God's Will！

神天地編

第22神話(前書き) 四獣生活開始

「そういえば、あの女…あー……なんという名前でしたっけ……。」

　そう言いながらこの所長は自身の部屋で椅子に座り、おぼろげな記憶を辿る。

「……マケのことですか？」

　その横にはマケや所長たちと同じ白衣を着た秘書の男が同じ空間の中で話す。

「あー！それそれ！最近、人の名前をもう思い出すのも面倒でねぇ……」

　記憶力の乏しい男は今日もストレスを溜めながら目的の為に動き続ける。

「このままこの場所に居させたら面倒くさそうですし……といってこの場所から追い出しててここ最近の実験内容を口外されたら上の連中からまた色々言われますしねぇ……」

「…今日はえらく慎重ですね…何かあったんですか？」

　いつもだったらこのような提案をした数秒後にはすぐに行動に移すのだが、今日のこの男は何か思うことがあるのか考え込んでいる様子だった。

「うーん……ま、そうなんですけどねぇ……ほら、ここの神たちには毎月研究データをレポートという形で見せてもらっているでしょう？」

　男は自身の癖か、指の爪をいじり始めた。

「いやね？それが新種の人間を創り出すというものでね？現在途中段階らしいんですが、どうも引っかかることがありましてねぇ…それで彼女が持つ研究施設を調査しようという訳です。」

「引っかかること？引っかかることというのは？」

　中々に焦らしてくるためより気になってしまい、秘書の男はまた質問をする。

「この前…その人間のデータを解析した際に、少量の神通力が感知されたんですよ。」

「じ、神通力！？」

　秘書の男はその単語を聞き、驚嘆とする。

「…そ、そんなバカな。他の生物や物と融合させずに素のそうぞうの力で神通力を持つ生物を創造するなんて……つ、つまりあの女は自身の力で神通力持ちの人間を創り上げたと…？」

「えぇ。私でもそんな芸当はそう簡単にできません。」

「…嘘の報告という可能性は？か、彼女は一体何者なんでしょうか？」

　秘書の男は得体のしれない者に恐怖を抱き、質問ばかりの発言を連発する。

「……だから調査したいんですよ。ですが私はまだやるべきことがまだ沢山あります。色々とね。」

　爪をいじりながら所長は秘書に自分の目的を追求するためだけの強大な意志が込もった目を向ける。

「…！！」

男はその視線を感じると、威圧によって少しだけたじろぐがすぐに切り替える。

「は、はい！私が彼女が持つ研究所に乗り込み！彼女の秘密を探ります！」

「その言葉忘れませんからね？失敗したら…マケさんとは比にならないほどの仕打ちは覚悟をしておいてください？」

　脅しの言葉を研究員にかけ、絶対に失敗の無いように圧力をかける。

「は、はい！誓います！神学研究会の名の下に！！」

　宗教じみたこの行動には他人が見たら恐怖でしかないだろう。

「よろしい。神学研究会の名に泥を塗るようなことが無いことを祈っていますよ。」

「は、はい！」

　そう言って白衣を来た秘書は勢いよくこの部屋から飛び出る。