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第二十四話 ルウド誘拐疑惑事件
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しおりを挟む昼過ぎになってティア姫が塔にやってきた。
「ねえゾフィー、ルウドがまだ帰ってこないのよ?ちょっと遅くない?」
「休暇に入りましたから、どこかで羽を伸ばしているのかもしれません」
「昨日から帰っていないのよ?出かけるとしても一度くらい戻ってくるでしょう?」
姫についてきたハリスがにが笑いする。
「姫、ルウドにだってそれなりの事情があるのかもしれません。その、何も考えず休みたいときだってあるかと」
「どう言う意味よそれ?」
「子供ではないのですから一日二日の外泊に目くじらたてなくても…」
「心配してるのよ私は!心配しちゃいけない訳?」
「え、そうなのですか?しかしルウドだし、別に心配することは特に何も」
「変な女に捕まってたらどうするのよ?」
「やはり女の心配ですか。私的にはそんな事心配しても仕方ないのですが」
「あなたはそうでしょう!でも私はすごく気になるわ!もしルウドが女の匂いつけて帰ってきたらあなたを縛り首にしてやる!」
「ええっ?私何か関係ありますか?」
「あるわよ!ルウドを連れ帰らなかった責任が!」
「そんな無茶な」
「そういうわけでゾフィー、ルウドのいる所捜してよ?何か必要なモノあるかしら?」
「居場所を確定できるわけではありませんが。そうですねえ、何か持ち物でもあれば方角くらいは分かるかも知れません。街中であればの話ですが」
「ルウドがこの街から出る理由がないわ」
「では占ってみましょう…」
あくまでも気休めにすぎないがティア姫の気が済むならばと、ゾフィーはルウドの持ち物を借りて別室に籠る。
ゾフィーは別に姫ほどルウドの心配はしていない。
何があっても彼は強いし何でも自分で切り抜ける事が出来るから。
それよりも姫の乱心の方が心配だった。
ゾフィーはルウドの持ち物と国の地図、方位磁石を用意し占ってみる。
「……‥」
磁石の方位が街の外を示した。
これはまずい、これが姫に知れれば姫は即座にルウドを追い掛けようとするだろう。
―――――ルウドさん、一体何をしているのか?
これが普通の兵士や令嬢令息方々ならば誘拐とも疑うところだが相手がルウド隊長ではそんな事は考えられない。
―――――自由が過ぎてはめを外し過ぎているのだろうか?
ともあれ一度戻ってきて姫に説明してくれなくてはとても困る。
ルウド隊長とて分かっているはずだ。
「……ロヴェリナ様……?」
「―――――まあなあにゾフィー?私を呼ぶなんて珍しいわね」
ロヴェリナが何故か嬉しそうに姿を現した。
「……どうしてここにいるのです?あなたずっとルウドさんの傍だったでしょう?」
「まあ突然それ?いつも張り付いてたらルウド嫌がるのよ?プライバシーの侵害だって」
「……」
ルウドに彼女が見える以上確かにそれはいやに違いない。
「最近じゃ見えなくても気配を感じて嫌そうな顔されるし、嫌われたくないもの」
「…‥まあ貴女には聞かれたくない事もあるでしょうし余り張り付いていられないのは分かりますが」
「なんなのよ?」
「ルウドさんが行方不明なのです」
「ええ?」
「磁石が示さなくなるほど遠くへ行ってしまわないうちに早く帰ってくるよう貴女から言って来て貰えますか?」
「姫がここにいる以上余り街から離れられないのだけど?」
「とりあえず行けるところまで行ってみて下さい」
「ええ?仕方ないわねえ…」
ロヴェリナはしぶしぶと言う様に消えて行った。
ゾフィーは息を吐いて思い悩む。
さて姫様にどう誤魔化そうか?へたな事を言えば城を飛び出しかねないので要注意だ。
部屋を出ると姫とハリスが待っていた。
「で、どうなの?ゾフィー」
「…ええと、心配なさらずとも帰ってきますよルウドさんは」
「何よそれ?」
「何か所用があったのでしょう。少し遠くですが城に向かっているはずです」
「遠くにいるの?どうして?」
「彼が帰って来てから幾らでも問いただして下さい」
「迎えに行く」
「いけません」
「なんでよ?困っているかも知れないわよ?」
「彼なら自力で何とかしますよ?」
「ハリス、薄情ね?ルウドが心配じゃないの?」
「ルウドは心配無用です。強いのですから。それに私は今姫の護衛中です」
「護衛なら付いてくればいいでしょう?」
「城の外は私一人では対応しきれません、勘弁して下さい」
「ならあなた一人で行きなさいよ?」
「ルウドは大丈夫ですよ?大人しく待っていましょうね?」
「……」
ゾフィーとハリスににこやかに諭されてティア姫は理不尽そうに膨れた。
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