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第十一話 姉の条件
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しおりを挟む「エルフィー、ティアをエリックに任してきてホントに良かったかしら?ルウドは女性に囲まれてて困っていたし、まさか手遅れなんてことに」
「そんなまさか、いきなり手を出したりはしないだろう?」
「そうかしら、何かすごく手を出しそうだけど。不安だわ」
「まあ何とかするだろうルウドさんが。護衛なんだから」
エルフィードは身体の下にいる愛しい姫の顔に口づける。
「そう、護衛なのよね、所詮」
「うん?」
「害がなければ放置されるわ。恋人になれないならエリックさんを止める権利はないもの」
「……それって拙くないかい?」
「……拙いわよね」
エルフィードはアリシアを抱き寄せ、深く口づける。
「ルウド、すぐ傍にいてどこまで耐えられるかしら?」
「……君、それって…‥酷くない?」
「平気よ、たぶん、ルウドだし」
「……‥」
分からない。何が平気なのだろう?
アリシアは平然としているがエルフィードは気になって仕方ない。
長い口づけの後、エルフィードは顔をあげ、アリシアを見る。
「なに?そんなに気になるの?あの人そんなに信用できないの?」
「……その方面においては、信用なんて危険な事、とても私には出来ないよ」
「ルウドが居るから……」
「手遅れになったら困る。やっぱり、ほってはおけないよ」
エルフィードは上着を羽織り、ベットから降りる。
「エルフィー……」
「もともと私がまいた種だからね。大ごとになったら困る。君はここで待っていて。すぐ戻るから」
エルフィードは部屋を出ていく。
置いていかれたアリシアは深い溜息を吐いた。
ニヤけた笑みを浮かべるエリックと二人きり。
ティアは大変困っていた。
パーティへ行くのだからと言われ、武器になりそうなものはすべて置いて来てしまった。
ルウドが居るのだから大丈夫だと信じていたのにそのルウドが傍にいない。
女達に囲まれてへらへら笑っていたルウドを恨んだ。
コーヒーを出したエリックはそのままティアの横に座る。
「……な、何ですか…・?」
ティアの顔をじっと見つめてふっと笑う。
「ねえティア様、貴方は運命の赤い糸を信じる?」
「――――――は?……な、何かしら?」
「どんなに離れていても運命という柵によって手繰り寄せられる糸だよ?」
「……さあ、分からないわ……?」
熱い視線をティアに送るエリックは切なげに息を漏らす。
「私はここにきて貴方に出会い、運命を感じたよ。このまま別れてしまうなど余りに惜しい。貴方とは離れられない縁を結びたい」
「……え……?」
エリックは姫の手を取り、手の甲に口づける。
「君が欲しい。この部屋に来たのだから貴女も嫌というわけではないのだろう?」
「な、何を言って…・?」
ティアはじりじりと後ずさり、ついには立ち上がる。
「わわわわ私、そんなつもりもないし、縁なんて感じない。貴方とはお付き合い出来ないわ。失礼、もう帰らせていただくわ」
「ダメだよ、逃がさない」
エリックはティアの腕を引きよせ、自分の胸の中に閉じ込める。
「ちょっと!離してよ!嫌よ!」
エリックはティアを抱き上げ持ち運ぶ。
「そんな勿体ない、君をすぐにその気にさせてあげるよ。ベットの上で」
ティアは真っ青になって暴れ出す。
「は、離してよ!そんなの許さないわ!触らないで!降ろしてよ!」
「観念しなよ。辛いのは最初だけさ。君はすぐに私の手管に喜びを感じるようになるよ」
ティアはベットに降ろされ、エリックに上から覆いかぶさられる。
「いや―――――――っ!ルウド!ルウド!ルウド助けて!ルウド――――!」
「ルウド?ああ護衛の騎士か?ただの護衛がここまで踏み込んでは来ないよ?」
「いやあああああっ!ルウド――――!」
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