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神天地編
第17神話 愛ある説教①
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「ほら!起きろ!神獣!」
「アイッッタ!!」
また頬をビンタで夢から叩き起こされる。そして慌てて上半身を起こし、目線を上に上げると先程の女がコロ付きの椅子に座っていた。
「…お前!!」
少し見下されている感じがして腹が立ち、手が出そうになったが先程の出来事を思い出しすぐに鎮めた。
「……調子はどうだ?頭とかは痛んでないか?」
「…………痛くない。」
「そうか。それは良かった。」
それだけ私に言うと女はコロ着き椅子を使って机へスイーと戻っていった。
そしてそこからは女は此方を向くことなく、ただ机と向かってひたすらに作業に取り組んでいる。
辺りを見回すと先程の実験するような広い場所よりも小さな部屋…恐らく個室だろう。
窓が一つあり空は綺麗な快晴だ。辺りは紙で散らかっているがそれ以外の場所はそれほど散らかっておらず、本棚なんてびっしりと綺麗に本達が敷き詰められている。
「……………」
「………………」
そして沈黙の空気が流れ出し私は楽な体勢になるように脚を前に伸ばし背中を壁につける。目線を女に向けても変わらず紙に何か書いて、終わると机の引き出しに収める。
それが何度も機械のように繰り返される。
「…………」
それをずっと見つめていると退屈で仕方ない。欠伸が連続して出てくる。
(暇だな………)
そんなことを考えても時は進むばかりで何もやることがなく、足を小刻みに動かす。
少し部屋を歩き回ってみても遊べそうなものは何一つ無い。紙やクリアファイルばかりだ。
棚には本がずらりと並べてあるが、難しそうな本ばかりで読めたとしてもすぐに飽きる未来しか見えない。
そして元の位置に結局座り込む。
(あー……………)
心のなかで溜め息を吐きながら、目線を女に向ける。また振り出しに戻ってしまった。
何か刺激が欲しい。何か楽しい事でも起こせるトリガーになるものが……あっ
(…………ニヤ)
私は無言で立ち上がり、女に体を向ける。
そして……
「うがぁぁぁぁ!!」
と叫びながら、高く跳び女の机の上に着地する。紙は踏んだことによりぐしゃぐしゃに崩れ、机に乗った衝撃で紙が数枚落ちる。女はそれでもこちらに目を向けることはない。まだ紙になにか書いている。
「……どうした神獣?こっちも色々と忙しいんだ。早くどいてくれ。これ今日までに終わらしとかないといけない。」
「はっ!こんなもの!こうだ!」
そして女から執筆中の紙を全て取り上げる。女は溜め息をまた吐く。
「……破いても何にもならないぞ?その紙には特殊な……」
「ふんっ。」
そう言って窓をガラガラと勢いよく開けて全ての紙を外に投げ捨てる。投げ捨てた瞬間目を女は丸くし、微動だにしなかった。しかし後に状況を把握し、顔が段々と冷や汗に覆われていく。そして…
「あ゛ーーーーーー!!!!それだけはーーーーー!!」
そう叫びながら窓から外へと身を投げ出す。どうやらそこまでは考えれていなかったようだ。
「へっ、さっきのお返しよ。一度は痛い目喰らっとけっての。」
ボコボコにやられたからには少しはやり返しておかないと。
ゲスな笑みを浮かべながら女が紙を拾う姿を優越感に浸りながら観賞する。
また、それと同時に初めてこの施設の外を見た。
(この施設こんなに広かったのね……)
施設の外見は灰色に覆われたコンクリートで出来ており、窓がいくつかあった。恐らくこの女と同じような仕事をしている奴らだろう。
この窓の外からは広いグラウンドが見え、縁に均等に置かれている木々が揺れている。
グラウンドより更にその奥には私が生きてきた中で見たことの無い山が見える。
その手前には高い壁が辺りを囲っている。
だが私が一番目に焼き付いたのは広大な施設や大きな壁ではなく、何の変哲も雲一つ無い綺麗な空だった。
(うわー……いい天気だなぁ……)
こういう日こそ飛翔日和だ。久しぶりに空を飛びたい……と言いたいところだが、翼が無くなった今空を思い切り飛ぶことなんて出来ない。
まぁ飛べたとしても人間達の目に付いてまともに攻撃ばっかされて飛翔どころじゃないけど。
「あー……あの大空目掛けて飛ぶことが出来たらなー……気持ちいいんだろうけど……。」
そう言って何も変わる訳が無いのに、独り言を呟く。
「まずいまずいまずい!このままじゃ……!」
風に乗ってあの女の声が聞こえる。大変だなぁ。それにしてもあの女やけに焦ってないか?
(……ん?)
そんなことを思っている最中に私はあるものに目が留まった。
「アイッッタ!!」
また頬をビンタで夢から叩き起こされる。そして慌てて上半身を起こし、目線を上に上げると先程の女がコロ付きの椅子に座っていた。
「…お前!!」
少し見下されている感じがして腹が立ち、手が出そうになったが先程の出来事を思い出しすぐに鎮めた。
「……調子はどうだ?頭とかは痛んでないか?」
「…………痛くない。」
「そうか。それは良かった。」
それだけ私に言うと女はコロ着き椅子を使って机へスイーと戻っていった。
そしてそこからは女は此方を向くことなく、ただ机と向かってひたすらに作業に取り組んでいる。
辺りを見回すと先程の実験するような広い場所よりも小さな部屋…恐らく個室だろう。
窓が一つあり空は綺麗な快晴だ。辺りは紙で散らかっているがそれ以外の場所はそれほど散らかっておらず、本棚なんてびっしりと綺麗に本達が敷き詰められている。
「……………」
「………………」
そして沈黙の空気が流れ出し私は楽な体勢になるように脚を前に伸ばし背中を壁につける。目線を女に向けても変わらず紙に何か書いて、終わると机の引き出しに収める。
それが何度も機械のように繰り返される。
「…………」
それをずっと見つめていると退屈で仕方ない。欠伸が連続して出てくる。
(暇だな………)
そんなことを考えても時は進むばかりで何もやることがなく、足を小刻みに動かす。
少し部屋を歩き回ってみても遊べそうなものは何一つ無い。紙やクリアファイルばかりだ。
棚には本がずらりと並べてあるが、難しそうな本ばかりで読めたとしてもすぐに飽きる未来しか見えない。
そして元の位置に結局座り込む。
(あー……………)
心のなかで溜め息を吐きながら、目線を女に向ける。また振り出しに戻ってしまった。
何か刺激が欲しい。何か楽しい事でも起こせるトリガーになるものが……あっ
(…………ニヤ)
私は無言で立ち上がり、女に体を向ける。
そして……
「うがぁぁぁぁ!!」
と叫びながら、高く跳び女の机の上に着地する。紙は踏んだことによりぐしゃぐしゃに崩れ、机に乗った衝撃で紙が数枚落ちる。女はそれでもこちらに目を向けることはない。まだ紙になにか書いている。
「……どうした神獣?こっちも色々と忙しいんだ。早くどいてくれ。これ今日までに終わらしとかないといけない。」
「はっ!こんなもの!こうだ!」
そして女から執筆中の紙を全て取り上げる。女は溜め息をまた吐く。
「……破いても何にもならないぞ?その紙には特殊な……」
「ふんっ。」
そう言って窓をガラガラと勢いよく開けて全ての紙を外に投げ捨てる。投げ捨てた瞬間目を女は丸くし、微動だにしなかった。しかし後に状況を把握し、顔が段々と冷や汗に覆われていく。そして…
「あ゛ーーーーーー!!!!それだけはーーーーー!!」
そう叫びながら窓から外へと身を投げ出す。どうやらそこまでは考えれていなかったようだ。
「へっ、さっきのお返しよ。一度は痛い目喰らっとけっての。」
ボコボコにやられたからには少しはやり返しておかないと。
ゲスな笑みを浮かべながら女が紙を拾う姿を優越感に浸りながら観賞する。
また、それと同時に初めてこの施設の外を見た。
(この施設こんなに広かったのね……)
施設の外見は灰色に覆われたコンクリートで出来ており、窓がいくつかあった。恐らくこの女と同じような仕事をしている奴らだろう。
この窓の外からは広いグラウンドが見え、縁に均等に置かれている木々が揺れている。
グラウンドより更にその奥には私が生きてきた中で見たことの無い山が見える。
その手前には高い壁が辺りを囲っている。
だが私が一番目に焼き付いたのは広大な施設や大きな壁ではなく、何の変哲も雲一つ無い綺麗な空だった。
(うわー……いい天気だなぁ……)
こういう日こそ飛翔日和だ。久しぶりに空を飛びたい……と言いたいところだが、翼が無くなった今空を思い切り飛ぶことなんて出来ない。
まぁ飛べたとしても人間達の目に付いてまともに攻撃ばっかされて飛翔どころじゃないけど。
「あー……あの大空目掛けて飛ぶことが出来たらなー……気持ちいいんだろうけど……。」
そう言って何も変わる訳が無いのに、独り言を呟く。
「まずいまずいまずい!このままじゃ……!」
風に乗ってあの女の声が聞こえる。大変だなぁ。それにしてもあの女やけに焦ってないか?
(……ん?)
そんなことを思っている最中に私はあるものに目が留まった。
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