婚約破棄で捨てられ聖女の私の虐げられ実態が知らないところで新聞投稿されてたんだけど~聖女投稿~

真義あさひ

文字の大きさ
191 / 306
第四章 出現! 難易度SSSの新ダンジョン

お師匠様が戻ってきた

しおりを挟む
 綿毛竜コットンドラゴンたちを連れ、時には料理人ゲンジからの弁当やおやつを持参してのダンジョン探索は続いた。

 何せ敵が出てこないので、ほとんどピクニック感覚なのだ。

 そして弟子の色恋沙汰に巻き込まれたルシウスは、それから数日後に疲れて帰ってきた。

「ひどい目にあった……」

 朝、アイシャがトオンと朝食前に散歩しようと庭に出ると、竜舎に見慣れた長身の男の姿がある。
 ルシウスが綿毛竜コットンドラゴンたちの世話をしながら、彼らの餌の木の実の殻を割っているところだった。
 表情豊かな彼には珍しく無表情で、ひたすらクルミの殻を素手で割っては中身を雛竜たちに与えていた。

「ルシウスさん、ちょっとヒーリングしましょう」

 憔悴しきっているルシウスをその辺にあった椅子に座らせて、アイシャはリンクを出してから自分のネオングリーンの聖なる魔力をルシウスに注ぎ込んだ。

「〝賦活ふかつ〟」

 活性化という意味だ。消耗した気力や体力を回復させる効果がある。
 同時に竜舎の中にアイシャ特有のオレンジに似た爽やかな芳香が漂った。
 
 やつれていたルシウスの顔に赤みが差す。生気が戻ってきたようだ。

「ありがとう、アイシャ。さすがの純正聖女だな」
「ふふ。そんなに得意じゃないですけどね」

 国の防衛に特化して訓練されてきたアイシャだったが、今では少しずつ本来の聖女が備えているべきスキルを学びつつある。
 ヒーリングもランクが低かったが、努力の甲斐あって今では大怪我でも治せるほどランクが上がっていた。



 アイシャのヒーリングを受け、賦活で活力を取り戻したルシウスは、ようやく屋敷で皆との食事に合流できた。

 ルシウス邸の朝食は軽めのことが多い。
 バタートーストかバゲットのサンドイッチ、それに彼らの故郷アケロニア王国でよく食べられている野菜多めのミネストローネなどのスープ。
 これに各自の好みで生野菜のサラダやフルーツ、あるいはスムージーにしたものを料理人のゲンジが作ってくれる。

 今朝はグリルしたサーモンとオニオンやパプリカのソテーを挟んだサンドイッチだった。

「それで相手の方たちは仲直りできたんですか?」
「双方に説教したが、どうにも拗れていてな……。前に相談されたときは、まさかここまで面倒ごとになるとは思わなんだ」

 恋人のほうは、実はルシウスがカーナ王国にやってきた夏の終わり頃に一度彼に会いに来て相談していたそうだ。

「強くなりなさいと助言したのだが、……まあ上手くいかなかったようだ」

 弟子の剣聖とその恋人は結局どうなったのか?

「恋人の子が私とライル君が戦うのを止めてくれたんだ。てっきり仲直りするかと思ったら、逃げて行ってしまったよ」
「……恋人さんはもう剣聖君が嫌いになっちゃったってこと?」
「私から見た彼らはお互い想い合ってるように思えたのだが、……まあ他人が口出しすることではないな」

 苦笑してグリルサーモンのサンドイッチに齧りついていた。

「ライルのほうには私からも手紙を出しておこう。リンク経由で送れるか良い練習になりそうだ」

 二人のことをよく知るというユーグレンも心配そうな顔になっていた。

 同じファミリーのメンバーならリンクを通して物品が送り合えるのだが、ユーグレンはリンクに目覚めてからまだ件の剣聖と直接会ってリンクを共鳴させていない。
 相手はアケロニア王国が本拠地の貴族令息だから、駄目でも普通に郵送すればいいだけだ。


しおりを挟む
感想 1,049

あなたにおすすめの小説

私を裏切った夫が、後悔しているようですが知りません

藤原遊
恋愛
政略結婚として、公爵家に嫁いだ私は 愛のない夫婦関係を「仕事」だと思い、正妻の役目を果たしてきた。 夫が愛人を持つことも、 その子を屋敷に迎え入れることも、黙って受け入れてきた。 けれど―― 跡取りを、正妻の子ではなく愛人の子にする。 その言葉を、人前で軽く口にした瞬間。 私は悟ったのだ。 この家では、息子を守れないと。 元々、実家との間には 「嫡子以外の子は実家の跡取りにする」という取り決めがあった。 ならば話は簡単だ。 役目を終えた私は、離縁を選ぶ。 息子と共に、この家を去るだけ。 後悔しているようですが―― もう、私の知るところではありません。

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

なぜ、私に関係あるのかしら?

シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」 彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。 そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。 「…レオンハルト・トレヴァントだ」 非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。 そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。 「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」 この判断によって、どうなるかなども考えずに… ※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。 ※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、 ※ 画像はAIにて作成しております

【完結】残酷な現実はお伽噺ではないのよ

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
恋愛
「アンジェリーナ・ナイトレイ。貴様との婚約を破棄し、我が国の聖女ミサキを害した罪で流刑に処す」 物語でよくある婚約破棄は、王族の信頼を揺るがした。婚約は王家と公爵家の契約であり、一方的な破棄はありえない。王子に腰を抱かれた聖女は、物語ではない現実の残酷さを突きつけられるのであった。 ★公爵令嬢目線 ★聖女目線、両方を掲載します。 【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう 2023/01/11……カクヨム、恋愛週間 21位 2023/01/10……小説家になろう、日間恋愛異世界転生/転移 1位 2023/01/09……アルファポリス、HOT女性向け 28位 2023/01/09……エブリスタ、恋愛トレンド 28位 2023/01/08……完結

公爵令嬢は結婚式当日に死んだ

白雲八鈴
恋愛
 今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。 「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」  突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。 婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。  そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。  その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……  生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。  婚約者とその番という女性に 『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』 そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。 *タグ注意 *不快であれば閉じてください。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」 公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。 だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。 ――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの? 何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。 しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。 それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。 そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。 温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。 そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。 「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」 「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」 離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。 そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。