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神天地編
第17神話(前書き) 愛ある説教
しおりを挟む私は幼少期の頃から人間なんてはるかに凌ぐ力を持っていた。
人々からは恐れられ、誰が名付けたかも分からないが、いつの間にか神獣ネヴァンと呼ばれた。
生みの親は物心ついた時には居らず、巨大な木の上で孤独に生きてきたのだ。
なんで親は何処にもいないのか?なんで人間の声が理解出来て喋れるのか?
どれだけの年月をかけようとも、分からずじまいだ。
おっと、そう言っていると…
ーーあの怪鳥を今日こそ討つぞ!一軍・三軍は陣形を崩すな!!
ーー二軍は先陣を切るぞ!前へ進め!!
あぁ、またこれだよ。人間の戦士たちが雄叫びを上げている。一々此方に火矢を飛ばしてきたり、魔法が使えるような奴は毒魔法や光魔法なんていう質の悪い魔法ばかりだ。
まぁ、そんなことされる前に大体返り討ちにしたけどね。
それなのにまた懲りずに何度も何度もやってくる。
理由は恐ろしいから、いい素材になるから、仕留めたら名誉になるからなんていうただのしょうもない理由だ。
こっちからしたらお前らなんざ眼中に無い。お前達を殺したりする必要性なんて全く無いから、本来は攻撃する労力すら使いたくない。
それなのに………
「私に戦意はない!」
ーー神獣を視認!!討てぇぇぇぇぇぇ!!!
何度言っても
「私はお前達と戦う理由がない!」
ーーよし!!私達の攻撃が効いているぞ!!このまま押し切るぞ!!
無視され、私の声は1回も届くことは無かった。何度叫んでも攻撃され、自分の命を脅かす程の攻撃を容赦なく撃ってくる。
はぁ……
結局私は蹴りと翼で全てを薙ぎ払う。きっと暫く時間が経つとまた同じように人間達が来るのだろう。
そして人間が全員居なくなったのを確認すると、私はまた眠りにつく。
また明日もなんの変哲も無い日々が来るのだろう。
(起きたくないな……)
最近はいっそこのまま永眠でもしてしまおうかとも何度も思ってしまった。
だがそれでも死に対する恐怖には抗えなかった。
身をそのまま投げ出そうとしても、つい翼を開く。焼け死のうとしても、毒を飲もうとしても、人間達にわざと殺されそうになったとしても、結局途中で留まる。
死という壁を乗り越えられる程の覚悟を持っていなかったのだ。命を脅かされたりはするが、絶体絶命の命の危機というゾーンまで入り込んだことがこれまでに無かった。
そのゾーンに入る前に自分に死を持たらそうとするものへの防御反応が凄まじく、いつも完全に命に危害を加えられる前に動いてしまう。
そんな自分に何度も嫌悪を抱くことしか出来なかった。それでも結局自分の体を傷付けることなんて出来なかった。
(あぁ…眠い。)
寝たらまた明日が来て、碌でもない一日を過ごすんだろうなぁ。あぁ…いっそこの世界ごと滅亡してくれれば良いのに。大きなあくびをし、目から涙が一滴零れ落ちた。
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