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神天地編
第21神話 実験体②
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「うぅ~……だって…だってぇぇ……」
ガキは何か喋りたそうだったが、考えが纏まっておらずただ嘆くだけだった。
「ラヴァナ落ち着きなって。この二人は紛うことなき本物だよ。」
そして次に喋りかけたのは灰色の髪に群青の瞳を持ち、隣に居る茶髪の人間よりも体格は少しだけ大きい。人間の中ではスタイルが丁度良いと言われる体型だ。
「…でも!こいつらは後ろから攻撃するなんていう非道な手を使う邪悪な奴等よ!こんな稚拙な方法を選ぶような二人じゃないでしょ!?」
と、明らかに賢ぶった言葉を連投する。
この一言の間に難しい言葉を使うのはある意味才能かもしれない。私は妙な所で感心した。やっと良いところ見つけれたわ。
私は大量の皮肉を交えた言葉を心の中で言った。
「まぁまぁ。確かにやってることは卑怯かもしれないな。」
「そうよ!ほんとのマケやウランはもっと優しいわよ!」
(………意外にも二人に対する信頼はあるのね…)
思えば二人を偽物扱いする時に、二人のことを下げて言うような発言は一度もしていない。『マケなら知ってる』、『マケやウランは優しい』といった尊敬するような言葉ばかりを投げかけていた。
確かに精神年齢は低いのかもしれないが、ちゃんと自分の持つべき軸を持っている。
先程はふざけて良いところを見つけたなんて言ったが、これは本当にこのガキの良い所を見つけれた気がする。
私は少しだけ見直した。まぁクソガキなことには代わりはないが。
「はぁ……ラヴァナ……お前な………二人の善意に気づいたほうが良いよ?」
「ど、どういうこと?」
灰色髪の男はガキの暴走を止めるために冷静に話す。
「お前な……いきなり出会った人に対していきなり突撃するのはダメなのは分かるだろ?」
「うっ……」
ガキは青年に対して痛い所を突かれたのか、引き攣った顔をしている。
「それでもお前は調子に乗って、お前は止まらなかった。だからこの二人は卑怯な手を使ってまで、助けてくれたんだよ?」
(……そーなの?)
その助けたと言われている二人に視線を向けると
「あ、お、そ、そうだ。」
と、マケは詰まりながら答え、ウランはコクコクと機械のように連続して頷いている。
絶対不本意でしょ……
「…そりゃ折角来た大切にするべき相手をいじめてちゃ、呆れて声も出ないだろうよ。」
と正論をかます。
「ぐぅ……」
ガキは正論を言われて、口の隙間から悔しそうな声が漏れる。
「そんなお前にも拳骨だけで済まして、ただ怒鳴ったりするんじゃなくて黙ってくれてるだけでも優しすぎる。いつもどおりの優しい二人だと思うけどなぁ?」
(………)
うまいことあの神達を本物だと言えるような口実を考え、バカガキでも納得させれるように分かりやすい言葉で伝える。
さては手慣れてるな?
「う…確かに……」
いつの間にか納得させる寸前にまでなっている。まぁ単にこのガキが純粋すぎる部分もあるとは思うが……
「ほら!見てよこの二人の何とも言えない目!魂すらあるかも怪しいよこれ!」
と、かなりノンデリカシーな発言を青年はかます。
「う、うーん………」
青年の話術にガキは上手い事揺さぶられている。
(それに反してあんたらは………)
マケ達二人は灰色髪の青年の言葉のままに同調して頷くだけで、言葉を一つも喋らない。
(全部他人任せかい……)
まぁハウワやこの二人の少年達の優秀な部分に頼りたくなる気持ちも分からなくない。
「ほら、まずはこの暴力振るった人に謝ってやれって。」
そしてガキの後ろに周って両肩を掴み、強引に私の方へ目線と体を向かせる。
低身長のガキは上目遣いで私の方を見据える。
「ご……」
ガキが何やら呟いたが、声が小さすぎて何と言っているか分からなかった。
「ん?なんて?」
灰色髪の男がまた聞き返す。私と同じようで聞き取れなかったようだ。
「ご、ごめんなさい!!軽卒に暴力を振るってしまいました!」
(おぉ……!)
ついにあの散々やりたい放題の意固地ガキから謝罪の言葉を聞くことができた。
これにはつい顔からニヤニヤした笑みが零れる。久々に高い満足感を得られた。
「ほら、次はマケとウラン達にも。」
今度はマケ達の方へ視線と体を灰色髪の男が向けるのではなく、ガキ自身で体を二人に向ける。
「勝手に偽物扱いして…ご、ごめんなさい。」
私と同じように深く頭を下げる。
「うむ、よろしい。」
「まぁラヴァナ。これ以上は俺もマケも咎めないから、安心しろ。」
頷いてばかりだった二人もやっと言葉を発し、許しの言葉をかけて優しく接する。男に至ってはガキの赤い頭を撫でてやっている。
「うぅ~…」
優しくされたことで、ガキの心に刺さったのかウル目になり、ぎゅッと抱きつく。ガキだなぁ。
「ま、茶番はこれぐらいにしといて……」
暫くガキの頭を撫でると、男はパンと手を叩いてここにいる全員の意識を切り替えるように促す。そして何故か男が私一人の方へ向く。
「……?………!?」
この時私の第六感に電流のようなものが走る。それも悪い予感だ。
「お前、名前は?」
「え、えーっと……ネヴァン」
「じゃ、ネヴァン。今日からはここにいる奴等とすごしてもらう!」
「……は?」
素っ頓狂な発言に自分の頭がついていけず、頭の中で何度も復唱する。
ガキは何か喋りたそうだったが、考えが纏まっておらずただ嘆くだけだった。
「ラヴァナ落ち着きなって。この二人は紛うことなき本物だよ。」
そして次に喋りかけたのは灰色の髪に群青の瞳を持ち、隣に居る茶髪の人間よりも体格は少しだけ大きい。人間の中ではスタイルが丁度良いと言われる体型だ。
「…でも!こいつらは後ろから攻撃するなんていう非道な手を使う邪悪な奴等よ!こんな稚拙な方法を選ぶような二人じゃないでしょ!?」
と、明らかに賢ぶった言葉を連投する。
この一言の間に難しい言葉を使うのはある意味才能かもしれない。私は妙な所で感心した。やっと良いところ見つけれたわ。
私は大量の皮肉を交えた言葉を心の中で言った。
「まぁまぁ。確かにやってることは卑怯かもしれないな。」
「そうよ!ほんとのマケやウランはもっと優しいわよ!」
(………意外にも二人に対する信頼はあるのね…)
思えば二人を偽物扱いする時に、二人のことを下げて言うような発言は一度もしていない。『マケなら知ってる』、『マケやウランは優しい』といった尊敬するような言葉ばかりを投げかけていた。
確かに精神年齢は低いのかもしれないが、ちゃんと自分の持つべき軸を持っている。
先程はふざけて良いところを見つけたなんて言ったが、これは本当にこのガキの良い所を見つけれた気がする。
私は少しだけ見直した。まぁクソガキなことには代わりはないが。
「はぁ……ラヴァナ……お前な………二人の善意に気づいたほうが良いよ?」
「ど、どういうこと?」
灰色髪の男はガキの暴走を止めるために冷静に話す。
「お前な……いきなり出会った人に対していきなり突撃するのはダメなのは分かるだろ?」
「うっ……」
ガキは青年に対して痛い所を突かれたのか、引き攣った顔をしている。
「それでもお前は調子に乗って、お前は止まらなかった。だからこの二人は卑怯な手を使ってまで、助けてくれたんだよ?」
(……そーなの?)
その助けたと言われている二人に視線を向けると
「あ、お、そ、そうだ。」
と、マケは詰まりながら答え、ウランはコクコクと機械のように連続して頷いている。
絶対不本意でしょ……
「…そりゃ折角来た大切にするべき相手をいじめてちゃ、呆れて声も出ないだろうよ。」
と正論をかます。
「ぐぅ……」
ガキは正論を言われて、口の隙間から悔しそうな声が漏れる。
「そんなお前にも拳骨だけで済まして、ただ怒鳴ったりするんじゃなくて黙ってくれてるだけでも優しすぎる。いつもどおりの優しい二人だと思うけどなぁ?」
(………)
うまいことあの神達を本物だと言えるような口実を考え、バカガキでも納得させれるように分かりやすい言葉で伝える。
さては手慣れてるな?
「う…確かに……」
いつの間にか納得させる寸前にまでなっている。まぁ単にこのガキが純粋すぎる部分もあるとは思うが……
「ほら!見てよこの二人の何とも言えない目!魂すらあるかも怪しいよこれ!」
と、かなりノンデリカシーな発言を青年はかます。
「う、うーん………」
青年の話術にガキは上手い事揺さぶられている。
(それに反してあんたらは………)
マケ達二人は灰色髪の青年の言葉のままに同調して頷くだけで、言葉を一つも喋らない。
(全部他人任せかい……)
まぁハウワやこの二人の少年達の優秀な部分に頼りたくなる気持ちも分からなくない。
「ほら、まずはこの暴力振るった人に謝ってやれって。」
そしてガキの後ろに周って両肩を掴み、強引に私の方へ目線と体を向かせる。
低身長のガキは上目遣いで私の方を見据える。
「ご……」
ガキが何やら呟いたが、声が小さすぎて何と言っているか分からなかった。
「ん?なんて?」
灰色髪の男がまた聞き返す。私と同じようで聞き取れなかったようだ。
「ご、ごめんなさい!!軽卒に暴力を振るってしまいました!」
(おぉ……!)
ついにあの散々やりたい放題の意固地ガキから謝罪の言葉を聞くことができた。
これにはつい顔からニヤニヤした笑みが零れる。久々に高い満足感を得られた。
「ほら、次はマケとウラン達にも。」
今度はマケ達の方へ視線と体を灰色髪の男が向けるのではなく、ガキ自身で体を二人に向ける。
「勝手に偽物扱いして…ご、ごめんなさい。」
私と同じように深く頭を下げる。
「うむ、よろしい。」
「まぁラヴァナ。これ以上は俺もマケも咎めないから、安心しろ。」
頷いてばかりだった二人もやっと言葉を発し、許しの言葉をかけて優しく接する。男に至ってはガキの赤い頭を撫でてやっている。
「うぅ~…」
優しくされたことで、ガキの心に刺さったのかウル目になり、ぎゅッと抱きつく。ガキだなぁ。
「ま、茶番はこれぐらいにしといて……」
暫くガキの頭を撫でると、男はパンと手を叩いてここにいる全員の意識を切り替えるように促す。そして何故か男が私一人の方へ向く。
「……?………!?」
この時私の第六感に電流のようなものが走る。それも悪い予感だ。
「お前、名前は?」
「え、えーっと……ネヴァン」
「じゃ、ネヴァン。今日からはここにいる奴等とすごしてもらう!」
「……は?」
素っ頓狂な発言に自分の頭がついていけず、頭の中で何度も復唱する。
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