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神天地編
第21神話 実験体①
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「おじゃましまー……「でえぇぇーーい!!」
「ゴハァッ!!!」
私のそっけない挨拶を訂正するように、何者かの足が私の柔らかいお腹に向けて蹴りを加えられ、後ろへと吹っ飛ぶ。
ガンッ!!
そのまま後頭部にドアノブが直撃した。
「いっ~~~!!」
悶絶してうずくまってしまった。
「あなた新人ね!私の従者として歓迎するわ!」
声が聞こえる方へなんとか目線を上へ上げる。
そこに居たのは少女だった。いや少女っていう言葉よりガキという言葉が似合いそうな容姿だ。
服装は私と同じ白い患者服を着用していて、長い赤髪が特徴的だ。体型は……まぁ、私の体型には遠く及ばない程に発展途上だ。胸も身長も。
(……ちっ。なに?このバカガキ?胸もなければ頭も無いのね。)
私は今すぐにでも起き上がってボコボコにしたかったが、自分の僅かにいる理性が抑えつけてくれたことで、心の中で悪態を吐くだけで済んだ。
「ちょっと!何かこの私に言うことは無い訳!?私はここのリーダーなのよ!」
(…お前の蹴りが痛すぎてこちとらそれどころじゃないのよ…!)
このガキ!?手だしてないだけでも感謝しなさい!?
「聞いてるの新人!?いい加減に…「するのはお前だ馬鹿。」」
「痛いっ!」
聞き覚えのある女性の声と頭蓋骨の固く鈍い音が部屋に響き渡る。
そのままガキは床に向けて倒れてしまった。
「お前……!」
ガキの後ろから出てきたのは、白衣を着て白髪が特徴的な女性が立っている。そうマケだ。そして手には謎の青い液体が入っている。
「あー…うちのやつが済まない。ちょっとこれ飲め。」
「…何そのえきた……「飲め。」
マケはしゃがみ、手に持っていた青い液体を私が喋り切る前に強制的に流し込む。
「…ん、んぐ!?」
私は咄嗟の出来事に反応出来ずそのまま飲み込んでしまった。
ゴクン
「ちょ…ちょっと!何を……ってあれ?」
「甘い……。」
私は毒でも飲まされたのではないかとも思ったが、飲んでみると今までに飲んだことの無い味だった。味的に……何かの果実?
それに気づけば先程のガキにやられた痛みもいつの間にか引き、体の調子がすこぶる良い。
「な、何を飲ませたの?」
「即効の回復薬。それが状態異常だろうかわ精神疾患だろうが治してくれる。あとりんご味を付けておいたのは私の遊び心だ。」
ん?なんて?
「……り、りんご?なにそれ?」
「……?りんご分からないのか?」
私は首を縦にふる。
「へへーん……りんごも知らないとは……あなた相当馬鹿…「なのはお前だ馬鹿。」」
ゴンッ
「痛ったぁ!」
そして失礼なバカガキを後ろから、わたしをここへ連れてきた男がマケと同じ場所に拳骨を喰らわせた。多分軽くたんこぶが出来ているだろう。
「…ちょ、ちょっと二人とも!いきなり後ろから攻撃してくるなんて卑怯よ!それでも私が認めた神なの!?さては……偽物!」
『いやどうしてそうなる。』と思ったのは私だけじゃないはずだ……ほら見ろ。二人ともめんどくさそ~な顔してらっしゃる。
「私の知ってるウランとマケはもっと強くて、真摯な奴等よ!きっとあなた達偽物だわ!私と勝負しろ!」
二人ともなんて声を掛けようか困惑している。
クスッ
それを見て何故かガキは笑みを見せる。
「ぷくく……さてはあなた達『真摯』っていう意味が分からないのね?ぷくく…」
(はい……?)
なんてこった。どうしてここまで自分勝手な妄想で話を変えることが出来るのだろうか。
「真摯っていうのはね!『真面目でひたむきなさま。』っていう意味よ!」
恐らく最近辞書かなんかで調べて、自分だけが知っていることでマウントを取りたいお年頃なのだろう。
可愛らしいと思えば可愛らしいが、まぁ一回り大きい私の体に大ダメージを与えてる時点で可愛さの欠片の一つもない。
「こんな簡単な言葉すら知らないなんて…いつものマケ達なら知ってるわ!やっぱりあなた達偽物ね!この私が成敗してやるわ!」
「はいはいそーですか(棒)」
最早マケは棒読みで、遠い目をしている。ていうかそんな顔するんだ……。
何故かどうでも良いとこで変な
「喰らえ!この偽物め!」
なんとも返り討ちにされる時にありがちな言葉を発しながらマケに向けて可愛らしく尚且つ凶器のグーパンをマケの顔面に向けて叩き込もうとする。
「りゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
そして…
「「いい加減にしろ」」
「わぎゃぁっ!」
邪魔される。
「う…うぅ。なんでぇ……」
ついには泣き声になってしまった。
あら、可愛い所あるじゃない。
それに邪魔をしたのはまさかのマケや男では無く、私やガキと同じような白い患者服を着た二人の少年だった。恐らくこのガキの同居人だろう。
ガキ二人に同時に足を引っ掛けて転ばされ、少年二人に、マケに、男に、私に見下される光景になっている。いい気味だ。
私の人間態での年齢は体格の感じ、20代前半くらいだろう。
この二人は私の人間態よりかは若く見える。パッと見、3歳差ぐらいだろうか。
「全く!いい加減にせぇや!お前はどこまで迷惑かけたら気が済むんや!」
茶髪に小柄な体格が特徴的であり、やはり私達とおなじような白い患者服を着用している。きっと私とも同じような境遇なのだろうが、私が気になったのはもう一つあった。
(……早かったな。)
二人ともガキが殴りかかる一瞬よりも早く近寄り、ガキに警戒されないように気配を殺し、音も無くガキの横へ移動して転ばせた。私ですら今のは反応出来なかった。
やはりここにいる奴等も私と同じただの人間では無さそうだ。
「ゴハァッ!!!」
私のそっけない挨拶を訂正するように、何者かの足が私の柔らかいお腹に向けて蹴りを加えられ、後ろへと吹っ飛ぶ。
ガンッ!!
そのまま後頭部にドアノブが直撃した。
「いっ~~~!!」
悶絶してうずくまってしまった。
「あなた新人ね!私の従者として歓迎するわ!」
声が聞こえる方へなんとか目線を上へ上げる。
そこに居たのは少女だった。いや少女っていう言葉よりガキという言葉が似合いそうな容姿だ。
服装は私と同じ白い患者服を着用していて、長い赤髪が特徴的だ。体型は……まぁ、私の体型には遠く及ばない程に発展途上だ。胸も身長も。
(……ちっ。なに?このバカガキ?胸もなければ頭も無いのね。)
私は今すぐにでも起き上がってボコボコにしたかったが、自分の僅かにいる理性が抑えつけてくれたことで、心の中で悪態を吐くだけで済んだ。
「ちょっと!何かこの私に言うことは無い訳!?私はここのリーダーなのよ!」
(…お前の蹴りが痛すぎてこちとらそれどころじゃないのよ…!)
このガキ!?手だしてないだけでも感謝しなさい!?
「聞いてるの新人!?いい加減に…「するのはお前だ馬鹿。」」
「痛いっ!」
聞き覚えのある女性の声と頭蓋骨の固く鈍い音が部屋に響き渡る。
そのままガキは床に向けて倒れてしまった。
「お前……!」
ガキの後ろから出てきたのは、白衣を着て白髪が特徴的な女性が立っている。そうマケだ。そして手には謎の青い液体が入っている。
「あー…うちのやつが済まない。ちょっとこれ飲め。」
「…何そのえきた……「飲め。」
マケはしゃがみ、手に持っていた青い液体を私が喋り切る前に強制的に流し込む。
「…ん、んぐ!?」
私は咄嗟の出来事に反応出来ずそのまま飲み込んでしまった。
ゴクン
「ちょ…ちょっと!何を……ってあれ?」
「甘い……。」
私は毒でも飲まされたのではないかとも思ったが、飲んでみると今までに飲んだことの無い味だった。味的に……何かの果実?
それに気づけば先程のガキにやられた痛みもいつの間にか引き、体の調子がすこぶる良い。
「な、何を飲ませたの?」
「即効の回復薬。それが状態異常だろうかわ精神疾患だろうが治してくれる。あとりんご味を付けておいたのは私の遊び心だ。」
ん?なんて?
「……り、りんご?なにそれ?」
「……?りんご分からないのか?」
私は首を縦にふる。
「へへーん……りんごも知らないとは……あなた相当馬鹿…「なのはお前だ馬鹿。」」
ゴンッ
「痛ったぁ!」
そして失礼なバカガキを後ろから、わたしをここへ連れてきた男がマケと同じ場所に拳骨を喰らわせた。多分軽くたんこぶが出来ているだろう。
「…ちょ、ちょっと二人とも!いきなり後ろから攻撃してくるなんて卑怯よ!それでも私が認めた神なの!?さては……偽物!」
『いやどうしてそうなる。』と思ったのは私だけじゃないはずだ……ほら見ろ。二人ともめんどくさそ~な顔してらっしゃる。
「私の知ってるウランとマケはもっと強くて、真摯な奴等よ!きっとあなた達偽物だわ!私と勝負しろ!」
二人ともなんて声を掛けようか困惑している。
クスッ
それを見て何故かガキは笑みを見せる。
「ぷくく……さてはあなた達『真摯』っていう意味が分からないのね?ぷくく…」
(はい……?)
なんてこった。どうしてここまで自分勝手な妄想で話を変えることが出来るのだろうか。
「真摯っていうのはね!『真面目でひたむきなさま。』っていう意味よ!」
恐らく最近辞書かなんかで調べて、自分だけが知っていることでマウントを取りたいお年頃なのだろう。
可愛らしいと思えば可愛らしいが、まぁ一回り大きい私の体に大ダメージを与えてる時点で可愛さの欠片の一つもない。
「こんな簡単な言葉すら知らないなんて…いつものマケ達なら知ってるわ!やっぱりあなた達偽物ね!この私が成敗してやるわ!」
「はいはいそーですか(棒)」
最早マケは棒読みで、遠い目をしている。ていうかそんな顔するんだ……。
何故かどうでも良いとこで変な
「喰らえ!この偽物め!」
なんとも返り討ちにされる時にありがちな言葉を発しながらマケに向けて可愛らしく尚且つ凶器のグーパンをマケの顔面に向けて叩き込もうとする。
「りゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
そして…
「「いい加減にしろ」」
「わぎゃぁっ!」
邪魔される。
「う…うぅ。なんでぇ……」
ついには泣き声になってしまった。
あら、可愛い所あるじゃない。
それに邪魔をしたのはまさかのマケや男では無く、私やガキと同じような白い患者服を着た二人の少年だった。恐らくこのガキの同居人だろう。
ガキ二人に同時に足を引っ掛けて転ばされ、少年二人に、マケに、男に、私に見下される光景になっている。いい気味だ。
私の人間態での年齢は体格の感じ、20代前半くらいだろう。
この二人は私の人間態よりかは若く見える。パッと見、3歳差ぐらいだろうか。
「全く!いい加減にせぇや!お前はどこまで迷惑かけたら気が済むんや!」
茶髪に小柄な体格が特徴的であり、やはり私達とおなじような白い患者服を着用している。きっと私とも同じような境遇なのだろうが、私が気になったのはもう一つあった。
(……早かったな。)
二人ともガキが殴りかかる一瞬よりも早く近寄り、ガキに警戒されないように気配を殺し、音も無くガキの横へ移動して転ばせた。私ですら今のは反応出来なかった。
やはりここにいる奴等も私と同じただの人間では無さそうだ。
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