は錆があるね」
宝剣をトオンが手に取ったが、錆で剣が引き抜けなかった。
一通り教会を片付けてから結果報告の手紙を騎士に託して宰相に送り届けてもらい、アイシャたち四人はルシウスの屋敷に戻った。
広い庭に、以前はなかった木造のログハウス風の別宅が建っている。
神人ジューアが自分用の工房を建てさせたのだそうで。
屋敷に到着するなり執事が工房に向かうよう伝えてきたので神人ジューアを訪ねた。
「よく来たわね。カーナの財を見せてごらん」
神人ジューアがまるで見てきたかのように、カーナ王国の宝物を求めた。
アイシャは頷いて、工房内の雑多な作業場、一枚板の木のテーブルの上に環から宝物を取り出した。
「やはり傷んでるわね。こっちがカーナの嫁入り道具」
テーブルの上で神人ジューアが選り分けたのは、宝剣と盾、錫杖の武具三種だ。即ち今は滅んだ竜人族由来の宝物である。
「こっちはカーナが嫁ぎ先の魚人族から贈られたもの。どれも魔導具ね。古のハイヒューマンの恐ろしいこと」
真珠冠、指輪、ピアス、ブローチ、腕輪、聖衣の六種だ。
このうち、真珠冠と、特に聖衣は見た目でわかるほど傷みが激しい。
「聖女アイシャ。私はカーナから、お前が欲しい物は好きに与えて良いと言われてきている。……そうね、人の身で全部は多すぎる。三つまで。さあ選びなさい」
「……私個人に授けてくれる、ということですか?」
「如何にも。お前はそれだけの偉業を成し遂げた。さあ遠慮なく」
「………………」
アイシャはテーブル上の宝物を、飴の茶の瞳で眺めた。
カーナ姫由来の宝物は九種類。
錫杖、真珠冠、指輪、ピアス、ブローチ、腕輪、聖衣、盾、宝剣。
「この四つ葉のブローチと、錫杖。それに盾。この三つを貰い受けます」
「なぜそれを選んだ? 理由は?」
ルシウスの実姉だという神人ジューアは、僅かに垂れた大きな湖面の水色の瞳で、アイシャをじーっと探るように見つめてくる。
ジューアは弟ルシウスと瞳の色は同じだが、虹彩の中に銀色の花が咲いたような模様がある。
「ブローチは初代の聖女からずっとこの国の継承者たちが情報と魔力を保存してきているんです。私も自分の後継者に伝えていきたいと思いました」
「錫杖はなぜ?」
「主にこの国を守護する結界を張るために使ってきたものです。私も結界術が得意なので、自分の長所を補強するために」
「盾は?」
「宝剣と悩みましたが、女の私の手に余ります。それに、盾なら今後この国が他国に脅威を与えないと示すのに良いかと思いました。盾は戦いの道具ではなく守りの武具ですから」
一通りアイシャの回答を聞き終えた神人ジューアは、テーブル脇のソファに背を預けて深い溜め息を吐いた。
「弟よ、そんなとこで突っ立ってないで茶でも持ってきなさい」
「それなら侍女がそろそろ持ってきます、姉様」
それからすぐ、ルシウスの言う通り年配の侍女がティーセットを持ってきて、雑多だった工房内の荷物類を避けてテーブルにお茶の用意と、人数分の椅子をセッティングして戻っていった。
あとは座りながらお茶を飲んで神人ジューアの話を聞くことにした。
「お前が選んだものはどれもこの国のためのものじゃない。お前が欲しいものを選びなさいよ」
「カーナ姫に由来する宝物なんて大層なもの、私個人が受け取れるわけありません」
「……随分きっちり線引きするじゃない。そういう弁えたところ、嫌いじゃないわ」
よし、とカップをソーサーに戻して神人ジューアが頷いた。
「決めた。私がお前の後見人になってやろう。文句はないわね?」
「ジューア様がですか? ルシウスさんじゃなくて?」
今のところアイシャとトオンの後ろ盾は、その出自から旧王家の宰相ベルトラン侯爵が請け負っている。
魔力使いの師匠はルシウスだが、彼は他国に籍のある貴族のため、後見を強く主張すると内政干渉を疑われかねない。
「ですが今の私に、ジューア様に報いるだけのものは差し出せないと思うのですが……」
「私は魔導具師だから、素材や魔石に込める魔力を提供してもらえればそれで良い。急ぐ話ではないから、今は守護だけ与えておくわ」
神人ジューアの嫋やかな手に、虹色を帯びた夜空色の魔力がぼわっと出現した。
どうするのかと皆の視線が集まる中、彼女の魔力に反応してアイシャの腰回りに環が出た。
環の中に直接魔力をまとわせた手を突っ込んで、内部を操作するような動作をしばらく続けた後で手を引き抜いた。
「あ。ステータスに新規項目が増えています。『神人ジューアの加護』」
『無欠のルシウスの弟子』の後にだ。
「遠慮なく頼ってくれて構わないわよ。その環とやらを通じて私に念を飛ばすことも許すわ」
今度はアイシャの環の表面を、ちょん、と指先で軽く突っついた。
すぐさまアイシャのステータスのスキル欄に『念話』スキルが刻まれる。
(いくらルシウスさんのお姉さんでも、こんな過分な施しを受けるわけには)
咄嗟に思ったが、遠慮しようとする建前的な理性を抑制するような感覚があった。即ち聖女の本能的な直観だ。
「ありがたく頂戴します」
今、現存する神人たちの中に人間を積極的に害するタイプはいないはずだ。ましてや彼女はルシウスの姉。
少しだけ緊張しながらも、アイシャは神人ジューアの加護を受け入れることにした。
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