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第五章 鮭の人無双~環《リンク》覚醒ハイ進行中
環《リンク》ファミリー孫世代リーダー
しおりを挟むカズンがカーナ王国に戻ったとき、それを知ったアケロニア王国の女王からは、渋々ユーグレン王太子の長期滞在を認める書簡が届いた。
ついでに、滞在中に新生カーナ共和国、いやカーナ神国との同盟を友好国として結んでこいとの命令付きで。
カズンは父親の仇を追うため再び旅に出なければならないが、ルシウスやユーグレン、ヨシュアといった故郷の親しい面々のいるカーナ王国を当面の活動ホームに定めた。
だが、すぐまた旅に出ようとしたカズンを止めたのはルシウスと、料理人で薬師スキル持ちでもあるゲンジだった。
「カズン様。何年にも渡る旅を続けてきてお疲れでしょう。しばらくこの国で休まれると良い」
「坊ちゃん、ルシウス君の言う通りだよ。まだ若いから自覚ないかもだけど、かなり疲労が溜まってるよ。おいしいもの食べて、少しゆっくりしよう」
カズンが追う父親の仇の魔へは、聖女アイシャも全面的な協力を表明している。
新生カーナ神国の支配者となった神人ピアディも積極的な姿勢だ。
魔の対処に関しては被害が甚大なため神殿も、何より円環大陸の中枢ともいえる永遠の国も本腰を入れ始めていた。
カズンが故郷アケロニア王国を出奔してから六年。
そのアケロニア王国も国を挙げて前王朝ロットハーナの末裔を名乗る魔の調査をしているが、いまだ全容が掴めていないという。
ただ、追っているカズンの前にだけ気まぐれに姿を現し翻弄する不気味な存在らしい。
それらの話を聞いて、今後再び追うにしても、もうカズン単独では出さないとアイシャは言った。
「私も一緒に行くわ。……と言いたいところだけど、今のカーナ神国の状況だとすぐには厳しいのよね」
「俺も同じです。……くそ、せっかくカズン様に再会できたのに。叔父様を放置もできないし、ピアディ様の信頼も裏切りたくないしで」
アイシャと鮭の人は溜め息をつき合っていた。
特に鮭の人は、現代に復活した神人ピアディに一目惚れされ、もとい才能を見込まれて新生カーナ神国の政務顧問、間をおかず宰相に任命されている。
この状態で国を放って旅に出ることはできなかった。
皆のジレンマにヒントを与えてくれたのは、新生カーナ神国に守護者としてしばらく滞在を決めたカーナ姫だった。
「君たちはフリーダヤの弟子筋だったか。環使いなら、魔力の高い術者であれば空間転移を習得する可能性がある。そうだね、ルシウス君?」
「ええ。いざとなったら私がカズン様に合流するつもりでいたのですが、……今の私は地下ダンジョン主として国外に出られないので……」
ルシウスはアイシャと甥っ子の鮭の人を見た。
「この中ではお前たち二人が実力的にトップだ。環ファミリー孫世代のリーダーに任命する。私が空間転移を伝授するから、使えるよう修行するように」
「「リーダーですか!?」」
環を開発した、環創成の魔術師フリーダヤと、パートナーの聖女ロータスを『環ファミリーの親世代』と呼ぶ。
その〝親〟の弟子となった環使いたちは『環ファミリーの子世代』だ。
この世代の男性リーダーはルシウスだという。
料理人のゲンジもこの子世代の一人だ。
「かつて、女性リーダーにはメルセデスという魔女がいたのだが、随分前に亡くなっている。以来、環ファミリーは後継者が不在の状態だ」
〝子〟世代の魔力使いたちの弟子が、カズンやアイシャたちになる。即ち孫世代だ。
「世代のリーダーとなると、何か義務でもあるのですか?」
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