God's Will!

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神天地編

第22神話   四獣生活開始①

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(過ごしてもらう?すごしてもらう?スゴしてもらう?スゴシテもらう?) 

 ずっと言葉を心の中で言い聞かせるが、全く理解できない。

「あ、そういえばラヴァナ達はマケからある程度の話は聞いているか?」

 そんなことを考えている合間にも、男は話を急に変えてガキ達の方へ話を振る。

「あぁ…あのおじさんにこっから追い出されるって話でしょ?」

 ガキがおじさんというワードを発言した時に、ネヴァンはあのおっさんを思い浮かべる。

「全く!あのくそ爺!マケの功績だって今まであったはずや!なのに散々コキ使うだけ使ってちょっといけないことをしたからって降格だなんて明らかに当てつけやろ!」

「それにマケもマケでなんで言い返さないんや!?普通だったらこんなのおかしいやろ!」

 茶髪の青年があの男に異議を唱え、マケに対しての非の部分を指摘するように言う。やはりこの人達にも思うことはあったようだ。
 マケはそれに対して言ってほしく無さそうだったようで、無言で顔を俯かせる。
 だがそんな時にフォローしたのは灰色髪の少年だった。  

「まぁまぁマサル落ち着きなよ。逆にこんな所から抜け出せるチャンスが出来たって思えば良い。こんな所で何年も働くなんて、僕だったら間違いなく自殺してる。」

 と、慰めるように言う。
 やはりマケはこの環境には嫌気が差していたのか。
 どうりで出会った時にはあんなに無気力な顔をしていた訳だ。

「……みんな、こんな不甲斐ない私でごめん。」

 マケはそれぞれの優しい対応に、不甲斐なさを感じたのか一言で重みのある謝罪をした。

「「「「…………」」」」
 
 これには私だけじゃなくマケ以外の4人全員が無言になり、一瞬だけ時間が止まったような気がした。
 どうするよ……この空気。
 ガキに目を向けると何か喋りたそうだったが、喉ギリギリで声が止まっている。他の全員もそんな感じだ。

「ま…まぁまぁ、取り敢えず何か行動しよう。こんなことをしてる間にもタイムリミットは迫ってる。」

 そんな中地獄のような空気を、またまた話が長くなりそうなところを男がまたもや切り替えてみせた。
 確かにここまで、自身を支えて役立つ仲間がいるとマケもああやって責任を感じるのも仕方が無いことなのかもしれない。
 これには少しマケにも同情してしまった。

「取り敢えずネヴァンとラヴァナ、マサル、マガミ達はこの部屋とマケの部屋を片付けてくれ。掃除しとかないと多分あの老害うるさいからな。」

(……えぇー…)

 私は思わず嫌な顔をしてしまった。なんで出会ったばかりで名も知らない人達と……しかも出会い頭に暴力を振るうようなクソガキと一緒だなんて……御免だわ。

「……そんな嫌そうな顔するな。決して悪い奴等じゃない。お前もすぐに馴染めるさ。」

「………」

 それでも嫌そうな顔を私はひたすらに続ける。

「……まぁまぁ何事も経験って奴だ。じゃ、俺はマケと一緒に第一研究室片付けてくる。マガミ達、そいつの世話よろしく頼むな。」

「はーい。」

「あ、あと第二研究室の片付けも役割分担してやっといてくれ。頼む。」

「ほーい。」

 そう男とマケは言葉を残し、先程私が頭をぶつけたドアにそそくさと歩いてこの部屋から出ていった。
 よし、ちょっと空間が広くなったし、サボろう。
 そして意を決すると私は木製の床に向けて仰向けに寝転がり、目を瞑る。

「あっ!この女!サボってる!」

 ガキが私が寝転がってる姿を見て、二人の少年にも目立つような声の大きさで知らせる。
 それを聞いて二人は私に近づく。

「はぁ…どうしたもんか…」

 と困った顔をするが、知ったこっちゃないっての。
 とにかく動きたくないったら動きたくない。とっとと諦めることね。

「はぁ…どうしたものか。」

 灰色髪の男の声が聞こえる。別にあんたらだけでやっとけば良いのに。他人事のように私は寝たフリを続ける。

「マガミ、こういうときは……」

 次に茶髪の男の声が聞こえ、何やら耳打ちを灰色髪の男にしているようだった。

(なんか…ゴニョゴニョうるさいわね…)

ま、どんな作戦を練ろうが私の意思は変わらない。諦めてとっとと雑用でもしとくこと……

「あぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!」

「うきゃあぁっ!!?」

 突如私の耳に鼓膜が破れるほどの大音量が飛び込んできたため、思わず驚いて叫んでしまった。
 しかも狼のような遠吠えだ。
 その音源の正体を確かめようと後ろを振り向く。

(………え?)

 そこに居たのは灰色の少年?だろう。灰色の髪は残っているが、体は毛深くなっており狼の耳のようなものが生え、口は鋭い肉食動物の歯が唾液で光っている。爪は人間と言えるようなものではなく、鋭い鈎爪だった。
 狼男だ。

「……ふぅ。」

 狼男が一息吐くと段々と元の人間の姿になっていき、体毛、鈎爪、歯、全てが小さくなっていき。そしてその姿は先程のスタイルの良い人間態へと姿を変貌させた。
 そしてツカツカ床にへたり込んでいる私の側へ歩み寄り、手を差し伸ばす。

「…これで懲りた?」

「………!」

 私はコクっと頷くと、灰色髪の男の手を取りそのまま立ち上がる。

「じゃ、二組で分かれようか。じゃあ……僕とネヴァンがこの部屋、ラヴァナとマサルがマケの部屋で良い?」

「「りょーかい」」

 ふたりは適当な返事をしてマケの部屋へと談笑しながら向かう。

「じゃ、僕たちも行こうか。」

「……さっきのは…「まぁまぁまぁ。そういうことは掃除しながらでも良いだろ。話すだけじゃ時間が過ぎてくだけだよ。」

 私の言いたいことを察したのか私の言葉を遮り、掃除を開始する。
 
「………」

 私は彼たちに関する全ての疑念を浮かべながら、真面目に掃除に取り組むことにした。
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