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第9章 衣川関陥落 2
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(……ああ、そんな!)
既に市街地からは火の手が上がっていた。
川西に近づくにつれ、身一つで逃げていく住民達とすれ違う頻度が増えていく。
皆、今の者達のように何とか逃げ出せていれば良いが。
燃え盛る家々を一軒ずつ廻りながら、逃げ遅れた者がいないか確かめていく。 不思議と、これらの火を点けた者達の姿を目にすることはなかった。
やがて、不自然なほどに火の気のない区画に足を踏み入れる。
とある一軒の住居を覗き込み、踏み入れかけた足を止めた。
「――っ!?」
一加は思わず口元を抑えた。
「――どうして、こんな……っ!」
こんな酷いことを、同じ人間に、年端もいかない子供にさえ!
その光景を見つめているうちに一加の両目に涙が溢れた。
住居に足を踏み入れ、彼らに手を伸ばし、目を閉じてやる。
「――我らとて、このようなことはしたくないのだ」
ハッとして顔を上げると、いつからそこにいたのか、黒装束の男が、一加と同じような、今にも涙を零しそうな悲壮な表情で佇んでいた。
「誰が好き好んで、無辜の民を手に掛けようとするものか」
じっと一加を見つめながら男が語り続ける。
「……おまえがやったのか?」
尋ねる一加に男は目を伏せる。
「……しかし、戦とは、元来そういうものであろう? そして、今は戦。ならば、この無体な残状も真っ当き道理のうちにも入ろう。――そうは思わぬか、白糸御前殿?」
顔を上げた男の表情には今までの痛ましい色は微塵も残らず、只己の使命に燃える貪欲な色が鈍く光っているのみである。
「拙者は雪平と申す。我が主上が貴殿を所望じゃ。大人しく虜となるがよい。既にこの集落は我が配下が包囲しており、衣川への設橋も終え、今に主力が安倍勢の背後へ進軍を始めるであろう。逃げ場はないぞ。観念せい!」
「……なぜ、この親子を殺したか?」
一加の問いに、男は表情を変えぬままに答える。
「理由などない。逃げ遅れたのが目に付いたから殺めたまでのことよ。目に付く者は全て殺せとの命によりな。さあ、得物を捨てよ!」
一加は薙刀を放り捨てた。
「それでよい。それで、」
そして太刀を払い、男を斬り払った。
どう、と血を噴いて男が倒れ伏した。
薙刀では梁に閊えるから放り捨てたまでのことである。
「……人でなしめ、どうして平気で人の命を奪えるのか!」
一加は咽びながら叫んだ。
「はは、……ならば貴殿の今の一太刀は何というか?」
「……え?」
「拙者とて強いて戦に駆り出された身ぞ。殺せといわれ本意を曲げて無辜の女子供を殺すことを強いられたのじゃ。この手に塗れた血を拙者は生涯忘れぬであろうな。我が娘の幼き頃とよう似ておる。貴殿と拙者と何が違うというか?」
無表情の男の頬に涙が伝う。
「……」
「……ぬかったわ、小娘とはいえやはり胆沢の狼」
震える手で笛を手に取り、びー、と吹き鳴らす。
間を置かずして、四人の黒装束の兵士達が戸口を蹴破り現れた。
「捕らえよ、生かしてな。凶暴な狼故、手足の二三本はやむを得ぬ。子を為せる態であれば良い。あの気ちがひ爺のことじゃ、かえって喜ぶかもしれぬて」
投げやり気味に苦しい息を喘ぐ雪平が命令を下す。
迫る黒子兵に、ふっと一加は真上に太刀を掲げながら口を開く。
「我は胆沢の狼ぞ。……おまえ、自分と私と何が違うかと問うたな?」
訝しそうに雪平が一加を見つめる。
ぶん、と太刀を振るい、鋭く敵勢らを見渡し刃を構える一加が獣の唸りの如く言い放った。
「……人に強いられ惨めに人を殺めるおまえ等と、自ら進んで我が民の為咢を血に染める白狼との覚悟の違いを――身を以て思い知るがよいっ!」
……ばらばらになって転がっている配下達を見回しながら、くっく、と雪平が引き攣った笑いを零す。
「――金ヶ崎の人喰い狼か。生き残った津軽兵の忠告は、実に的を得ていたようじゃ!」
黒子兵を片付けて住居を後にした一加のすぐ前を矢が掠めていく。
見れば先程の雪平の話の通りに敷設された橋を渡ってきたと見える清原騎馬が十数騎、こちらを目指して突進してくる。
一加も薙刀を手に取り、馬に跨り挑みかかる。
気合の一声を上げながら薙刀を振るう。
その刃が交わされる前に、スパアアン、と騎馬達の首が転げ落ちた。
「――ヒャハハハ!」
驚いて振り向いた武者の背中から血に濡れた刃が生える。
「……兄上!」
歓声を上げる一加にクク、と唇を歪め兄が応える。
「今は漆部利じゃ。――済まぬのう。ようやく遠野郷より増水した川を泳ぎ泥濘に馬の足を取られ最後は敵が設置した橋を渡ってここまで辿り着けたわい!」
ケラケラ笑う蝦夷の狂戦士の出現にたじろいだ清原勢は、遅れて後方から迫る遠野勢を見るや自分達の分の悪さに気づき、早々に退散した。
「やれやれ、不甲斐ない奴らじゃ! 我が刀の錆にもならぬて――おおう!?」
不意に馬上から抱き着いてきた妹に目を丸くした漆部利であったが、すぐに穏やかな重任の顔になりぽんぽんと頭を撫でながら微笑む。
「なんじゃ、遅れてきた思春期の悩みか? そういう相談なら拙者は大得意じゃぞ。何しろ、未だに思春期じゃ」
「……お会いしとうございました!」
「はは、愛い奴め」
照れ笑いを浮かべる重任であったが、表情を改めると南の方を指さした。
「込み入った話はあとじゃ。――済まぬ、間に合わなかったようじゃ」
「――そんな……っ!」
一加もその方角を振り向いて、言葉を失った。
衣川関が、炎に包まれていた。
――貞任等、業近の柵の焼亡するを見て、大いに駭き遁げ奔る。遂に関を拒がず、鳥海の柵を保たんとす。而して久清の為に殺傷せらるる者、七十余人なり。
隠密別動隊の久清が川東の業近屋敷周辺を放火し、それを目撃した貞任らは、既に敵勢が侵入したことを確認した。全軍が動揺する最中、久清ら別動隊が設置した仮橋を渡り侵入した清原・国府勢の背後からの攻撃により安倍勢の守備は崩壊し、遂に衣川関は陥落したのである。
この敗走の最中、負傷した正任が脱落し、身動きできぬところを磐井勢残党らに救助され、則任、良昭と同じく磐井郡の金家屋敷に匿われることとなった。
「……兄上」
「なんじゃ?」
「どうして二重人格を装っているのですか?」
「唐突に嫌なことを聞いてくる妹よのう。装っているという言い方が、突き刺さるわ!」
困ったように頭を掻く。
「……そうせねば、戦場を檜の舞台と見たてねば、自分が保てぬ時があるのじゃ。こう見えて、拙者も弱い人間よ」
「貞任兄も同じことを仰せでした」
「はは、貞任兄は拙者とは逆じゃ!」
「……それと、もう一つ」
「なんじゃ?」
「あの住宅に、瀕死の敵将がおりまする。助けてやりたいのです」
「それを先に言わんか!」
「貞任殿!」
敗走の途に就く安倍勢を義家が単騎追いかけ声を掛ける。
「待て!」
貞任が弓を構えようとする配下達を押し止め、馬を寄せてくる義家に笑いかけるが、その顔色に浮かぶ疲労と消耗は隠しようもない。
「済まぬな。貴公との決着は、また次回に持ち越させてくれぬか?」
その様子に、義家も寂しそうに頷きながら口を開く。
「……残念じゃ。あれ程の頑強な衣川の館が、衣の縦糸解けるが如く、とは。俺にとっても思い出深い場所であった。貴公らと宴で交わした杯の味は忘れられぬ」
――衣のたてはほころびにけり。
貞任も微笑みながら返した。
「思えば永い戦であったからのう。あんまり永く続いたもので、いい加減に関の方が息が詰まって嫌気が差してきたのかもしれぬて。まあ、ぼちぼち終わりが見えてきておる。……いずれ改めて相見えようぞ。どうか達者でな!」
――年を経し糸の乱れの苦しさに
「ああ、お互いにな!」
そう言って、まるで永年の友のように二人は手を振りながら別れた。
……なんと気持ちの良い連中であることか!
既に市街地からは火の手が上がっていた。
川西に近づくにつれ、身一つで逃げていく住民達とすれ違う頻度が増えていく。
皆、今の者達のように何とか逃げ出せていれば良いが。
燃え盛る家々を一軒ずつ廻りながら、逃げ遅れた者がいないか確かめていく。 不思議と、これらの火を点けた者達の姿を目にすることはなかった。
やがて、不自然なほどに火の気のない区画に足を踏み入れる。
とある一軒の住居を覗き込み、踏み入れかけた足を止めた。
「――っ!?」
一加は思わず口元を抑えた。
「――どうして、こんな……っ!」
こんな酷いことを、同じ人間に、年端もいかない子供にさえ!
その光景を見つめているうちに一加の両目に涙が溢れた。
住居に足を踏み入れ、彼らに手を伸ばし、目を閉じてやる。
「――我らとて、このようなことはしたくないのだ」
ハッとして顔を上げると、いつからそこにいたのか、黒装束の男が、一加と同じような、今にも涙を零しそうな悲壮な表情で佇んでいた。
「誰が好き好んで、無辜の民を手に掛けようとするものか」
じっと一加を見つめながら男が語り続ける。
「……おまえがやったのか?」
尋ねる一加に男は目を伏せる。
「……しかし、戦とは、元来そういうものであろう? そして、今は戦。ならば、この無体な残状も真っ当き道理のうちにも入ろう。――そうは思わぬか、白糸御前殿?」
顔を上げた男の表情には今までの痛ましい色は微塵も残らず、只己の使命に燃える貪欲な色が鈍く光っているのみである。
「拙者は雪平と申す。我が主上が貴殿を所望じゃ。大人しく虜となるがよい。既にこの集落は我が配下が包囲しており、衣川への設橋も終え、今に主力が安倍勢の背後へ進軍を始めるであろう。逃げ場はないぞ。観念せい!」
「……なぜ、この親子を殺したか?」
一加の問いに、男は表情を変えぬままに答える。
「理由などない。逃げ遅れたのが目に付いたから殺めたまでのことよ。目に付く者は全て殺せとの命によりな。さあ、得物を捨てよ!」
一加は薙刀を放り捨てた。
「それでよい。それで、」
そして太刀を払い、男を斬り払った。
どう、と血を噴いて男が倒れ伏した。
薙刀では梁に閊えるから放り捨てたまでのことである。
「……人でなしめ、どうして平気で人の命を奪えるのか!」
一加は咽びながら叫んだ。
「はは、……ならば貴殿の今の一太刀は何というか?」
「……え?」
「拙者とて強いて戦に駆り出された身ぞ。殺せといわれ本意を曲げて無辜の女子供を殺すことを強いられたのじゃ。この手に塗れた血を拙者は生涯忘れぬであろうな。我が娘の幼き頃とよう似ておる。貴殿と拙者と何が違うというか?」
無表情の男の頬に涙が伝う。
「……」
「……ぬかったわ、小娘とはいえやはり胆沢の狼」
震える手で笛を手に取り、びー、と吹き鳴らす。
間を置かずして、四人の黒装束の兵士達が戸口を蹴破り現れた。
「捕らえよ、生かしてな。凶暴な狼故、手足の二三本はやむを得ぬ。子を為せる態であれば良い。あの気ちがひ爺のことじゃ、かえって喜ぶかもしれぬて」
投げやり気味に苦しい息を喘ぐ雪平が命令を下す。
迫る黒子兵に、ふっと一加は真上に太刀を掲げながら口を開く。
「我は胆沢の狼ぞ。……おまえ、自分と私と何が違うかと問うたな?」
訝しそうに雪平が一加を見つめる。
ぶん、と太刀を振るい、鋭く敵勢らを見渡し刃を構える一加が獣の唸りの如く言い放った。
「……人に強いられ惨めに人を殺めるおまえ等と、自ら進んで我が民の為咢を血に染める白狼との覚悟の違いを――身を以て思い知るがよいっ!」
……ばらばらになって転がっている配下達を見回しながら、くっく、と雪平が引き攣った笑いを零す。
「――金ヶ崎の人喰い狼か。生き残った津軽兵の忠告は、実に的を得ていたようじゃ!」
黒子兵を片付けて住居を後にした一加のすぐ前を矢が掠めていく。
見れば先程の雪平の話の通りに敷設された橋を渡ってきたと見える清原騎馬が十数騎、こちらを目指して突進してくる。
一加も薙刀を手に取り、馬に跨り挑みかかる。
気合の一声を上げながら薙刀を振るう。
その刃が交わされる前に、スパアアン、と騎馬達の首が転げ落ちた。
「――ヒャハハハ!」
驚いて振り向いた武者の背中から血に濡れた刃が生える。
「……兄上!」
歓声を上げる一加にクク、と唇を歪め兄が応える。
「今は漆部利じゃ。――済まぬのう。ようやく遠野郷より増水した川を泳ぎ泥濘に馬の足を取られ最後は敵が設置した橋を渡ってここまで辿り着けたわい!」
ケラケラ笑う蝦夷の狂戦士の出現にたじろいだ清原勢は、遅れて後方から迫る遠野勢を見るや自分達の分の悪さに気づき、早々に退散した。
「やれやれ、不甲斐ない奴らじゃ! 我が刀の錆にもならぬて――おおう!?」
不意に馬上から抱き着いてきた妹に目を丸くした漆部利であったが、すぐに穏やかな重任の顔になりぽんぽんと頭を撫でながら微笑む。
「なんじゃ、遅れてきた思春期の悩みか? そういう相談なら拙者は大得意じゃぞ。何しろ、未だに思春期じゃ」
「……お会いしとうございました!」
「はは、愛い奴め」
照れ笑いを浮かべる重任であったが、表情を改めると南の方を指さした。
「込み入った話はあとじゃ。――済まぬ、間に合わなかったようじゃ」
「――そんな……っ!」
一加もその方角を振り向いて、言葉を失った。
衣川関が、炎に包まれていた。
――貞任等、業近の柵の焼亡するを見て、大いに駭き遁げ奔る。遂に関を拒がず、鳥海の柵を保たんとす。而して久清の為に殺傷せらるる者、七十余人なり。
隠密別動隊の久清が川東の業近屋敷周辺を放火し、それを目撃した貞任らは、既に敵勢が侵入したことを確認した。全軍が動揺する最中、久清ら別動隊が設置した仮橋を渡り侵入した清原・国府勢の背後からの攻撃により安倍勢の守備は崩壊し、遂に衣川関は陥落したのである。
この敗走の最中、負傷した正任が脱落し、身動きできぬところを磐井勢残党らに救助され、則任、良昭と同じく磐井郡の金家屋敷に匿われることとなった。
「……兄上」
「なんじゃ?」
「どうして二重人格を装っているのですか?」
「唐突に嫌なことを聞いてくる妹よのう。装っているという言い方が、突き刺さるわ!」
困ったように頭を掻く。
「……そうせねば、戦場を檜の舞台と見たてねば、自分が保てぬ時があるのじゃ。こう見えて、拙者も弱い人間よ」
「貞任兄も同じことを仰せでした」
「はは、貞任兄は拙者とは逆じゃ!」
「……それと、もう一つ」
「なんじゃ?」
「あの住宅に、瀕死の敵将がおりまする。助けてやりたいのです」
「それを先に言わんか!」
「貞任殿!」
敗走の途に就く安倍勢を義家が単騎追いかけ声を掛ける。
「待て!」
貞任が弓を構えようとする配下達を押し止め、馬を寄せてくる義家に笑いかけるが、その顔色に浮かぶ疲労と消耗は隠しようもない。
「済まぬな。貴公との決着は、また次回に持ち越させてくれぬか?」
その様子に、義家も寂しそうに頷きながら口を開く。
「……残念じゃ。あれ程の頑強な衣川の館が、衣の縦糸解けるが如く、とは。俺にとっても思い出深い場所であった。貴公らと宴で交わした杯の味は忘れられぬ」
――衣のたてはほころびにけり。
貞任も微笑みながら返した。
「思えば永い戦であったからのう。あんまり永く続いたもので、いい加減に関の方が息が詰まって嫌気が差してきたのかもしれぬて。まあ、ぼちぼち終わりが見えてきておる。……いずれ改めて相見えようぞ。どうか達者でな!」
――年を経し糸の乱れの苦しさに
「ああ、お互いにな!」
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