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第四章 出現! 難易度SSSの新ダンジョン
お師匠様が戻ってきた
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綿毛竜たちを連れ、時には料理人ゲンジからの弁当やおやつを持参してのダンジョン探索は続いた。
何せ敵が出てこないので、ほとんどピクニック感覚なのだ。
そして弟子の色恋沙汰に巻き込まれたルシウスは、それから数日後に疲れて帰ってきた。
「ひどい目にあった……」
朝、アイシャがトオンと朝食前に散歩しようと庭に出ると、竜舎に見慣れた長身の男の姿がある。
ルシウスが綿毛竜たちの世話をしながら、彼らの餌の木の実の殻を割っているところだった。
表情豊かな彼には珍しく無表情で、ひたすらクルミの殻を素手で割っては中身を雛竜たちに与えていた。
「ルシウスさん、ちょっとヒーリングしましょう」
憔悴しきっているルシウスをその辺にあった椅子に座らせて、アイシャは環を出してから自分のネオングリーンの聖なる魔力をルシウスに注ぎ込んだ。
「〝賦活〟」
活性化という意味だ。消耗した気力や体力を回復させる効果がある。
同時に竜舎の中にアイシャ特有のオレンジに似た爽やかな芳香が漂った。
やつれていたルシウスの顔に赤みが差す。生気が戻ってきたようだ。
「ありがとう、アイシャ。さすがの純正聖女だな」
「ふふ。そんなに得意じゃないですけどね」
国の防衛に特化して訓練されてきたアイシャだったが、今では少しずつ本来の聖女が備えているべきスキルを学びつつある。
ヒーリングもランクが低かったが、努力の甲斐あって今では大怪我でも治せるほどランクが上がっていた。
アイシャのヒーリングを受け、賦活で活力を取り戻したルシウスは、ようやく屋敷で皆との食事に合流できた。
ルシウス邸の朝食は軽めのことが多い。
バタートーストかバゲットのサンドイッチ、それに彼らの故郷アケロニア王国でよく食べられている野菜多めのミネストローネなどのスープ。
これに各自の好みで生野菜のサラダやフルーツ、あるいはスムージーにしたものを料理人のゲンジが作ってくれる。
今朝はグリルしたサーモンとオニオンやパプリカのソテーを挟んだサンドイッチだった。
「それで相手の方たちは仲直りできたんですか?」
「双方に説教したが、どうにも拗れていてな……。前に相談されたときは、まさかここまで面倒ごとになるとは思わなんだ」
恋人のほうは、実はルシウスがカーナ王国にやってきた夏の終わり頃に一度彼に会いに来て相談していたそうだ。
「強くなりなさいと助言したのだが、……まあ上手くいかなかったようだ」
弟子の剣聖とその恋人は結局どうなったのか?
「恋人の子が私とライル君が戦うのを止めてくれたんだ。てっきり仲直りするかと思ったら、逃げて行ってしまったよ」
「……恋人さんはもう剣聖君が嫌いになっちゃったってこと?」
「私から見た彼らはお互い想い合ってるように思えたのだが、……まあ他人が口出しすることではないな」
苦笑してグリルサーモンのサンドイッチに齧りついていた。
「ライルのほうには私からも手紙を出しておこう。環経由で送れるか良い練習になりそうだ」
二人のことをよく知るというユーグレンも心配そうな顔になっていた。
同じファミリーのメンバーなら環を通して物品が送り合えるのだが、ユーグレンは環に目覚めてからまだ件の剣聖と直接会って環を共鳴させていない。
相手はアケロニア王国が本拠地の貴族令息だから、駄目でも普通に郵送すればいいだけだ。
何せ敵が出てこないので、ほとんどピクニック感覚なのだ。
そして弟子の色恋沙汰に巻き込まれたルシウスは、それから数日後に疲れて帰ってきた。
「ひどい目にあった……」
朝、アイシャがトオンと朝食前に散歩しようと庭に出ると、竜舎に見慣れた長身の男の姿がある。
ルシウスが綿毛竜たちの世話をしながら、彼らの餌の木の実の殻を割っているところだった。
表情豊かな彼には珍しく無表情で、ひたすらクルミの殻を素手で割っては中身を雛竜たちに与えていた。
「ルシウスさん、ちょっとヒーリングしましょう」
憔悴しきっているルシウスをその辺にあった椅子に座らせて、アイシャは環を出してから自分のネオングリーンの聖なる魔力をルシウスに注ぎ込んだ。
「〝賦活〟」
活性化という意味だ。消耗した気力や体力を回復させる効果がある。
同時に竜舎の中にアイシャ特有のオレンジに似た爽やかな芳香が漂った。
やつれていたルシウスの顔に赤みが差す。生気が戻ってきたようだ。
「ありがとう、アイシャ。さすがの純正聖女だな」
「ふふ。そんなに得意じゃないですけどね」
国の防衛に特化して訓練されてきたアイシャだったが、今では少しずつ本来の聖女が備えているべきスキルを学びつつある。
ヒーリングもランクが低かったが、努力の甲斐あって今では大怪我でも治せるほどランクが上がっていた。
アイシャのヒーリングを受け、賦活で活力を取り戻したルシウスは、ようやく屋敷で皆との食事に合流できた。
ルシウス邸の朝食は軽めのことが多い。
バタートーストかバゲットのサンドイッチ、それに彼らの故郷アケロニア王国でよく食べられている野菜多めのミネストローネなどのスープ。
これに各自の好みで生野菜のサラダやフルーツ、あるいはスムージーにしたものを料理人のゲンジが作ってくれる。
今朝はグリルしたサーモンとオニオンやパプリカのソテーを挟んだサンドイッチだった。
「それで相手の方たちは仲直りできたんですか?」
「双方に説教したが、どうにも拗れていてな……。前に相談されたときは、まさかここまで面倒ごとになるとは思わなんだ」
恋人のほうは、実はルシウスがカーナ王国にやってきた夏の終わり頃に一度彼に会いに来て相談していたそうだ。
「強くなりなさいと助言したのだが、……まあ上手くいかなかったようだ」
弟子の剣聖とその恋人は結局どうなったのか?
「恋人の子が私とライル君が戦うのを止めてくれたんだ。てっきり仲直りするかと思ったら、逃げて行ってしまったよ」
「……恋人さんはもう剣聖君が嫌いになっちゃったってこと?」
「私から見た彼らはお互い想い合ってるように思えたのだが、……まあ他人が口出しすることではないな」
苦笑してグリルサーモンのサンドイッチに齧りついていた。
「ライルのほうには私からも手紙を出しておこう。環経由で送れるか良い練習になりそうだ」
二人のことをよく知るというユーグレンも心配そうな顔になっていた。
同じファミリーのメンバーなら環を通して物品が送り合えるのだが、ユーグレンは環に目覚めてからまだ件の剣聖と直接会って環を共鳴させていない。
相手はアケロニア王国が本拠地の貴族令息だから、駄目でも普通に郵送すればいいだけだ。
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