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第1話
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「たかが一人の治療にいつまで時間がかかってるの?」
「本当に要領が悪くて気が利かないわね」
「いつまで経っても成長しないわね」
「人を癒す仕事に向いてないんじゃないの?」
……あぁ、何度もそう言われたその光景は数年経った今でも色あせることなく、私の頭に浮かぶ。
王都を離れて数年。先輩聖女からの暴言に耐えかねた私は王国直属の聖女パーティーを辞して、地方の小さな教会に努めていた。今ではそこでそれなりの実績を上げているが、それでも先輩聖女からの暴言の記憶は私を蝕んでいく。仕事中だろうと寝る前だろうと、いきなりフラッシュバックするそれは数年経った今でも私の精神を蝕んでいた。
「ルルさん、大丈夫ですか?」
また嫌な記憶を思い返し、一人追い詰められる私へ声をかける神官様がいる。彼の名はシズ、この小さな教会で私と共に村人たちの治療を続け、ささやかながら人々に感謝される毎日を過ごす戦友のような存在だ。
「いえ、何でもないです……ただちょっと、気分が優れないだけで……」
言葉を濁す私に、シズ様は心配そうな表情を浮かべる。
「それはいけませんね。人々を癒す仕事に就いている人間が、疲れたような表情を見せるのは良くない……もし悩みがあるのなら、私にお話をお聞かせいただけませんか?」
あくまで紳士的に、優しく問いかけるシズ様に私はほんの少し躊躇うが思い切って今の自分のことを正直に話してみる。
「実は……私、前に聖女として働いていた時のことを震えが止まらなくなったり精神不安定になってしまったりすることがあるんです。今もちょうど、そうなってしまって……だからシズ様は、気にしないでください。私は自分で、なんとかしてみますから」
引きつった笑顔を無理やりに浮かべてみせればシズ様はより一層、こちらの顔色を窺うような素振りを見せる。それから、しばらくの逡巡の後――こんなことを言ってみせた。
「実は私、ルルさんをこの教会で雇う時にあなたのことを少し調査させていただきました。それで、かつてあなたがいなくなった後の王国直属の聖女パーティーについても情報を仕入れたのですが……少し、その話を聞いてみませんか?」
あくまでこちらを気遣いつつ、しかし「本当は教えてあげたくてたまらない」というオーラを出しながらそう語るシズ様。
その気迫に押され、私が耳を傾けてみれば――意外な話を聞くことができた。
「本当に要領が悪くて気が利かないわね」
「いつまで経っても成長しないわね」
「人を癒す仕事に向いてないんじゃないの?」
……あぁ、何度もそう言われたその光景は数年経った今でも色あせることなく、私の頭に浮かぶ。
王都を離れて数年。先輩聖女からの暴言に耐えかねた私は王国直属の聖女パーティーを辞して、地方の小さな教会に努めていた。今ではそこでそれなりの実績を上げているが、それでも先輩聖女からの暴言の記憶は私を蝕んでいく。仕事中だろうと寝る前だろうと、いきなりフラッシュバックするそれは数年経った今でも私の精神を蝕んでいた。
「ルルさん、大丈夫ですか?」
また嫌な記憶を思い返し、一人追い詰められる私へ声をかける神官様がいる。彼の名はシズ、この小さな教会で私と共に村人たちの治療を続け、ささやかながら人々に感謝される毎日を過ごす戦友のような存在だ。
「いえ、何でもないです……ただちょっと、気分が優れないだけで……」
言葉を濁す私に、シズ様は心配そうな表情を浮かべる。
「それはいけませんね。人々を癒す仕事に就いている人間が、疲れたような表情を見せるのは良くない……もし悩みがあるのなら、私にお話をお聞かせいただけませんか?」
あくまで紳士的に、優しく問いかけるシズ様に私はほんの少し躊躇うが思い切って今の自分のことを正直に話してみる。
「実は……私、前に聖女として働いていた時のことを震えが止まらなくなったり精神不安定になってしまったりすることがあるんです。今もちょうど、そうなってしまって……だからシズ様は、気にしないでください。私は自分で、なんとかしてみますから」
引きつった笑顔を無理やりに浮かべてみせればシズ様はより一層、こちらの顔色を窺うような素振りを見せる。それから、しばらくの逡巡の後――こんなことを言ってみせた。
「実は私、ルルさんをこの教会で雇う時にあなたのことを少し調査させていただきました。それで、かつてあなたがいなくなった後の王国直属の聖女パーティーについても情報を仕入れたのですが……少し、その話を聞いてみませんか?」
あくまでこちらを気遣いつつ、しかし「本当は教えてあげたくてたまらない」というオーラを出しながらそう語るシズ様。
その気迫に押され、私が耳を傾けてみれば――意外な話を聞くことができた。
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