74 / 77
神天地編
第22神話 四獣生活開始①
しおりを挟む
(過ごしてもらう?すごしてもらう?スゴしてもらう?スゴシテもらう?)
ずっと言葉を心の中で言い聞かせるが、全く理解できない。
「あ、そういえばラヴァナ達はマケからある程度の話は聞いているか?」
そんなことを考えている合間にも、男は話を急に変えてガキ達の方へ話を振る。
「あぁ…あのおじさんにこっから追い出されるって話でしょ?」
ガキがおじさんというワードを発言した時に、ネヴァンはあのおっさんを思い浮かべる。
「全く!あのくそ爺!マケの功績だって今まであったはずや!なのに散々コキ使うだけ使ってちょっといけないことをしたからって降格だなんて明らかに当てつけやろ!」
「それにマケもマケでなんで言い返さないんや!?普通だったらこんなのおかしいやろ!」
茶髪の青年があの男に異議を唱え、マケに対しての非の部分を指摘するように言う。やはりこの人達にも思うことはあったようだ。
マケはそれに対して言ってほしく無さそうだったようで、無言で顔を俯かせる。
だがそんな時にフォローしたのは灰色髪の少年だった。
「まぁまぁマサル落ち着きなよ。逆にこんな所から抜け出せるチャンスが出来たって思えば良い。こんな所で何年も働くなんて、僕だったら間違いなく自殺してる。」
と、慰めるように言う。
やはりマケはこの環境には嫌気が差していたのか。
どうりで出会った時にはあんなに無気力な顔をしていた訳だ。
「……みんな、こんな不甲斐ない私でごめん。」
マケはそれぞれの優しい対応に、不甲斐なさを感じたのか一言で重みのある謝罪をした。
「「「「…………」」」」
これには私だけじゃなくマケ以外の4人全員が無言になり、一瞬だけ時間が止まったような気がした。
どうするよ……この空気。
ガキに目を向けると何か喋りたそうだったが、喉ギリギリで声が止まっている。他の全員もそんな感じだ。
「ま…まぁまぁ、取り敢えず何か行動しよう。こんなことをしてる間にもタイムリミットは迫ってる。」
そんな中地獄のような空気を、またまた話が長くなりそうなところを男がまたもや切り替えてみせた。
確かにここまで、自身を支えて役立つ仲間がいるとマケもああやって責任を感じるのも仕方が無いことなのかもしれない。
これには少しマケにも同情してしまった。
「取り敢えずネヴァンとラヴァナ、マサル、マガミ達はこの部屋とマケの部屋を片付けてくれ。掃除しとかないと多分あの老害うるさいからな。」
(……えぇー…)
私は思わず嫌な顔をしてしまった。なんで出会ったばかりで名も知らない人達と……しかも出会い頭に暴力を振るうようなクソガキと一緒だなんて……御免だわ。
「……そんな嫌そうな顔するな。決して悪い奴等じゃない。お前もすぐに馴染めるさ。」
「………」
それでも嫌そうな顔を私はひたすらに続ける。
「……まぁまぁ何事も経験って奴だ。じゃ、俺はマケと一緒に第一研究室片付けてくる。マガミ達、そいつの世話よろしく頼むな。」
「はーい。」
「あ、あと第二研究室の片付けも役割分担してやっといてくれ。頼む。」
「ほーい。」
そう男とマケは言葉を残し、先程私が頭をぶつけたドアにそそくさと歩いてこの部屋から出ていった。
よし、ちょっと空間が広くなったし、サボろう。
そして意を決すると私は木製の床に向けて仰向けに寝転がり、目を瞑る。
「あっ!この女!サボってる!」
ガキが私が寝転がってる姿を見て、二人の少年にも目立つような声の大きさで知らせる。
それを聞いて二人は私に近づく。
「はぁ…どうしたもんか…」
と困った顔をするが、知ったこっちゃないっての。
とにかく動きたくないったら動きたくない。とっとと諦めることね。
「はぁ…どうしたものか。」
灰色髪の男の声が聞こえる。別にあんたらだけでやっとけば良いのに。他人事のように私は寝たフリを続ける。
「マガミ、こういうときは……」
次に茶髪の男の声が聞こえ、何やら耳打ちを灰色髪の男にしているようだった。
(なんか…ゴニョゴニョうるさいわね…)
ま、どんな作戦を練ろうが私の意思は変わらない。諦めてとっとと雑用でもしとくこと……
「あぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!」
「うきゃあぁっ!!?」
突如私の耳に鼓膜が破れるほどの大音量が飛び込んできたため、思わず驚いて叫んでしまった。
しかも狼のような遠吠えだ。
その音源の正体を確かめようと後ろを振り向く。
(………え?)
そこに居たのは灰色の少年?だろう。灰色の髪は残っているが、体は毛深くなっており狼の耳のようなものが生え、口は鋭い肉食動物の歯が唾液で光っている。爪は人間と言えるようなものではなく、鋭い鈎爪だった。
狼男だ。
「……ふぅ。」
狼男が一息吐くと段々と元の人間の姿になっていき、体毛、鈎爪、歯、全てが小さくなっていき。そしてその姿は先程のスタイルの良い人間態へと姿を変貌させた。
そしてツカツカ床にへたり込んでいる私の側へ歩み寄り、手を差し伸ばす。
「…これで懲りた?」
「………!」
私はコクっと頷くと、灰色髪の男の手を取りそのまま立ち上がる。
「じゃ、二組で分かれようか。じゃあ……僕とネヴァンがこの部屋、ラヴァナとマサルがマケの部屋で良い?」
「「りょーかい」」
ふたりは適当な返事をしてマケの部屋へと談笑しながら向かう。
「じゃ、僕たちも行こうか。」
「……さっきのは…「まぁまぁまぁ。そういうことは掃除しながらでも良いだろ。話すだけじゃ時間が過ぎてくだけだよ。」
私の言いたいことを察したのか私の言葉を遮り、掃除を開始する。
「………」
私は彼たちに関する全ての疑念を浮かべながら、真面目に掃除に取り組むことにした。
ずっと言葉を心の中で言い聞かせるが、全く理解できない。
「あ、そういえばラヴァナ達はマケからある程度の話は聞いているか?」
そんなことを考えている合間にも、男は話を急に変えてガキ達の方へ話を振る。
「あぁ…あのおじさんにこっから追い出されるって話でしょ?」
ガキがおじさんというワードを発言した時に、ネヴァンはあのおっさんを思い浮かべる。
「全く!あのくそ爺!マケの功績だって今まであったはずや!なのに散々コキ使うだけ使ってちょっといけないことをしたからって降格だなんて明らかに当てつけやろ!」
「それにマケもマケでなんで言い返さないんや!?普通だったらこんなのおかしいやろ!」
茶髪の青年があの男に異議を唱え、マケに対しての非の部分を指摘するように言う。やはりこの人達にも思うことはあったようだ。
マケはそれに対して言ってほしく無さそうだったようで、無言で顔を俯かせる。
だがそんな時にフォローしたのは灰色髪の少年だった。
「まぁまぁマサル落ち着きなよ。逆にこんな所から抜け出せるチャンスが出来たって思えば良い。こんな所で何年も働くなんて、僕だったら間違いなく自殺してる。」
と、慰めるように言う。
やはりマケはこの環境には嫌気が差していたのか。
どうりで出会った時にはあんなに無気力な顔をしていた訳だ。
「……みんな、こんな不甲斐ない私でごめん。」
マケはそれぞれの優しい対応に、不甲斐なさを感じたのか一言で重みのある謝罪をした。
「「「「…………」」」」
これには私だけじゃなくマケ以外の4人全員が無言になり、一瞬だけ時間が止まったような気がした。
どうするよ……この空気。
ガキに目を向けると何か喋りたそうだったが、喉ギリギリで声が止まっている。他の全員もそんな感じだ。
「ま…まぁまぁ、取り敢えず何か行動しよう。こんなことをしてる間にもタイムリミットは迫ってる。」
そんな中地獄のような空気を、またまた話が長くなりそうなところを男がまたもや切り替えてみせた。
確かにここまで、自身を支えて役立つ仲間がいるとマケもああやって責任を感じるのも仕方が無いことなのかもしれない。
これには少しマケにも同情してしまった。
「取り敢えずネヴァンとラヴァナ、マサル、マガミ達はこの部屋とマケの部屋を片付けてくれ。掃除しとかないと多分あの老害うるさいからな。」
(……えぇー…)
私は思わず嫌な顔をしてしまった。なんで出会ったばかりで名も知らない人達と……しかも出会い頭に暴力を振るうようなクソガキと一緒だなんて……御免だわ。
「……そんな嫌そうな顔するな。決して悪い奴等じゃない。お前もすぐに馴染めるさ。」
「………」
それでも嫌そうな顔を私はひたすらに続ける。
「……まぁまぁ何事も経験って奴だ。じゃ、俺はマケと一緒に第一研究室片付けてくる。マガミ達、そいつの世話よろしく頼むな。」
「はーい。」
「あ、あと第二研究室の片付けも役割分担してやっといてくれ。頼む。」
「ほーい。」
そう男とマケは言葉を残し、先程私が頭をぶつけたドアにそそくさと歩いてこの部屋から出ていった。
よし、ちょっと空間が広くなったし、サボろう。
そして意を決すると私は木製の床に向けて仰向けに寝転がり、目を瞑る。
「あっ!この女!サボってる!」
ガキが私が寝転がってる姿を見て、二人の少年にも目立つような声の大きさで知らせる。
それを聞いて二人は私に近づく。
「はぁ…どうしたもんか…」
と困った顔をするが、知ったこっちゃないっての。
とにかく動きたくないったら動きたくない。とっとと諦めることね。
「はぁ…どうしたものか。」
灰色髪の男の声が聞こえる。別にあんたらだけでやっとけば良いのに。他人事のように私は寝たフリを続ける。
「マガミ、こういうときは……」
次に茶髪の男の声が聞こえ、何やら耳打ちを灰色髪の男にしているようだった。
(なんか…ゴニョゴニョうるさいわね…)
ま、どんな作戦を練ろうが私の意思は変わらない。諦めてとっとと雑用でもしとくこと……
「あぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!」
「うきゃあぁっ!!?」
突如私の耳に鼓膜が破れるほどの大音量が飛び込んできたため、思わず驚いて叫んでしまった。
しかも狼のような遠吠えだ。
その音源の正体を確かめようと後ろを振り向く。
(………え?)
そこに居たのは灰色の少年?だろう。灰色の髪は残っているが、体は毛深くなっており狼の耳のようなものが生え、口は鋭い肉食動物の歯が唾液で光っている。爪は人間と言えるようなものではなく、鋭い鈎爪だった。
狼男だ。
「……ふぅ。」
狼男が一息吐くと段々と元の人間の姿になっていき、体毛、鈎爪、歯、全てが小さくなっていき。そしてその姿は先程のスタイルの良い人間態へと姿を変貌させた。
そしてツカツカ床にへたり込んでいる私の側へ歩み寄り、手を差し伸ばす。
「…これで懲りた?」
「………!」
私はコクっと頷くと、灰色髪の男の手を取りそのまま立ち上がる。
「じゃ、二組で分かれようか。じゃあ……僕とネヴァンがこの部屋、ラヴァナとマサルがマケの部屋で良い?」
「「りょーかい」」
ふたりは適当な返事をしてマケの部屋へと談笑しながら向かう。
「じゃ、僕たちも行こうか。」
「……さっきのは…「まぁまぁまぁ。そういうことは掃除しながらでも良いだろ。話すだけじゃ時間が過ぎてくだけだよ。」
私の言いたいことを察したのか私の言葉を遮り、掃除を開始する。
「………」
私は彼たちに関する全ての疑念を浮かべながら、真面目に掃除に取り組むことにした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる