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神天地編
第22神話 四獣生活開始②
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「じゃ、まずはここらに散らかってるもの全部片付けるか。」
そう言いながら早速灰色髪の男は床に落ちている雑誌だったり本だったりを片付ける。ただその中で私が今まで見たことの無いような本があった。何やら表紙にはイラストがあり、しかも色まで付けられている。
「……その手に持ってるその本何?」
「ん?あぁ、漫画だよ。漫画。」
「ま、まんが?」
私は初めて聞く単語に、その発音で合っているのかも分からないため、思わず素っ頓狂な声で反応した。
漫画?
「え?あぁー………まぁ、簡単に言えば物語を絵とセリフで構成してる本みたいなものだね。」
「へぇ~……」
今まで木の上で引きこもっていた私にとっては興味を唆る。時間があれば後で読んでみるか。
「……にしてもラヴァナの奴散らかしすぎだろ……せめて本棚には入れとけよ…はぁ…」
そう愚痴を言いながら、床に落ちている漫画というものを一箇所に重ねていく。そして一つ気になる名前が灰色髪の男から出てくる。
「……ラヴァナって……あのクソガキのことよね?」
「………いや…まぁ…そうだけどさぁ……」
「な、何よ?」
急に灰色髪の男が呆れたような顔をしながら、やれやれというように首を横に振る。何かまずいことでも言っただろうか。
「……君ねぇ…初対面の相手にクソガキって……失礼でしょ。そんなんじゃ永遠にラヴァナとは仲が悪いままだよ。」
何を言い出すかと思えばただのあのガキに対する自分の態度のことだった。なんだ、そんなことか。
「…別にあなた達と最初から仲良くするつもりなんて無い。」
「つれないこと言うねぇ。ラヴァナとマサルの二人だって君が来ること楽しみにしてたんだよ?」
全くこいつは……こっちだって言いたいことは山程ある。
「私からも言わせてもらうけど、いきなり知らない場所に拉致されて混乱してるし……何ならその仲良くしようとする奴から蹴られてるのに仲良くしろなんて無理でしょ。」
そう反論を返すと、灰色髪の少年は難しそうな顔になる。
「……まぁそう言われれば何も言い返せないけどさ。うーん…」
ほれ見たことか。ただでさえ人間の姿をしているだけでもうざったらしいのに、腹蹴りかまされて信用なんて出来る訳が無い。
「しかもどこかも分からないし、ここにいる全員が何者かも分からないし……あなたのあの姿は一体何なのよ?それにあのマケの隣の男は何者よ?あのガキはなんであんなにも強いの?まずは全部説明してよ。」
少年が片付けながら説明すると公言してくれていたのに自分の感情がとにかくうるさく、この分からないモヤモヤをスッキリさせようとする欲望を叶えるために急かす。
この質問攻めに流石に押されたのか、片付けをする手が止まり少し嫌そうな顔をする。
「わ、分かった!分かった!一から説明するから!そう焦らないで!」
「全く……」
「はぁ……」
二人それぞれが、今の数分間で溜まりに溜まったストレスを静かに発散する。そして男は再度片付けを再開する。
「…じゃあまずは俺達の自己紹介からするよ。あ、ネヴァンは床に落ちてるゴミを拾っといて。ゴミ袋はあそこにあるから。」
「はいはい。」
私は適当に返事を返した。さて、やりたくはないがやっておかないとまたあのうるさい攻撃がくるからやっておこう。
灰色髪の男に目をチラリと見ると、重ねていた本を紐で縛り上げていた。
そこから説明が始まった。
「まぁ、さっきから僕の名前が出てたから分かると思うけど僕はマガミ。よろしく。」
マガミは仲を深めるためか、わざわざ掃除をする手を止め、握手の手を差し伸べる。私は取り敢えずは握手だけはしてやろうと、此方からも目線を逸らしたまま手を差し伸べる。
そして数秒握手した後にまた作業に戻りながら、紹介が始まる。
私も散乱したおかしの袋を拾いながら話を聞く。
「あとは……俺の隣に居た男の子がマサル。君に蹴りを入れたのがラヴァナ。僕たちはいわゆる実験台だね。」
マケの隣にいた男の人がウラン。んでここには居ないけど秘書のハウワがここのメンバーかな。」
成る程。全員の名前は再確認出来た。
マケやウランは恐らく実験チーム的なのをつくっているのだろう。
さて、次の質問に行く……前に
「ふーん……で、このお菓子のゴミたちは何?」
こんなにも床に散らかっている事に気になってしまった。
お菓子の袋と食べカスがめちゃくちゃ落ちている。
「あ、多分ラヴァナだね…うん。」
「………」
私は無言でゴミを見つめ
(あのクソガキ!私の労力増やしやがって…!後で覚えときなさい!)
心の中でラヴァナに対する怒りをぶつけるため、手に持っていたゴミをくしゃくしゃにする。
「ま、まぁまぁ。今度僕からも色々言っておくから……」
私の言いたいことを察したのかマガミは私をなだめようとする。だがイライラは中々収まらない。
「一体何なの!?あのガキは!なんであんなにも偉そうなのよ!そのクセゴミを捨てるなんていう、やっておくべきことをしないだぁ?あー!腹立つ!」
ムキー!という擬音が似合うような、苛立ちの感情が私の心に現れている。
「人として当たり前のことくらいはしなさいよ!」
といないラヴァナに向かって叫ぶ。
(………ん?)
そして私はある事に気づいた。
私なんかが口にするはずがない言葉を今発したような…
「ね、ねぇ…私さっきなんて言った?」
私は本当に自分が言ったかどうかを確認するために、恐る恐るマガミに聴く。
「え?えーと…人として当たり前のことが出来ていないって……」
「や、やっぱり……」
どうやら間違いなどでは無いらしい。
神獣の私が何故人間的な発言をした?こんなことを言ったのは生まれてきて初めてだ。
(な、なんで?この私が人間に近づいているというの?)
マケ達のような奴等に出会ってついに精神まで人間に感化され始めたか?
「うーん…多分融合した人間の記憶が合わさってるからかな?詳しくは分からないけど。」
「融合って……」
確かマケが言っていたような気はするが……それが一体どう関係するのだろうか?
そう言いながら早速灰色髪の男は床に落ちている雑誌だったり本だったりを片付ける。ただその中で私が今まで見たことの無いような本があった。何やら表紙にはイラストがあり、しかも色まで付けられている。
「……その手に持ってるその本何?」
「ん?あぁ、漫画だよ。漫画。」
「ま、まんが?」
私は初めて聞く単語に、その発音で合っているのかも分からないため、思わず素っ頓狂な声で反応した。
漫画?
「え?あぁー………まぁ、簡単に言えば物語を絵とセリフで構成してる本みたいなものだね。」
「へぇ~……」
今まで木の上で引きこもっていた私にとっては興味を唆る。時間があれば後で読んでみるか。
「……にしてもラヴァナの奴散らかしすぎだろ……せめて本棚には入れとけよ…はぁ…」
そう愚痴を言いながら、床に落ちている漫画というものを一箇所に重ねていく。そして一つ気になる名前が灰色髪の男から出てくる。
「……ラヴァナって……あのクソガキのことよね?」
「………いや…まぁ…そうだけどさぁ……」
「な、何よ?」
急に灰色髪の男が呆れたような顔をしながら、やれやれというように首を横に振る。何かまずいことでも言っただろうか。
「……君ねぇ…初対面の相手にクソガキって……失礼でしょ。そんなんじゃ永遠にラヴァナとは仲が悪いままだよ。」
何を言い出すかと思えばただのあのガキに対する自分の態度のことだった。なんだ、そんなことか。
「…別にあなた達と最初から仲良くするつもりなんて無い。」
「つれないこと言うねぇ。ラヴァナとマサルの二人だって君が来ること楽しみにしてたんだよ?」
全くこいつは……こっちだって言いたいことは山程ある。
「私からも言わせてもらうけど、いきなり知らない場所に拉致されて混乱してるし……何ならその仲良くしようとする奴から蹴られてるのに仲良くしろなんて無理でしょ。」
そう反論を返すと、灰色髪の少年は難しそうな顔になる。
「……まぁそう言われれば何も言い返せないけどさ。うーん…」
ほれ見たことか。ただでさえ人間の姿をしているだけでもうざったらしいのに、腹蹴りかまされて信用なんて出来る訳が無い。
「しかもどこかも分からないし、ここにいる全員が何者かも分からないし……あなたのあの姿は一体何なのよ?それにあのマケの隣の男は何者よ?あのガキはなんであんなにも強いの?まずは全部説明してよ。」
少年が片付けながら説明すると公言してくれていたのに自分の感情がとにかくうるさく、この分からないモヤモヤをスッキリさせようとする欲望を叶えるために急かす。
この質問攻めに流石に押されたのか、片付けをする手が止まり少し嫌そうな顔をする。
「わ、分かった!分かった!一から説明するから!そう焦らないで!」
「全く……」
「はぁ……」
二人それぞれが、今の数分間で溜まりに溜まったストレスを静かに発散する。そして男は再度片付けを再開する。
「…じゃあまずは俺達の自己紹介からするよ。あ、ネヴァンは床に落ちてるゴミを拾っといて。ゴミ袋はあそこにあるから。」
「はいはい。」
私は適当に返事を返した。さて、やりたくはないがやっておかないとまたあのうるさい攻撃がくるからやっておこう。
灰色髪の男に目をチラリと見ると、重ねていた本を紐で縛り上げていた。
そこから説明が始まった。
「まぁ、さっきから僕の名前が出てたから分かると思うけど僕はマガミ。よろしく。」
マガミは仲を深めるためか、わざわざ掃除をする手を止め、握手の手を差し伸べる。私は取り敢えずは握手だけはしてやろうと、此方からも目線を逸らしたまま手を差し伸べる。
そして数秒握手した後にまた作業に戻りながら、紹介が始まる。
私も散乱したおかしの袋を拾いながら話を聞く。
「あとは……俺の隣に居た男の子がマサル。君に蹴りを入れたのがラヴァナ。僕たちはいわゆる実験台だね。」
マケの隣にいた男の人がウラン。んでここには居ないけど秘書のハウワがここのメンバーかな。」
成る程。全員の名前は再確認出来た。
マケやウランは恐らく実験チーム的なのをつくっているのだろう。
さて、次の質問に行く……前に
「ふーん……で、このお菓子のゴミたちは何?」
こんなにも床に散らかっている事に気になってしまった。
お菓子の袋と食べカスがめちゃくちゃ落ちている。
「あ、多分ラヴァナだね…うん。」
「………」
私は無言でゴミを見つめ
(あのクソガキ!私の労力増やしやがって…!後で覚えときなさい!)
心の中でラヴァナに対する怒りをぶつけるため、手に持っていたゴミをくしゃくしゃにする。
「ま、まぁまぁ。今度僕からも色々言っておくから……」
私の言いたいことを察したのかマガミは私をなだめようとする。だがイライラは中々収まらない。
「一体何なの!?あのガキは!なんであんなにも偉そうなのよ!そのクセゴミを捨てるなんていう、やっておくべきことをしないだぁ?あー!腹立つ!」
ムキー!という擬音が似合うような、苛立ちの感情が私の心に現れている。
「人として当たり前のことくらいはしなさいよ!」
といないラヴァナに向かって叫ぶ。
(………ん?)
そして私はある事に気づいた。
私なんかが口にするはずがない言葉を今発したような…
「ね、ねぇ…私さっきなんて言った?」
私は本当に自分が言ったかどうかを確認するために、恐る恐るマガミに聴く。
「え?えーと…人として当たり前のことが出来ていないって……」
「や、やっぱり……」
どうやら間違いなどでは無いらしい。
神獣の私が何故人間的な発言をした?こんなことを言ったのは生まれてきて初めてだ。
(な、なんで?この私が人間に近づいているというの?)
マケ達のような奴等に出会ってついに精神まで人間に感化され始めたか?
「うーん…多分融合した人間の記憶が合わさってるからかな?詳しくは分からないけど。」
「融合って……」
確かマケが言っていたような気はするが……それが一体どう関係するのだろうか?
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