意地悪姫の反乱

相葉サトリ

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第二十一話 魔女の秘策 

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 ルウドとフレイの戦いは続いていた。
 ルウドの重い剣撃をフレイはうまく受け流し、さらに攻撃に転ずる。
 動きの見えにくいフレイの攻撃をルウドは上手く素早く受けかわす。
 長々と同じ攻撃が続くが双方消耗する様子もない。
 戦いは長期戦に入っていた。




 午後になってから王騎士ダンダリアが現れた。他にも王兵が数人見学に来ている。
 王の兵は王命により外の仕事に出る事が多く余り城にいる事がないのだが、現在たまたまいた兵達が他国の騎士たちの活躍を聞き、興味を持ったようだ。

「あのフレイ相手になかなかやるものだな。ルウド=ランジールか」

「あの隊長だけではない、若い騎士もクライブ皇子に勝てるほどの実力者だ」

「今回はなかなか張りがあって楽しそうだな。いつもはビビアンとローリーの対決位しか見どころがなかったのだが」

「なかなかいい試合をしている。次の試合もローリー戦だがマルスの騎士も侮れない。決勝相手がどちらでも面白そうだな」

「フレイ隊長は滅多にここまで出てこないからな。対戦できるのは貴重だ。他国の騎士との対戦も貴重だし」

 見学席でダンダリアの部下達が嬉しげに話している。
 今嬉しげに試合を見ている王兵は十人。ダンダリアは彼らを眺めぼそりと言ってみる。

「試合に参加したいのかお前達?」

「隊長、参加したいです。あの覇気ある若者たちと戦ってみたい!」

「何か若返る気がするなあ」

「なんのその、まだまだ若い者達には負けませんぞ!」

「…そうか」

 王の騎士だけあって騎士達は王と同年代だ。若いのでも全員四十は越えている。
 幾度もの歴戦を乗り越えてきた猛将達には違いないがとっくに現役を引退してもいいものが多々いる。
 毎回大会には二人の王騎士が参戦し、決勝に上がってきた二人を叩きのめすのが常だが王騎士達はいつも渋り、ダンダリアが命ずるのが常だった。
 渋る理由はいつも簡単、毎回相手がローリーかビビアンだからである。

「いつも同じ相手では詰らん。あとは若い者に譲る」

 王の手前やる気を出すふりをしてもやる気がない。とっとと負けて見物に興じる。
 そんな騎士達がやる気を見せているのでダンダリアは嬉しく思い、今戦っているルウドとフレイに感謝する。

「王騎士の参加は二人。どうしても参加したいと言う者は勝負して決めろ」

「勝負…」

「何でもいいから早々に決めろ。試合が終わってしまうぞ」

「はい」

 王騎士達は早々に参加二名を決めるべく動き出した。
 この内々での王騎士達の勝負により、ロレイアの騎士達は阿鼻叫喚する羽目になる。





 薄紫騎士団トールは試合を終えて祭りを楽しんでいた。
 初戦の黒騎士を破って先へ進んで行ったが結局二日目に負けてしまった。
 レグラスやリルガに比べるとまだまだ修行が足らないとトールは思う。
 しかし今はまだ大会中。隊長フレイとルウドが戦っている。
 本日の最終戦が終わったらまたきつい訓練が待っている。今日くらいは楽しんでもいいだろう。
 隊長達の勝負がなかなかつかないので見学席を抜けて気晴らしに庭園を散歩していたトールは何だか慌ただしく走る金色の騎士を見た。
 彼らは王騎士である。
 王騎士は皇子達の騎士達とは違う、彼らが慌ただしく動いていると言う時は王に何かあったか国政に何か起こったか。
 こんな時に。
 トールは何事かと不安になった。なので声をかけたのだがそれが運のつきだった。

「リゼイン様、どうかなさったのですか?」

「おお君は薄紫の。そうだ丁度いい。勝負したまえ」

「…はい?」

「大会に出る二人に入る為には強い騎士どもの紋章が必要なのだ。半刻以内に出来るだけたくさん必要なのだがただの弱い騎士では点が入らん。この大会二日目に出場した者、特にお前さんは初戦に黒騎士に勝っているから点も高い」

「……いえ私など若輩者で…‥」

「とにかく時間がない。今すぐ勝負して薄紫の紋章を渡すのだ。試合がすんだら返すから」

「ええええっ?ちょっと、そんないきなり…」

 しかし彼はトールの是非も聞かず容赦なく襲いかかり、トールはあっさり打ち負かされて薄紫の紋章を取られてしまった。


 この一件は最初の犠牲者であるトール以下十数名の騎士達によって城内中に広まり、騎士達を戦慄させた。
 王騎士十名が半刻内に大切な騎士の紋章を奪い取りに来る!
 逃げまどうもの、雲隠れするものたちが現れた。








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